Webサイトを見ている時、「このサイトはどこのサーバーにあるんだろう?」と思ったことはありませんか?
セキュリティ確認、サーバー移転の確認、ネットワークトラブルの調査…
WebサイトのIPアドレスを知りたい理由は様々です。
IPアドレスとは:
インターネット上の住所のようなもの。例えば「192.168.1.1」や「2001:db8::1」のような数字の並びです。
私たちが普段見ている「example.com」のようなドメイン名は、実はこのIPアドレスに変換されてアクセスしています。
この記事では、今見ているWebサイトのIPアドレスを調べる5つの方法を、専門知識がない人にもわかりやすく解説します。
なぜWebサイトのIPアドレスを知る必要があるの?
IPアドレスを調べると、こんなことができます。
用途1:サーバーの場所を確認
IPアドレスから、サーバーがどの国にあるか推測できます。
例:
- 日本のサーバー → 応答が速い
- 海外のサーバー → 少し遅いかも
セキュリティ意識の高い人は、個人情報を入力する前にサーバーの場所を確認することがあります。
用途2:サーバー移転の確認
Webサイトのサーバーを移転した後、本当に新しいサーバーに接続されているか確認できます。
確認ポイント:
- 移転前のIPアドレス:古いサーバー
- 移転後のIPアドレス:新しいサーバー
DNSの変更が反映されたか確認するのに便利です。
用途3:アクセス制限の設定
会社のシステムなどで、特定のIPアドレスからのアクセスだけを許可したい場合に使います。
用途4:トラブルシューティング
サイトが表示されない時、IPアドレスで直接アクセスできるか試すことで、原因を特定できます。
原因の切り分け:
- ドメイン名で×、IPアドレスで○ → DNS(名前解決)の問題
- どちらも× → サーバー自体の問題
用途5:セキュリティチェック
怪しいサイトのIPアドレスを調べて、既知の詐欺サーバーでないか確認できます。
方法1:オンラインツールで調べる(最も簡単)
専門知識不要、クリックするだけで確認できます。
おすすめツール1:cman.jp
使い方:
- ブラウザで以下にアクセス
https://www.cman.jp/network/support/ip.html
- 調べたいWebサイトのURL(ドメイン名)を入力
例:google.com
- 「チェック」ボタンをクリック
- IPアドレスが表示される
表示される情報:
- IPアドレス
- サーバーの所在地(国、都市)
- ホスティング会社
おすすめツール2:WHOIS検索
使い方:
- 「WHOIS検索」で検索してツールを見つける
- ドメイン名を入力
- 検索結果にIPアドレスやサーバー情報が表示される
注意:
WHOIS情報は、プライバシー保護で一部非公開の場合があります。
おすすめツール3:IPアドレス確認サイト
様々な無料ツールがあります:
- whatismyipaddress.com
- ipaddress.com
- mxtoolbox.com
いずれも、ドメイン名を入力するだけで簡単に調べられます。
この方法のメリット
- 最も簡単 → クリックだけで完了
- 専門知識不要 → 誰でも使える
- 詳細情報も取得可能 → サーバーの所在地、運営会社など
方法2:Windowsのコマンドプロンプトで調べる
少し技術的ですが、正確で速い方法です。
pingコマンドを使う
手順:
- スタートメニューで「cmd」と検索
- 「コマンドプロンプト」を開く
- 以下のコマンドを入力
ping google.com
(google.com
の部分を調べたいサイトに変更)
- Enter キーを押す
結果の見方:
google.com [142.250.207.46] に ping を送信しています
角括弧 [ ]
の中の数字がIPアドレスです。
pingを停止する:Ctrl + C
を押します。
nslookupコマンドを使う
より詳しい情報が得られます。
手順:
- コマンドプロンプトを開く
- 以下を入力
nslookup google.com
結果の見方:
名前: google.com
Addresses: 2404:6800:4004:825::200e
142.250.207.46
Addresses:
の下に表示されるのがIPアドレスです。
複数表示される場合もあります(IPv4とIPv6)。
この方法のメリット
- 速い → 数秒で結果が出る
- 正確 → 自分のネットワークから実際にアクセスする情報
- 追加情報 → 応答速度なども確認できる
方法3:Macのターミナルで調べる
Mac ユーザー向けの方法です。
pingコマンドを使う
手順:
- 「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「ターミナル」を開く
- 以下を入力
ping google.com
- Enter キーを押す
結果の見方:
PING google.com (142.250.207.46): 56 data bytes
括弧 ( )
の中がIPアドレスです。
停止する:Control + C
を押します。
digコマンドを使う
より詳細な情報が得られます。
手順:
dig google.com
結果の見方:
;; ANSWER SECTION:
google.com. 300 IN A 142.250.207.46
A
レコードの右側に表示されるのがIPv4アドレスです。
hostコマンドを使う
シンプルで見やすい結果が得られます。
手順:
host google.com
結果の見方:
google.com has address 142.250.207.46
google.com has IPv6 address 2404:6800:4004:825::200e
「has address」の後ろがIPアドレスです。
この方法のメリット
- 複数のコマンド → 目的に応じて選べる
- 詳細情報 → DNSレコード全体が確認できる
- スクリプト化可能 → 自動化に使える
方法4:ブラウザの開発者ツールで調べる
ブラウザだけで完結する方法です。
Chrome / Edge の場合
手順:
- 調べたいWebサイトを開く
F12
キーを押す(または右クリック → 「検証」)- 「Network」タブをクリック
- ページをリロード(
F5
またはCtrl + R
) - 最初の行(通常はドメイン名と同じ)をクリック
- 「Headers」タブを見る
- 「Remote Address」または「Remote IP」にIPアドレスが表示される
表示例:
Remote Address: 142.250.207.46:443
コロンの前がIPアドレス、後ろがポート番号です。
Firefox の場合
手順:
- 調べたいWebサイトを開く
F12
キーを押す- 「ネットワーク」タブをクリック
- ページをリロード
- 最初のリクエストをクリック
- 「ヘッダー」タブを見る
- IPアドレスが表示される
Safari の場合
手順:
- 環境設定で開発メニューを有効化
- 「開発」メニュー → 「Webインスペクタを表示」
- 「ネットワーク」タブで確認
この方法のメリット
- 追加ソフト不要 → ブラウザだけで完結
- リアルタイム情報 → 実際に接続したIPアドレス
- ポート番号も確認 → HTTPSは443、HTTPは80
方法5:ブラウザの拡張機能を使う
ワンクリックで確認できる便利な方法です。
おすすめの拡張機能
1. IP Address and Domain Information
Chromeウェブストアから無料でインストール可能。
使い方:
- 拡張機能をインストール
- Webサイトを開く
- アイコンをクリック
- IPアドレスが表示される
2. Flagfox
Firefox用の拡張機能。
特徴:
- IPアドレス
- サーバーの国旗を表示
- WHOIS情報
3. Server IP
シンプルでわかりやすい拡張機能。
表示内容:
- IPアドレス
- サーバーの場所
- ホスティング会社
この方法のメリット
- 超高速 → ワンクリックで表示
- 常時確認可能 → どのサイトでもすぐ確認
- 追加情報も豊富 → 国、都市、運営会社など
IPv4とIPv6の違い
調べた時、2種類のIPアドレスが表示されることがあります。
IPv4
形式:
192.168.1.1
4つの数字(0〜255)をドットで区切った形式。
特徴:
- 従来からあるIPアドレス
- 約43億個のアドレス
- 現在も最も一般的
IPv6
形式:
2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334
16進数をコロンで区切った形式。
特徴:
- 新しい規格
- ほぼ無限のアドレス数
- 徐々に普及中
どちらを使えばいい?
ほとんどの場合、IPv4で十分です。
IPv6は、対応していないネットワークもまだ多いため、IPv4の方が確実です。
両方表示される場合、通常は自動で適切な方が選ばれます。
よくある疑問と回答
WebサイトのIPアドレスに関する疑問にお答えします。
Q1. 同じサイトでも、調べるたびにIPアドレスが変わる?
はい、これは正常です。
理由:
- 負荷分散 → 複数のサーバーが使われている
- CDN → Content Delivery Network が使われている
- 地域別サーバー → アクセス元に近いサーバーが選ばれる
大規模なサイト(Google、Amazon、Facebookなど)では、数十〜数百のIPアドレスが使われています。
Q2. IPアドレスから個人情報は分かる?
Webサイト側: 運営会社やサーバーの場所は分かりますが、個人は特定できません。
あなたのIPアドレス: プロバイダや大まかな地域は分かりますが、住所や氏名は分かりません。
Q3. IPアドレスで直接アクセスできる?
できる場合とできない場合があります。
試し方:
ブラウザのアドレスバーに、http://
を付けてIPアドレスを入力:
http://142.250.207.46
できない理由:
- バーチャルホスト(1つのIPで複数サイト運営)
- SSL証明書のドメイン不一致
- セキュリティ設定
Q4. 怪しいサイトのIPアドレスを調べれば安全性が分かる?
ある程度の判断材料にはなります。
確認ポイント:
- サーバーの所在地(不自然な国ではないか)
- ホスティング会社(信頼できる業者か)
- ブラックリストに載っていないか
ただし、IPアドレスだけでは判断できないので、他の要素も総合的に確認してください。
Q5. スマホでもIPアドレスを調べられる?
はい、可能です。
方法:
- オンラインツール(方法1)を使う
- アプリをインストール(「Network Analyzer」など)
実際の活用シーン
具体的な使用例を紹介します。
シーン1:サーバー移転の確認
状況:
Webサイトのサーバーを移転した。正しく新サーバーに接続されているか確認したい。
手順:
- 移転前のIPアドレスをメモ
旧サーバー: 192.0.2.10
新サーバー: 198.51.100.20
- DNS変更後、pingコマンドで確認
ping example.com
- 新サーバーのIPアドレスが表示されればOK
注意:
DNSの変更は、反映まで最大48時間かかる場合があります。
シーン2:CDNの確認
状況:
CloudflareなどのCDNを導入した。正しく経由しているか確認したい。
手順:
- CDN導入前のIPアドレスをメモ
- CDN設定後、IPアドレスを調べる
- 元のIPと違うIPアドレスが表示されればOK(CDN経由)
Cloudflareの場合:
IPアドレスは「104.」や「172.」で始まることが多いです。
シーン3:アクセス制限の設定
状況:
管理画面に、会社のIPアドレスからだけアクセスできるよう制限したい。
手順:
- 会社のIPアドレスを確認
オンラインツール「確認くん」などで自分のIPを調べる:
https://www.ugtop.com/spill.shtml
- サーバーの設定ファイル(.htaccessなど)で許可
Allow from 203.0.113.50
シーン4:トラブルの原因調査
状況:
特定のサイトだけ表示が遅い。原因を調べたい。
手順:
- pingコマンドで応答速度を確認
ping example.com
- 結果を見る
64 bytes from 192.0.2.10: time=200ms
time=
の値が応答時間。
- 50ms以下 → 速い
- 50〜150ms → 普通
- 150ms以上 → 遅い
- サーバーの所在地を確認
海外サーバーなら、距離が原因かもしれません。
セキュリティ上の注意点
IPアドレスを調べる時の注意事項です。
注意点1:怪しいツールは使わない
IPアドレス確認ツールの中には、マルウェアを含むものや、個人情報を収集するものがあります。
安全なツール:
- 大手企業が提供するもの
- 長年運営されているもの
- 広告が過剰でないもの
注意点2:自分のIPアドレスを公開しない
SNSなどで、自分のIPアドレスのスクリーンショットを公開しないでください。
リスク:
- 大まかな住所が特定される
- 不正アクセスの標的になる可能性
注意点3:IPアドレスだけで信頼しない
正しいIPアドレスでも、サイトが安全とは限りません。
他の確認ポイント:
- SSL証明書(鍵マーク)の有無
- URLのスペル(フィッシングサイトは似たURLを使う)
- サイトのデザインや内容
注意点4:違法な調査は禁止
他人のWebサイトに対して、過度なpingやアクセスを行うと、攻撃とみなされる場合があります。
違法になる行為:
- 大量のpingでサーバーに負荷をかける
- 脆弱性を探すスキャン
- 不正アクセスの試み
まとめ:目的に応じた方法を選ぼう
WebサイトのIPアドレスを調べる方法を5つ紹介しました。
この記事の重要ポイント:
最も簡単な方法:
オンラインツール(cman.jpなど)で調べる
正確で速い方法:
- Windows:
ping
またはnslookup
- Mac:
ping
、dig
、host
ブラウザだけで完結:
開発者ツールの「Network」タブで確認
ワンクリックで確認:
ブラウザの拡張機能をインストール
方法別おすすめ:
方法 | 難易度 | 速さ | 詳細情報 |
---|---|---|---|
オンラインツール | ★☆☆☆☆ | 普通 | 多い |
コマンド(ping) | ★★☆☆☆ | 速い | 少ない |
コマンド(dig/nslookup) | ★★★☆☆ | 速い | 多い |
開発者ツール | ★★☆☆☆ | 速い | 中程度 |
拡張機能 | ★☆☆☆☆ | 最速 | 多い |
活用シーン:
- サーバー移転の確認
- CDN導入の確認
- アクセス制限の設定
- トラブルシューティング
注意点:
- IPアドレスは変わることがある(CDN、負荷分散)
- 怪しいツールは使わない
- 自分のIPアドレスは公開しない
IPアドレスを調べることは、Web開発やネットワーク管理で必要なスキルです。
この記事の方法を使えば、誰でも簡単にWebサイトのIPアドレスを確認できます。
目的に応じて、最適な方法を選んでください!
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