お正月に「かるた」をしたことはありますか?
「ちはやふる」というアニメや漫画を見て、競技かるたに興味を持った人も多いのではないでしょうか。
百人一首は、約800年前に作られた和歌集です。
100人の歌人がそれぞれ1首ずつ選ばれていて、恋の切なさや四季の美しさを31文字で表現しています。
「古文って難しそう…」と思うかもしれません。
でも安心してください。
現代語訳を読めば、千年前の人々も私たちと同じような気持ちを抱えていたことがわかります。
この記事では、百人一首の全100首を一覧で紹介し、特に人気の和歌についてはわかりやすく解説していきます。
百人一首とは?

基本情報
百人一首とは、100人の歌人の和歌を1人につき1首ずつ集めた歌集のことです。
正式名称は「小倉百人一首(おぐらひゃくにんいっしゅ)」といいます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 成立時期 | 鎌倉時代初期(1235年頃) |
| 編者 | 藤原定家(ふじわらのていか) |
| 収録歌人 | 天智天皇から順徳院まで100人 |
| 時代範囲 | 約600年間(7世紀〜13世紀) |
| 歌の形式 | 短歌(5・7・5・7・7の31音) |
誰が作ったの?
百人一首を編んだのは、藤原定家(1162-1241) という歌人です。
定家は当時最も有名な歌人の一人で、「新古今和歌集」の編纂にも関わりました。
京都の小倉山にあった山荘で、息子の親戚の依頼を受けて100首を選んだといわれています。
この山荘の襖(ふすま)を飾るために色紙に和歌を書いたことから、「小倉百人一首」という名前がつきました。
どんな歌が選ばれているの?
百人一首に収められた歌のテーマは、大きく分けて以下の4つです。
- 恋の歌:約43首(最も多い)
- 四季の歌:約32首
- 旅・離別の歌:約12首
- その他:約13首
恋の歌が最も多いのが特徴です。
片思いの切なさや、会えない悲しみなど、現代人にも共感できる感情が詠まれています。
百人一首 全100首一覧
1番〜10番
| 番号 | 歌人 | 和歌 |
|---|---|---|
| 1 | 天智天皇 | 秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ |
| 2 | 持統天皇 | 春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山 |
| 3 | 柿本人麻呂 | あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む |
| 4 | 山部赤人 | 田子の浦に うち出でて見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪はふりつつ |
| 5 | 猿丸大夫 | 奥山に もみぢ踏み分け 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋は悲しき |
| 6 | 中納言家持 | かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ぞふけにける |
| 7 | 安倍仲麿 | 天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも |
| 8 | 喜撰法師 | わが庵は 都のたつみ しかぞ住む 世をうぢ山と 人はいふなり |
| 9 | 小野小町 | 花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに |
| 10 | 蝉丸 | これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関 |
11番〜20番
| 番号 | 歌人 | 和歌 |
|---|---|---|
| 11 | 参議篁 | わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣舟 |
| 12 | 僧正遍昭 | 天つ風 雲の通ひ路 吹きとぢよ 乙女の姿 しばしとどめむ |
| 13 | 陽成院 | 筑波嶺の 峰より落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる |
| 14 | 河原左大臣 | 陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし われならなくに |
| 15 | 光孝天皇 | 君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ |
| 16 | 中納言行平 | 立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む |
| 17 | 在原業平朝臣 | ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは |
| 18 | 藤原敏行朝臣 | 住の江の 岸による波 よるさへや 夢の通ひ路 人目よくらむ |
| 19 | 伊勢 | 難波潟 みじかき芦の ふしの間も 逢はでこの世を 過ぐしてよとや |
| 20 | 元良親王 | わびぬれば 今はた同じ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ |
21番〜30番
| 番号 | 歌人 | 和歌 |
|---|---|---|
| 21 | 素性法師 | 今来むと いひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな |
| 22 | 文屋康秀 | 吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ |
| 23 | 大江千里 | 月見れば ちぢにものこそ 悲しけれ わが身一つの 秋にはあらねど |
| 24 | 菅家 | このたびは 幣も取りあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに |
| 25 | 三条右大臣 | 名にし負はば 逢坂山の さねかづら 人に知られで 来るよしもがな |
| 26 | 貞信公 | 小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今ひとたびの みゆき待たなむ |
| 27 | 中納言兼輔 | みかの原 わきて流るる いづみ川 いつ見きとてか 恋しかるらむ |
| 28 | 源宗于朝臣 | 山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば |
| 29 | 凡河内躬恒 | 心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花 |
| 30 | 壬生忠岑 | 有明の つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし |
31番〜40番
| 番号 | 歌人 | 和歌 |
|---|---|---|
| 31 | 坂上是則 | 朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に ふれる白雪 |
| 32 | 春道列樹 | 山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり |
| 33 | 紀友則 | ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ |
| 34 | 藤原興風 | 誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに |
| 35 | 紀貫之 | 人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける |
| 36 | 清原深養父 | 夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ |
| 37 | 文屋朝康 | 白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける |
| 38 | 右近 | 忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな |
| 39 | 参議等 | 浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき |
| 40 | 平兼盛 | 忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで |
41番〜50番
| 番号 | 歌人 | 和歌 |
|---|---|---|
| 41 | 壬生忠見 | 恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか |
| 42 | 清原元輔 | 契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波越さじとは |
| 43 | 権中納言敦忠 | 逢ひ見ての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり |
| 44 | 中納言朝忠 | 逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし |
| 45 | 謙徳公 | あはれとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな |
| 46 | 曾禰好忠 | 由良のとを 渡る舟人 かぢを絶え ゆくへも知らぬ 恋の道かな |
| 47 | 恵慶法師 | 八重葎 しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり |
| 48 | 源重之 | 風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけて物を 思ふころかな |
| 49 | 大中臣能宣朝臣 | 御垣守 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ 物をこそ思へ |
| 50 | 藤原義孝 | 君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな |
51番〜60番
| 番号 | 歌人 | 和歌 |
|---|---|---|
| 51 | 藤原実方朝臣 | かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを |
| 52 | 藤原道信朝臣 | 明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほ恨めしき 朝ぼらけかな |
| 53 | 右大将道綱母 | 嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る |
| 54 | 儀同三司母 | 忘れじの 行く末までは かたければ 今日を限りの 命ともがな |
| 55 | 大納言公任 | 滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ |
| 56 | 和泉式部 | あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな |
| 57 | 紫式部 | めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな |
| 58 | 大弐三位 | 有馬山 猪名の笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする |
| 59 | 赤染衛門 | やすらはで 寝なましものを さ夜ふけて かたぶくまでの 月を見しかな |
| 60 | 小式部内侍 | 大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみも見ず 天の橋立 |
61番〜70番
| 番号 | 歌人 | 和歌 |
|---|---|---|
| 61 | 伊勢大輔 | いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな |
| 62 | 清少納言 | 夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ |
| 63 | 左京大夫道雅 | 今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがな |
| 64 | 権中納言定頼 | 朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれわたる 瀬々の網代木 |
| 65 | 相模 | 恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ |
| 66 | 前大僧正行尊 | もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし |
| 67 | 周防内侍 | 春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ |
| 68 | 三条院 | 心にも あらで憂き世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな |
| 69 | 能因法師 | 嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり |
| 70 | 良暹法師 | さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば いづこも同じ 秋の夕暮 |
71番〜80番
| 番号 | 歌人 | 和歌 |
|---|---|---|
| 71 | 大納言経信 | 夕されば 門田の稲葉 おとづれて 芦のまろ屋に 秋風ぞ吹く |
| 72 | 祐子内親王家紀伊 | 音に聞く 高師の浜の あだ波は かけじや袖の ぬれもこそすれ |
| 73 | 権中納言匡房 | 高砂の をのへの桜 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ |
| 74 | 源俊頼朝臣 | 憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを |
| 75 | 藤原基俊 | 契りおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり |
| 76 | 法性寺入道前関白太政大臣 | わたの原 漕ぎ出でて見れば 久方の 雲居にまがふ 沖つ白波 |
| 77 | 崇徳院 | 瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ |
| 78 | 源兼昌 | 淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に いく夜寝覚めぬ 須磨の関守 |
| 79 | 左京大夫顕輔 | 秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出づる月の 影のさやけさ |
| 80 | 待賢門院堀河 | 長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れて今朝は 物をこそ思へ |
81番〜90番
| 番号 | 歌人 | 和歌 |
|---|---|---|
| 81 | 後徳大寺左大臣 | ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ有明の 月ぞ残れる |
| 82 | 道因法師 | 思ひわび さても命は あるものを 憂きに堪へぬは 涙なりけり |
| 83 | 皇太后宮大夫俊成 | 世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる |
| 84 | 藤原清輔朝臣 | ながらへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき |
| 85 | 俊恵法師 | 夜もすがら 物思ふころは 明けやらで 閨のひまさへ つれなかりけり |
| 86 | 西行法師 | 嘆けとて 月やは物を 思はする かこち顔なる わが涙かな |
| 87 | 寂蓮法師 | 村雨の 露もまだひぬ 槙の葉に 霧立ちのぼる 秋の夕暮 |
| 88 | 皇嘉門院別当 | 難波江の 芦のかりねの ひとよゆゑ 身を尽くしてや 恋ひわたるべき |
| 89 | 式子内親王 | 玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする |
| 90 | 殷富門院大輔 | 見せばやな 雄島の海人の 袖だにも 濡れにぞ濡れし 色は変はらず |
91番〜100番
| 番号 | 歌人 | 和歌 |
|---|---|---|
| 91 | 後京極摂政前太政大臣 | きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む |
| 92 | 二条院讃岐 | わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね 乾く間もなし |
| 93 | 鎌倉右大臣 | 世の中は 常にもがもな 渚漕ぐ 海人の小舟の 綱手かなしも |
| 94 | 参議雅経 | み吉野の 山の秋風 さ夜ふけて ふるさと寒く 衣うつなり |
| 95 | 前大僧正慈円 | おほけなく 憂き世の民に おほふかな わが立つ杣に 墨染の袖 |
| 96 | 入道前太政大臣 | 花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり |
| 97 | 権中納言定家 | 来ぬ人を まつほの浦の 夕凪に 焼くや藻塩の 身もこがれつつ |
| 98 | 従二位家隆 | 風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける |
| 99 | 後鳥羽院 | 人も惜し 人も恨めし あぢきなく 世を思ふゆゑに 物思ふ身は |
| 100 | 順徳院 | ももしきや 古き軒端の しのぶにも なほ余りある 昔なりけり |
特に有名な和歌10選【現代語訳つき】

第1番:天智天皇
秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ
現代語訳
秋の田んぼにある仮小屋は、屋根の苫(とま)の編み目が粗いので、私の袖は夜露でずっと濡れ続けている。
解説
百人一首の一番最初に置かれた歌です。
天智天皇(中大兄皇子)は大化の改新を行った人物として歴史の教科書にも登場します。
農民の苦労に心を寄せる天皇の姿が描かれています。
近江神宮(滋賀県大津市)は天智天皇を祀っており、競技かるたの聖地として知られています。
第17番:在原業平朝臣
ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは
現代語訳
不思議なことが多かった神代の昔でさえ聞いたことがない。竜田川の水が、紅葉で真っ赤に染まるなんて。
解説
漫画・アニメ「ちはやふる」のタイトルの元になった歌です。
「ちはやぶる」は「勢いが激しい」という意味の枕詞(まくらことば)で、「神」にかかります。
竜田川は奈良県を流れる川で、紅葉の名所として有名でした。
在原業平は「伊勢物語」の主人公のモデルともいわれる、平安時代を代表するプレイボーイです。
第9番:小野小町
花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに
現代語訳
桜の花の色はすっかり色あせてしまった。長雨が降る間に。同じように、私の美しさもむなしく衰えてしまった。物思いにふけっている間に。
解説
絶世の美女として有名な小野小町の代表作です。
「ながめ」には「長雨」と「眺め(物思いにふける)」の二つの意味がかけられています。
こうした言葉遊びを「掛詞(かけことば)」といい、和歌の技法の一つです。
第77番:崇徳院
瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ
現代語訳
川の流れが速いので、岩にせき止められて二つに分かれる急流のように、今は別れても、いつかまた必ず会おうと思っている。
解説
落語「崇徳院」でも有名な一首。
恋の情熱を激しい川の流れにたとえた力強い歌です。
崇徳院は保元の乱で敗れて讃岐国(現在の香川県)に流された悲劇の天皇。
怨霊になったという伝説もあります。
第40番:平兼盛
忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで
現代語訳
隠していたのに、顔色に出てしまった。私の恋心は、「何か悩んでいるの?」と人に聞かれるほどに。
解説
恋を隠そうとしても、つい表情に出てしまう…そんな経験、現代人にもありますよね。
歌合せという和歌の勝負で、41番の壬生忠見の歌と競い、この歌が勝ちました。
負けた忠見は悔しさのあまり食事がのどを通らなくなり、亡くなったという逸話があります。
第33番:紀友則
ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ
現代語訳
日の光がのどかに降り注ぐ春の日なのに、どうして桜の花は落ち着かなげに散っていくのだろう。
解説
日本人の桜を愛する心がよく表れた歌です。
美しいものがはかなく散っていく様子に、日本人は古くから心を動かされてきました。
「ひさかたの」は「光」にかかる枕詞です。
第56番:和泉式部
あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな
現代語訳
私はもうすぐ死んでしまうでしょう。あの世への思い出に、もう一度だけあなたに会いたいのです。
解説
「恋に生きた女性」として知られる和泉式部の情熱的な一首。
死を目前にしても恋人に会いたいという激しい想いが伝わってきます。
和泉式部は多くの恋愛遍歴で知られ、当時から話題の人物でした。
第57番:紫式部
めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな
現代語訳
久しぶりに会えたのに、あなたかどうかわからないうちに、雲に隠れた夜中の月のように、あなたは帰ってしまった。
解説
「源氏物語」の作者として有名な紫式部の歌です。
幼なじみとの短い再会を月にたとえた、知的で繊細な一首。
ライバルの清少納言(62番)とは対照的に、内省的な性格だったといわれています。
第62番:清少納言
夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ
現代語訳
まだ夜のうちに鶏の鳴き真似をしてだまそうとしても、逢坂の関は決して開きませんよ。
解説
「枕草子」の作者・清少納言が、しつこい男をピシャリとはねつけた歌です。
中国の故事を踏まえた、知性と機転を感じさせる内容になっています。
「逢坂の関」には「逢う」という意味もかけられており、「あなたには絶対会いませんよ」という拒絶のメッセージでもあります。
第93番:鎌倉右大臣
世の中は 常にもがもな 渚漕ぐ 海人の小舟の 綱手かなしも
現代語訳
この世がずっと変わらずにあってほしい。渚を漕いでいく漁師の小舟が、綱で引かれていく様子は、なんとも心に染みる。
解説
鎌倉右大臣とは、鎌倉幕府第三代将軍の源実朝のことです。
武士でありながら京都文化を愛し、和歌に秀でていました。
穏やかな日常がいつまでも続いてほしいという願いが込められていますが、実朝は甥の公暁に暗殺されるという悲劇的な最期を迎えます。
競技かるたと百人一首
「畳の上の格闘技」
百人一首は、現代では競技かるたとして親しまれています。
競技かるたは、読み手が上の句を読み、選手が下の句が書かれた札を取り合う競技です。
その激しさから「畳の上の格闘技」とも呼ばれます。
- 競技人口:約100万人(2020年代)
- 聖地:滋賀県大津市の近江神宮
- 最高位:男性は「名人」、女性は「クイーン」
「ちはやふる」の影響
2007年から連載された漫画「ちはやふる」(末次由紀)は、競技かるたを描いた作品です。
アニメ化・実写映画化もされ、競技かるたの人気を大きく押し上げました。
現在では海外にもかるた会が広がり、世界大会も開催されています。
決まり字を覚えよう
競技かるたで強くなるには、「決まり字」 を覚えることが重要です。
決まり字とは、上の句の冒頭の音だけで、どの歌か特定できる文字のことです。
一字決まり(7首)
最初の一文字だけで札が特定できる歌が7首あります。
頭文字を並べると「むすめふさほせ」となり、覚えやすくなっています。
| 決まり字 | 歌番号 | 歌人 |
|---|---|---|
| む | 87 | 寂蓮法師 |
| す | 18 | 藤原敏行朝臣 |
| め | 57 | 紫式部 |
| ふ | 22 | 文屋康秀 |
| さ | 70 | 良暹法師 |
| ほ | 81 | 後徳大寺左大臣 |
| せ | 77 | 崇徳院 |
まとめ
百人一首は、約800年前に編まれた和歌集です。
しかし、そこに詠まれた恋の切なさや、季節の美しさへの感動は、現代を生きる私たちにも響くものがあります。
百人一首の魅力をまとめると
- 100人の歌人による100首の秀歌が楽しめる
- 恋・四季・旅など、普遍的なテーマが詠まれている
- 競技かるたとして、スポーツとしても楽しめる
- 「ちはやふる」をきっかけに世界にも広がっている
最初はすべてを覚える必要はありません。
気に入った一首を見つけて、その歌人について調べてみるのがおすすめです。
きっと、千年前の人々との不思議なつながりを感じられるはずです。


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