JavaScriptやNode.jsを学び始めると、必ず出てくる「npm(エヌピーエム)」という言葉。でも初心者の方は「npmって何?」「どうやって使うの?」と疑問に思うことが多いでしょう。
実は、npmはプログラミングをとても楽にしてくれる便利なツールなのです。
この記事では、npmの正体から基本的な使い方まで、初心者の方でもわかりやすく説明していきます。
一緒に学んで、npmを使いこなせるようになりましょう!
npmとは何か?

npmの正式名称と役割
npmは「Node Package Manager(ノード・パッケージ・マネージャー)」の略です。
これは、Node.jsで使うプログラムの部品(パッケージと呼びます)を管理するためのツールです。
パッケージって何?
パッケージとは、他の人が作った便利なプログラムの部品のことです。
たとえば、以下のようなものがあります:
- Webサイトを作るためのツール
- 画像を加工するプログラム
- データベースと連携するコード
npmがなかったらどうなる?
npmがない時代を想像してみてください:
- 必要なライブラリを手動でダウンロード
- ファイルを正しい場所に配置
- バージョン管理を自分で行う
- 他の開発者との共有が困難
とても大変ですよね。npmがあれば、これらの作業が簡単なコマンド一つで完了します。
Node.jsとnpmの関係
Node.jsをインストールすると、npmも自動的に一緒にインストールされます。つまり、Node.jsを使う人は必ずnpmも使えるようになるのです。
確認方法 ターミナル(コマンドプロンプト)で以下のコマンドを実行してみてください:
npm --version
バージョン番号が表示されれば、npmが正しくインストールされています。
npmは世界中の開発者が使っている標準的なツールです。
次は、実際にnpmで何ができるのかを見てみましょう。
npmの基本コマンドを覚えよう

最重要コマンド5選
初心者の方がまず覚えるべき、npmの基本コマンドを紹介します。これらを覚えれば、ほとんどの作業ができるようになります。
1. npm init – プロジェクトの初期化 新しいプロジェクトを始めるときに使います:
npm init
このコマンドを実行すると、いくつかの質問が表示されます。すべてEnterキーを押すだけでも大丈夫です。
2. npm install – パッケージのインストール 必要なパッケージを追加するときに使います:
npm install パッケージ名
3. npm uninstall – パッケージの削除 不要になったパッケージを削除します:
npm uninstall パッケージ名
4. npm update – パッケージの更新 古くなったパッケージを最新版に更新します:
npm update
5. npm start – アプリケーションの起動 作成したアプリケーションを実行します:
npm start
実際にコマンドを使ってみよう
では、人気のライブラリ「moment」をインストールしてみましょう。
momentは、日付の操作を簡単にしてくれるライブラリです。
npm install moment
このコマンドを実行すると:
- momentライブラリがダウンロードされる
- node_modulesフォルダに保存される
- package.jsonファイルに記録される
とても簡単ですよね!
グローバルインストールとローカルインストール
npmには2つのインストール方法があります:
ローカルインストール(通常)
npm install パッケージ名
- 現在のプロジェクトでのみ使える
- プロジェクトごとに管理される
グローバルインストール
npm install -g パッケージ名
- パソコン全体で使える
- どのフォルダからでも実行可能
初心者の方は、まずローカルインストールから始めることをおすすめします。
これらのコマンドを覚えれば、npmの基本的な操作ができるようになります。次は、npmで重要な「package.json」というファイルについて学びましょう。
package.jsonファイルの仕組み
package.jsonって何?
package.jsonは、npmプロジェクトの「設計図」のようなファイルです。このファイルには、プロジェクトの情報や使用するライブラリの一覧が記録されています。
package.jsonに書かれている情報
- プロジェクトの名前
- バージョン番号
- 説明文
- 使用しているライブラリのリスト
- 実行可能なスクリプト
package.jsonを作ってみよう
新しいフォルダを作って、以下のコマンドを実行してみましょう:
npm init
すると、以下のような質問が表示されます:
- package name: プロジェクトの名前
- version: バージョン番号
- description: プロジェクトの説明
- entry point: メインファイル名
- test command: テスト用のコマンド
- git repository: Gitのリポジトリ
- keywords: 検索用のキーワード
- author: 作者名
- license: ライセンス
すべてEnterキーを押すだけでも構いません。すると、以下のようなpackage.jsonファイルが作成されます:
{
"name": "my-first-project",
"version": "1.0.0",
"description": "私の最初のnpmプロジェクト",
"main": "index.js",
"scripts": {
"test": "echo \"Error: no test specified\" && exit 1"
},
"author": "あなたの名前",
"license": "ISC"
}
パッケージをインストールしたときの変化
momentライブラリをインストールしてみましょう:
npm install moment
すると、package.jsonファイルに以下の項目が追加されます:
{
"name": "my-first-project",
"version": "1.0.0",
"description": "私の最初のnpmプロジェクト",
"main": "index.js",
"scripts": {
"test": "echo \"Error: no test specified\" && exit 1"
},
"author": "あなたの名前",
"license": "ISC",
"dependencies": {
"moment": "^2.29.4"
}
}
「dependencies」という項目が追加されて、momentライブラリの情報が記録されました。
package.jsonの便利な使い方
他の人とプロジェクトを共有するとき package.jsonファイルがあれば、以下のコマンドですべての必要なライブラリを一度にインストールできます:
npm install
これで、誰でも同じ環境を簡単に作ることができます。
scriptsを使った便利なコマンド package.jsonのscriptsという項目に、よく使うコマンドを登録できます:
"scripts": {
"start": "node index.js",
"dev": "node index.js --watch",
"test": "jest"
}
そして、以下のように実行できます:
npm run start
npm run dev
npm run test
package.jsonは、npmプロジェクトの中心となる重要なファイルです。次は、npmを使っているときによく遭遇するエラーと、その解決方法を見てみましょう。
npmでよくあるエラーと対処法

初心者がよく遭遇するエラー
npmを使っていると、時々エラーが発生することがあります。でも慌てる必要はありません。よくあるパターンを知っていれば、簡単に解決できます。
EACCES – 権限エラー
エラーメッセージの例
npm ERR! code EACCES
npm ERR! syscall access
npm ERR! path /usr/local/lib/node_modules
原因 パッケージをインストールする権限がない
解決方法
- 推奨:npmの設定を変更する
mkdir ~/.npm-global
npm config set prefix '~/.npm-global'
- 一時的な解決:sudoを使う(Macの場合)
sudo npm install -g パッケージ名
ENOTFOUND – パッケージが見つからない
エラーメッセージの例
npm ERR! code ENOTFOUND
npm ERR! syscall getaddrinfo
npm ERR! errno ENOTFOUND
原因と解決方法
- パッケージ名のスペルミス → 正しい名前を確認
- ネットワーク接続の問題 → インターネット接続を確認
- npmレジストリの問題 → しばらく待ってから再実行
ELIFECYCLE – スクリプト実行エラー
エラーメッセージの例
npm ERR! code ELIFECYCLE
npm ERR! errno 1
npm ERR! my-app@1.0.0 start: `node index.js`
原因と解決方法
- 実行するファイルが存在しない → ファイル名を確認
- コードにエラーがある → プログラムのバグを修正
- 必要なパッケージがインストールされていない →
npm install
を実行
キャッシュの問題
症状 パッケージのインストールが正常に完了しない
解決方法 npmのキャッシュをクリアしてみましょう:
npm cache clean --force
バージョンの競合
症状 複数のパッケージが同じライブラリの異なるバージョンを要求している
解決方法 package-lock.jsonファイルを削除して、再インストールしてみましょう:
rm package-lock.json
rm -rf node_modules
npm install
エラーが起きたときの基本的な対処手順
- エラーメッセージをよく読む
- どこでエラーが起きているか確認
- エラーコードをメモする
- 基本的な確認をする
- ネットワーク接続
- パッケージ名のスペル
- ファイルの存在
- 再実行してみる
- 一時的な問題の場合がある
- 少し時間をおいてから試す
- 検索してみる
- エラーメッセージで検索
- Stack Overflowなどで解決策を探す
エラーは怖いものではありません。経験を積むうちに、すぐに解決できるようになります。
まとめ
npmは、Node.jsの開発に欠かせない便利なツールです。
最初は覚えることが多く感じるかもしれませんが、基本的な仕組みを理解すれば、プログラミングがずっと楽になります。
今回学んだ重要なポイント
- npmはパッケージ管理ツールで、Node.jsと一緒にインストールされる
- 基本コマンド(init、install、uninstall、update、start)を覚えれば十分
- package.jsonはプロジェクトの設計図で、とても重要なファイル
- エラーが起きても慌てず、原因を確認して対処する
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