DNSレコードタイプ完全ガイド!A、CNAME、MXの違いを徹底解説

Web

「ドメインを取得したけど、DNSの設定がよく分からない…」

「AレコードとCNAMEレコード、どう違うの?」

Webサイトやメールサーバーを運用するなら、DNSレコードの理解は必須です。

DNSレコードは、ドメイン名(例:example.com)とIPアドレスやサーバー情報を結びつける「設定情報」のこと。種類によって役割が異なり、正しく設定しないとWebサイトが表示されなかったり、メールが届かなかったりします。

この記事では、DNS レコードの主要なタイプについて、初心者の方にも分かるように丁寧に解説します。

「難しそう…」と思うかもしれませんが、一つずつ見ていけば理解できますよ。


スポンサーリンク
  1. DNSとDNSレコードの基本
    1. DNSとは?
    2. DNSレコードとは?
    3. なぜ複数のレコードタイプがあるの?
    4. ゾーンファイル
  2. 主要なDNSレコードタイプ
    1. 1. Aレコード(Address Record)
    2. 2. AAAAレコード(IPv6 Address Record)
    3. 3. CNAMEレコード(Canonical Name Record)
    4. 4. MXレコード(Mail Exchange Record)
    5. 5. TXTレコード(Text Record)
    6. 6. NSレコード(Name Server Record)
    7. 7. SOAレコード(Start of Authority Record)
    8. 8. PTRレコード(Pointer Record)
    9. 9. SRVレコード(Service Record)
    10. 10. CAAレコード(Certification Authority Authorization)
  3. DNSレコードの確認方法
    1. 方法1:nslookupコマンド
    2. 方法2:digコマンド
    3. 方法3:オンラインツール
    4. 方法4:Windowsのコマンドプロンプト
  4. よくあるDNS設定例
    1. 例1:基本的なWebサイト
    2. 例2:Webサイト + メール(Google Workspace)
    3. 例3:サブドメインを別サーバーに
    4. 例4:CDNの利用(CloudflareやAWS CloudFront)
    5. 例5:冗長化構成
  5. DNSレコード設定のベストプラクティス
    1. 1. TTLを適切に設定する
    2. 2. 複数のNSレコードを設定
    3. 3. SPFレコードを設定
    4. 4. CNAMEの使いすぎに注意
    5. 5. 定期的に確認する
    6. 6. ドキュメント化する
    7. 7. テスト環境で確認
  6. トラブルシューティング
    1. 問題1:DNSが反映されない
    2. 問題2:Webサイトは表示されるがメールが届かない
    3. 問題3:CNAMEとAレコードの競合
    4. 問題4:SSL証明書のエラー
  7. よくある質問(Q&A)
    1. Q1:AレコードとCNAMEレコード、どちらを使うべき?
    2. Q2:DNSの変更はどれくらいで反映される?
    3. Q3:無料のDNSサービスはある?
    4. Q4:サブドメインにもDNSレコードが必要?
    5. Q5:ワイルドカード(*)は使える?
    6. Q6:DNSレコードの設定はどこでする?
    7. Q7:DNS設定を間違えたらどうなる?
  8. まとめ:DNSレコードを正しく理解して活用しよう

DNSとDNSレコードの基本

まずは基礎から理解しましょう。

DNSとは?

DNS(Domain Name System)は、「ドメイン名」と「IPアドレス」を変換するシステムです。

まるでインターネット版の電話帳のようなもの。

  • ドメイン名:google.com
  • IPアドレス:142.250.207.46

人間はgoogle.comのような文字列の方が覚えやすいですが、コンピュータは数字のIPアドレスで通信します。

DNSがこの2つを結びつけてくれるんです。

DNSレコードとは?

DNSレコードは、DNS サーバーに保存されている「設定情報」です。

各レコードは、ドメイン名に関する特定の情報を持っています。

レコードの構成要素

名前            タイプ    値                  TTL
example.com.    A        192.0.2.1          3600
  • 名前:ドメイン名またはサブドメイン
  • タイプ:レコードの種類(A、CNAME、MXなど)
  • :設定内容(IPアドレス、サーバー名など)
  • TTL(Time To Live):情報をキャッシュする時間(秒)

なぜ複数のレコードタイプがあるの?

用途によって必要な情報が違うからです。

  • Webサイトの表示:IPアドレスが必要 → Aレコード
  • メールの配信:メールサーバーの情報が必要 → MXレコード
  • 別名の設定:エイリアス(別名)が必要 → CNAMEレコード
  • 認証情報:テキスト情報が必要 → TXTレコード

それぞれの役割に応じて、適切なレコードタイプを使います。

ゾーンファイル

DNSレコードは、ゾーンファイルという形式で管理されます。

; ゾーンファイルの例
$TTL 3600
example.com.    IN  SOA   ns1.example.com. admin.example.com. (
                            2024010101  ; シリアル番号
                            3600        ; リフレッシュ
                            1800        ; リトライ
                            604800      ; 有効期限
                            86400 )     ; ネガティブキャッシュTTL

                IN  NS    ns1.example.com.
                IN  NS    ns2.example.com.
                IN  A     192.0.2.1
www             IN  A     192.0.2.1
mail            IN  A     192.0.2.2
                IN  MX    10 mail.example.com.

最近では、多くのレジストラやホスティングサービスが、GUI(グラフィカル画面)でDNSレコードを編集できるようになっています。


主要なDNSレコードタイプ

代表的なレコードタイプを一つずつ見ていきましょう。

1. Aレコード(Address Record)

最も基本的で重要なレコードです。

役割

ドメイン名をIPv4アドレスに変換します。

書き方

example.com.    IN  A   192.0.2.1
www.example.com. IN  A   192.0.2.1

用途

  • Webサイトの公開
  • サーバーへのアクセス
  • 基本的なドメイン名解決

実例

設定

example.com     A   203.0.113.10

結果

example.comにアクセスすると、203.0.113.10のサーバーに接続されます。

注意点

  • 1つのドメインに複数のAレコードを設定できる(ラウンドロビン)
  • IPv4アドレス専用(IPv6にはAAAAレコードを使用)

2. AAAAレコード(IPv6 Address Record)

Aレコードの IPv6 版です。

役割

ドメイン名をIPv6アドレスに変換します。

書き方

example.com.     IN  AAAA  2001:0db8::1
www.example.com. IN  AAAA  2001:0db8::1

IPv6アドレスの例

2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334

用途

  • IPv6対応のWebサイト
  • 将来を見据えたネットワーク構成

実例

設定

example.com     AAAA  2001:db8::1

結果

IPv6ネットワークからexample.comにアクセスすると、IPv6アドレスで接続されます。

推奨事項

最近では、AレコードとAAAAレコードの両方を設定することが推奨されています(デュアルスタック)。

3. CNAMEレコード(Canonical Name Record)

エイリアス(別名)を設定するレコードです。

役割

あるドメイン名を、別のドメイン名に転送します。

書き方

www.example.com.  IN  CNAME  example.com.
blog.example.com. IN  CNAME  example.com.

用途

  • サブドメインの設定
  • CDN(コンテンツ配信ネットワーク)の設定
  • 複数のドメインを1つのサーバーに向ける

実例

設定

www.example.com   CNAME  example.com
blog.example.com  CNAME  example.com

結果

www.example.comにアクセスすると、内部的にexample.comに転送され、そのAレコードで解決されます。

重要な制約

CNAMEレコードは他のレコードと共存できません

間違った例

example.com  A      192.0.2.1
example.com  CNAME  other.com  ← エラー!

正しい例

example.com      A      192.0.2.1
www.example.com  CNAME  example.com

CNAMEの連鎖

CNAMEは別のCNAMEを参照できますが、推奨されません。

www.example.com   CNAME  cdn.example.com
cdn.example.com   CNAME  server.example.com
server.example.com A     192.0.2.1

これは動作しますが、解決に時間がかかり、トラブルの原因になります。

4. MXレコード(Mail Exchange Record)

メール配信に使われるレコードです。

役割

ドメイン宛のメールをどのサーバーに配信するかを指定します。

書き方

example.com.  IN  MX  10  mail.example.com.
example.com.  IN  MX  20  mail2.example.com.

数字は優先度(Priority)を表します。小さい方が優先されます。

用途

  • メールサーバーの指定
  • メール配信の冗長化

実例

設定

example.com  MX  10  mail1.example.com
example.com  MX  20  mail2.example.com

動作

  1. user@example.com宛のメールが送信される
  2. まず優先度10のmail1.example.comに配信を試みる
  3. 失敗したら優先度20のmail2.example.comに配信

必須の設定

MXレコードで指定したメールサーバーには、Aレコードも必要です。

example.com       MX  10  mail.example.com
mail.example.com  A       192.0.2.2

Google WorkspaceやMicrosoft 365の例

Google Workspace

example.com  MX  1   aspmx.l.google.com
example.com  MX  5   alt1.aspmx.l.google.com
example.com  MX  5   alt2.aspmx.l.google.com
example.com  MX  10  alt3.aspmx.l.google.com
example.com  MX  10  alt4.aspmx.l.google.com

Microsoft 365

example.com  MX  0   example-com.mail.protection.outlook.com

5. TXTレコード(Text Record)

任意のテキスト情報を保存するレコードです。

役割

ドメインに関する追加情報を記録します。

書き方

example.com.  IN  TXT  "v=spf1 include:_spf.google.com ~all"

用途

  • SPFレコード:メール送信の認証
  • DKIMレコード:メール署名の公開鍵
  • DMARCレコード:メール認証ポリシー
  • ドメイン所有権の証明:Google Search Consoleなど
  • サイト認証:各種サービスのドメイン確認

実例1:SPFレコード

example.com  TXT  "v=spf1 ip4:192.0.2.0/24 include:_spf.google.com ~all"

これは「このドメインからのメールは、192.0.2.0/24のIPアドレスまたはGoogleのサーバーから送信されます」という意味。

実例2:ドメイン所有権の証明

example.com  TXT  "google-site-verification=abcd1234efgh5678"

Googleにドメインの所有者であることを証明します。

実例3:DMARCレコード

_dmarc.example.com  TXT  "v=DMARC1; p=quarantine; rua=mailto:dmarc@example.com"

メール認証に失敗したメールの処理方法を指定します。

6. NSレコード(Name Server Record)

権威DNSサーバーを指定するレコードです。

役割

どのDNSサーバーがそのドメインを管理しているかを示します。

書き方

example.com.  IN  NS  ns1.example.com.
example.com.  IN  NS  ns2.example.com.

用途

  • ドメインのDNSサーバーを指定
  • 通常、複数のNSレコードを設定(冗長化)

実例

設定

example.com  NS  ns1.example.com
example.com  NS  ns2.example.com
ns1.example.com  A   192.0.2.1
ns2.example.com  A   192.0.2.2

注意点

NSレコードは、レジストラ(ドメイン登録業者)の設定画面でも設定する必要があります。

ゾーンファイル内のNSレコードと、レジストラ側の設定が一致している必要があります。

7. SOAレコード(Start of Authority Record)

ゾーンの管理情報を記録するレコードです。

役割

DNSゾーンの基本情報と管理パラメータを定義します。

書き方

example.com.  IN  SOA  ns1.example.com. admin.example.com. (
    2024010101  ; シリアル番号
    3600        ; リフレッシュ(セカンダリが問い合わせる間隔)
    1800        ; リトライ(失敗時の再試行間隔)
    604800      ; 有効期限(セカンダリが無効と判断する時間)
    86400       ; ネガティブキャッシュTTL
)

パラメータの説明

  • シリアル番号:ゾーンファイルのバージョン番号。更新のたびに増やす
  • リフレッシュ:セカンダリDNSがプライマリに問い合わせる間隔
  • リトライ:リフレッシュ失敗時の再試行間隔
  • 有効期限:プライマリに接続できない場合の有効期限
  • ネガティブキャッシュ:存在しないレコードのキャッシュ時間

用途

各ゾーンに1つだけ存在し、ゾーン全体の管理情報を提供します。

通常、レジストラやホスティングサービスが自動的に設定してくれます。

8. PTRレコード(Pointer Record)

逆引きDNSに使われるレコードです。

役割

IPアドレスからドメイン名を逆引き(逆方向の解決)します。

書き方

1.2.0.192.in-addr.arpa.  IN  PTR  example.com.

用途

  • メールサーバーの信頼性向上
  • ログファイルでの識別
  • セキュリティ確認

実例

通常のDNS(正引き)

example.com → 192.0.2.1

逆引きDNS

192.0.2.1 → example.com

重要性

特にメールサーバーでは、PTRレコードが正しく設定されていないと、送信したメールがスパム判定される可能性があります。

設定場所

PTRレコードは、IPアドレスを管理しているプロバイダ(ISPやホスティング会社)側で設定します。

9. SRVレコード(Service Record)

特定のサービスの場所を指定するレコードです。

役割

サービス名、プロトコル、ポート番号、ホスト名を結びつけます。

書き方

_service._protocol.name  TTL  IN  SRV  priority  weight  port  target

_sip._tcp.example.com.  86400  IN  SRV  10  60  5060  sipserver.example.com.

パラメータ

  • priority:優先度(小さい方が優先)
  • weight:同じ優先度の場合の重み付け
  • port:サービスのポート番号
  • target:サービスを提供するホスト名

用途

  • VoIP(SIP、Skype for Businessなど)
  • XMPP(Jabber)
  • Microsoft Active Directory
  • LDAP

実例:Microsoft 365のSIPサーバー

_sip._tls.example.com     SRV  100  1  443  sipdir.online.lync.com
_sipfederationtls._tcp.example.com  SRV  100  1  5061  sipfed.online.lync.com

10. CAAレコード(Certification Authority Authorization)

SSL/TLS証明書の発行を制限するレコードです。

役割

どの認証局(CA)がそのドメインの証明書を発行できるかを指定します。

書き方

example.com.  IN  CAA  0  issue  "letsencrypt.org"
example.com.  IN  CAA  0  issuewild  "letsencrypt.org"
example.com.  IN  CAA  0  iodef  "mailto:security@example.com"

パラメータ

  • issue:通常の証明書の発行を許可するCA
  • issuewild:ワイルドカード証明書の発行を許可するCA
  • iodef:違反があった場合の通知先

用途

  • 証明書の不正発行を防ぐ
  • セキュリティの強化

実例

example.com  CAA  0  issue  "letsencrypt.org"
example.com  CAA  0  issue  "digicert.com"

Let’s EncryptとDigiCertのみが証明書を発行できるようになります。


DNSレコードの確認方法

設定したDNSレコードが正しく機能しているか確認する方法です。

方法1:nslookupコマンド

WindowsとmacOS、Linuxで使える標準的なツールです。

基本的な使い方

Aレコードの確認

nslookup example.com

出力例

Server:  192.168.1.1
Address:  192.168.1.1#53

Non-authoritative answer:
Name:    example.com
Address: 192.0.2.1

MXレコードの確認

nslookup -type=MX example.com

TXTレコードの確認

nslookup -type=TXT example.com

方法2:digコマンド

より詳細な情報を得られる、上級者向けのツールです。

インストール

Mac/Linux:標準でインストール済み

Windows:BIND toolsをインストールするか、WSL(Windows Subsystem for Linux)を使用

基本的な使い方

Aレコードの確認

dig example.com

詳細出力

dig example.com +noall +answer

出力例

example.com.  3600  IN  A  192.0.2.1

MXレコードの確認

dig example.com MX +short

特定のDNSサーバーに問い合わせ

dig @8.8.8.8 example.com

逆引きDNSの確認

dig -x 192.0.2.1

方法3:オンラインツール

ブラウザで簡単に確認できるツールもあります。

おすすめのツール

MXToolbox(https://mxtoolbox.com/):

  • 様々なDNSレコードを確認
  • メール設定の診断
  • ブラックリストチェック

DNSChecker(https://dnschecker.org/):

  • 世界中のDNSサーバーから確認
  • DNSの伝播状況を確認

Google Admin Toolbox(https://toolbox.googleapps.com/apps/dig/):

  • Googleが提供する無料ツール
  • digコマンドのWeb版

方法4:Windowsのコマンドプロンプト

Windowsではpowershellを使う方法もあります。

Resolve-DnsName example.com

より詳細な情報:

Resolve-DnsName example.com -Type A
Resolve-DnsName example.com -Type MX

よくあるDNS設定例

実際の使用例を見ていきましょう。

例1:基本的なWebサイト

要件

  • ドメイン:example.com
  • Webサーバー:192.0.2.1
  • www付きでもアクセス可能にする

DNS設定

example.com      A      192.0.2.1
www.example.com  CNAME  example.com

または

example.com      A  192.0.2.1
www.example.com  A  192.0.2.1

例2:Webサイト + メール(Google Workspace)

要件

  • Webサイト:独自サーバー
  • メール:Google Workspace

DNS設定

; Webサイト
example.com      A      192.0.2.1
www.example.com  CNAME  example.com

; メールサーバー
example.com  MX  1   aspmx.l.google.com
example.com  MX  5   alt1.aspmx.l.google.com
example.com  MX  5   alt2.aspmx.l.google.com
example.com  MX  10  alt3.aspmx.l.google.com
example.com  MX  10  alt4.aspmx.l.google.com

; SPFレコード
example.com  TXT  "v=spf1 include:_spf.google.com ~all"

例3:サブドメインを別サーバーに

要件

  • メインサイト:example.com(192.0.2.1)
  • ブログ:blog.example.com(192.0.2.2)
  • API:api.example.com(192.0.2.3)

DNS設定

example.com      A  192.0.2.1
www.example.com  A  192.0.2.1
blog.example.com A  192.0.2.2
api.example.com  A  192.0.2.3

例4:CDNの利用(CloudflareやAWS CloudFront)

要件

  • オリジンサーバー:192.0.2.1
  • CDN:d111111abcdef8.cloudfront.net

DNS設定

example.com      A      192.0.2.1
www.example.com  CNAME  d111111abcdef8.cloudfront.net

例5:冗長化構成

要件

  • 複数のWebサーバーで負荷分散

DNS設定

example.com  A  192.0.2.1
example.com  A  192.0.2.2
example.com  A  192.0.2.3

DNSラウンドロビンにより、アクセスが分散されます。

ただし、これは簡易的な負荷分散で、専用のロードバランサーを使う方が推奨されます。


DNSレコード設定のベストプラクティス

効果的なDNS設定のコツです。

1. TTLを適切に設定する

TTL(Time To Live)は、レコードがキャッシュされる時間です。

推奨値

  • 通常時:3600秒(1時間)または86400秒(24時間)
  • 変更前:300秒(5分)に短縮
  • 変更後:元の値に戻す

理由

変更前にTTLを短くしておくと、変更が速く反映されます。

2. 複数のNSレコードを設定

最低2つ、できれば3つ以上のネームサーバーを設定しましょう。

example.com  NS  ns1.example.com
example.com  NS  ns2.example.com
example.com  NS  ns3.example.com

1つのサーバーがダウンしても、他のサーバーで対応できます。

3. SPFレコードを設定

メール送信の認証のため、SPFレコードは必須です。

example.com  TXT  "v=spf1 mx ~all"

これにより、メールがスパム判定されにくくなります。

4. CNAMEの使いすぎに注意

CNAMEの連鎖は避けましょう。

悪い例

www.example.com   CNAME  cdn.example.com
cdn.example.com   CNAME  server.example.com
server.example.com CNAME  host.provider.com

良い例

www.example.com  CNAME  host.provider.com

5. 定期的に確認する

DNSレコードは「設定したら終わり」ではありません。

定期的に確認しましょう:

  • 月1回:設定内容の確認
  • サーバー変更時:即座に確認
  • 問題発生時:詳細に調査

6. ドキュメント化する

DNS設定の変更履歴を記録しておきましょう。

  • いつ変更したか
  • 何を変更したか
  • なぜ変更したか
  • 誰が変更したか

7. テスト環境で確認

本番環境で変更する前に、可能であればテスト環境で確認しましょう。

特に大規模な変更の場合は重要です。


トラブルシューティング

DNSに関するよくある問題と解決方法です。

問題1:DNSが反映されない

症状

DNSレコードを変更したのに、反映されない。

原因

  • TTLによるキャッシュ
  • DNSの伝播に時間がかかっている
  • 設定が間違っている

解決策

  1. TTLの確認:前回のTTLが長い場合、その時間が経過するまで待つ
  2. キャッシュのクリア
  • Windows: ipconfig /flushdns
  • Mac: sudo dscacheutil -flushcache
  • Linux: sudo systemd-resolve --flush-caches
  1. 伝播の確認:DNSCheckerなどで世界中の伝播状況を確認
  2. 設定の再確認:タイポがないか、構文が正しいか確認

問題2:Webサイトは表示されるがメールが届かない

原因

MXレコードの設定ミス

解決策

  1. MXレコードを確認:nslookup -type=MX example.com
  2. MXレコードで指定したホストのAレコードを確認
  3. 優先度が正しいか確認
  4. SPFレコードを確認

問題3:CNAMEとAレコードの競合

症状

「CNAMEとAレコードは共存できません」というエラー

解決策

ルートドメイン(example.com)にはAレコードのみ使用し、サブドメイン(www.example.com)にCNAMEを使います。

example.com      A      192.0.2.1
www.example.com  CNAME  example.com

問題4:SSL証明書のエラー

症状

HTTPSでアクセスすると証明書エラーが出る

原因

  • CNAMEの設定が間違っている
  • CAAレコードで証明書発行がブロックされている

解決策

  1. CNAMEが正しいホストを指しているか確認
  2. CAAレコードを確認:dig example.com CAA
  3. 必要に応じてCAAレコードを修正または削除

よくある質問(Q&A)

DNSレコードについて、よくある質問にお答えします。

Q1:AレコードとCNAMEレコード、どちらを使うべき?

A:状況によります。

  • ルートドメイン(example.com):Aレコードのみ使用可能
  • サブドメイン(www.example.com):どちらでも可能
  • IPアドレスが頻繁に変わる場合:CNAMEが便利
  • CDN利用時:通常はCNAME

一般的に、サブドメインにはCNAMEを使う方が管理しやすいです。

Q2:DNSの変更はどれくらいで反映される?

A:数分から48時間です。

  • 最短:数分(TTLが短い場合)
  • 通常:数時間
  • 最長:48時間(TTLが長い場合)

世界中のDNSサーバーに伝播するには時間がかかります。

Q3:無料のDNSサービスはある?

A:はい、多数あります。

  • Cloudflare:無料で高性能
  • Google Cloud DNS:一部無料
  • Amazon Route 53:従量課金(安価)
  • レジストラ提供のDNS:ドメイン購入時に無料で付属

Cloudflareは特に人気があり、無料でも充実した機能を提供しています。

Q4:サブドメインにもDNSレコードが必要?

A:はい、必要です。

サブドメインごとに、AレコードまたはCNAMEレコードを設定する必要があります。

example.com      A      192.0.2.1
www.example.com  CNAME  example.com
blog.example.com A      192.0.2.2

Q5:ワイルドカード(*)は使える?

A:はい、使えます。

*.example.com  A  192.0.2.1

これにより、定義されていないすべてのサブドメインが、指定したIPアドレスに解決されます。

ただし、セキュリティ上のリスクもあるので、慎重に使用してください。

Q6:DNSレコードの設定はどこでする?

A:ドメインレジストラまたはDNSホスティングサービスで設定します。

  • レジストラの管理画面:お名前.com、ムームードメインなど
  • DNSホスティング:Cloudflare、Google Cloud DNS、Route 53など

ネームサーバーをどこに向けているかで、設定場所が変わります。

Q7:DNS設定を間違えたらどうなる?

A:Webサイトが表示されなくなったり、メールが届かなくなったりします。

ただし、元に戻せば復旧するので、心配しすぎる必要はありません。

重要な変更の前には:

  • 現在の設定をメモしておく
  • TTLを短くしておく
  • バックアップを取る

まとめ:DNSレコードを正しく理解して活用しよう

DNSレコードタイプについて、理解できましたか?

この記事の重要ポイント

  • Aレコード:ドメイン名をIPv4アドレスに変換(最も基本)
  • AAAAレコード:ドメイン名をIPv6アドレスに変換
  • CNAMEレコード:ドメインの別名を設定(エイリアス)
  • MXレコード:メール配信先を指定
  • TXTレコード:テキスト情報を保存(SPF、DKIMなど)
  • NSレコード:権威DNSサーバーを指定
  • SOAレコード:ゾーンの管理情報
  • PTRレコード:逆引きDNS(IPアドレス→ドメイン名)
  • 各レコードには適切な用途がある
  • nslookupやdigで設定を確認できる
  • TTLを適切に設定することが重要

DNSは「インターネットの電話帳」として、Webサイトやメールの動作に不可欠です。

最初は複雑に感じるかもしれませんが、基本的なレコードタイプを理解すれば、自分でDNS設定ができるようになります。

この記事を参考に、正しいDNS設定を行ってくださいね!

コメント

タイトルとURLをコピーしました