AlmaLinuxをCUI起動する完全ガイド|GUIとの切り替え方法を徹底解説

AlmaLinuxをインストールしたら、GUIではなくCUI(コマンドラインのみ)で起動したい…

サーバー用途でAlmaLinuxを使う場合、GUIは不要でリソースの無駄遣いです。CUI起動に切り替えれば、メモリ消費を大幅に削減でき、パフォーマンスも向上します。

この記事では、AlmaLinuxをCUI起動する方法、GUIとCUIの切り替え方、トラブルシューティングまで、初心者にも分かりやすく徹底解説します。

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  1. CUIとGUIの違い
    1. CUI(Character User Interface)とは
    2. GUI(Graphical User Interface)とは
    3. CUIとGUIの比較
    4. なぜサーバーではCUIを使うのか?
  2. AlmaLinuxの起動モード(Target)の仕組み
    1. 主なターゲット
  3. 現在の起動モードを確認する
    1. デフォルトのターゲットを確認
    2. 現在のターゲットを確認
  4. GUIからCUIに切り替える方法
    1. 方法1:一時的にCUIに切り替え【再起動で元に戻る】
    2. 方法2:恒久的にCUIをデフォルトにする【推奨】
    3. GUIをアンインストールするべきか?
  5. CUIからGUIに切り替える方法
    1. パターンA:GUIがインストール済みの場合
    2. パターンB:GUIがインストールされていない場合
    3. X Window SystemとWaylandの違い
  6. CUI起動後の基本操作
    1. ログイン
    2. ログアウト
    3. シャットダウン
    4. 再起動
    5. CUIで一時的にGUIを起動
  7. トラブルシューティング
    1. 問題1:GUIに切り替えたのに、CUIのまま
    2. 問題2:CUIに切り替えたのに、GUIのまま
    3. 問題3:systemctl コマンドで「Permission denied」エラー
    4. 問題4:起動時に黒い画面で止まる
    5. 問題5:GUIがすごく遅い・固まる
    6. 問題6:startx コマンドが見つからない
    7. 問題7:SSH接続時に「Cannot open display」エラー
  8. 仮想コンソールの切り替え
    1. 仮想コンソールとは?
    2. コンソールの切り替え方法
  9. CUI起動のメリット・デメリット
    1. CUI起動のメリット
    2. CUI起動のデメリット
    3. どちらを選ぶべきか?
  10. よくある質問
  11. まとめ

CUIとGUIの違い

まず、CUIとGUIの基本的な違いを理解しましょう。

CUI(Character User Interface)とは

すべての操作をキーボードで行う文字ベースのインターフェース

  • マウス操作なし
  • グラフィカルな要素なし
  • 黒い画面に白い文字(ターミナル)
  • コマンドを入力して操作

別名:

  • コマンドラインインターフェース(CLI)
  • テキストモード
  • コンソールモード

GUI(Graphical User Interface)とは

マウスで操作できるグラフィカルなインターフェース

  • ウィンドウ、アイコン、メニュー
  • マウスでクリック操作
  • Windowsのような見た目
  • AlmaLinuxではGNOMEデスクトップ環境が標準

CUIとGUIの比較

項目CUIGUI
操作方法キーボードのみマウス+キーボード
メモリ使用量少ない(数百MB)多い(1.5GB以上)
CPU使用率低い高い
起動時間速い遅い
学習難易度難しい易しい
サーバー用途最適不向き
デスクトップ用途不向き最適
リモート接続SSH(軽量)VNC/RDP(重い)

なぜサーバーではCUIを使うのか?

理由1:リソース効率

GUIのデスクトップ環境は、メモリを1.5GB以上消費します。サーバー用途では、このリソースをアプリケーション(Webサーバー、データベースなど)に使いたいです。

理由2:セキュリティ

GUIが動作すると、多くのプロセスとサービスが起動します。これらはすべて潜在的な攻撃対象になります。CUIは最小限のプロセスのみで、攻撃面が小さくなります。

理由3:安定性

GUIのクラッシュやフリーズは、サーバーの運用に影響を与えません。CUIは非常に安定しています。

理由4:リモート管理

サーバーはSSHでリモート管理するのが一般的です。SSHはCUIなので、ローカルでもCUIに慣れておいたほうが効率的です。

AlmaLinuxの起動モード(Target)の仕組み

AlmaLinuxは「systemd」というシステムで管理されており、起動モードを「ターゲット(Target)」で制御します。

主なターゲット

multi-user.target(CUIモード)

  • ネットワーク機能あり
  • マルチユーザー対応
  • GUIなし
  • サーバー用途に最適
  • 旧称:ランレベル3

graphical.target(GUIモード)

  • multi-user.targetの機能 + GUI
  • GNOMEデスクトップ環境
  • デスクトップ用途に最適
  • 旧称:ランレベル5

その他のターゲット

  • rescue.target:レスキューモード(シングルユーザー、最小限のサービス)
  • emergency.target:緊急モード(最小限の環境)
  • reboot.target:再起動
  • poweroff.target:シャットダウン

現在の起動モードを確認する

まず、現在の設定を確認しましょう。

デフォルトのターゲットを確認

systemctl get-default

出力例:

graphical.target

または

multi-user.target

現在のターゲットを確認

systemctl list-units --type=target

このコマンドで、現在アクティブなすべてのターゲットが表示されます。

GUIからCUIに切り替える方法

「Server with GUI」や「Workstation」でインストールした場合、デフォルトでGUI起動になっています。これをCUI起動に変更します。

方法1:一時的にCUIに切り替え【再起動で元に戻る】

現在のセッションだけCUIに切り替えます。再起動すると元のGUI起動に戻ります。

手順

  1. ターミナルを開く(GUIの場合)
  2. 以下のコマンドを実行
sudo systemctl isolate multi-user.target
  1. すぐにCUIモードに切り替わる

実行後の状態:

  • 画面が黒くなり、ログインプロンプトが表示される
  • マウスは使えなくなる
  • キーボードでログインして操作

元に戻す(CUI→GUIに一時的に戻す):

sudo systemctl isolate graphical.target

方法2:恒久的にCUIをデフォルトにする【推奨】

起動時のデフォルトをCUIに変更します。以降、すべての起動でCUIになります。

手順

sudo systemctl set-default multi-user.target

確認:

systemctl get-default

出力:

multi-user.target

再起動して確認:

sudo reboot

再起動後、CUIのログイン画面になっていればOKです。

GUIをアンインストールするべきか?

アンインストールは不要です。

CUI起動に設定すれば、GUIは起動しません。GUIのパッケージが残っていても、リソースは消費されません(プロセスが起動しないため)。

後でGUIが必要になった場合、すぐに切り替えられるので、パッケージは残しておいたほうが便利です。

CUIからGUIに切り替える方法

最初に「最小限のインストール」でインストールした場合や、CUIに切り替えた後でGUIに戻したい場合の方法です。

パターンA:GUIがインストール済みの場合

すでにGUIパッケージがインストールされている場合(元々「Server with GUI」などでインストールした場合)

一時的にGUIに切り替え:

sudo systemctl isolate graphical.target

恒久的にGUIをデフォルトにする:

sudo systemctl set-default graphical.target
sudo reboot

パターンB:GUIがインストールされていない場合

「最小限のインストール」や「サーバー」でインストールした場合、GUIパッケージ自体がありません。

手順

  1. GUIパッケージをインストール
sudo dnf groupinstall "Server with GUI" -y

または

sudo dnf groupinstall "Workstation" -y

インストール時間:

  • ネットワーク速度にもよりますが、20〜40分程度
  • 大量のパッケージ(1000以上)がインストールされる
  1. デフォルトをGUI起動に変更
sudo systemctl set-default graphical.target
  1. 再起動
sudo reboot

GUIで起動するか確認:

再起動後、GNOMEデスクトップのログイン画面が表示されればOKです。

X Window SystemとWaylandの違い

AlmaLinuxのGUIには、2つのディスプレイサーバーがあります。

X Window System(X11)

  • 伝統的なディスプレイサーバー
  • 古い技術だが安定している
  • リモートデスクトップに対応

Wayland

  • 新しいディスプレイサーバー
  • よりモダンで効率的
  • セキュリティが高い
  • AlmaLinux 9ではデフォルト

どちらを使うかは、ログイン画面で選択できます。

CUI起動後の基本操作

CUIモードでログインした後の基本的な操作方法です。

ログイン

ログインプロンプトが表示される:

AlmaLinux 9.x (emerald)
Kernel 5.14.0-xxx.el9.x86_64 on an x86_64

localhost login: _

ユーザー名を入力してEnter:

localhost login: root
Password: _

パスワードを入力してEnter:

  • パスワードは画面に表示されません(セキュリティのため)
  • 入力後、Enterを押す

ログイン成功:

[root@localhost ~]# _

ログアウト

exit

または

logout

または Ctrl + D

シャットダウン

sudo shutdown -h now

または

sudo poweroff

再起動

sudo reboot

CUIで一時的にGUIを起動

CUIで起動していても、一時的にGUIを起動できます。

sudo systemctl start gdm

または(GNOMEがインストールされている場合)

startx

注意:

startxコマンドは、SSH接続時には使えません。物理コンソールまたは仮想マシンのコンソールからのみ実行できます。

トラブルシューティング

CUI/GUI切り替えでよくある問題と解決法です。

問題1:GUIに切り替えたのに、CUIのまま

原因1:GUIパッケージがインストールされていない

確認方法:

dnf group list --installed | grep -i gui

何も表示されない場合、GUIがインストールされていません。

解決法:

sudo dnf groupinstall "Server with GUI" -y
sudo systemctl set-default graphical.target
sudo reboot

原因2:デフォルトターゲットが変更されていない

確認方法:

systemctl get-default

multi-user.targetと表示される場合、まだCUI設定です。

解決法:

sudo systemctl set-default graphical.target
sudo reboot

問題2:CUIに切り替えたのに、GUIのまま

原因:デフォルトターゲットが変更されていない

確認方法:

systemctl get-default

解決法:

sudo systemctl set-default multi-user.target
sudo reboot

問題3:systemctl コマンドで「Permission denied」エラー

エラーメッセージ:

Failed to execute operation: Access denied

原因:管理者権限がない

解決法:

sudoを付けて実行

sudo systemctl set-default multi-user.target

問題4:起動時に黒い画面で止まる

症状:

  • 起動後、黒い画面で白いカーソル(アンダースコア)が点滅
  • 何も表示されない

原因:GUIの起動に失敗している

解決法:

Ctrl + Alt + F2を押してCUIターミナルに切り替え

そこからログインして以下を実行:

sudo systemctl set-default multi-user.target
sudo reboot

問題5:GUIがすごく遅い・固まる

原因:メモリ不足またはグラフィックドライバの問題

解決法1:CUIに切り替えてリソースを節約

sudo systemctl set-default multi-user.target
sudo reboot

解決法2:メモリを増やす(仮想マシンの場合)

仮想マシンの設定で、メモリを2GB以上(推奨4GB以上)に増やす

問題6:startx コマンドが見つからない

エラーメッセージ:

bash: startx: command not found

原因:X Window Systemがインストールされていない

解決法:

sudo dnf install xorg-x11-xinit -y

問題7:SSH接続時に「Cannot open display」エラー

エラーメッセージ:

Error: Cannot open display: :0

原因:SSH接続時にGUIアプリを起動しようとしている

解決法:

SSH接続時は、X11転送を有効にする必要があります。

ssh -X user@hostname

または、GUIアプリは使わず、CUIコマンドで操作します。

仮想コンソールの切り替え

AlmaLinuxには複数の仮想コンソール(tty)があり、切り替えられます。

仮想コンソールとは?

Linuxには、複数の独立した端末(tty)が用意されています。

  • tty1〜tty6:CUIコンソール
  • tty7(またはtty2):GUIセッション(GUIモード時)

コンソールの切り替え方法

キーボードショートカット:

  • Ctrl + Alt + F1:tty1(CUI)
  • Ctrl + Alt + F2:tty2(CUI)
  • Ctrl + Alt + F3:tty3(CUI)
  • Ctrl + Alt + F7:tty7(GUI、GUIモード時)

使用例:

GUIで作業中に、Ctrl + Alt + F2を押すと、CUIコンソールに切り替わります。別のユーザーでログインしたり、トラブル時の診断に便利です。

GUIに戻る:

Ctrl + Alt + F7(またはF1、環境によって異なる)

CUI起動のメリット・デメリット

実際にCUI起動を使うべきか判断するための情報です。

CUI起動のメリット

1. リソース効率が良い

  • メモリ使用量:約500MB(GUIは2GB以上)
  • CPU使用率:ほぼ0%(GUIは5〜10%)
  • 起動時間:20〜30秒(GUIは1〜2分)

2. セキュリティが向上

  • 動作するプロセスが少ない
  • 攻撃面が小さい
  • ログ監視が容易

3. 安定性が高い

  • GUIのクラッシュやフリーズがない
  • 長時間稼働に向いている

4. リモート管理に適している

  • SSHで効率的に管理できる
  • ネットワーク帯域を消費しない

5. サーバー用途に最適

  • Webサーバー、データベースサーバーなどに最適
  • すべてのリソースをサービスに割り当てられる

CUI起動のデメリット

1. 学習曲線が急

  • コマンドを覚える必要がある
  • Linux初心者には難しい

2. 直感的な操作ができない

  • マウスが使えない
  • ビジュアル的な確認ができない

3. 一部の作業が不便

  • ブラウザが使えない(テキストブラウザはあるが不便)
  • 画像や動画の確認ができない
  • グラフィカルなツールが使えない

どちらを選ぶべきか?

用途推奨理由
WebサーバーCUIリソース効率、安定性
データベースサーバーCUIリソース効率、セキュリティ
ファイルサーバーCUIシンプルさ、安定性
開発環境GUIIDEなどのツールが使いやすい
Linux学習GUI→CUI段階的に慣れる
デスクトップOSGUI日常的な作業に便利

サーバー用途なら、迷わずCUI起動を選びましょう。

よくある質問

Q: CUI起動に設定すると、もうGUIは使えなくなりますか?

A: いいえ、いつでもGUIに切り替えられます。sudo systemctl isolate graphical.targetで一時的にGUI起動、またはsudo systemctl set-default graphical.targetで恒久的にGUI起動に戻せます。

Q: 仮想マシン(VirtualBox、VMwareなど)でもCUI起動すべきですか?

A: サーバー用途なら、仮想マシンでもCUI起動をおすすめします。ホストOSのリソースを節約できます。ただし、学習目的ならGUIのほうが扱いやすいです。

Q: SSHでリモート接続している場合、CUIとGUIどちらで起動していても関係ないですか?

A: SSH接続自体は、サーバーがCUIでもGUIでも関係ありません。ただし、サーバーをCUI起動にしておくほうが、リソースを節約でき、SSH接続も速くなります。

Q: CUIからWebブラウザは使えますか?

A: テキストブラウザ(lynx、w3m、linksなど)は使えますが、JavaScriptや画像は表示できません。Webブラウジングが必要なら、GUIを使うか、SSHでポートフォワーディングしてローカルブラウザで確認します。

Q: GUIをアンインストールしてディスク容量を節約したいです。

A: sudo dnf groupremove "Server with GUI"で削除できます。ただし、将来GUIが必要になったとき、再インストールに時間がかかります。ディスク容量に余裕があれば、残しておくことをおすすめします。

Q: CUI起動でも、GUIアプリケーション(Firefox、LibreOfficeなど)をインストールできますか?

A: はい、インストールは可能です。ただし、CUI起動では実行できません。実行するには、一時的にGUIに切り替える(sudo systemctl isolate graphical.target)か、SSH X11転送を使用します。

Q: systemdのターゲットと、古いランレベルの対応関係は?

A: 以下の通りです。

  • ランレベル0 → poweroff.target
  • ランレベル1 → rescue.target
  • ランレベル3 → multi-user.target(CUI)
  • ランレベル5 → graphical.target(GUI)
  • ランレベル6 → reboot.target

Q: CUI起動に設定したら、ログイン画面も表示されなくなりますか?

A: いいえ、CUIのログインプロンプト(テキストベース)は表示されます。ユーザー名とパスワードを入力してログインします。

まとめ

AlmaLinuxのCUI起動について、重要なポイントをまとめます。

CUI起動とGUI起動の選び方

目的推奨
サーバー構築CUI起動
開発環境GUI起動
Linux学習(初心者)GUI起動
Linux学習(中級以上)CUI起動

CUI起動に切り替える基本コマンド

# 恒久的に変更(推奨)
sudo systemctl set-default multi-user.target
sudo reboot

# 一時的に変更
sudo systemctl isolate multi-user.target

GUI起動に切り替える基本コマンド

# GUIがインストール済みの場合
sudo systemctl set-default graphical.target
sudo reboot

# GUIがインストールされていない場合
sudo dnf groupinstall "Server with GUI" -y
sudo systemctl set-default graphical.target
sudo reboot

現在の設定を確認

systemctl get-default

トラブル時の対処

  • 黒い画面で止まったら:Ctrl + Alt + F2でCUIコンソールに切り替え
  • GUIに切り替わらない:GUIパッケージがインストールされているか確認
  • CUIに切り替わらない:デフォルトターゲットを確認

CUI起動のメリット

  • メモリ使用量が劇的に減る(2GB → 500MB)
  • セキュリティが向上
  • 起動が速い
  • サーバー用途に最適

覚えておくべき仮想コンソール切り替え

  • Ctrl + Alt + F1〜F6:CUIコンソール(tty1〜tty6)
  • Ctrl + Alt + F7:GUIセッション(GUI起動時)

サーバー管理者へのアドバイス

本番環境のサーバーは、必ずCUI起動に設定しましょう。GUIはリソースの無駄遣いであり、セキュリティリスクも高まります。どうしてもGUIが必要な管理作業は、Cockpit(Web管理コンソール)やSSH X11転送を使いましょう。

初心者へのアドバイス

最初はGUI起動で始めて、徐々にターミナル操作に慣れてから、CUI起動にチャレンジしましょう。いきなりCUIだと挫折しやすいです。GUIのターミナルアプリで十分コマンドの練習ができます。

AlmaLinuxをCUI起動することで、サーバーのパフォーマンスとセキュリティを最大限に高めることができます。この記事を参考に、あなたの環境に最適な起動モードを選択してください!

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