Ubuntuをインストールしたパソコンのスペックを知りたい。CPUは何が入っているのか。メモリは何GB積んでいるのか。グラフィックカードはどれを使っているのか。
トラブルシューティングや、ソフトウェアの動作要件を確認する時、ハードウェア情報は必須です。でも、Windowsと違って、どこを見れば良いのか分からない。
実は、Ubuntuには、ハードウェア情報を確認する方法がたくさんあります。マウスで操作できるGUIツールから、コマンドで詳細情報を取得する方法まで、用途に応じて選べます。
この記事では、Ubuntuでハードウェア情報を確認するあらゆる方法を、初心者の方にも分かりやすく解説します。簡単な方法から順番に紹介していくので、あなたに合った方法が必ず見つかります。
さあ、自分のパソコンのスペックを確認してみましょう!
まず知っておきたい:確認できるハードウェア情報
どんな情報が確認できるのか、整理しておきましょう。
確認できる主な情報
CPU(プロセッサー):
- メーカー(Intel、AMDなど)
- モデル名
- コア数
- 動作周波数(クロック速度)
メモリ(RAM):
- 容量(4GB、8GB、16GBなど)
- タイプ(DDR3、DDR4など)
- 速度
- 使用状況
ストレージ(ディスク):
- 種類(HDD、SSDなど)
- 容量
- モデル名
- パーティション情報
グラフィックカード(GPU):
- メーカー(NVIDIA、AMD、Intelなど)
- モデル名
- ビデオメモリ
- ドライバー情報
マザーボード:
- メーカー
- モデル名
- BIOSバージョン
- チップセット
ネットワーク:
- 有線LANアダプター
- 無線LANアダプター
- Bluetoothアダプター
その他:
- USBデバイス
- オーディオデバイス
- バッテリー(ノートパソコンの場合)
- センサー類
【最も簡単】GUIツールで確認する方法
マウス操作だけで確認できる方法から紹介します。
方法1:システム設定から確認
Ubuntu標準の設定画面で基本情報を確認できます。
手順:
- 画面右上の電源アイコンをクリック
- 「設定」を選択
- 左側のメニューから「このシステムについて」を選択
確認できる情報:
- デバイス名
- メモリ(RAM)の容量
- プロセッサー(CPU)の種類
- グラフィック(GPU)
- ディスクの容量
- OSのバージョン
- OSの種類(64ビット/32ビット)
メリット:
- 最も簡単
- 追加ソフト不要
- 基本的な情報は十分確認できる
デメリット:
- 詳細な情報は見られない
- 温度やリアルタイムの使用状況は分からない
方法2:HardInfoをインストール
より詳細な情報を見やすく表示してくれるツールです。
インストール方法:
- ターミナルを開く(Ctrl + Alt + T)
- 以下のコマンドを入力
sudo apt update
sudo apt install hardinfo
- パスワードを入力してEnter
- インストール完了
起動方法:
- アプリケーションメニューから「HardInfo」を検索
- アイコンをクリック
または:
ターミナルで hardinfo
と入力してEnter
見られる情報:
- Computer:コンピューターの概要
- Devices:接続されているデバイス一覧
- Network:ネットワーク情報
- Benchmark:ベンチマークテスト機能
便利な機能:
- 左側のツリーメニューで情報を選択
- 右クリックでレポート生成
- HTMLやテキストファイルとして保存可能
メリット:
- 見やすいGUI
- 詳細な情報
- レポート出力機能
方法3:システムモニター
リアルタイムの使用状況を確認できます。
起動方法:
- アプリケーションメニューから「システムモニター」を検索
- またはターミナルで
gnome-system-monitor
と入力
確認できる情報:
プロセスタブ:
実行中のプログラム一覧と、それぞれのCPU・メモリ使用率
リソースタブ:
- CPU使用率(リアルタイムグラフ)
- メモリとスワップの使用状況
- ネットワークの送受信速度
ファイルシステムタブ:
各パーティションの使用状況
メリット:
- リアルタイムの監視
- CPUやメモリの負荷が一目で分かる
- パフォーマンスのボトルネックを特定できる
【コマンド編】ターミナルで確認する基本コマンド
より詳しい情報を取得できるコマンドを紹介します。
CPU情報を確認:lscpu
コマンド:
lscpu
表示される情報:
- Architecture:アーキテクチャ(x86_64など)
- CPU(s):論理CPUの数
- Model name:CPUのモデル名
- CPU MHz:動作周波数
- Cache:キャッシュサイズ
実例:
Architecture: x86_64
CPU(s): 4
Model name: Intel(R) Core(TM) i5-8250U CPU @ 1.60GHz
CPU MHz: 1800.000
L3 cache: 6144K
詳細情報を見たい場合:
cat /proc/cpuinfo
より詳しいCPU情報が表示されます。
メモリ情報を確認:free
コマンド:
free -h
説明:
-h
オプションで、人間が読みやすい形式(GB、MBなど)で表示されます。
表示される情報:
- total:総メモリ容量
- used:使用中のメモリ
- free:空きメモリ
- available:利用可能なメモリ
実例:
total used free shared buff/cache available
Mem: 7.7G 2.3G 3.1G 234M 2.3G 5.0G
Swap: 2.0G 0B 2.0G
詳細なメモリ情報:
sudo dmidecode --type memory
メモリのスロット数、タイプ(DDR4など)、速度などが表示されます。
ディスク情報を確認:lsblk、df
パーティション構成を見る:
lsblk
表示例:
NAME MAJ:MIN RM SIZE RO TYPE MOUNTPOINT
sda 8:0 0 238.5G 0 disk
├─sda1 8:1 0 512M 0 part /boot/efi
└─sda2 8:2 0 238G 0 part /
ディスク使用状況を見る:
df -h
各パーティションの容量と使用率が表示されます。
ディスクの詳細情報:
sudo fdisk -l
または
sudo lshw -class disk
ディスクのモデル名、容量、パーティションテーブルなどが表示されます。
グラフィックカード情報:lspci
コマンド:
lspci | grep -i vga
または
lspci | grep -i 3d
表示例:
00:02.0 VGA compatible controller: Intel Corporation UHD Graphics 620
より詳しい情報:
lspci -v -s 00:02.0
(00:02.0
の部分は、上記で表示されたデバイスIDに置き換える)
NVIDIA GPUの場合:
nvidia-smi
NVIDIAドライバーがインストールされていれば、詳細なGPU情報が表示されます。
USBデバイス情報:lsusb
コマンド:
lsusb
表示例:
Bus 002 Device 001: ID 1d6b:0003 Linux Foundation 3.0 root hub
Bus 001 Device 003: ID 8087:0025 Intel Corp. Wireless-AC 9260
Bus 001 Device 002: ID 046d:c52b Logitech, Inc. Unifying Receiver
接続されているUSBデバイスの一覧が表示されます。
ネットワークアダプター情報
コマンド:
lspci | grep -i network
または
ip link show
無線LANの詳細:
iwconfig
接続状況や信号強度などが表示されます。
【総合コマンド】lshwで全情報を取得
最も包括的な情報を取得できるコマンドです。
lshwの基本的な使い方
すべてのハードウェア情報を表示:
sudo lshw
注意:
情報量が非常に多いので、スクロールして見づらいです。
見やすく表示する方法:
sudo lshw | less
上下キーでスクロールできます。終了は q
キー。
カテゴリーごとに情報を取得
CPUの情報のみ:
sudo lshw -class processor
メモリの情報のみ:
sudo lshw -class memory
ディスクの情報のみ:
sudo lshw -class disk
ネットワークの情報のみ:
sudo lshw -class network
グラフィックの情報のみ:
sudo lshw -class display
短い要約形式で表示
コマンド:
sudo lshw -short
表示例:
H/W path Device Class Description
========================================================
system Computer
/0 bus Motherboard
/0/0 memory 16GiB System Memory
/0/1 processor Intel(R) Core(TM) i5-8250U
コンパクトで見やすい形式です。
HTMLファイルとして出力
コマンド:
sudo lshw -html > hardware-info.html
ブラウザで開ける形式で保存されます。
確認方法:
firefox hardware-info.html
または
xdg-open hardware-info.html
【詳細情報】dmidecodeで深い情報を取得
BIOSレベルの情報まで取得できるコマンドです。
dmidecodeの基本
すべての情報を表示:
sudo dmidecode
タイプ別に情報を取得:
sudo dmidecode --type <タイプ番号>
よく使うタイプ
BIOSの情報(タイプ0):
sudo dmidecode --type 0
システム情報(タイプ1):
sudo dmidecode --type 1
メーカー、製品名、シリアル番号などが表示されます。
マザーボード情報(タイプ2):
sudo dmidecode --type 2
プロセッサー情報(タイプ4):
sudo dmidecode --type 4
メモリデバイス情報(タイプ17):
sudo dmidecode --type 17
各メモリスロットの詳細情報が表示されます。
メモリの詳細を確認
コマンド:
sudo dmidecode --type 17
確認できる情報:
- サイズ(8GB、16GBなど)
- タイプ(DDR4など)
- 速度(2400MHz、3200MHzなど)
- メーカー
- シリアル番号
- スロット番号
実例:
Handle 0x0010, DMI type 17, 40 bytes
Memory Device
Array Handle: 0x000F
Size: 8192 MB
Type: DDR4
Speed: 2400 MT/s
Manufacturer: Samsung
リアルタイム監視ツール
動的な情報をリアルタイムで確認するツールです。
CPU使用率をリアルタイム表示:top
コマンド:
top
表示される情報:
- 各プロセスのCPU使用率
- メモリ使用率
- 実行時間
- ユーザー名
操作方法:
q
で終了k
でプロセスを終了(PID入力)M
でメモリ使用率順にソートP
でCPU使用率順にソート
より見やすいhtop
インストール:
sudo apt install htop
起動:
htop
メリット:
- カラフルで見やすい
- マウス操作可能
- 各CPUコアの使用率が個別に表示される
- プロセスツリー表示
操作方法:
F10
またはq
で終了F9
でプロセスを終了F5
でツリー表示切り替え
センサー情報:sensors
温度や電圧、ファン速度などを確認できます。
インストール:
sudo apt install lm-sensors
センサーを検出:
sudo sensors-detect
質問に対して基本的に「YES」と答えていきます。
情報を表示:
sensors
表示例:
coretemp-isa-0000
Core 0: +45.0°C (high = +100.0°C, crit = +100.0°C)
Core 1: +47.0°C (high = +100.0°C, crit = +100.0°C)
CPU温度、マザーボード温度、ファン回転数などが表示されます。
ディスクの健康状態:smartctl
インストール:
sudo apt install smartmontools
情報を表示:
sudo smartctl -a /dev/sda
確認できる情報:
- ディスクのモデル名
- 総動作時間
- 電源投入回数
- セクターエラー
- 温度
- 健康状態
注意:
/dev/sda
の部分は、確認したいディスクに応じて変更してください。
特定の情報を素早く確認する方法
よく使う情報を手早く取得するコマンド集です。
Ubuntuのバージョンとアーキテクチャ
uname -a
または
lsb_release -a
カーネルバージョン
uname -r
ホスト名
hostname
IPアドレス
ip addr show
または
hostname -I
バッテリー情報(ノートパソコン)
upower -i /org/freedesktop/UPower/devices/battery_BAT0
または
acpi -b
acpiのインストール:
sudo apt install acpi
画面解像度
xrandr
接続されているディスプレイと対応解像度が表示されます。
情報をファイルに保存する方法
後で参照したり、サポートに送ったりする時に便利です。
すべてのハードウェア情報をまとめて保存
方法1:lshwでテキストファイルに保存
sudo lshw > hardware-info.txt
方法2:inxiを使う(推奨)
インストール:
sudo apt install inxi
すべての情報を保存:
inxi -Fxz > system-info.txt
説明:
-F
:フル情報-x
:詳細情報を追加-z
:個人情報(IPアドレス、MACアドレスなど)を隠す
ブラウザで見やすく:
sudo lshw -html > hardware-info.html
システムログも含めて保存
sudo journalctl -b > system-log.txt
起動時からのシステムログが保存されます。
トラブルシューティングに使える情報収集
問題が起きた時に確認すべき情報です。
ドライバーが正しく読み込まれているか
コマンド:
lsmod
読み込まれているカーネルモジュール(ドライバー)の一覧が表示されます。
特定のドライバーを検索:
lsmod | grep -i nvidia
デバイスが認識されているか
すべてのPCIデバイス:
lspci
すべてのUSBデバイス:
lsusb
カーネルメッセージ
最近のメッセージ:
dmesg | tail -50
エラーを検索:
dmesg | grep -i error
ディスクエラーのチェック
sudo smartctl -H /dev/sda
ディスクの健康状態が「PASSED」なら正常です。
よくある質問と回答
Q1:どのコマンドを使えばいいか分からない
A:
まずはGUIツールの「HardInfo」がおすすめです。インストールも簡単で、視覚的に分かりやすいです。
コマンドなら、以下を試してみてください:
- 基本情報:
sudo lshw -short
- CPU:
lscpu
- メモリ:
free -h
- ディスク:
lsblk
とdf -h
Q2:情報が表示されない
A:
多くのコマンドは sudo
が必要です。権限エラーが出たら、コマンドの前に sudo
を付けてみてください。
Q3:32ビット版か64ビット版か確認したい
A:
uname -m
x86_64
→ 64ビットi686
またはi386
→ 32ビット
Q4:グラフィックドライバーは何が入っているか
NVIDIA GPUの場合:
nvidia-smi
一般的な確認方法:
lspci -k | grep -EA3 'VGA|3D'
「Kernel driver in use:」の行を確認してください。
Q5:メモリスロットは何個あるか
コマンド:
sudo dmidecode --type 17 | grep -i "Size"
各行が一つのメモリスロットを表します。
まとめ:目的に応じて最適な方法を選ぼう
Ubuntuでハードウェア情報を確認する方法をまとめます。
最も簡単な方法:
GUI(マウス操作):
- 設定 → このシステムについて
- HardInfo(要インストール)
- システムモニター
コマンド(基本):
lscpu
→ CPU情報free -h
→ メモリ情報lsblk
とdf -h
→ ディスク情報lspci | grep -i vga
→ グラフィック情報
詳細情報を取得:
sudo lshw
→ 総合的な情報sudo lshw -short
→ 見やすい要約sudo dmidecode
→ BIOSレベルの情報inxi -Fxz
→ まとめて表示
リアルタイム監視:
top
またはhtop
→ CPU・メモリ使用率sensors
→ 温度・ファン速度nvidia-smi
→ NVIDIAのGPU情報
よく使うコマンド早見表:
目的 | コマンド |
---|---|
CPU情報 | lscpu |
メモリ容量 | free -h |
ディスク一覧 | lsblk |
ディスク使用率 | df -h |
GPU情報 | lspci | grep VGA |
USB機器 | lsusb |
ネットワーク | ip link show |
総合情報 | sudo lshw -short |
BIOSレベル | sudo dmidecode |
システム要約 | inxi -Fxz |
情報の保存:
sudo lshw > hardware-info.txt
sudo lshw -html > hardware-info.html
inxi -Fxz > system-info.txt
トラブルシューティング時:
lsmod
→ ドライバー確認dmesg
→ カーネルメッセージsudo smartctl -a /dev/sda
→ ディスク健康状態
初心者へのアドバイス:
最初は、GUIツールの「HardInfo」から始めるのがおすすめです。見やすく、直感的に操作できます。
慣れてきたら、コマンドを使ってみましょう。コピー&ペーストで実行できるので、難しくありません。
こんな時に役立ちます:
- パソコンのスペックを確認したい
- ソフトウェアの動作要件をチェックしたい
- ドライバーの問題をトラブルシューティング
- メモリやディスクの増設を検討している
- サポートに問い合わせる時の情報収集
Ubuntuでハードウェア情報を確認する方法は、GUIからコマンドラインまで様々です。この記事で紹介した方法を使って、あなたのシステムの詳細を把握しましょう。
トラブルが起きた時も、ハードウェア情報を正確に把握していれば、解決への道筋が見えてきます。
それでは、快適なUbuntuライフを!
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