「体積」と「容積」、どちらも小学校の算数で習う言葉ですが、この2つの違いをはっきり説明できる人は意外と少ないかもしれません。
実は、体積と容積には明確な違いがあります。日常生活でも、ペットボトルの大きさを測るとき、水槽に水を入れるとき、料理で計量カップを使うときなど、この2つの概念が関係しています。
この記事では、体積と容積の違いを、具体例を交えながら中学生でも分かるように解説していきます。求め方や単位、使い分けのコツまで、しっかり理解できる内容になっています。
体積とは?

体積の意味
体積(たいせき)とは、物体そのものが空間に占める大きさのことです。
簡単に言うと、「その物がどれだけの場所を取っているか」を表します。
例:
- 箱そのものの大きさ
- ボール全体の大きさ
- 石ころの大きさ
- ペットボトル本体の大きさ(容器自体)
体積の特徴
1. すべての物体に体積がある
- 固体(石、木、金属など)
- 液体(水、油など)
- 気体(空気、二酸化炭素など)
2. 形によって体積が変わる
- 同じ量の粘土でも、形を変えると見た目は変わるが体積は同じ
3. 空間を占める大きさ
- その物体が「どれだけのスペースを使っているか」
体積の単位
体積は立方体単位で測ります。
主な単位:
- cm³(立方センチメートル):シービーと読む
- m³(立方メートル):リューベーまたはリッポーメートルと読む
- mm³(立方ミリメートル)
換算:
- 1 m³ = 1,000,000 cm³(100万立方センチメートル)
- 1 cm³ = 1,000 mm³
覚え方:
- 立方体単位は「縦×横×高さ」の立体の大きさ
- 1辺が1cmの立方体の体積 = 1 cm³
容積とは?
容積の意味
容積(ようせき)とは、容器の中に入る液体や物質の量のことです。
簡単に言うと、「その容器にどれだけのものが入るか」を表します。
例:
- ペットボトルに入る水の量
- 水槽に入る水の量
- バケツに入る砂の量
- コップに入るジュースの量
容積の特徴
1. 容器の内側の空間を測る
- 容器の壁の厚さは含まない
- 中に入れられる空間のみを測る
2. 液体を入れる量として使われることが多い
- 水、牛乳、ガソリンなど
3. 容器の「中身いっぱい」の量
- コップに水を満タンにしたときの水の量
容積の単位
容積はリットル(L)または立方体単位で測ります。
主な単位:
- L(リットル)
- mL(ミリリットル)
- cm³(立方センチメートル)
換算:
- 1 L = 1,000 mL
- 1 mL = 1 cm³(これが重要!)
- 1 L = 1,000 cm³
覚え方:
- 1 mLと1 cm³は同じ
- 1 Lは1辺が10cmの立方体の体積と同じ
体積と容積の違い

ここが一番重要なポイントです。具体例を使って違いを理解しましょう。
決定的な違い
| 項目 | 体積 | 容積 |
|---|---|---|
| 意味 | 物体そのものが占める空間の大きさ | 容器の中に入る量 |
| 何を測る? | 物体全体(容器の壁も含む) | 容器の内側の空間のみ |
| 例 | ペットボトル本体の大きさ | ペットボトルに入る水の量 |
| 主な単位 | cm³、m³(立方体単位) | L、mL、cm³ |
| 測る対象 | すべての物体 | 主に容器や入れ物 |
具体例で理解する
例1:ペットボトル
体積:
- ペットボトル本体(プラスチック部分を含む)全体の大きさ
- ペットボトルを水に沈めたとき、押しのけられる水の量
容積:
- ペットボトルの中に入る水の量
- 「500mL」と書かれているのが容積
例2:水槽
体積:
- 水槽のガラス部分も含めた全体の大きさ
- 水槽を置いたときに占めるスペース
容積:
- 水槽の中に入る水の量
- 水槽いっぱいに水を入れたときの水の量
例3:バケツ
体積:
- バケツの材質(プラスチックや金属)も含めた全体の大きさ
容積:
- バケツに入る水や砂の量
- 「10L入ります」と書かれているのが容積
イメージで覚える
体積:
「その物自体がどれだけの場所を取っているか」
→ 物体全体を測る
容積:
「その容器にどれだけのものが入るか」
→ 容器の内側だけを測る
重要なポイント
容積は体積よりも小さい:
- 容器の場合、容積 < 体積
- なぜなら、容器の壁の厚さ分だけ体積の方が大きいから
例:
- 厚さ1cmの箱があるとします
- 外側の大きさ(体積):20cm × 20cm × 20cm = 8,000 cm³
- 内側の大きさ(容積):18cm × 18cm × 18cm = 5,832 cm³
- 差:2,168 cm³(これが箱の材質が占める空間)
体積の求め方
形ごとに計算方法が異なります。
直方体(箱の形)
公式:
体積 = 縦 × 横 × 高さ
例題:
縦10cm、横8cm、高さ5cmの箱の体積は?
計算:
体積 = 10 × 8 × 5 = 400 cm³
立方体(サイコロの形)
公式:
体積 = 1辺 × 1辺 × 1辺
例題:
1辺が6cmの立方体の体積は?
計算:
体積 = 6 × 6 × 6 = 216 cm³
円柱(筒の形)
公式:
体積 = 底面積 × 高さ
体積 = 半径 × 半径 × 3.14 × 高さ
例題:
半径5cm、高さ10cmの円柱の体積は?
計算:
体積 = 5 × 5 × 3.14 × 10 = 785 cm³
球(ボールの形)
公式:
体積 = 4/3 × 半径 × 半径 × 半径 × 3.14
例題:
半径3cmの球の体積は?
計算:
体積 = 4/3 × 3 × 3 × 3 × 3.14 ≒ 113.04 cm³
容積の求め方
容積の求め方は、基本的に体積と同じ公式を使います。ただし、容器の内側の寸法を使います。
直方体の容器
公式:
容積 = 内側の縦 × 内側の横 × 内側の高さ
例題:
内側が縦8cm、横6cm、高さ4cmの箱の容積は?
計算:
容積 = 8 × 6 × 4 = 192 cm³ = 192 mL
円柱の容器
公式:
容積 = 底面積 × 深さ
容積 = 半径 × 半径 × 3.14 × 深さ
例題:
内側の半径が4cm、深さ10cmのコップの容積は?
計算:
容積 = 4 × 4 × 3.14 × 10 = 502.4 cm³ ≒ 502 mL
重要な注意点
容器の場合:
- 外側の寸法を測ると体積
- 内側の寸法を測ると容積
厚さを考える:
壁の厚さが1cmの場合、内側の寸法は外側より2cm小さくなります(左右で1cmずつ)。
単位の換算

体積と容積を正しく使うには、単位の換算が大切です。
体積の単位換算
立方メートル(m³):
1 m³ = 100cm × 100cm × 100cm = 1,000,000 cm³
立方センチメートル(cm³):
1 cm³ = 10mm × 10mm × 10mm = 1,000 mm³
容積の単位換算
リットルとミリリットル:
1 L = 1,000 mL
重要な関係:
1 mL = 1 cm³
1 L = 1,000 cm³
1 m³ = 1,000 L
換算の覚え方
1 Lは何cm³?
1 L = 1,000 mL
1 mL = 1 cm³
だから、1 L = 1,000 cm³
1 m³は何L?
1 m³ = 1,000,000 cm³
1,000 cm³ = 1 L
だから、1 m³ = 1,000 L
換算練習問題
問題1: 500 mLは何cm³?
答え:
1 mL = 1 cm³ だから
500 mL = 500 cm³
問題2: 2.5 Lは何mL?
答え:
1 L = 1,000 mL だから
2.5 L = 2,500 mL
問題3: 3 m³は何L?
答え:
1 m³ = 1,000 L だから
3 m³ = 3,000 L
日常生活での使い分け
体積と容積を正しく使い分けることで、より正確に表現できます。
体積を使う場面
物体そのものの大きさを表すとき:
- 「この石の体積は50 cm³です」
- 「荷物の体積が大きすぎて車に入らない」
- 「氷の体積を測る」
- 「木材の体積を計算する」
科学・理科の実験:
- 「物体を水に沈めて、押しのけられた水の体積を測る」
- 「金属の体積を求める」
建築・工事:
- 「コンクリートの体積を計算する」
- 「土砂の体積を測る」
容積を使う場面
容器に入る量を表すとき:
- 「このペットボトルの容積は500 mLです」
- 「水槽の容積は100 Lです」
- 「バケツの容積は10 Lです」
液体を測るとき:
- 「牛乳を200 mL入れる」
- 「ガソリンタンクの容積は50 Lです」
料理:
- 「計量カップで水を250 mL測る」
- 「鍋の容積は3 Lです」
よくある間違い
間違い: 「ペットボトルの体積は500 mLです」
正しい: 「ペットボトルの容積は500 mLです」
理由: 500 mLは中に入る水の量(容積)。ペットボトル本体の体積はもっと大きい。
間違い: 「石の容積を測る」
正しい: 「石の体積を測る」
理由: 石は容器ではないので、容積という言葉は使わない。
実生活での応用例
例1:水槽に必要な水の量
問題:
縦50cm、横30cm、高さ40cmの水槽があります。この水槽に水を入れると、何L必要ですか?
解き方:
これは「容器に入る水の量」なので、容積を求めます。
計算:
容積 = 50 × 30 × 40 = 60,000 cm³
60,000 cm³ = 60,000 mL = 60 L
答え: 60 L必要です。
例2:ペットボトルの体積
問題:
500 mLのペットボトル本体(プラスチック部分も含む)を水に沈めたとき、水面が上がりました。ペットボトルの体積はどう測る?
解き方:
これは「物体全体の大きさ」なので、体積です。
測り方:
- 大きな容器に水を入れる
- ペットボトルを沈める
- 押しのけられた水の量 = ペットボトルの体積
結果:
押しのけられた水が520 mLだった場合、ペットボトルの体積は520 cm³です。
例3:料理での計量
問題:
レシピに「水200 mL」とあります。計量カップで測るとき、何を測っている?
答え:
容積(容量)を測っています。
計量カップの200 mLの目盛りまで水を入れると、水の体積も200 cm³(200 mL)になります。
例4:引っ越しの荷物
問題:
縦40cm、横30cm、高さ25cmの段ボール箱があります。この箱自体の大きさと、中に入る荷物の量は?
答え:
箱の体積(外側):
体積 = 40 × 30 × 25 = 30,000 cm³
箱の容積(内側、壁の厚さ1cm):
内側 = (40-2) × (30-2) × (25-2)
= 38 × 28 × 23 = 24,472 cm³
箱に入る荷物の量は約24,472 cm³(容積)です。
よくある質問
Q1. 体積と容積は同じ単位を使うことがありますか?
A. はい、あります。どちらも cm³(立方センチメートル)を使うことができます。ただし、容積の場合はリットル(L)やミリリットル(mL)を使うことの方が多いです。重要なのは、1 mL = 1 cm³ という関係です。例えば、「500 cm³」も「500 mL」も同じ量を表します。
Q2. 容器の容積と体積は必ず違いますか?
A. はい、必ず違います。容積は容器の内側の空間のみを測りますが、体積は容器の壁の厚さも含めた全体を測るからです。ただし、壁がとても薄い場合(風船など)は、数値的にはほぼ同じになることもあります。
Q3. 「かさ」という言葉も聞きますが、体積や容積と違いますか?
A. 「かさ」は小学校低学年で使う言葉で、液体の量を表すときに使います。高学年になると「容積」という言葉に置き換わります。意味としては容積に近く、「どれだけの量が入るか」を表します。水のかさ、牛乳のかさなど、主に液体に使います。
Q4. 気体にも体積や容積はありますか?
A. はい、あります。気体も空間を占めるため体積があります。例えば、風船の中の空気の体積を測ることができます。また、ボンベやタンクに入る気体の量は容積で表します。ただし、気体は圧力や温度によって体積が変わるため、測定条件を明記する必要があります。
Q5. 不規則な形の物体の体積はどうやって測りますか?
A. 水を使った「水の置換法」が一般的です。手順は以下の通りです:
- メスシリンダーなどに水を入れて、最初の水位を記録
- 測りたい物体を水に沈める
- 水位の上がった量を測る
- 上がった水の量 = 物体の体積
例えば、石を水に沈めて水位が50 mL上がったら、石の体積は50 cm³です。
Q6. 1 Lの水の重さは何kgですか?体積と重さは関係ありますか?
A. 水の場合、1 Lの重さは約1 kgです。ただし、これは水特有の性質です。体積(または容積)と重さ(質量)は別の概念で、物質によって関係が異なります。例えば:
- 水1 L = 約1 kg
- 油1 L = 約0.9 kg
- 水銀1 L = 約13.6 kg
同じ体積でも、物質によって重さが大きく変わります。
Q7. ペットボトルに「500 mL」と書いてあるのは体積ですか、容積ですか?
A. 容積です。これはペットボトルの中に500 mLの液体が入るという意味です。ペットボトル本体(プラスチック部分を含む)の体積は、500 mLよりも大きくなります。
Q8. 学校のテストで「体積を求めなさい」と言われたとき、単位は何を使えばいいですか?
A. 問題文に指定がない場合は、cm³(立方センチメートル)を使うのが一般的です。ただし、容器に入る液体の量を求める問題では、mLやLを使うこともあります。問題文をよく読んで、求められているものが「物体の大きさ(体積)」なのか「容器に入る量(容積)」なのかを判断しましょう。
まとめ
体積と容積の違いをまとめます。
体積(volume):
- 物体そのものが空間に占める大きさ
- 物体全体を測る(容器なら壁も含む)
- 主な単位:cm³、m³(立方体単位)
- 例:石の大きさ、ペットボトル本体の大きさ
容積(capacity):
- 容器の中に入る液体や物質の量
- 容器の内側の空間のみを測る
- 主な単位:L、mL、cm³
- 例:ペットボトルに入る水の量、水槽に入る水の量
重要な関係:
- 1 mL = 1 cm³
- 1 L = 1,000 mL = 1,000 cm³
- 容積 < 体積(容器の場合)
使い分けのポイント:
- 体積:物体そのものの大きさを測るとき
- 容積:容器に何かを入れる量を測るとき
求め方:
- 基本的に同じ公式を使う
- 体積:外側の寸法で計算
- 容積:内側の寸法で計算
日常での例:
- ペットボトルの表示「500 mL」→ 容積
- 石を水に沈めて測る → 体積
- 料理で計量カップを使う → 容積
- 引っ越しの荷物の大きさ → 体積
この違いをしっかり理解すれば、算数や理科の問題がずっと解きやすくなります。また、日常生活でも正しく言葉を使い分けられるようになります。
体積と容積、どちらも「空間の大きさ」を測るという点では共通していますが、「何を測るか」が違うということを忘れないようにしましょう!

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