Chromebookの電源を入れたら、突然「ChromeOS is missing or damaged(ChromeOSが存在しないか破損しています)」という恐ろしいメッセージが表示された…。このエラーを見ると、多くの人が「壊れた!」「データが消えた!」と慌ててしまいます。
でも安心してください。このエラーは、正しい手順を踏めば高確率で修復できます。ただし、対処法を間違えると本当にデータが消えてしまう可能性もあるため、慎重に進める必要があります。
この記事では、「ChromeOSが存在しないか破損しています」エラーの原因から、段階的な解決方法、データを守るためのポイントまで、初心者にも分かりやすく完全解説します。
このエラーが表示される画面はどんな状態?

まず、あなたのChromebookの画面がどのような状態か確認しましょう。
典型的な表示内容
画面には以下のようなメッセージが表示されているはずです:
ChromeOS is missing or damaged.
Please insert a recovery USB stick or SD card.
ChromeOSが存在しないか破損しています。
リカバリUSBスティックまたはSDカードを挿入してください。
画面の特徴:
- 背景は白またはグレー
- 中央に黄色い三角形の警告マーク
- Chromebookのモデル番号が下部に表示されている
- 通常のログイン画面は表示されない
このエラーが意味すること
このメッセージは、ChromeOS(オペレーティングシステム)が正しく読み込めない状態を示しています。
パソコンに例えると、Windowsが起動しない「ブルースクリーン」のような深刻なエラーです。ただし、ChromeOSの場合、復旧手段が比較的シンプルに用意されているため、適切に対処すれば修復可能です。
なぜこのエラーが発生するのか?主な原因5つ
原因を理解することで、適切な対処法を選べるようになります。
原因1:アップデートの失敗
最も多い原因がこれです。
Chrome OSは自動的にアップデートされますが、アップデート中に以下のようなトラブルが起きると、システムファイルが破損することがあります:
- アップデート中に電源が切れた
- バッテリーが切れた
- 強制的にシャットダウンした
- インターネット接続が途中で切れた
原因2:不適切なシャットダウン
Chromebookを使用中に:
- 電源ボタンを長押しして強制終了した
- バッテリーが突然切れた
- 電源ケーブルを抜いた状態で使い続けた
これらの操作で、システムファイルの書き込みが中断され、ファイルシステムが破損することがあります。
原因3:ストレージの物理的な故障
内蔵ストレージ(eMMCやSSD)が物理的に故障すると、Chrome OSを正しく読み込めなくなります。
故障の兆候:
- 使用中に頻繁にフリーズする
- ファイルが突然消える
- 動作が異常に遅くなった
これらの症状が以前からあった場合、ハードウェア故障の可能性が高いです。
原因4:外部デバイスの干渉
USBメモリ、外付けHDD、SDカードなどが接続されたままだと、起動時にこれらのデバイスから起動しようとして、エラーが発生することがあります。
原因5:まれなケース – システムバグ
ごく稀に、Chrome OSのアップデート自体にバグが含まれていて、大量のユーザーに同時にエラーが発生することがあります。(過去に何度か実際に起きています)
【重要】対処前に必ず確認すること
修復作業を始める前に、以下を確認してください。
1. データのバックアップ状況を確認
重要: リカバリ(復元)作業を行うと、Chromebookのダウンロードフォルダに保存されていたファイルは完全に削除されます。
影響を受けるデータ:
- ダウンロードフォルダのファイル
- スクリーンショット(ローカル保存のもの)
- オフラインで保存したファイル
影響を受けないデータ:
- Googleドライブに保存したファイル
- Gmail
- Googleフォト(同期済みの写真)
- Chrome同期データ(ブックマーク、パスワードなど)
普段からGoogleドライブにファイルを保存している場合は、データ損失のリスクは低いです。
2. 必要なものを準備
リカバリ作業には以下が必要です:
必須:
- 正常に動作する別のパソコン(Windows、Mac、または別のChromebook)
- 8GB以上のUSBメモリまたはSDカード(データは消去されます)
- 安定したインターネット接続
推奨:
- Chromebookの充電器(作業中にバッテリー切れを防ぐ)
- 時間的余裕(30分〜1時間程度)
【解決方法】段階的に試していこう
簡単な方法から順に試していきます。
ステップ1:外部デバイスを全て取り外す
まず最初に試すべき、最も簡単な方法です。
手順:
- Chromebookに接続されているすべてのデバイスを取り外す
- USBメモリ
- 外付けハードディスク
- SDカード
- マウス
- その他のUSB機器
- AC電源アダプターは接続したままにする
- 電源ボタンを押して起動してみる
これだけで解決するケースが意外と多いです。 外部デバイスが原因でブートエラーが起きている場合、この方法で正常に起動できます。
ステップ2:ハードリセットを実行する
外部デバイスを外しても改善しない場合、ハードウェアレベルでのリセットを試します。
Chromebookのハードリセット手順
標準的な手順:
- Chromebookの電源を完全に切る
- Escキー + リフレッシュキー(円形矢印、通常F3の位置)を押しながら
- 電源ボタンを押す
- 画面に何か表示されたら、Escとリフレッシュキーから指を離す
一部の機種:
- Esc + 最大化キー + 電源ボタンの組み合わせの場合もあります
Chromeboxの場合
- 電源を切る
- クリップなどの細い棒でリカバリボタンを押しながら
- 電源ボタンを押す
- 画面にメッセージが表示されたらリカバリボタンを離す
これで改善する可能性
ハードリセットで、一時的なハードウェアの不具合やキャッシュの問題が解消され、正常に起動できることがあります。
ステップ3:リカバリモードを起動する
ステップ2までで解決しなかった場合、Chrome OSの再インストールが必要です。
新しいChromebook:インターネット経由のリカバリ
2020年以降に発売されたChromebookの多くは、インターネット経由で直接Chrome OSをダウンロード・インストールできます。
手順:
- エラー画面で「インターネット経由で復元」または「Recover using internet」のオプションが表示されているか確認
- 表示されている場合、そのオプションを選択
- Wi-Fiネットワークに接続
- 画面の指示に従ってChrome OSをダウンロード・インストール
メリット: USBメモリが不要で、最も簡単
デメリット: 古いChromebookでは利用できない
USBリカバリメディアを作成する方法
インターネット経由のオプションが表示されない場合、または古いChromebookの場合は、この方法を使います。
【詳細手順】USBリカバリメディアの作成とリカバリ実行

最も確実な方法を、ステップごとに詳しく解説します。
パート1:別のパソコンでリカバリメディアを作成
Step 1:Chromebookリカバリユーティリティをインストール
- 正常に動作するパソコンでChromeブラウザを開く
(Chromeがない場合はインストール:https://www.google.com/chrome/) - Chrome ウェブストアにアクセス:
https://chrome.google.com/webstore - 検索バーに「Chromebook Recovery Utility」と入力
- 「Chromebookリカバリユーティリティ」を見つけて「Chromeに追加」をクリック
- 「拡張機能を追加」をクリック
Step 2:リカバリユーティリティを起動
- ブラウザの右上、拡張機能アイコン(パズルピース)をクリック
- 「Chromebookリカバリユーティリティ」を選択
- 「開始」または「Get started」をクリック
Step 3:Chromebookのモデルを選択
- 「リストからモデルを選択」をクリック
- メーカー名を選択(例:ASUS、HP、Lenovo、Acerなど)
- モデル名を選択
- モデル番号は、エラー画面の下部に表示されています
- 例:「BLOOGUARD」「KRANE」など
わからない場合:
- Chromebook本体の裏面にモデル番号が記載されています
- 購入時の箱や説明書を確認
Step 4:USBメモリを準備
- 8GB以上のUSBメモリをパソコンに挿入
- 注意: USBメモリ内のデータは完全に消去されます
- リカバリユーティリティの画面でUSBメモリを選択
- 「続ける」または「Continue」をクリック
Step 5:リカバリイメージを作成
- 「作成」または「Create now」をクリック
- Chrome OSのダウンロードが開始されます
- ダウンロードサイズ:約2〜4GB
- 所要時間:10〜30分(回線速度による)
- ダウンロード完了後、USBメモリへの書き込みが自動で始まります
- 「成功しました」または「Success」と表示されたら完了
- 「完了」をクリック
パート2:リカバリメディアを使ってChrome OSを再インストール
Step 1:Chromebookをリカバリモードで起動
- エラーが出ているChromebookに、作成したUSBメモリを挿入
- USBメモリが自動認識されない場合:
- Esc + リフレッシュキーを押しながら電源ボタンを押す
- リカバリモード画面が表示される
Step 2:リカバリ実行
- 「外部ディスクからの復元が検出されました」というメッセージが表示される
- 画面の指示に従って操作
- 通常は自動的にインストールが始まります
- インストール中の表示:
- 進行状況バーが表示される
- 「システムを復元しています…」
- 所要時間:5〜15分
Step 3:完了とセットアップ
- 「システムの復元が完了しました」と表示される
- USBメモリを取り外す
- Chromebookが自動的に再起動する
- 初期セットアップ画面が表示される
- 言語選択
- Wi-Fi接続
- Googleアカウントでログイン
- 利用規約への同意
リカバリ後にやるべきこと
Chrome OSの再インストールが完了したら、以下の作業を行いましょう。
1. Chrome OSのアップデート確認
- 設定を開く
- 「Chrome OSについて」をクリック
- 「アップデートを確認」をクリック
- アップデートがある場合は自動でダウンロード・インストールされる
- 「再起動」をクリック
2. データの復元
Googleドライブのファイル:
- 自動的に同期され、アクセス可能になります
Chrome同期データ:
- ブックマーク、パスワード、拡張機能なども自動で復元されます
ダウンロードフォルダのファイル:
- 残念ながら、これは復元できません
3. 必要なアプリを再インストール
- Android アプリ(Google Playから)
- Linux アプリ(使用していた場合)
- Chrome拡張機能
4. ハードウェア診断を実行(推奨)
リカバリ後、ハードウェアに問題がないか確認しましょう。
診断手順:
- 設定を開く
- 「Chrome OSについて」→ 「診断」をクリック
- 以下の項目をテスト:
- バッテリー
- CPU
- メモリ
- 接続状態
- いずれかのテストが失敗した場合、ハードウェア故障の可能性があります
それでも解決しない場合の対処法
リカバリを実行しても同じエラーが出る場合、以下の原因が考えられます。
原因1:USBメモリの不具合
対処法:
- 別のUSBメモリを使ってリカバリメディアを作り直す
- 一部のUSBメモリはChromebookと相性が悪いことがあります
原因2:内蔵ストレージの物理的故障
症状:
- 何度リカバリしても同じエラーが出る
- リカバリ中にエラーが発生する
- 「ストレージの読み書きエラー」と表示される
対処法:
この場合、個人での修理は困難です。
- 保証期間内の場合:
- メーカーのサポートに連絡
- 無償修理または交換の可能性があります
- 保証期間外の場合:
- 修理費用の見積もりを取る
- 内蔵ストレージの交換が必要(通常1〜3万円程度)
- 古い機種の場合、買い替えも検討
原因3:マザーボードの故障
USBポートが全く反応しない、電源ランプがつかないなどの症状がある場合、マザーボード故障の可能性があります。
対処法:
メーカー修理が必要です。費用が高額になることが多いため、買い替えを検討する方が現実的な場合もあります。
エラーを防ぐための予防策
今後同じエラーを起こさないために、以下の習慣をつけましょう。
1. 適切なシャットダウンを心がける
やってはいけないこと:
- 電源ボタンの長押しで強制終了
- アップデート中に電源を切る
- バッテリー残量が少ない状態で使い続ける
正しいシャットダウン方法:
- 画面右下の時刻をクリック
- 電源アイコンをクリック
- 「シャットダウン」を選択
2. 重要なファイルは必ずGoogleドライブに保存
ダウンロードフォルダは一時的な保存場所と考えましょう。
推奨:
- すべての重要ファイルをGoogleドライブに移動
- 写真はGoogleフォトに自動バックアップ
- ダウンロードフォルダは定期的に整理
3. バッテリーを適切に管理
- 充電しながら使用する(特にアップデート時)
- バッテリー残量が20%以下になったら充電
- 完全放電(0%まで使い切る)を避ける
4. アップデートは安定した環境で
- Wi-Fi接続が安定している場所で実行
- 時間に余裕があるときに実行
- アップデート中は他の作業をしない
よくある質問と回答
Q1:リカバリするとすべてのデータが消える?
A:ローカルデータは消えますが、クラウドデータは残ります。
消えるもの:
- ダウンロードフォルダのファイル
- ローカル保存のスクリーンショット
- オフライン保存したファイル
残るもの:
- Googleドライブのファイル
- Gmail
- Googleフォト
- Chrome同期データ(ブックマーク、パスワード)
Q2:USBメモリは何GBが必要?
A:8GB以上が必要です。
Chrome OSのイメージファイルは通常2〜4GBですが、書き込み作業に余裕を持たせるため、8GB以上のUSBメモリを推奨します。
Q3:リカバリ後、元の設定は復元される?
A:Chrome同期機能を使っていれば、多くの設定が自動復元されます。
自動復元されるもの:
- ブックマーク
- 保存したパスワード
- 閲覧履歴
- Chrome拡張機能
- Googleアカウントの設定
再設定が必要なもの:
- Wi-Fi設定
- 壁紙
- 一部のローカル設定
Q4:学校・会社のChromebookでもリカバリできる?
A:基本的には可能ですが、管理者に確認してください。
管理対象のChromebookは:
- リカバリ後、自動的に管理ポリシーが再適用されます
- 一部の設定は個人で変更できない場合があります
- 勝手にリカバリすると管理者に通知が行くことがあります
推奨: 必ず学校・会社のIT管理者に相談してから実行しましょう。
Q5:古いChromebookでもリカバリできる?
A:サポート期限内なら可能です。
各Chromebookには「自動更新の有効期限(AUE)」があります。
確認方法:
- 設定 → 「Chrome OSについて」
- 「詳細」をクリック
- 「自動更新の有効期限」を確認
期限切れの場合、最新のChrome OSはインストールできませんが、過去のバージョンでリカバリは可能です。
まとめ:落ち着いて段階的に対処しよう
「ChromeOSが存在しないか破損しています」エラーは、確かに深刻ですが、適切に対処すれば修復できます。
解決の基本フロー
- 外部デバイスをすべて取り外す(最も簡単)
- ハードリセットを実行(ハードウェアのリセット)
- インターネット経由のリカバリ(新しい機種の場合)
- USBリカバリメディアで復元(確実な方法)
- それでもダメならハードウェア故障を疑う
絶対に忘れてはいけないこと
- リカバリ前にデータのバックアップ状況を確認
- USBメモリは8GB以上を用意
- リカバリ作業中は電源を切らない
- 慌てて何度もPowerwashを繰り返さない
今後の予防策
- 重要なファイルは必ずGoogleドライブに保存
- 適切なシャットダウンを心がける
- アップデートは安定した環境で実行
- 定期的にバックアップを確認
ChromeOSは、クラウド中心の設計のおかげで、リカバリ後のデータ復元が比較的スムーズです。日頃からGoogleドライブを活用していれば、万が一のトラブルでも被害を最小限に抑えられます。
それでも解決しない場合は、遠慮なくメーカーサポートに相談しましょう。ハードウェア故障の場合、無理に自分で対処しようとすると、かえって状況を悪化させることもあります。
この記事が、あなたのChromebook復旧の助けになれば幸いです。焦らず、一つずつ手順を確認しながら対処していきましょう!

コメント