Webサイトのアクセス解析を見ていて、「statics.teams.cdn.office.net」というリファラー(参照元)を見かけたことはありませんか?
- Google Analyticsのリファラーに「statics.teams.cdn.office.net」が表示される
- このドメインからのアクセスが意外と多い
- リファラーの意味が分からない
- Microsoft Teamsと関係があるようだが詳細が不明
このようなリファラーを発見すると、どこからのアクセスなのか、信頼できるものなのか、疑問が湧いてきますよね。
この記事では、「statics.teams.cdn.office.net」リファラーの正体と意味を詳しく解説します。
第1章:statics.teams.cdn.office.netとは

基本情報
statics.teams.cdn.office.netは、Microsoft Teamsに関連するドメインで、以下のような役割を持っています:
主な役割:
- CDN(コンテンツ配信ネットワーク)
- Microsoft Teamsの静的コンテンツを配信
- JavaScriptライブラリやSDKのホスティング
- 画像やアセットの高速配信
- Safe Links機能
- フィッシング対策のURL検証
- マルウェアスキャン
- セキュリティチェック
- Teamsアプリ配信
- アプリのダウンロード
- アップデートの配信
ドメインの詳細
ドメイン構成:
statics.teams.cdn.office.net
└─ statics: 静的コンテンツ
└─ teams: Microsoft Teams
└─ cdn: Content Delivery Network
└─ office.net: Microsoft Officeドメイン
所有者: Microsoft Corporation
用途: Microsoft Teams関連サービス
SSL証明書: Microsoft Corporation発行
第2章:リファラーとしての「statics.teams.cdn.office.net」の意味
リファラーとは
リファラー(Referrer)とは、ユーザーがどのWebサイトから現在のページにアクセスしてきたかを示すHTTPヘッダー情報です。
statics.teams.cdn.office.netがリファラーとして表示される理由
あなたのWebサイトへのアクセスログに「statics.teams.cdn.office.net」がリファラーとして記録されるのは、以下の理由です:
理由1:Microsoft Teamsのチャットからのクリック【最も一般的】
シナリオ:
- 社内の誰かがMicrosoft TeamsのチャットであなたのWebサイトのURLを共有
- チャットメンバーがそのURLをクリック
- あなたのWebサイトにアクセス
この場合のリファラー:
statics.teams.cdn.office.net
なぜこのドメインが表示されるのか:
Microsoft Teamsは、チャット内のリンクをクリックすると、Safe Links機能でセキュリティチェックを行います。このとき、一度statics.teams.cdn.office.netを経由するため、このドメインがリファラーとして記録されます。
理由2:Teamsチャネルの投稿からのクリック
シナリオ:
- チームのチャネルにWebサイトのリンクが投稿される
- メンバーがそのリンクをクリック
- あなたのWebサイトにアクセス
理由3:Teams会議チャットからのクリック
シナリオ:
- Teams会議中のチャットにリンクが共有される
- 参加者がクリック
- あなたのWebサイトにアクセス
理由4:SharePointやWord Online経由
シナリオ:
- TeamsまたはSharePointに保存されたWord文書にリンクが埋め込まれている
- ユーザーがWord Onlineで文書を開き、リンクをクリック
- あなたのWebサイトにアクセス
このリファラーが示すこと
statics.teams.cdn.office.netがリファラーとして表示される場合、以下のことが分かります:
✓ ビジネス環境からのアクセス
- Microsoft Teamsを使用している企業や組織からのアクセス
- 社内でURLが共有されている
✓ 社内コミュニケーションツールでの共有
- チャットやチャネルでURLが話題になっている
- 会議や打ち合わせで言及されている
✓ B2Bトラフィック
- 個人消費者よりビジネスユーザーが多い可能性
- 企業間のコミュニケーションで利用されている
第3章:リファラーの規模と重要性
アクセス規模
statics.teams.cdn.office.netは、想像以上に大きなトラフィックソースです。
なぜこれほど多いのか
背景:
- Microsoft Teamsの普及
- 世界中で2.8億人以上のアクティブユーザー(2023年時点)
- リモートワークの増加で利用が急拡大
- ビジネスコミュニケーションの中心
- チャットでのURL共有が日常化
- 会議での資料共有が増加
- Safe Links機能の標準化
- Microsoft Defender for Office 365の普及
- すべてのリンクがこのドメインを経由
マーケティング上の価値
高い価値を持つトラフィック:
✓ ビジネス目的のアクセス
- 個人的な興味ではなく、業務として閲覧
- コンバージョン率が高い傾向
✓ 社内での推薦
- 同僚や上司からの推薦でアクセス
- 信頼性の高いトラフィック
✓ エンゲージメントの高さ
- 真剣に閲覧している可能性
Safe Links機能とstatics.teams.cdn.office.net

Safe Linksとは
Safe Linksは、Microsoft Defender for Office 365の機能で、フィッシングやマルウェアからユーザーを保護します。
Safe Linksの動作
通常のリンククリック:
ユーザー → リンククリック → Webサイト
Safe Links有効時:
ユーザー
→ リンククリック
→ statics.teams.cdn.office.net(URL検証)
→ Webサイト
なぜstatics.teams.cdn.office.netを経由するのか
理由:
- URL検証
- クリックされたURLをマルウェアデータベースと照合
- 既知の悪意あるサイトをブロック
- リアルタイムスキャン
- URLの安全性を即座に確認
- 新しい脅威にも対応
- ユーザー保護
- フィッシング詐欺を防止
- 企業のセキュリティを強化
Safe Linksの表示
ユーザーがTeamsでリンクをクリックすると、以下のような画面が一時的に表示されることがあります:
https://statics.teams.cdn.office.net/evergreen-assets/safelinks/1/atp-safelinks.html
表示内容:
- 「リンクを確認中…」
- 「リンクの安全性を検証しています」
表示時間: 1〜2秒(通常)
Safe Linksの問題点
問題1:URLエンコーディング
Safe Linksは、特殊文字を含むURLを変換することがあります。
例:
元のURL:
https://example.com/?file=C:\folder\file.pdf
Safe Links経由:
https://example.com/?file=C:%5Cfolder%5Cfile.pdf
影響:
- パラメータが正しく解析されない
- ファイルが見つからないエラー
問題2:ブラウザの互換性
- Chrome: 「確認中」画面でフリーズすることがある
- Edge: HTTPリンクの場合、セキュリティ警告が表示
問題3:リダイレクトの遅延
- URL検証に時間がかかる場合がある
- ユーザー体験の低下
Webサイト管理者としての対応

基本的な対応:何もしなくてOK
結論:
ほとんどの場合、Webサイト管理者側で特別な対応は不要です。
理由:
✓ Microsoft側の正常な動作
✓ ユーザーは問題なくサイトにアクセスできる
✓ SEOへの悪影響なし
✓ セキュリティ上安全
避けるべき対応
✗ statics.teams.cdn.office.netをブロックしない
✗ リファラーチェックで拒否しない
✗ 特殊なリダイレクトを設定しない
Safe Linksの問題に対処する
Webサイトの機能がSafe Linksによって影響を受ける場合の対処法です。
問題1:パラメータのURLエンコーディング問題
症状:
- ファイルパスが正しく解析されない
- パラメータが変換されてエラー
解決方法1:サーバー側でデコード
URLパラメータを適切にデコードするようサーバー側を修正します。
PHP例:
$file_path = urldecode($_GET['file']);
解決方法2:パラメータ形式を変更
特殊文字を含むパラメータを避けます。
変更前:
?file=C:\folder\file.pdf
変更後:
?file_id=12345
問題2:特定のURLがブロックされる
症状:
- Safe Linksが特定のURLを危険と判断
- ユーザーがアクセスできない
解決方法1:Microsoft Defenderの除外リストに追加
手順:
- Microsoft 365 Defenderポータルにアクセス
- メール & コラボレーション → ポリシーとルール → 脅威ポリシー
- Safe Links設定を開く
- 「次のURLを書き換えない」に自社ドメインを追加
例:
*.example.com
https://example.com/*
解決方法2:Microsoftサポートに連絡
誤検知の場合、Microsoftに報告して除外リストに追加してもらいます。
問題3:HTTPリンクの警告
症状:
- HTTPリンクに対してブラウザが警告を表示
- 特にEdgeで顕著
解決方法:HTTPSへの移行
根本的な解決は、Webサイト全体をHTTPSに移行することです。
手順:
- SSL証明書を取得
- サーバーにインストール
- すべてのHTTPリンクをHTTPSにリダイレクト
よくある質問(FAQ)
Q1. statics.teams.cdn.office.netは安全ですか?
A1. はい、完全に安全です。これはMicrosoft Corporationが所有・運営する正規のドメインで、以下の用途で使用されています:
- Microsoft TeamsのCDN
- Safe Linksセキュリティ機能
- 静的コンテンツの配信
Microsoft公式のサービスであり、ブロックする必要はありません。
Q2. このリファラーからのアクセスをブロックすべきですか?
A2. いいえ、ブロックすべきではありません。
理由:
- Microsoft Teamsユーザーからの正当なアクセス
- ビジネス価値の高いトラフィック
- ブロックすると潜在顧客を失う可能性
Q3. GA4で「Unassigned」と表示されます
A3. これはGA4のデフォルト設定がこのリファラーを認識しないためです。解決方法:
- カスタムチャネルグループを作成
- statics.teams.cdn.office.netの条件を追加
- ReferralまたはMicrosoft Teamsチャネルに分類
Q4. Safe Linksのせいでリンクが機能しません
A5. 以下を確認してください:
原因1: URLエンコーディング問題
- 特殊文字を含むパラメータが変換される
- サーバー側で適切にデコード
原因2: HTTPリンク
- HTTPSに移行する
- または除外リストに追加
原因3: 誤検知
- Microsoft Defenderの設定を確認
- 除外リストに自社ドメインを追加
Q5. モバイルアプリからのアクセスも同じリファラーですか?
A10. はい、Microsoft Teamsのモバイルアプリからのリンククリックでも、同様にstatics.teams.cdn.office.netがリファラーとして記録されます。
デスクトップ版もモバイル版も同じSafe Links機能を使用しているためです。
まとめ
「statics.teams.cdn.office.net」リファラーについて、重要なポイントをまとめます。
重要なポイント
1. statics.teams.cdn.office.netの正体:
- Microsoft Teamsの公式CDNドメイン
- Safe Links機能でセキュリティチェックに使用
- 完全に安全で信頼できるドメイン
2. リファラーとしての意味:
- Microsoft Teamsのチャットやチャネルからのリンククリック
- 社内でURLが共有されている証拠
- ビジネス価値の高いトラフィック
3. Safe Linksの仕組み:
- フィッシングやマルウェアから保護
- 一時的にstatics.teams.cdn.office.netを経由
- ほとんどの場合、問題なく動作
避けるべきこと
✗ statics.teams.cdn.office.netをブロックしない
✗ リファラーを不審なものと誤解しない
✗ 「Unassigned」のまま放置しない
✗ HTTPSへの移行を怠らない

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