「WWWって何?」
「Webとインターネットはどう違うの?」
「URLの最初に出てくる”www”って何の略?」
普段何気なく使っている「Web」や「www」という言葉ですが、その正体をしっかり理解している人は意外と少ないかもしれません。実はこれらの言葉は、現代のインターネット社会を支える重要な仕組みを指しています。
この記事では、WWW(World Wide Web)について、その意味や歴史、仕組みを初心者にもわかりやすく解説します。
WWW(World Wide Web)とは?

基本的な定義
WWW(World Wide Web、ワールド・ワイド・ウェブ)は、インターネット上で情報を共有するための巨大なシステムです。
略称:
- WWW(ダブリュー・ダブリュー・ダブリュー)
- Web(ウェブ)
- W3(ダブリュー・スリー)
最も一般的なのは「Web(ウェブ)」という呼び方です。
簡単に言うと:
世界中のコンピューター上にある情報(ページ)を、リンクでつないで、誰でもアクセスできるようにした仕組みです。
名前の由来
「World Wide Web」の意味:
- World Wide = 世界規模の
- Web = クモの巣
つまり、「世界中に広がるクモの巣」という意味です。
なぜ「クモの巣」?
Webページ同士がリンクで複雑につながっている様子が、クモの巣のように見えることから名付けられました。
開発者のエピソード:
WWWの生みの親であるティム・バーナーズ=リーは、この名前を決めるまでにいろいろ悩んだそうです。
他の候補:
- 「The Information Mine(情報鉱山)」
- 頭文字が「TIM(ティム)」になる→自分の名前みたいで却下
- 「Mesh(メッシュ、編み目)」
- 「Mess(混乱)」と聞き間違える→「世界規模の混乱」になるので却下
WWWの特徴
1. ハイパーリンク(リンク)
文字や画像をクリックすると、別のページに移動できる機能です。これが最大の特徴で、情報を次々とたどっていけます。
2. どこからでもアクセス可能
インターネットにつながっていれば、世界中のどこからでも情報にアクセスできます。
3. 誰でも情報を公開できる
特定の組織が独占しているわけではなく、誰でも自由にWebページを作って公開できます。
4. マルチメディア対応
文字だけでなく、画像、動画、音声など、さまざまな形式の情報を扱えます。
WWWの歴史
誕生の背景(1989年)
場所: CERN(セルン、欧州原子核研究機構)- スイスのジュネーブにある世界最大の素粒子物理学研究所
問題:
CERNには数千人の研究者が在籍しており、膨大な研究データや文献があります。しかし、これらの情報を効率よく共有する方法がありませんでした。
解決策:
当時CERNでコンピューター技術者として働いていたティム・バーナーズ=リー(イギリス人)が、情報を相互にリンクさせるシステムを考案しました。
WWWの誕生(1989〜1991年)
1989年3月12日:
- ティム・バーナーズ=リーが「Information Management: A Proposal(情報管理:提案)」を執筆
- WWWの基本的な構想を提案
1990年12月25日:
- 世界初のWebブラウザ「WorldWideWeb」が完成
- 世界初のWebサーバー「httpd」が稼働
1991年8月6日:
- 世界初のWebサイトが公開される
- この日が「ワールドワイドウェブの日」とされている
公開されたWebサイトのURL:
http://info.cern.ch/hypertext/WWW/TheProject.html
このサイトは今でもアーカイブとして閲覧できます。
急速な普及(1990年代)
1993年:
- NCSA Mosaic(モザイク)というWebブラウザが登場
- 画像を文書内に表示できる革新的な機能で大人気に
1994年:
- Netscape Navigator(ネットスケープ・ナビゲーター)登場
- より使いやすいブラウザとして爆発的に普及
1995年:
- Windows 95とInternet Explorer(インターネット・エクスプローラー)が登場
- 一般家庭にもインターネットが広がり始める
「ブラウザ戦争」の問題:
NetscapeとInternet Explorerが競争する中で、それぞれが独自の機能を追加し、同じWebページがブラウザによって違う表示になる問題が発生しました。
W3Cの設立(1994年)
問題の解決策:
ティム・バーナーズ=リーは、Webの技術を標準化するためにW3C(World Wide Web Consortium)という組織を設立しました。
W3Cの役割:
- HTMLなどのWeb技術の標準規格を策定
- すべてのブラウザで同じように表示されるようにルールを作る
- Webのアクセシビリティやセキュリティを向上させる
日本支部:
- 1996年、慶應義塾大学SFC研究所が日本支部を設立
現代のWeb(2000年代〜)
Web 2.0(2000年代半ば):
- ユーザーが情報を発信・共有できるようになった
- SNS、ブログ、動画共有サイトなどが登場
モバイル時代(2007年〜):
- iPhoneの登場でスマートフォンが普及
- いつでもどこでもWebにアクセス可能に
現在:
- AIやクラウドサービスの基盤として進化
- Webアプリケーションが一般的に
WWWの仕組み

基本的な構成要素
WWWは主に3つの技術で構成されています。
1. HTML(HyperText Markup Language)
役割: Webページの内容と構造を記述する言語
例:
<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<title>私のWebページ</title>
</head>
<body>
<h1>ようこそ!</h1>
<p>これは<a href="page2.html">リンク</a>です。</p>
</body>
</html>
このコードがブラウザで以下のように表示されます:
ようこそ!
これはリンクです。
「リンク」という文字をクリックすると、別のページに移動します。
2. HTTP/HTTPS(HyperText Transfer Protocol)
役割: WebブラウザとWebサーバーの間でデータをやり取りするための通信規則
HTTPとHTTPSの違い:
- HTTP: 通常の通信(暗号化なし)
- HTTPS: 暗号化された安全な通信(SSL/TLS使用)
現在はセキュリティのため、ほとんどのWebサイトがHTTPSを使用しています。
3. URL(Uniform Resource Locator)
役割: Web上の情報の場所を示す住所
URLの構造:
https://www.example.com/page.html
- https://: 通信プロトコル(HTTPSを使用)
- www.example.com: ドメイン名(Webサーバーの住所)
- /page.html: ファイルのパス(具体的なページの場所)
「www」の部分:
これは「World Wide Webのサーバー」を示す慣習的な記述です。必須ではなく、最近は省略されることも多くなっています。
例:
https://www.google.com/← wwwありhttps://google.com/← wwwなし(どちらでもアクセス可能)
Webページが表示される流れ
ステップ1: ユーザーがブラウザにURLを入力
ステップ2: ブラウザがWebサーバーに「このページをください」とリクエストを送る(HTTP/HTTPSで通信)
ステップ3: Webサーバーが該当するHTMLファイルなどをブラウザに送り返す
ステップ4: ブラウザがHTMLを解析して、画面に表示
ステップ5: ユーザーがページ内のリンクをクリックすると、ステップ2に戻る
インターネットとWWWの違い
多くの人が混同しがちですが、インターネットとWWW(Web)は別物です。
インターネットとは?
定義:
世界中のコンピューターやネットワークを相互に接続した、巨大な通信網のことです。
例えるなら:
道路や線路などの「交通インフラ」のようなもの
インターネット上で提供されるサービス:
- WWW(Web): Webページの閲覧
- 電子メール: メールの送受信
- FTP: ファイルの転送
- VoIP: インターネット電話(Skype、LINEなど)
- オンラインゲーム: ゲームのプレイ
- 動画配信: Netflix、YouTube(Webブラウザ経由とアプリ経由がある)
WWW(Web)とは?
定義:
インターネット上で動作する、情報共有のためのサービス(アプリケーション)の一つです。
例えるなら:
道路(インターネット)の上を走る「車」や「バス」(サービス)のようなもの
関係性:
インターネット(基盤)
├── WWW(Web)
├── 電子メール
├── FTP
├── VoIP
└── その他のサービス
よくある誤解
間違い:
- 「インターネットが壊れた」→ Webページが見られない
- 「インターネットを見る」→ Webページを見る
正しい表現:
- 「Webが見られない」「インターネット接続が切れた」
- 「Webページを見る」「Webサイトを閲覧する」
WWWを支える技術
Webブラウザ
役割: Webページを表示するためのソフトウェア
主なWebブラウザ:
- Google Chrome(グーグル・クローム)
- Safari(サファリ)
- Microsoft Edge(マイクロソフト・エッジ)
- Firefox(ファイアフォックス)
ブラウザの機能:
- HTMLを解析して画面に表示
- リンクをクリック可能にする
- 画像や動画を表示
- JavaScriptを実行してインタラクティブな機能を提供
Webサーバー
役割: Webページのデータを保管し、リクエストに応じて提供するコンピューター
主なWebサーバーソフトウェア:
- Apache(アパッチ)
- Nginx(エンジンエックス)
- Microsoft IIS
検索エンジン
役割: Web上の膨大な情報から、必要な情報を見つけるためのサービス
主な検索エンジン:
- Google(グーグル)
- Bing(ビング)
- Yahoo!(ヤフー)
重要なポイント:
検索エンジンはWWWの一部ではなく、WWWを利用したサービスです。検索エンジンがなくても、URLを直接入力すればWebページは見られます。
CSS(Cascading Style Sheets)
役割: Webページの見た目(デザイン、レイアウト)を指定する言語
例:
h1 {
color: blue;
font-size: 24px;
}
見出しの文字を青色で24ピクセルの大きさにする指定です。
JavaScript
役割: Webページに動的な機能を追加するプログラミング言語
例:
- ボタンをクリックしたときの動作
- 画像のスライドショー
- フォームの入力チェック
- Webアプリケーション(Gmail、Google Mapsなど)
WWWの現在と未来
現在のWeb
統計(2025年現在):
- 世界中に約20億以上のWebサイトが存在
- インターネットユーザーは約54億人(世界人口の約67%)
- 毎日数百万の新しいWebページが作成されている
主な用途:
- 情報検索・閲覧
- オンラインショッピング
- SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)
- 動画視聴
- オンラインバンキング
- リモートワーク
- オンライン教育
Webの進化
Web 1.0(1990年代):
- 情報を「読む」だけ
- 一方向の情報提供
Web 2.0(2000年代〜):
- ユーザーが情報を「発信」できる
- SNS、ブログ、動画共有サイト
- 双方向のコミュニケーション
Web 3.0(2010年代〜):
- より賢く、個人に最適化
- AI、機械学習の活用
- IoT(モノのインターネット)との連携
Web3(次世代Web):
- ブロックチェーン技術の活用
- 分散型・非中央集権
- デジタル資産の所有権
WWWの課題
1. プライバシーとセキュリティ
- 個人情報の保護
- サイバー攻撃への対策
- データの不正利用
2. 情報の信頼性
- フェイクニュース
- 誤情報の拡散
- 情報の検証
3. アクセシビリティ
- 障害のある人でも利用できるWebデザイン
- デジタルデバイド(情報格差)の解消
4. 環境への影響
- データセンターの電力消費
- 持続可能なWebインフラ
よくある質問

Q1. 「Web」と「インターネット」は同じですか?
A: いいえ、違います。
- インターネット: コンピューター同士をつなぐ通信網(道路のようなもの)
- Web(WWW): インターネット上で動くサービスの一つ(道路の上を走る車のようなもの)
Webはインターネットの上で動いていますが、インターネットにはWeb以外にもメールやファイル転送など、さまざまなサービスがあります。
Q2. URLの最初の「www」は必要ですか?
A: 技術的には必須ではありません。
「www」は「このサーバーはWorld Wide Webのサービスを提供している」ことを示す慣習的な記述です。最近は省略されることも多く、https://example.comでもhttps://www.example.comでも同じサイトにアクセスできるように設定されていることがほとんどです。
Q3. WebページとWebサイトの違いは?
A:
- Webページ: 1つ1つのページ(本で言えば1ページ)
- Webサイト: 複数のWebページをまとめたもの(本全体)
例えば、AmazonというWebサイトの中に、トップページ、商品ページ、カートページなど、たくさんのWebページがあります。
Q4. WWWは誰が管理していますか?
A: 特定の企業や組織が独占管理しているわけではありません。
- 技術標準: W3C(World Wide Web Consortium)が標準規格を策定
- ドメイン名: ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)が管理
- 各Webサイト: それぞれの所有者が管理
つまり、WWWは「みんなのもの」として、オープンに運用されています。
Q5. Webブラウザはなぜいろいろあるのですか?
A: WWWは特定の組織が独占しておらず、誰でも自由にブラウザを開発できるためです。
各ブラウザには特徴があります:
- Chrome: 速度とGoogleサービスとの連携
- Safari: Appleデバイスとの最適化
- Firefox: プライバシー重視
- Edge: Windows統合
複数のブラウザが競争することで、技術が進歩し、ユーザーは好みに合わせて選べるメリットがあります。
Q6. WWWは無料ですか?
A: WWWの技術自体は無料で使えます。
ただし:
- インターネット接続: プロバイダーに料金を支払う必要がある
- 有料コンテンツ: 一部のWebサイトは会員登録や課金が必要
- Webサイト運営: サーバー代やドメイン代がかかる
WWWの仕組み自体は、ティム・バーナーズ=リーが「人類の財産」として無償で公開しました。
まとめ
WWW(World Wide Web)について解説しました。
重要なポイントをおさらいします:
WWWとは:
- インターネット上で情報を共有するシステム
- 「世界中に広がるクモの巣」という意味
- Webページをリンクでつないで相互接続
- 略称は「Web」「WWW」「W3」
歴史:
- 1989年にティム・バーナーズ=リーが考案
- CERN(欧州原子核研究機構)で開発
- 1991年8月6日に世界初のWebサイトが公開
- 1990年代に急速に普及
- W3C(1994年設立)が標準化を推進
基本技術:
- HTML: Webページの内容と構造
- HTTP/HTTPS: 通信プロトコル
- URL: Webページの住所
インターネットとの違い:
- インターネット = 通信網(道路)
- Web = インターネット上のサービス(車)
- WebはインターネットのOne of them
関連技術:
- Webブラウザ(Chrome、Safari、Edgeなど)
- Webサーバー(Apache、Nginxなど)
- 検索エンジン(Google、Bingなど)
- CSS、JavaScript
現在と未来:
- 約20億以上のWebサイトが存在
- 54億人以上のユーザー
- Web 2.0から Web 3.0へ進化
- AI、IoT、ブロックチェーンとの融合
よくある質問:
- Webとインターネットは別物
- URLの「www」は必須ではない
- 誰でも自由にブラウザ開発が可能
- WWWの技術自体は無料
WWWは、わずか30年余りで世界中に普及し、私たちの生活に欠かせないものとなりました。
ティム・バーナーズ=リーが「人類の財産」として無償で公開したこの技術は、今も進化を続けています。
この記事を通じて、普段何気なく使っている「Web」の仕組みや歴史を理解していただけたら幸いです!


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