パソコンやプログラミングの勉強をしていると、「lib」という名前のフォルダを見かけることがあります。
「これって何が入っているの?」「触っても大丈夫?」と疑問に思ったことはありませんか?
この記事では、libフォルダの役割や中身について、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
libフォルダとは?

libは「library(ライブラリ)」の略です。
日本語に訳すと「図書館」や「書庫」という意味になります。
パソコンやプログラミングの世界では、「プログラムの部品を集めて保管しているフォルダ」のことを指します。
図書館に本がたくさん並んでいるように、libフォルダには便利なプログラムの部品(ライブラリファイル)がたくさん入っています。
アプリケーションやシステムは、このフォルダから必要な部品を取り出して動作しています。
ライブラリって何?
libフォルダの中身を理解するには、まず「ライブラリ」が何かを知っておく必要があります。
ライブラリとは、よく使われる機能をプログラムの部品としてまとめたものです。
例えるなら、料理で使う「合わせ調味料」のようなもの。
醤油、みりん、砂糖を毎回計量して混ぜるのは面倒ですが、すでに配合された調味料があれば、すぐに使えて便利ですよね。
プログラミングでも同じ考え方があります。
「ファイルを読み込む」「画像を表示する」「計算をする」といった処理は、多くのプログラムで共通して使われます。
これらの処理を毎回ゼロから書くのは大変なので、あらかじめ部品として用意しておく。それがライブラリです。
ライブラリの特徴
- 単体では動作しない(あくまで部品)
- 他のプログラムから呼び出して使う
- 開発効率を大幅に向上させる
- 多くの場合、テスト済みで品質が高い
libフォルダが使われる3つの場面

libフォルダは、大きく分けて3つの場面で登場します。
1. OS(オペレーティングシステム)のlibフォルダ
LinuxやmacOSなどのシステムには、システム全体で使うライブラリを保管するlibフォルダがあります。
Linuxの場合
/lib:システム起動時に必要な基本ライブラリ/usr/lib:一般的なアプリケーション用ライブラリ/usr/local/lib:ユーザーが追加したライブラリ
コマンドを実行したり、アプリを動かしたりするとき、システムはこれらのフォルダからライブラリを読み込んで使います。
macOSの場合
/Library:システム全体で使うライブラリ~/Library:ユーザー固有のライブラリ
macOSでは、アプリの設定ファイルやキャッシュもLibraryフォルダに保存されます。
Windowsの場合
Windowsには「lib」という名前のフォルダは標準では存在しません。
代わりに、DLLファイル(Dynamic Link Library)という形式のライブラリが、C:\Windows\System32などに保存されています。
2. プログラミングプロジェクトのlibフォルダ
ソフトウェア開発のプロジェクトでも、libフォルダがよく使われます。
プロジェクト内で使用するサードパーティ(第三者が作った)ライブラリを保管する場所として利用されます。
一般的なプロジェクト構造の例
MyProject/
├── src/ ← ソースコード(自分で書いたプログラム)
├── lib/ ← ライブラリ(外部から持ってきた部品)
├── include/ ← ヘッダーファイル
├── bin/ ← 実行ファイル
└── docs/ ← ドキュメント
libフォルダにライブラリをまとめておくことで、プロジェクトの管理がしやすくなります。
3. アプリケーションのlibフォルダ
インストールしたアプリケーションの中にも、libフォルダが含まれていることがあります。
そのアプリが動作するために必要なライブラリファイルが格納されています。
アプリをアンインストールすると、このlibフォルダも一緒に削除されるのが一般的です。
libフォルダに入っているファイルの種類
libフォルダには、拡張子(ファイル名の末尾)が異なる様々なファイルが入っています。
主なものを紹介します。
Windowsの場合
| 拡張子 | 名称 | 説明 |
|---|---|---|
| .dll | ダイナミックリンクライブラリ | プログラム実行時に読み込まれる |
| .lib | ライブラリファイル | コンパイル時に組み込まれる |
Linux/macOSの場合
| 拡張子 | 名称 | 説明 |
|---|---|---|
| .so | 共有オブジェクト | 実行時に読み込まれる(Linux) |
| .a | アーカイブ | 静的にリンクされる |
| .dylib | ダイナミックライブラリ | 実行時に読み込まれる(macOS) |
これらのファイルは、プログラムが内部的に使うものです。
人間が直接開いて中身を見ることは基本的にありません。
静的ライブラリと動的ライブラリの違い
ライブラリには「静的ライブラリ」と「動的ライブラリ」の2種類があります。
静的ライブラリ(Static Library)
プログラムを作るとき(コンパイル時)に、実行ファイルの中に組み込まれるタイプです。
例えるなら、レシピ本を丸ごとコピーして自分のノートに貼り付けるようなもの。
実行ファイル単体で動作できますが、ファイルサイズが大きくなります。
動的ライブラリ(Dynamic Library)
プログラムを実行するとき(実行時)に、外部から読み込まれるタイプです。
例えるなら、必要なときだけ図書館に本を借りに行くようなもの。
ファイルサイズは小さくなりますが、ライブラリファイルが見つからないとエラーになることがあります。
現在のソフトウェア開発では、ファイルサイズの効率や更新のしやすさから、動的ライブラリが主流になっています。
libフォルダとvendorフォルダの違い
プログラミングプロジェクトでは、「lib」の他に「vendor」というフォルダを見かけることがあります。
どちらも外部のコードを保管するフォルダですが、微妙な違いがあります。
libフォルダ
- プロジェクト作者が書いた追加のライブラリ
- プロジェクトと同じライセンスで使えることが多い
- プロジェクト固有の機能拡張
vendorフォルダ
- 完全な第三者が作ったライブラリ
- 別のライセンスが適用されることがある
- フレームワークやパッケージ管理ツールが自動生成することが多い
例えば、PHPのComposerやJavaScriptのnpmでインストールしたパッケージは、通常「vendor」や「node_modules」フォルダに保存されます。
libフォルダを触るときの注意点
libフォルダは、システムやアプリケーションの動作に直結する重要なフォルダです。
扱う際には以下の点に注意しましょう。
システムのlibフォルダは触らない
/libや/usr/libなどのシステムフォルダ内のファイルを削除したり移動したりすると、システムが起動しなくなる可能性があります。
特別な理由がない限り、変更しないでください。
プロジェクトのlibフォルダは慎重に
プログラミングプロジェクトのlibフォルダにあるファイルを消すと、プログラムが動かなくなることがあります。
削除する前に、そのライブラリが本当に不要かどうか確認しましょう。
バックアップを取っておく
どうしてもlibフォルダ内のファイルを変更する必要がある場合は、事前にバックアップを取っておくと安心です。
よくある質問
Q. libフォルダを削除しても大丈夫?
システムのlibフォルダは絶対に削除しないでください。OSが動作しなくなります。
アプリケーション内のlibフォルダは、そのアプリをアンインストールすれば自動的に削除されます。
Q. libフォルダが見つからないのですが?
OSやプロジェクトによっては、libフォルダが存在しない場合もあります。
Windowsでは、libという名前のフォルダは標準では存在しません。
Q. libフォルダの容量が大きいのですが、減らせますか?
プロジェクトのlibフォルダであれば、使っていないライブラリを削除することで容量を減らせる場合があります。
ただし、依存関係を確認してから削除してください。不用意に消すとプログラムが動かなくなります。
まとめ
libフォルダは、プログラムの部品(ライブラリ)を保管するフォルダです。
ポイントのおさらい
- libは「library(ライブラリ)」の略
- ライブラリとは、よく使う機能をまとめたプログラムの部品
- OSのlibフォルダには、システム全体で使うライブラリが入っている
- プロジェクトのlibフォルダには、サードパーティのライブラリが入っている
- ライブラリには静的と動的の2種類がある
- システムのlibフォルダは触らないのが鉄則
libフォルダの中身は、普段意識することはあまりありませんが、すべてのプログラムを裏で支えている縁の下の力持ちです。
プログラミングを学んでいく中で、ライブラリの仕組みを理解しておくと、エラーの解決やプロジェクト管理に役立ちます。


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