プログラミングをしていると、「このコードを誰かに見せたい」「ちょっとしたスクリプトを保存しておきたい」という場面がありますよね。
そんな時に便利なのがGitHub Gist(ギットハブ・ジスト)。GitHubが提供する、コードスニペットやテキストを簡単に共有できるサービスです。
「Gistって何?」「GitHubのリポジトリとどう違うの?」「どうやって使うの?」
この記事では、そんな疑問に答えながら、Gistの基本から活用術まで、初心者の方にも分かるように丁寧に解説していきます。
コード共有がぐっと楽になる便利ツール、一緒に見ていきましょう!
Gistとは?基本を理解しよう

「Gist」の意味
まず、言葉の意味から説明しますね。
Gist(ジスト)は、英語で「要点」「要旨」という意味。「話の要点」を表す言葉です。
つまり、GitHub Gistは「コードの要点を素早く共有する」というコンセプトのサービスなんです。
GitHub Gistとは何か
GitHub Gistは、GitHubが提供する、コードスニペットやテキストファイルを簡単に共有できるサービス。
一言で言えば、「プログラマー向けのメモ帳」のようなものですね。
主な特徴:
- 無料で使える
- シンプルで使いやすい
- バージョン管理機能付き
- コードのシンタックスハイライト(色分け表示)
- URLで簡単に共有できる
- 埋め込み機能でブログなどに掲載可能
通常のGitHubリポジトリとの違い
GitHubと言えば、プロジェクト全体を管理する「リポジトリ」が有名ですよね。
Gistとリポジトリの違いを整理してみましょう。
GitHub リポジトリ:
- プロジェクト全体を管理
- 複数のファイル、ディレクトリ構造
- Issue、Pull Request、Wikiなどの機能
- チーム開発向け
- 大規模な開発に適している
GitHub Gist:
- 小さなコードスニペットやメモ
- 通常は1〜数個のファイル
- シンプルな構造
- 個人的な用途や簡単な共有向け
- 手軽さを重視
つまり、大きなプロジェクトならリポジトリ、ちょっとしたコードならGistという使い分けですね。
Gistの種類:PublicとSecret
Gistには、2つのタイプがあります。
Public Gist(公開Gist)
Public Gistは、完全に公開されるGistです。
特徴:
- 誰でも閲覧可能
- 検索エンジンにインデックスされる
- GitHubのGist一覧に表示される
- 他のユーザーがFork(複製)できる
- URLを知らなくても見つけられる可能性がある
使うべき場面:
- オープンソースのコードスニペット
- 技術ブログでの解説用コード
- 多くの人に見てもらいたい便利スクリプト
- コミュニティとの共有
Secret Gist(非公開Gist)
Secret Gistは、URLを知っている人だけがアクセスできるGistです。
特徴:
- URLを知っている人のみ閲覧可能
- 検索エンジンにインデックスされない
- GitHubの公開一覧には表示されない
- ただし、完全にプライベートではない
- URLが漏れれば誰でも見られる
注意点:
「Secret」という名前ですが、完全な秘密ではありません。
URLを共有した相手や、URLを推測できた人は閲覧できます。
使うべき場面:
- 限定メンバーとの共有
- 一時的な作業用コード
- 社内での簡単な情報共有
- 公開する前の下書き
機密情報は入れないこと:
パスワード、APIキー、個人情報などは、Secret Gistでも絶対に載せてはいけません。
Gistの基本的な使い方

それでは、実際にGistを使ってみましょう。
1. Gistの作成方法
手順:
- GitHubにログイン
- 右上のプロフィールアイコンをクリック
- 「Your gists」を選択
- 「New gist」ボタンをクリック
または、直接 gist.github.com にアクセスしてもOKです。
入力項目:
- Gist description:Gistの説明(任意)
- Filename including extension:ファイル名(拡張子を含む)
- コード入力欄:実際のコードやテキスト
作成ボタン:
- 「Create public gist」:公開Gist
- 「Create secret gist」:非公開Gist
2. ファイル名の重要性
ファイル名には必ず拡張子を含めましょう。
example.py # Pythonコード
script.js # JavaScriptコード
README.md # Markdownファイル
config.json # JSON設定ファイル
style.css # CSSファイル
拡張子によって、適切なシンタックスハイライト(色分け表示)が自動的に適用されます。
3. 複数ファイルの追加
Gistには、複数のファイルを含めることができます。
「Add file」ボタンをクリックすると、新しいファイル入力欄が追加されます。
使用例:
- HTMLとCSSとJavaScriptを一緒に保存
- プログラムと設定ファイルをセットで保存
- コードと説明用READMEを一緒に保存
4. Gistの編集
作成後も、自分のGistは自由に編集できます。
Gistのページで「Edit」ボタンをクリックすれば、内容を変更できます。
編集履歴は保存されるため、過去のバージョンに戻すことも可能です。
5. Gistの削除
不要になったGistは削除できます。
Gistのページで「Delete」ボタンをクリックすれば削除されます。
ただし、一度削除すると復元できないので注意してください。
Gistの便利な機能
Gistには、単なるコード共有以上の便利な機能があります。
バージョン管理機能
Gistは、裏側でGitのバージョン管理システムを使っています。
できること:
- 編集履歴の確認
- 過去のバージョンとの比較
- 特定バージョンへの復元
「Revisions」タブをクリックすると、すべての変更履歴が表示されます。
コメント機能
他のユーザーがGistにコメントを残すことができます。
質問や改善案、感謝のメッセージなど、コミュニケーションの場として使えるんです。
Star機能
気に入ったGistに「Star」(お気に入り)を付けられます。
後から簡単に見つけられるように、ブックマークのような使い方ができます。
Fork機能(複製)
Public Gistは、他のユーザーがFork(複製)できます。
誰かのGistを元に、自分用にカスタマイズしたバージョンを作成できるんですね。
埋め込み機能(Embed)
Gistは、ブログやWebサイトに埋め込むことができます。
埋め込み方法:
Gistのページにある「Embed」ボタンをクリックすると、以下のようなコードが表示されます。
<script src="https://gist.github.com/ユーザー名/Gist ID.js"></script>
これをHTMLに貼り付けるだけで、コードが綺麗に表示されます。
技術ブログでコードを紹介する際に、とても便利な機能です。
Raw表示
「Raw」ボタンをクリックすると、コードだけを表示できます。
直接コピー&ペーストしたい場合や、curlなどでダウンロードする場合に便利です。
# curlでGistをダウンロード
curl -L https://gist.githubusercontent.com/.../raw/...
ダウンロード機能
「Download ZIP」ボタンで、Gist全体をZIPファイルとしてダウンロードできます。
複数ファイルを含むGistの場合に便利ですね。
Gistの実用的な活用例
実際にGistをどう使うか、具体例を紹介します。
1. コードスニペットの保存
よく使う便利なコードを保存しておく、個人的なコードライブラリとして。
例:
- 日付フォーマット用の関数
- データベース接続の定型コード
- 正規表現のパターン集
- 便利なワンライナー集
2. 技術ブログでのコード共有
ブログ記事で長いコードを紹介する際、Gistの埋め込み機能が活躍します。
記事内で直接コードを書くより、見やすく管理しやすくなります。
3. 質問サイトでのコード共有
Stack OverflowやQiitaなどで質問する際、長いコードをGistで共有すると読みやすくなります。
URLを貼るだけで、シンタックスハイライト付きのコードが見てもらえます。
4. 設定ファイルの共有
開発環境の設定ファイルを公開する用途にも使えます。
例:
.bashrcや.zshrc- VS Codeの設定ファイル
- gitの設定
- エディタのカラースキーム
5. チーム内での一時的な共有
プロジェクト全体をリポジトリにするほどでもない、小さな情報共有に便利です。
例:
- 会議のメモ
- セットアップ手順書
- トラブルシューティングのメモ
- 一時的な作業用スクリプト
6. ポートフォリオとして
自分が書いた便利なコードをPublic Gistで公開することで、技術力のアピールにもなります。
就職活動やフリーランスの営業で、実績として見せることもできるんです。
7. ドキュメントやメモ
コードだけでなく、Markdown形式で文書を作成・共有することもできます。
例:
- 技術メモ
- 学習ノート
- タスクリスト
- プロジェクトのアイデア
Gistをもっと便利に使うコツ

意味のある説明を付ける
Gistの説明(description)には、そのGistが何なのか分かりやすく書きましょう。
良い例:
- 「Pythonで日付を扱う便利な関数集」
- 「Dockerコンテナのトラブルシューティングメモ」
- 「React Hooks の使用例サンプル」
悪い例:
- 「test」
- 「コード」
- 空欄
後から見返したとき、何のGistか分からなくなってしまいます。
READMEを含める
複数ファイルのGistを作る場合、README.mdを含めると親切です。
使い方や注意事項を書いておけば、他の人(未来の自分も含めて)が理解しやすくなります。
タグをdescriptionに含める
Gist自体にタグ機能はありませんが、説明欄にハッシュタグを入れることで検索しやすくできます。
Pythonで画像処理をする関数 #python #image #opencv
定期的に整理する
不要になった古いGistは削除するか、説明を更新して整理しましょう。
放置しておくと、どんどん増えて管理しづらくなります。
Gist用のブックマークを作る
自分のGist一覧ページ(https://gist.github.com/ユーザー名)をブックマークしておくと、素早くアクセスできます。
Gistの注意点とセキュリティ
便利なGistですが、使う際の注意点もあります。
Secret Gistは完全な秘密ではない
繰り返しになりますが、Secret GistはURLを知っている人なら誰でも見られます。
絶対にGistに載せてはいけないもの:
- パスワード
- APIキーやトークン
- データベースの接続情報
- 個人情報
- 企業の機密情報
Public Gistは永久に残る可能性
一度公開したPublic Gistは、他の人がForkしたり、検索エンジンがキャッシュしたりします。
削除しても、コピーがどこかに残っている可能性があることを忘れずに。
著作権に注意
他人のコードをGistで公開する場合、ライセンスや著作権に注意しましょう。
出典を明記したり、適切なライセンス表示を含めることが大切です。
大きなファイルには向かない
Gistは、小さなコードスニペット向けです。
大きなファイル(数千行以上)や、多数のファイルを含むプロジェクトは、通常のGitHubリポジトリを使いましょう。
Gistをコマンドラインから使う
GitHubのCLIツールを使えば、コマンドラインからGistを操作できます。
GitHub CLIのインストール
# macOS
brew install gh
# Ubuntu/Debian
sudo apt install gh
# Windows
winget install GitHub.cli
基本的な使い方
# Gistを作成
gh gist create ファイル名.txt --desc "説明"
# Public Gistを作成
gh gist create ファイル名.py --public
# 自分のGist一覧を表示
gh gist list
# Gistを表示
gh gist view Gist_ID
# Gistを編集
gh gist edit Gist_ID
# Gistを削除
gh gist delete Gist_ID
コマンドラインから操作できると、スクリプトに組み込んだり、作業の自動化ができて便利です。
Gistの代替サービス
Gist以外にも、似たようなサービスがあります。
Pastebin
古くからあるテキスト共有サービス。プログラマー以外にも広く使われています。
Ideone
コードを実行できるオンラインIDEとしても使えます。
CodePen
HTML/CSS/JavaScriptに特化した、ブラウザで動作が確認できるサービス。
JSFiddle
JavaScriptのコードを試せるオンラインエディタ。
replit
より本格的な開発ができる、オンラインIDE。
まとめ:Gistでコード共有をスマートに
GitHub Gistについて、ここまで詳しく見てきました。最後に要点を整理しておきましょう。
GitHub Gistの重要ポイント:
- コードスニペットやテキストを簡単に共有できるサービス
- Public(公開)とSecret(非公開)の2種類
- バージョン管理、コメント、埋め込みなどの便利機能
- ブログやドキュメントへの埋め込みが簡単
- GitHubアカウントがあれば無料で使える
使い分けのポイント:
- Gist:小さなコード、メモ、一時的な共有
- リポジトリ:プロジェクト全体、チーム開発
注意事項:
- Secret Gistでも機密情報は載せない
- Public Gistは永久に残る可能性がある
- 著作権やライセンスに配慮する

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