「wwwあり」と「wwwなし」どちらが正しい?
あなたのWebサイトは、以下のどちらでアクセスできますか?
https://example.com
(wwwなし)https://www.example.com
(wwwあり)
実は、両方でアクセスできる状態はSEO的に問題なんです。
理由:
Googleは、wwwありとなしを「別のサイト」として認識してしまい、評価が分散してしまいます。
そこで必要なのが「www転送(リダイレクト)」
設定です。どちらか一方に統一することで、SEO効果を最大化できます。
この記事では、wwwありなしを統一する方法を、サーバー別に初心者にもわかりやすく解説します。
wwwあり・なしの違いとは?
まずは基礎知識から確認しましょう。
技術的な違い
wwwなし(ネイキッドドメイン):
https://example.com
ドメイン名そのままの形式です。
wwwあり(サブドメイン):
https://www.example.com
厳密には「www」というサブドメインを使っている形式です。
どちらが良い?
結論:どちらでも良いが、統一が重要
wwwなしのメリット:
- URLが短くて覚えやすい
- 見た目がスッキリ
- 名刺やチラシに印刷しやすい
wwwありのメリット:
- 昔からの標準的な形式
- Cookieの管理がしやすい
- CDN設定が柔軟
大企業は「wwwあり」を使うことが多いですが、最近は「wwwなし」も増えています。
重要なのは、どちらか一方に統一することです。
wwwありなしを統一しないとどうなる?
放置すると、様々な問題が発生します。
問題1:SEOの評価が分散する
Googleは、以下を別々のサイトとして認識します:
example.com
www.example.com
結果:
- 検索順位が上がりにくい
- ページランクが分散
- 被リンクの効果が半減
問題2:重複コンテンツと判定される
同じ内容が2つのURLで表示されると、Googleから「重複コンテンツ」と見なされる可能性があります。
影響:
検索順位が下がる可能性があります。
問題3:アクセス解析が正確でなくなる
Google Analyticsなどで、アクセスが分散して集計されます。
例:
example.com
:500アクセスwww.example.com
:300アクセス
本当は800アクセスなのに、正確に把握できません。
問題4:SSL証明書の問題
SSL証明書が片方にしか対応していない場合、もう一方でアクセスするとセキュリティ警告が出ます。
問題5:ユーザーの混乱
名刺には「www.example.com」と書いてあるのに、実際は「example.com」でしかアクセスできない…というような混乱が生じます。
どちらに統一すべき?判断基準
迷った時の選び方です。
現状を確認する
手順:
- 両方のURLにアクセスしてみる
https://example.com
![]()
Example Domain
- どちらが正式なURLとして表示されているか確認
- Google Analyticsでどちらのアクセスが多いか確認
判断基準
以下の場合は「wwwなし」推奨:
- 既に「wwwなし」で運用している
- URLを短くしたい
- 小規模〜中規模サイト
- 特別な理由がない
以下の場合は「wwwあり」推奨:
- 既に「wwwあり」で運用している
- 大企業サイト
- 複数のサブドメインを使う予定(blog.example.com、shop.example.comなど)
- Cookieを細かく制御したい
既に運用中のサイトは、現在のメインURLを維持するのが基本です。
301リダイレクトとは?
www転送には、「301リダイレクト」という仕組みを使います。
301リダイレクトの意味
301: HTTPステータスコード「恒久的な移転」
意味:
「このページは永久に別のURLに移動しました」という指示です。
なぜ301が重要?
SEO効果が引き継がれる:
Googleは、301リダイレクトを認識すると、旧URLの評価を新URLに引き継ぎます。
302(一時的な移転)との違い:
- 301: SEO評価が引き継がれる(推奨)
- 302: SEO評価が引き継がれない
www転送には、必ず301を使ってください。
方法1:.htaccessで設定する(Apache)
Apacheサーバーを使っている場合の設定方法です。
wwwなし → wwwありへリダイレクト
設定内容:
.htaccess
ファイルに以下を記述します。
# wwwなし → wwwありへリダイレクト
RewriteEngine On
RewriteCond %{HTTP_HOST} ^example\.com$ [NC]
RewriteRule ^(.*)$ https://www.example.com/$1 [R=301,L]
重要:example.com
の部分を、あなたのドメイン名に変更してください。
wwwあり → wwwなしへリダイレクト
設定内容:
# wwwあり → wwwなしへリダイレクト
RewriteEngine On
RewriteCond %{HTTP_HOST} ^www\.example\.com$ [NC]
RewriteRule ^(.*)$ https://example.com/$1 [R=301,L]
HTTPS対応版(HTTPからも転送)
wwwなしに統一 + HTTPS化:
RewriteEngine On
# HTTPからHTTPSへリダイレクト
RewriteCond %{HTTPS} off
RewriteRule ^(.*)$ https://example.com/$1 [R=301,L]
# wwwあり → wwwなしへリダイレクト
RewriteCond %{HTTP_HOST} ^www\.example\.com$ [NC]
RewriteRule ^(.*)$ https://example.com/$1 [R=301,L]
wwwありに統一 + HTTPS化:
RewriteEngine On
# HTTPからHTTPSへリダイレクト
RewriteCond %{HTTPS} off
RewriteRule ^(.*)$ https://www.example.com/$1 [R=301,L]
# wwwなし → wwwありへリダイレクト
RewriteCond %{HTTP_HOST} ^example\.com$ [NC]
RewriteRule ^(.*)$ https://www.example.com/$1 [R=301,L]
.htaccessファイルの設置方法
手順:
- テキストエディタで
.htaccess
ファイルを作成 - 上記のコードを記述
- FTPソフトでサーバーにアップロード
- ファイルをサイトのルートディレクトリに配置
ルートディレクトリの場所:
/public_html/
/www/
/htdocs/
サーバーによって異なります。
注意点
.htaccess
は隠しファイルなので、FTPソフトで「隠しファイルを表示」設定が必要- 既に
.htaccess
がある場合は、追記する - バックアップを取ってから編集する
方法2:Nginxで設定する
Nginxサーバーを使っている場合の設定方法です。
wwwなし → wwwありへリダイレクト
設定ファイル: /etc/nginx/sites-available/example.com
server {
listen 80;
listen 443 ssl;
server_name example.com;
return 301 https://www.example.com$request_uri;
}
server {
listen 443 ssl;
server_name www.example.com;
# SSL設定
ssl_certificate /path/to/cert.pem;
ssl_certificate_key /path/to/key.pem;
# その他の設定
root /var/www/html;
index index.html index.php;
}
wwwあり → wwwなしへリダイレクト
server {
listen 80;
listen 443 ssl;
server_name www.example.com;
return 301 https://example.com$request_uri;
}
server {
listen 443 ssl;
server_name example.com;
# SSL設定
ssl_certificate /path/to/cert.pem;
ssl_certificate_key /path/to/key.pem;
# その他の設定
root /var/www/html;
index index.html index.php;
}
設定の反映
sudo nginx -t # 設定ファイルのテスト
sudo systemctl reload nginx # 設定の反映
方法3:レンタルサーバーの管理画面で設定
初心者向けの簡単な方法です。
エックスサーバーの場合
手順:
- サーバーパネルにログイン
- 「ホームページ」→「.htaccess編集」をクリック
- 対象ドメインを選択
- 「.htaccess編集」タブを開く
- 上記の
.htaccess
のコードを貼り付け - 「確認画面へ進む」→「実行する」
さくらインターネットの場合
手順:
- サーバーコントロールパネルにログイン
- 「ドメイン/SSL」→ 対象ドメインをクリック
- 「リダイレクトの設定」を選択
- リダイレクト先URLを入力
- 「保存する」
ロリポップの場合
手順:
- ユーザー専用ページにログイン
- 「独自ドメイン設定」をクリック
- 対象ドメインの「確認・変更」をクリック
- 「.htaccess編集」で設定を追加
ConoHa WINGの場合
手順:
- コントロールパネルにログイン
- 「サイト管理」→「サイト設定」
- 「リダイレクト設定」をクリック
- リダイレクトルールを追加
方法4:WordPressで設定する
WordPressサイトの設定方法です。
プラグインを使う方法(簡単)
おすすめプラグイン:
Redirection(無料)
- WordPressダッシュボードから「プラグイン」→「新規追加」
- 「Redirection」で検索してインストール
- 有効化
- 「ツール」→「Redirection」を開く
- 「リダイレクト追加」で設定
設定例(wwwあり → wwwなし):
- ソースURL:
^www\.example\.com/(.*)$
- ターゲットURL:
https://example.com/$1
- 正規表現:オン
- HTTPコード:301
WordPress設定で統一
手順:
- ダッシュボード →「設定」→「一般」
- 「WordPress アドレス (URL)」と「サイトアドレス (URL)」を確認
- 両方を統一したいURL(wwwありまたはなし)に変更
- 「変更を保存」
注意:
これだけでは完全なリダイレクトにはなりません。.htaccessの設定も併用してください。
方法5:Cloudflareで設定する
CDNサービスを使っている場合の方法です。
Cloudflareのリダイレクトルール
手順:
- Cloudflareダッシュボードにログイン
- 対象ドメインを選択
- 「ルール」→「ページルール」をクリック
- 「ページルールを作成」
wwwあり → wwwなしの設定:
- URL:
www.example.com/*
- 設定:「URL転送」を選択
- ステータスコード:301
- 転送先URL:
https://example.com/$1
wwwなし → wwwありの設定:
- URL:
example.com/*
- 設定:「URL転送」を選択
- ステータスコード:301
- 転送先URL:
https://www.example.com/$1
注意点
Cloudflareの無料プランでは、ページルールは3つまでです。
設定後の確認方法
正しくリダイレクトされているか確認しましょう。
方法1:ブラウザで確認
手順:
- 統一していない方のURL(例:
example.com
)にアクセス - 自動的に統一したURL(例:
www.example.com
)に変わるか確認 - アドレスバーのURLを確認
方法2:リダイレクトチェックツール
おすすめツール:
Redirect Checker
https://www.redirect-checker.org/
- URLを入力
- 「Check Redirect」をクリック
- 「301 Moved Permanently」と表示されればOK
方法3:Chromeデベロッパーツールで確認
手順:
- F12 で開発者ツールを開く
- 「Network」タブを選択
- 統一していない方のURLにアクセス
- 最初のリクエストを確認
- Status Code が「301」になっているか確認
- Location ヘッダーに正しいURLが表示されているか確認
方法4:curlコマンドで確認(上級者向け)
コマンド:
curl -I https://example.com
結果の見方:
HTTP/2 301
location: https://www.example.com/
301
と正しいリダイレクト先が表示されればOKです。
よくあるトラブルと解決法
設定がうまくいかない時の対処法です。
トラブル1:リダイレクトループが発生
症状:
「リダイレクトが繰り返されました」というエラーが表示される。
原因:
リダイレクトの条件が正しくない。
解決策:
.htaccess
の設定を見直す。特に、HTTPS化とwww転送の両方を設定している場合、順序が重要です。
トラブル2:500エラーが出る
症状:
「Internal Server Error」が表示される。
原因:.htaccess
の構文エラー。
解決策:
.htaccess
のバックアップから復元- 構文を確認(特にドメイン名のエスケープ)
- サーバーのエラーログを確認
トラブル3:一部のページだけリダイレクトされない
症状:
トップページは転送されるが、下層ページが転送されない。
原因:.htaccess
の配置場所が間違っている。
解決策:
.htaccess
をサイトのルートディレクトリに配置してください。
トラブル4:SSL証明書のエラー
症状:
「この接続ではプライバシーが保護されません」
原因:
SSL証明書が、wwwありとなし両方に対応していない。
解決策:
SSL証明書を再発行して、両方のドメインに対応させる(ワイルドカード証明書または複数ドメイン対応)。
SEO対策:Google Search Consoleでの設定
リダイレクト後、Googleに正式なURLを伝えましょう。
優先するドメインの設定
手順:
- Google Search Consoleにログイン
- 両方のURL(wwwありとなし)をプロパティとして追加
- 統一したい方のプロパティを開く
- サイトマップを送信
canonical タグの設定
HTMLの <head>
内に、正式なURLを指定します。
記述例:
<link rel="canonical" href="https://www.example.com/" />
これにより、Googleに「このページの正式なURLはこれです」と明示的に伝えられます。
まとめ:www転送は今すぐ設定しよう
wwwありなしの統一は、SEO対策の基本中の基本です。
この記事の重要ポイント:
なぜ必要?
- SEO評価の分散を防ぐ
- 重複コンテンツ判定を回避
- アクセス解析を正確に
- ユーザーの混乱を防ぐ
どちらに統一?
- 既存サイトは現状維持が基本
- 迷ったら「wwwなし」が簡単
設定方法:
- Apache →
.htaccess
- Nginx → 設定ファイル
- レンタルサーバー → 管理画面
- WordPress → プラグイン
- Cloudflare → ページルール
必ず301リダイレクト
302ではなく、301を使うことでSEO効果を引き継げます。
確認方法:
- ブラウザで実際にアクセス
- リダイレクトチェックツール
- Chrome開発者ツール
- Google Search Console
よくあるトラブル:
- リダイレクトループ → 設定の見直し
- 500エラー → 構文エラー
- SSL証明書エラー → 両方に対応
www転送の設定は、SEOの基礎です。
まだ設定していない方は、今すぐ対応しましょう。設定自体は10分程度で完了します。
検索順位の向上、アクセス数の増加につながる重要な設定です。ぜひ実践してください!
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