あなたがWebサイトを見たり、SNSに投稿したり、オンラインショッピングをしたりする時、裏側では「HTTPリクエスト」という通信が行われています。
「リクエストって何?」「どうやって情報がやり取りされているの?」と疑問に思ったことはありませんか?
HTTPリクエストは、インターネット上でデータをやり取りするための基本的な仕組みです。ブラウザがサーバーに「このページを見せて」とお願いしたり、「この情報を保存して」と指示したりするのが、すべてHTTPリクエストを通して行われているんですよ。
この記事では、HTTPリクエストの基本から実践的な使い方まで、初心者にも分かりやすく解説していきます。
HTTPリクエストとは?
まずは基本的な概念を理解しましょう。
インターネット通信の基礎
HTTP(Hypertext Transfer Protocol)は、Webブラウザとサーバーの間でデータをやり取りするためのルールです。
「リクエスト」は「要求」という意味で、HTTPリクエストとは「ブラウザがサーバーに対して何かをお願いする通信」のことを指します。例えば「このページのHTMLファイルをください」「この画像を送ってください」といった要求ですね。
リクエストとレスポンスの関係
HTTPによる通信は、必ず「リクエスト」と「レスポンス」のペアで成り立っています。
クライアント(ブラウザやアプリ)がサーバーにリクエストを送ると、サーバーは処理を行ってレスポンス(返答)を返すんです。これは、レストランで注文(リクエスト)すると、料理(レスポンス)が出てくるのと似ていますね。
日常的に使われているHTTPリクエスト
あなたが今この記事を読んでいるのも、HTTPリクエストのおかげです。
ブラウザのアドレスバーにURLを入力してEnterを押すと、ブラウザがサーバーに「このページを表示したい」というリクエストを送ります。サーバーは要求されたページのデータをレスポンスとして返し、ブラウザがそれを画面に表示するという流れなんですよ。
HTTPリクエストの構造
リクエストがどんな情報で構成されているか見ていきましょう。
1. リクエストライン
リクエストラインには、以下の3つの情報が含まれます。
HTTPメソッド
何をしたいのかを示す動詞のようなものです。GET、POST、PUT、DELETEなどがあります。
URL(リクエストパス)
どのページやリソースにアクセスしたいかを示すアドレスです。
HTTPバージョン
使用するHTTPプロトコルのバージョン(HTTP/1.1、HTTP/2など)を指定します。
例えば、こんな感じです。
GET /index.html HTTP/1.1
2. リクエストヘッダー
リクエストに関する追加情報を伝える部分です。
よく使われるヘッダー
- Host: アクセス先のドメイン名
- User-Agent: ブラウザやOSの情報
- Accept: 受け取りたいデータの種類
- Content-Type: 送信するデータの形式
- Authorization: 認証情報
- Cookie: 保存されているクッキー情報
ヘッダーは「名前: 値」という形式で記述されます。
Host: www.example.com
User-Agent: Mozilla/5.0
Accept: text/html
3. リクエストボディ
実際に送信するデータを含む部分です。
GETリクエストには通常ボディがありませんが、POSTリクエストではフォームに入力したデータや、アップロードするファイルなどがボディに含まれます。
例えば、ログインフォームを送信する場合、ユーザー名とパスワードがボディに入っているんです。
主要なHTTPメソッドの種類
目的に応じて使い分けるメソッドを解説します。
GET:データを取得する
最も基本的なメソッドで、サーバーからデータを取得する時に使います。
Webページを表示する、画像を読み込む、検索結果を取得するなど、ほとんどの閲覧行為はGETリクエストです。データはURLのクエリパラメータとして送信されます。
使用例
GET /search?q=HTTPリクエスト&lang=ja HTTP/1.1
GETはサーバーのデータを変更しない「安全な」メソッドとされています。何度実行しても同じ結果が返ってくるのが特徴ですね。
POST:データを送信する
サーバーにデータを送信して、新しい情報を作成する時に使います。
フォームの送信、コメントの投稿、ファイルのアップロードなどで使用されるんです。データはリクエストボディに含まれるので、URLには表示されません。
使用例
ブログのコメント投稿、会員登録フォームの送信、画像のアップロードなどがPOSTリクエストです。
POSTは同じ内容を複数回実行すると、データが重複して作成される可能性があります。
PUT:データを更新する
既存のデータを完全に置き換える時に使います。
例えば、ユーザープロフィールを更新する場合、PUTメソッドでサーバーに送信します。POSTとの違いは、PUTは何度実行しても同じ結果になる(冪等性がある)という点ですね。
DELETE:データを削除する
サーバー上のデータを削除する時に使います。
投稿した記事を削除する、アカウントを削除するといった操作で使用されます。名前の通り、非常にシンプルなメソッドです。
PATCH:データの一部を更新する
PUTがデータ全体を置き換えるのに対し、PATCHは一部だけを更新します。
例えば、ユーザー情報のメールアドレスだけを変更したい場合、すべての情報を送る必要がないので効率的なんですよ。
HEAD:ヘッダー情報だけを取得する
GETと似ていますが、レスポンスボディを受け取らず、ヘッダー情報だけを取得します。
ファイルのサイズや更新日時を確認したい時に使われます。データ本体を転送しないので、通信量が少なくて済みますね。
OPTIONS:利用可能なメソッドを確認する
サーバーがどのHTTPメソッドに対応しているか確認する時に使います。
CORS(Cross-Origin Resource Sharing)の事前確認でよく使用されるメソッドです。
HTTPリクエストとレスポンスの流れ
実際の通信がどう行われるか見ていきましょう。
ステップ1:ユーザーのアクション
ユーザーがブラウザのアドレスバーにURLを入力するか、リンクをクリックします。
これがHTTPリクエストを発生させるトリガーになるんです。
ステップ2:DNSによる名前解決
ブラウザは、ドメイン名(www.example.comなど)をIPアドレスに変換します。
DNS(Domain Name System)というシステムが、電話帳のように名前から番号を調べる役割を果たしているんですよ。
ステップ3:サーバーへの接続
IPアドレスが分かったら、そのサーバーに接続します。
通常はポート80(HTTP)またはポート443(HTTPS)を使用して接続が確立されます。
ステップ4:HTTPリクエストの送信
ブラウザが、先ほど説明した形式でHTTPリクエストをサーバーに送信します。
メソッド、URL、ヘッダー、必要に応じてボディが送られるんです。
ステップ5:サーバーでの処理
サーバーはリクエストを受け取り、要求された処理を実行します。
データベースからデータを取得したり、ファイルを読み込んだり、計算を行ったりするわけですね。
ステップ6:HTTPレスポンスの返送
サーバーは処理結果をHTTPレスポンスとしてブラウザに返します。
ステータスコード、レスポンスヘッダー、レスポンスボディ(HTMLやJSON、画像など)が含まれます。
ステップ7:ブラウザでの表示
ブラウザはレスポンスを受け取り、内容を解析して画面に表示します。
HTMLの場合、さらにCSSファイルや画像ファイルを読み込むため、追加のHTTPリクエストが発生することもあるんですよ。
HTTPステータスコードの理解
レスポンスに含まれる3桁の数字の意味を知りましょう。
1xx:情報レスポンス
リクエストを受け取り、処理を続行中であることを示します。
100 Continue: リクエストの続きを送信してもよい
実際に見かけることは少ないですが、大きなファイルをアップロードする時などに使われます。
2xx:成功
リクエストが正常に処理されたことを示します。
200 OK: 最も一般的な成功レスポンス。要求が正常に処理された
201 Created: 新しいリソースが正常に作成された(POSTの成功など)
204 No Content: 処理は成功したが、返すコンテンツがない
2xxが返ってきたら、基本的に問題なく通信できたということですね。
3xx:リダイレクト
別のURLに移動する必要があることを示します。
301 Moved Permanently: ページが恒久的に移動した
302 Found: ページが一時的に移動した
304 Not Modified: キャッシュされたバージョンを使用できる
リダイレクトは、URLの変更やHTTPSへの自動転送などでよく使われます。
4xx:クライアントエラー
リクエストに問題があることを示します。
400 Bad Request: リクエストの構文が間違っている
401 Unauthorized: 認証が必要
403 Forbidden: アクセス権限がない
404 Not Found: ページが見つからない(最も有名なエラー)
429 Too Many Requests: リクエストが多すぎる
4xxエラーは、ユーザー側やアプリ側に原因があることを意味します。
5xx:サーバーエラー
サーバー側で問題が発生したことを示します。
500 Internal Server Error: サーバー内部でエラーが発生
502 Bad Gateway: ゲートウェイやプロキシが無効なレスポンスを受信
503 Service Unavailable: サーバーが一時的に利用できない
504 Gateway Timeout: ゲートウェイやプロキシがタイムアウト
5xxエラーは、サーバー側に原因があるので、ユーザーにはどうしようもないことが多いですね。
HTTPとHTTPSの違い
セキュリティ面での重要な違いを理解しましょう。
HTTPの特徴
HTTP(Hypertext Transfer Protocol)は、暗号化されていない通信プロトコルです。
データが平文(誰でも読める形式)で送受信されるため、第三者に盗聴される可能性があります。パスワードやクレジットカード情報などの機密データを送信するのは危険なんです。
HTTPSの特徴
HTTPS(HTTP Secure)は、HTTPにSSL/TLSという暗号化技術を追加したものです。
データが暗号化されて送信されるため、第三者が内容を読み取ることができません。現在では、ほとんどのWebサイトがHTTPSを採用しているんですよ。
見分け方
ブラウザのアドレスバーを見れば、すぐに分かります。
- HTTPS: 鍵マークが表示される、URLが「https://」で始まる
- HTTP: 「保護されていない通信」と表示される、URLが「http://」で始まる
個人情報を入力するサイトでは、必ずHTTPSであることを確認してくださいね。
HTTPSの重要性
Googleなどの検索エンジンはHTTPSを推奨しており、HTTPSのサイトを検索結果で優遇します。
セキュリティだけでなく、SEO(検索エンジン最適化)の観点からも、HTTPSは重要なんです。
ブラウザの開発者ツールでHTTPリクエストを確認する方法
実際の通信を見てみましょう。
開発者ツールの開き方
Chrome・Edge・Firefoxの場合
F12キーを押すか、ページ上で右クリックして「検証」または「要素の検証」を選択します。
開発者ツールが画面の下部または右側に表示されるんです。
Networkタブの使い方
開発者ツール内の「Network(ネットワーク)」タブをクリックします。
ここでは、ページの読み込み時に発生したすべてのHTTPリクエストが一覧表示されます。
リクエストの詳細を見る
リストの中から任意のリクエストをクリックすると、詳細情報が表示されます。
- Headers: リクエスト・レスポンスヘッダー
- Preview: レスポンスの内容(整形された形式)
- Response: レスポンスの生データ
- Timing: 各処理にかかった時間
これを見ることで、どんなデータがやり取りされているか理解できますよ。
フィルター機能
大量のリクエストの中から、特定の種類だけを表示できます。
「XHR」(Ajax通信)、「JS」(JavaScriptファイル)、「CSS」、「Img」(画像)など、タイプごとにフィルタリングできるんです。
実際に試してみよう
- 開発者ツールを開く
- Networkタブを選択
- ページを再読み込み(F5)
- リクエストの一覧が表示される
- 任意のリクエストをクリックして詳細を確認
この手順で、実際にどんな通信が行われているか体験できますね。
よくある使用シーンと実例
HTTPリクエストが実際にどう使われているか見ていきましょう。
Webページの閲覧
あなたがWebページを開く時、最初にHTMLファイルを取得するGETリクエストが送られます。
その後、HTML内で参照されているCSS、JavaScript、画像などを取得するため、複数の追加GETリクエストが自動的に送信されるんです。1つのページを表示するのに、数十から数百のリクエストが発生することもありますよ。
フォーム送信
お問い合わせフォームや会員登録フォームを送信する時、POSTリクエストが使われます。
入力した名前、メールアドレス、メッセージなどのデータがリクエストボディに含まれて、サーバーに送信されます。サーバーはデータを受け取り、データベースに保存したり、メールを送信したりするわけですね。
API呼び出し
モバイルアプリやWebアプリが、サーバーからデータを取得する時にHTTPリクエストを使います。
例えば、天気予報アプリが最新の天気情報を取得する場合、APIエンドポイントにGETリクエストを送信します。サーバーはJSON形式などでデータを返し、アプリがそれを画面に表示するんです。
ファイルのアップロード
画像や動画をSNSに投稿する時、POSTリクエストでファイルをサーバーに送信します。
「Content-Type: multipart/form-data」というヘッダーが使われ、ファイルデータがリクエストボディに含まれます。大きなファイルの場合、送信に時間がかかることもありますね。
ログインとログアウト
ユーザー名とパスワードを入力してログインボタンを押すと、POSTリクエストで認証情報がサーバーに送られます。
サーバーは認証が成功すると、セッションIDやトークンを発行し、それがCookieやレスポンスボディで返されます。以降のリクエストでは、このセッション情報を使って「ログイン済み」であることが識別されるんですよ。
HTTPリクエストのパフォーマンス最適化
通信を効率化する方法を紹介します。
キャッシュの活用
一度取得したリソースをブラウザに保存しておくことで、次回以降のリクエストを減らせます。
サーバーは「Cache-Control」ヘッダーでキャッシュの有効期限を指定できるんです。画像やCSSファイルなど、頻繁に変わらないリソースはキャッシュを活用すると、ページの読み込みが高速になりますよ。
リクエスト数の削減
複数のCSSファイルやJavaScriptファイルを1つにまとめることで、リクエスト数を減らせます。
これを「バンドル」や「コンカチネーション」と呼びます。リクエスト数が減ると、ページの読み込み時間が短縮されるんです。
圧縮の使用
「Content-Encoding: gzip」ヘッダーを使って、データを圧縮して送信できます。
テキストデータ(HTML、CSS、JavaScript)は圧縮率が高いので、通信量を大幅に削減できます。現代のWebサーバーは、ほとんどが自動的に圧縮を行っているんですよ。
HTTP/2の活用
HTTP/2は、HTTP/1.1の改良版で、以下の利点があります。
- 複数のリクエストを並列処理できる
- ヘッダー情報を圧縮できる
- サーバープッシュ機能がある
多くのWebサーバーがすでにHTTP/2に対応しているので、パフォーマンスが向上しています。
プログラミングでHTTPリクエストを送信する方法
実際にコードでリクエストを送ってみましょう。
JavaScriptでのリクエスト(fetch API)
現代のブラウザでは、fetch APIを使ってHTTPリクエストを送信できます。
GETリクエストの例
fetch('https://api.example.com/users')
.then(response => response.json())
.then(data => console.log(data))
.catch(error => console.error('エラー:', error));
POSTリクエストの例
fetch('https://api.example.com/users', {
method: 'POST',
headers: {
'Content-Type': 'application/json'
},
body: JSON.stringify({
name: '田中太郎',
email: 'tanaka@example.com'
})
})
.then(response => response.json())
.then(data => console.log(data));
fetch APIは非常にシンプルで使いやすいので、初心者にもおすすめですよ。
Pythonでのリクエスト(requests ライブラリ)
Pythonでは、requestsライブラリが広く使われています。
GETリクエストの例
import requests
response = requests.get('https://api.example.com/users')
print(response.status_code)
print(response.json())
POSTリクエストの例
import requests
data = {
'name': '田中太郎',
'email': 'tanaka@example.com'
}
response = requests.post('https://api.example.com/users', json=data)
print(response.status_code)
print(response.json())
Pythonのrequestsは直感的で、データ分析やWebスクレイピングでよく使われるんです。
HTTPリクエストのセキュリティ対策
安全な通信のために知っておくべきことです。
常にHTTPSを使用する
機密情報を送信する際は、必ずHTTPSを使用してください。
パスワード、クレジットカード情報、個人情報などは、暗号化されていないHTTPで送信してはいけません。
認証トークンの適切な管理
APIを使用する際、認証トークンやAPIキーをリクエストに含めることがあります。
これらの情報は、ソースコードに直接書かず、環境変数や設定ファイルで管理しましょう。GitHubなどに公開すると、悪用される危険性があるんですよ。
CSRF対策
CSRF(Cross-Site Request Forgery)は、ユーザーの意図しないリクエストを送信させる攻撃です。
対策として、CSRFトークンをリクエストに含めることで、正規のリクエストかどうかを検証できます。多くのWebフレームワークが、この機能を標準で提供しているんです。
入力値の検証
ユーザーから受け取ったデータは、必ずサーバー側で検証してください。
SQLインジェクションやXSS(クロスサイトスクリプティング)などの攻撃を防ぐため、入力値のバリデーションとサニタイズが重要ですね。
まとめ:HTTPリクエストを理解してWeb開発に活かそう
HTTPリクエストは、インターネット通信の基礎となる重要な仕組みです。
メソッドの種類、リクエストの構造、ステータスコード、HTTPSの重要性など、基本を理解することで、Web開発やトラブルシューティングがずっと楽になります。
この記事のポイント
- HTTPリクエストはブラウザとサーバー間の通信の基本
- GET、POST、PUT、DELETEなど用途に応じたメソッドがある
- リクエストはメソッド、ヘッダー、ボディで構成される
- ステータスコードで処理結果を判断できる
- HTTPSは暗号化されており安全
- 開発者ツールで実際の通信を確認できる
- プログラミング言語から簡単にリクエストを送信可能
- セキュリティ対策は必須
HTTPリクエストの仕組みを理解すれば、Webサイトがどのように動いているか分かるようになります。開発者ツールで実際の通信を観察したり、簡単なコードでAPIを呼び出したりして、ぜひ実践してみてくださいね!

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