「インターネットにつながらない…」
「Webサイトの読み込みが異常に遅い」
こうしたトラブルの原因として多いのが、「DNS(ドメインネームシステム)の不具合」です。
Windowsでは、コマンドプロンプトからDNSの設定確認や動作チェックが可能です。
この記事では、DNSの確認・キャッシュの操作・名前解決のテストなど、通信トラブルの原因切り分けに役立つコマンドをわかりやすく解説します。
DNSとは?簡単なおさらい

DNS(Domain Name System)とは、「www.example.com」のようなドメイン名を、PCが理解できるIPアドレス(例:93.184.216.34)に変換する仕組みです。
簡単に言えば、「住所」から「電話番号」を調べる電話帳のようなものです。
私たちは覚えやすいドメイン名でウェブサイトにアクセスしますが、実際のネットワーク通信ではIPアドレスが必要になります。
DNSに異常があると、以下のような症状が出ることがあります:
- Webサイトにまったくアクセスできない
- 特定のサイトだけ表示されない
- サイトの読み込みが異常に遅い
- エラーメッセージに「サーバーが見つかりません」と表示される
現在のDNSサーバー設定を確認する方法

DNSサーバーの設定状況は、以下のコマンドで確認できます。
ipconfig /allコマンド
コマンドプロンプトを開いて以下を入力します:
ipconfig /all
コマンドプロンプトの開き方:
- Windows + R キーを押して、「cmd」と入力してEnter
- または、スタートメニューで「cmd」と検索
出力例(関連部分のみ抜粋):
イーサネット アダプター イーサネット:
接続固有の DNS サフィックス . . . . .: home
説明. . . . . . . . . . . . . . . . .: Intel(R) Ethernet Connection
物理アドレス. . . . . . . . . . . . .: 00-11-22-33-44-55
DHCP 有効 . . . . . . . . . . . . . .: はい
自動構成有効. . . . . . . . . . . . .: はい
IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . .: 192.168.1.100
サブネット マスク . . . . . . . . . .: 255.255.255.0
リース取得. . . . . . . . . . . . . .: 2025年5月19日 9:30:45
リース期限. . . . . . . . . . . . . .: 2025年5月20日 9:30:45
デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .: 192.168.1.1
DHCP サーバー . . . . . . . . . . . .: 192.168.1.1
DNS サーバー . . . . . . . . . . . . .: 8.8.8.8
8.8.4.4
確認ポイント:
- 「DNS サーバー」の項目に表示されているIPアドレスが、現在使用中のDNSサーバーです
- 複数のネットワークアダプターがある場合(有線LAN、Wi-Fi、仮想アダプターなど)は、実際に使用中のアダプターの部分を確認しましょう
- 「8.8.8.8」はGoogle Public DNSのアドレスで、一般的によく使われます
DNSの名前解決をテストする(nslookup)
DNSが正常に機能しているかをテストするには、nslookup
コマンドが便利です。
nslookupコマンド
nslookup google.com
出力例:
サーバー: dns.google
Address: 8.8.8.8
名前: google.com
Address: 142.250.196.14
このコマンドでは以下の情報がわかります:
- 使用しているDNSサーバー(「サーバー:」の行)
- 指定したドメイン名(google.com)に対応するIPアドレス
特定のDNSサーバーを指定してテスト:
nslookup google.com 1.1.1.1
これは、Cloudflareの「1.1.1.1」DNSサーバーを使って名前解決をテストする例です。現在使用中のDNSサーバーではなく、別のサーバーをテストするのに役立ちます。
DNSサーバーが応答しない場合:
サーバー: UnKnown
Address: 192.168.1.1
*** 192.168.1.1 は google.com を解決できません: サーバーの障害です
このようなエラーが表示される場合、DNSサーバーに問題があるか、インターネット接続に問題がある可能性があります。
DNSキャッシュの確認・削除

Windowsは効率化のために、一度解決したドメイン名とIPアドレスの対応を一時的に記憶(キャッシュ)しています。
このキャッシュが古くなると問題を引き起こすことがあります。
キャッシュの確認:ipconfig /displaydns
ipconfig /displaydns
出力例(一部):
google.com
----------------------------------------
レコード名 . . . . . : google.com
レコード タイプ . . . : 1
有効期間. . . . . . : 299
データの長さ . . . . : 4
セクション . . . . . : 回答
A (ホスト) レコード . : 142.250.196.14
通常は非常に長い出力になります。最近アクセスしたすべてのドメインのDNS情報が表示されます。
キャッシュの削除:ipconfig /flushdns
ipconfig /flushdns
出力例:
Windows IP 構成
DNS リゾルバー キャッシュは正常にフラッシュされました。
DNSキャッシュをクリアすると良い状況:
- Webサイトが表示されない(特にIPアドレスが変更された可能性があるとき)
- DNSサーバーを変更した直後
- 社内システムなどで新規ドメインを追加した後
- セキュリティ対策として(DNSスプーフィング対策)
よく使うDNS系コマンドまとめ
コマンド | 説明 | 使用シーン |
---|---|---|
ipconfig /all | 現在のDNSサーバーを含むネットワーク設定を表示 | ネットワーク設定の確認 |
nslookup ドメイン名 | 指定したドメインの名前解決をテスト | 特定サイトへの接続問題の調査 |
nslookup -type=mx ドメイン名 | メールサーバー(MX)のレコードを確認 | メール送受信の問題調査 |
ipconfig /displaydns | DNSキャッシュの内容を表示 | キャッシュ状況の確認 |
ipconfig /flushdns | DNSキャッシュのクリア | 古いDNS情報をリセット |
netsh interface ip show dns | インターフェースごとのDNS設定を確認 | より詳細なDNS設定の確認 |
ping -a IPアドレス | IPアドレスからホスト名を逆引き | ネットワーク機器の特定 |
まとめ
DNSトラブルは「見えないだけにやっかい」ですが、コマンドプロンプトからの確認で簡単に切り分けが可能です。
ポイント:
ipconfig /all
でDNS設定を確認nslookup
で名前解決テストipconfig /flushdns
でキャッシュをクリア- 通信が不安定なときは、DNSをGoogle Public DNS(8.8.8.8, 8.8.4.4)やCloudflare DNS(1.1.1.1)に変更するのも有効
トラブルシューティングの基本手順:
- まず
ipconfig /all
でDNSサーバーの設定を確認 nslookup google.com
などで名前解決ができるかテスト- 問題があれば
ipconfig /flushdns
でキャッシュをクリア - それでも解決しない場合はDNSサーバーの変更を検討
DNSの仕組みとコマンドを知っておくだけで、ネットワークトラブルに強いユーザーになれます。
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