「ADBでスマホに接続しようとしたけど、デバイスが見つからない」
「adb devices
を実行しても何も表示されない」「unauthorized って何?」
ADBを使おうとして、こんな問題で困ったことはありませんか?
実は、ADB接続のトラブルはとてもよくある問題です。
原因がたくさんあるので最初は大変に感じますが、順番にチェックしていけば必ず解決できます。
この記事では、ADB接続トラブルの原因と解決方法を、初心者でもわかるように詳しく説明します。一緒に問題を解決していきましょう!
ADB接続がうまくいかない理由

よくある原因トップ5
- USBケーブルの問題(約40%)
- Android側の設定不備(約30%)
- パソコン側のドライバ問題(約20%)
- ADBの設定問題(約8%)
- ハードウェアの故障(約2%)
接続の流れを理解しよう
正常な接続の手順:
USBケーブル接続
↓
Androidが「USBデバッグを許可しますか?」を表示
↓
「許可」をタップ
↓
パソコンがデバイスを認識
↓
adb devicesでデバイス表示
この流れのどこかで問題が起きています。
基本チェック:まずはここから
「急がば回れ」です。基本から確認しましょう。
チェック1:USBケーブルの確認
データ転送対応ケーブルか?
重要: 充電専用ケーブルではADBは使えません。
確認方法:
- パソコンとスマホを接続
- スマホの通知を確認
- **「ファイル転送」や「MTP」**の選択肢があれば○
- **「充電のみ」**しか出ない場合は×
おすすめのケーブル:
- 付属の純正ケーブル(一番確実)
- **「データ転送対応」**と明記されたケーブル
- USB 3.0対応ケーブル(高速)
ケーブルの状態チェック
確認ポイント:
- [ ] コネクタ部分に汚れや損傷はないか
- [ ] ケーブルが曲がりすぎていないか
- [ ] 接続時に何度も抜き差しする必要がないか
チェック2:USBポートの確認
別のポートで試す
やってみること:
- 別のUSBポートに接続
- USB 3.0ポートを使ってみる(青色のポート)
- USBハブを使わずパソコンに直接接続
パソコンの状態確認
- [ ] 他のUSB機器は正常に動作するか
- [ ] パソコンを再起動してみる
- [ ] 電源不足ではないか(ノートPCの場合、ACアダプター接続)
チェック3:基本的なデバイス確認
Android端末の状態
- [ ] 電源が入っている
- [ ] 画面ロックを解除
- [ ] バッテリー残量が十分にある
- [ ] 他のアプリが正常に動作する
パソコンの状態
- [ ] ADBがインストールされている
- [ ] 管理者権限でターミナルを実行
- [ ] セキュリティソフトが邪魔していないか
Android側の設定を確認・修正

Step 1: 開発者オプションの確認
開発者オプションが有効か?
確認方法:
- 設定 → システム(またはその他の設定)
- **「開発者向けオプション」**があるかチェック
ない場合:
- 設定 → 端末情報
- 「ビルド番号」を7回タップ
- 「開発者になりました!」と表示されれば成功
USBデバッグの確認
- 開発者向けオプションを開く
- 「USBデバッグ」がオンになっているか確認
- オフの場合はオンにする
重要: セキュリティ警告が出ますが「OK」をタップしてください。
Step 2: USB接続モードの設定
正しい接続モードの選択
USBケーブルを接続すると通知が出ます:
USB接続の用途
○ ファイル転送(MTP) ← これを選択
○ 写真の転送(PTP)
○ 充電のみ
○ USBテザリング
「ファイル転送(MTP)」を選択してください。
通知が出ない場合
- 設定 → 接続済みデバイス(またはその他の接続)
- USBの項目を確認
- **「ファイル転送」**に設定
Step 3: 接続許可の確認
許可ダイアログの対応
USBケーブルを初めて接続すると表示される画面:
USBデバッグを許可しますか?
このコンピュータのRSAキーフィンガープリント:
AB:CD:EF:12:34:56...
☑ 常にこのコンピュータから許可する
[キャンセル] [OK]
正しい操作:
- 「常にこのコンピュータから許可する」にチェック
- 「OK」をタップ
許可ダイアログが出ない場合
原因と対処法:
- すでに拒否済み:USBデバッグを一度オフ→オンに
- 画面ロック中:画面ロックを解除してから接続
- 通知を見逃した:通知パネルを確認
パソコン側の問題と解決方法
Windows での対処法
ドライバの確認と修正
Step 1: デバイスマネージャーを開く
- Windowsキー + R
- **「devmgmt.msc」**と入力してEnter
- デバイスマネージャーが開く
Step 2: Android デバイスを探す
正常な場合:
- **「Android Device」または「ADB Interface」**が表示
- **エラーマーク(黄色い三角)**がない
問題がある場合:
- **「不明なデバイス」**と表示
- 黄色い警告マークがある
- 何も表示されない
ドライバのインストール
方法1: 自動インストール
- 問題のあるデバイスを右クリック
- **「ドライバーの更新」**を選択
- **「ドライバーを自動的に検索」**を選択
方法2: 手動インストール
- Google USB Driver をダウンロード
- zipファイルを展開
- デバイスマネージャーで**「ドライバーの更新」**
- 「コンピューターを参照してドライバーを検索」
- 展開したフォルダを指定
ADBサーバーの再起動
コマンドプロンプトまたはPowerShellで実行:
# 現在のADBサーバーを停止
adb kill-server
# ADBサーバーを再起動
adb start-server
# デバイスの確認
adb devices
成功すると:
List of devices attached
ABC123456789 device
Mac での対処法
Homebrew でのADB更新
最新版のADBをインストール:
# 現在のバージョンを確認
adb --version
# ADBを更新
brew upgrade android-platform-tools
# 接続確認
adb devices
権限の問題
管理者権限で実行:
# sudoを使って実行
sudo adb devices
# パスワードを入力
Password: ********
セキュリティ設定の確認
- システム環境設定 → セキュリティとプライバシー
- プライバシータブ → フルディスクアクセス
- ターミナルを追加
Linux での対処法
udevルールの設定
Step 1: ベンダーIDの確認
# デバイスを接続してベンダーIDを確認
lsusb
出力例:
Bus 002 Device 003: ID 18d1:4ee7 Google Inc.
18d1
がベンダーIDです。
Step 2: udevルールファイルの作成
# ルールファイルを作成
sudo nano /etc/udev/rules.d/51-android.rules
ファイルの内容:
# Google デバイス
SUBSYSTEM=="usb", ATTR{idVendor}=="18d1", MODE="0666", GROUP="plugdev"
# Samsung デバイス
SUBSYSTEM=="usb", ATTR{idVendor}=="04e8", MODE="0666", GROUP="plugdev"
# Sony デバイス
SUBSYSTEM=="usb", ATTR{idVendor}=="0fce", MODE="0666", GROUP="plugdev"
# Huawei デバイス
SUBSYSTEM=="usb", ATTR{idVendor}=="12d1", MODE="0666", GROUP="plugdev"
Step 3: ルールの適用
# 権限を設定
sudo chmod a+r /etc/udev/rules.d/51-android.rules
# udevルールをリロード
sudo udevadm control --reload-rules
# デバイスを再接続
グループの確認
# 現在のユーザーがplugdevグループに属しているか確認
groups $USER
# 属していない場合は追加
sudo usermod -a -G plugdev $USER
# ログアウト・ログインして変更を適用
高度なトラブルシューティング

エラーメッセージ別対処法
「unauthorized」エラー
原因: Android側で接続を許可していない
解決方法:
- USBデバッグを一度オフ→オン
- USBケーブルを抜き差し
- 許可ダイアログで「OK」をタップ
「device offline」エラー
原因: デバイスがオフライン状態
解決方法:
# 特定のデバイスを再接続
adb disconnect
adb reconnect
# すべてのデバイスを再起動
adb kill-server
adb start-server
「no permissions」エラー
原因: 権限不足
解決方法:
- Linux/Mac:
sudo adb devices
- Windows: 管理者権限でコマンドプロンプト実行
複数デバイス接続時の問題
特定のデバイスに接続
# 接続中のデバイス一覧
adb devices
# 特定のデバイスに接続
adb -s デバイスID shell
例:
adb -s ABC123456789 shell
ADBバージョンの問題
最新版への更新
Windows:
# Chocolatey を使用
choco upgrade adb
# 手動更新の場合
# Google公式サイトから最新版をダウンロード
Mac:
# Homebrew を使用
brew upgrade android-platform-tools
Linux:
# apt を使用(Ubuntu)
sudo apt update
sudo apt upgrade android-tools-adb
機種別の特別な注意点

Samsung Galaxy シリーズ
Smart Switch の影響
問題: Samsung Smart Switch がADBと競合
解決方法:
- Smart Switch を一時停止
- Samsung USB Driver を更新
- Odin モードでの接続を避ける
Knox セキュリティ
注意点: Knox が有効だとADBが制限される場合があります。
Huawei/Honor シリーズ
HiSuite の影響
問題: HiSuite がADB接続を妨害
解決方法:
- HiSuite を終了
- Huawei USB Driver を最新版に更新
- 開発者オプションで「HDB許可」をオン
Xiaomi(MIUI)
MIUI 最適化
設定場所:
- 開発者向けオプション
- 「MIUI最適化をオン」をオフ
- 再起動が必要
MI Account での制限
注意: 一部機能はMI Accountでのログインが必要
OnePlus
OxygenOS の設定
追加設定:
- 開発者向けオプション
- **「デフォルトのUSB設定」**を「ファイル転送」に変更
バックアップ設定
設定ファイルのバックアップ
Windows:
%USERPROFILE%\.android\
Mac/Linux:
~/.android/
このフォルダをバックアップしておくと、設定を復元できます。
よくある質問
接続に関する疑問
Q: ワイヤレスでADBは使える?
A: はい、Android 11以降ではワイヤレスADBが利用できます。ただし、初回はUSB接続が必要です。
Q: 複数のスマホを同時に接続できる?
A: はい、可能です。adb -s デバイスID
でデバイスを指定します。
Q: iPhoneでもADBは使える?
A: いいえ、ADBはAndroid専用です。iOSでは別のツールを使用します。
トラブル対応
Q: どうしても接続できない場合は?
A: 以下を試してください:
- 別のパソコンで接続テスト
- 別のUSBケーブルで確認
- メーカーサポートに相談
Q: 接続は成功したが、コマンドが効かない
A: デバイスの権限設定やセキュリティポリシーを確認してください。
セキュリティ
Q: USBデバッグは危険?
A: 信頼できるパソコンでのみ使用し、作業後はオフにすることをおすすめします。
Q: 会社のパソコンで使っても大丈夫?
A: 会社のセキュリティポリシーを確認してから使用してください。
まとめ
ADB接続トラブルの解決は、順序立てたチェックが重要です。
解決の手順
- 基本チェック:USBケーブル、ポート、デバイス状態
- Android設定:開発者オプション、USBデバッグ、接続許可
- パソコン設定:ドライバ、ADBサーバー、権限
- 高度な対処:エラーメッセージ別、機種別対応
ポイント
- 焦らず一つずつ確認する
- エラーメッセージをよく読む
- 設定変更前に現在の状態をメモ
- うまくいった方法を記録しておく
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