「時間は誰にとっても同じ速さで流れる」
「光より速く移動することはできない」
「重力は物体を引き寄せる力である」
これらの常識を根本から覆したのが、20世紀最大の物理学者アルベルト・アインシュタインが提唱した「相対性理論」です。
相対性理論は、時間と空間についての私たちの理解を根本から変えた革命的な理論です。
この理論によって、時間が遅れたり、空間が曲がったりすることが明らかになりました。
この記事では、相対性理論とは何か、特殊相対性理論と一般相対性理論の違い、そして私たちの日常生活にどのように関わっているのかを、中学3年生でも理解できるようにわかりやすく解説します。
相対性理論とは
相対性理論(そうたいせいりろん、Theory of Relativity)は、時間と空間(時空間)、そして重力に関する物理学の理論です。
アルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein, 1879-1955)によって提唱されました。
相対性理論は、大きく2つに分けられます。
- 特殊相対性理論(Special Relativity):1905年発表
- 一般相対性理論(General Relativity):1915-1916年発表
特殊相対性理論は、重力がない状況での物理現象を扱い、一般相対性理論は、重力を含むより一般的な状況を扱います。
名前の由来
「相対性理論」という名前は、「絶対的な時間や空間は存在せず、観測者によって相対的に変化する」という考え方に由来します。
ドイツ語では「Relativitätstheorie(レラティヴィテーツテオリー)」と呼ばれます。
この理論は、1906年にマックス・プランクが「相対理論(Relativtheorie)」という表現を使い、同じ年にアルフレート・ブヘラーが初めて「相対性理論(Relativitätstheorie)」という表現を使いました。
アルベルト・アインシュタイン
アルベルト・アインシュタインは、1879年3月14日にドイツのウルムで生まれました。
若き日のアインシュタイン
アインシュタインは、学生時代は決して優等生ではありませんでした。
大学時代の数学の先生であるヘルマン・ミンコフスキーは、アインシュタインが相対性理論を作ったと知って「あの怠け者が?」と言ったそうです。
実際、アインシュタインは興味のない授業には出席せず、興味のあることだけを猛勉強する学生でした。
特許局時代の大発見
大学卒業後、アインシュタインはなかなか職に就けず、1902年にスイスのベルンにある特許局に就職しました。
26歳のとき、特許局の職員として働きながら、彼は物理学の歴史を変える論文を次々と発表しました。
1905年は「奇跡の年(Annus Mirabilis)」と呼ばれ、アインシュタインは以下の画期的な論文を発表しました。
- 光電効果に関する論文(この業績で1921年にノーベル物理学賞を受賞)
- ブラウン運動に関する論文
- 特殊相対性理論に関する論文「動体の電気力学について」
- E=mc²に関する論文
特殊相対性理論を発表してもアインシュタインはなかなか認められず、大学に就職できたのは30歳のときでした。
世界的名声
1919年、イギリスの天文学者アーサー・エディントンが日食観測によって一般相対性理論の予言を確認したことで、アインシュタインは一夜にして世界的に有名になりました。
アインシュタインは、1922年に日本を訪問し、各地で講演を行っています。
特殊相対性理論(1905年)
特殊相対性理論は、1905年にアインシュタインが26歳のときに発表した理論です。
2つの原理
特殊相対性理論は、2つの基本原理に基づいています。
1. 相対性原理(Principle of Relativity)
すべての慣性系(等速直線運動をしている系)において、物理法則は同じである。
2. 光速度不変の原理(Constancy of the Speed of Light)
真空中の光の速度は、光源や観測者の運動状態に関わらず、常に一定である(約30万km/秒)。
この2つの原理は、従来のニュートン力学では矛盾するものでした。
しかし、アインシュタインはこの矛盾を解決するために、時間と空間の概念そのものを変える必要があると考えたのです。
光速について
光の速度は、秒速約30万キロメートル(正確には299,792,458m/秒)です。
これは、1秒間に地球を7周半できる速さです。
光速度不変の原理とは、どんな状況でも光の速度は変わらないということです。
例えば、光の速度で進んでいる光を、秒速10万kmで移動している乗り物で追いかけても、乗り物に乗っている人から見た光の速度は、30万-10万=20万km/秒ではなく、やはり30万km/秒なのです。
これは、私たちの日常の感覚とは全く違います。
時間の遅れ(時間の相対性)
特殊相対性理論の最も驚くべき予言の一つが、「運動している物体の時間は遅れる」というものです。
動いている時計は、止まっている時計に比べてゆっくり進みます。
速く動くほど時間の遅れは大きくなり、光速に近づくと時間はほとんど止まってしまいます。
具体例:双子のパラドックス
有名な思考実験に「双子のパラドックス」があります。
双子の兄弟がいて、兄が光速に近い速度で宇宙旅行に出かけ、弟は地球に残ったとします。
兄が地球に戻ってくると、兄は弟よりも若いままです。
これは実際に起こる現象で、「パラドックス」という名前がついていますが、矛盾ではありません。
実際の観測例
2015年から2016年にかけて、宇宙飛行士のスコット・ケリーは国際宇宙ステーション(ISS)に約1年間滞在しました。
彼の双子の兄弟マーク・ケリーは地球に残っていました。
ISSは秒速約7.7kmで地球の周りを回っているため、時間の遅れが生じます。
その結果、スコットはマークよりも約5ミリ秒(0.005秒)だけ若く帰ってきました。
長さの収縮(空間の相対性)
運動している物体は、進行方向に縮んで見えます。
静止している人から見ると、光速に近い速度で動いている宇宙船は、進行方向に押しつぶされたように見えます。
ただし、宇宙船に乗っている人から見ると、自分の宇宙船は縮んでいません。
逆に、外の世界が縮んで見えるのです。
同時性の相対性
特殊相対性理論では、「同時」という概念も相対的です。
ある場所で同時に起こった2つの出来事が、運動している観測者から見ると同時ではない、ということが起こります。
マイケルソン・モーリーの実験
アインシュタインが特殊相対性理論を考えるきっかけとなった重要な実験が、マイケルソン・モーリーの実験(1887年)です。
19世紀の物理学者たちは、光が伝わる媒質として「エーテル」という物質が宇宙に満ちていると考えていました。
アルバート・マイケルソンとエドワード・モーリーは、地球がエーテルの中を動くことによって生じる「エーテルの風」を検出しようとしました。
しかし、どんなに精密に測定しても、エーテルの風は検出されませんでした。
この結果は、光の速度がどの方向でも同じであることを示しており、光速度不変の原理を支持するものでした。
一般相対性理論(1915-1916年)
特殊相対性理論を発表した後、アインシュタインは理論を加速度運動や重力を含む一般的な状況に拡張しようとしました。
そして、約10年の研究の末、1915年から1916年にかけて一般相対性理論を発表しました。
「人生で最も幸福な考え」
1907年、アインシュタインは後に「人生で最も幸福な考え(the happiest thought of my life)」と振り返るアイデアを思いつきました。
それは、「自由落下している人は重力を感じない」という気づきです。
例えば、エレベーターのケーブルが切れて自由落下しているとき、エレベーター内の人は無重力状態を体験します。
この状態は、宇宙空間で重力のない状態と区別がつきません。
等価原理
一般相対性理論の基礎となるのが「等価原理(Equivalence Principle)」です。
等価原理とは、「重力による加速度と、慣性力による加速度は区別できない」というものです。
電車が急発進したときに後ろに押される力(慣性力)と、重力は本質的に同じものだとアインシュタインは考えました。
重力とは時空の歪み
一般相対性理論の最も革命的な考え方は、「重力とは時空の歪みである」というものです。
ニュートンは、重力を「物体同士が引き合う力」と考えました。
しかし、アインシュタインは、重力は力ではなく、時間と空間(時空)の歪みによって生じる現象だと考えたのです。
わかりやすい比喩
よく使われる比喩として、以下のようなものがあります。
平らに張った布の上にボーリングの球を置くと、布が沈みます。
次に、ビー玉を転がすと、ビー玉はボーリングの球に向かって転がっていきます。
これは、ボーリングの球がビー玉を引っ張っているのではなく、ボーリングの球が布(空間)を歪ませ、その歪みに沿ってビー玉が動いているのです。
同様に、太陽のような巨大な物体は時空を歪ませ、その歪みに沿って地球などの惑星が動いているのです。
リーマン幾何学の導入
時空の歪みを数学的に記述するために、アインシュタインはリーマン幾何学を使いました。
リーマン幾何学は、ドイツの数学者ベルンハルト・リーマンが開発した、曲がった空間を扱う幾何学です。
アインシュタインの大学時代の同級生で、数学者のマルセル・グロスマンが、リーマン幾何学をアインシュタインに紹介しました。
グロスマンは当初、「物理学者が深入りする問題ではない」とアインシュタインに助言したと伝えられています。
しかし、アインシュタインは数年間かけてリーマン幾何学を学び、1915年から1916年にかけて一般相対性理論を完成させました。
アインシュタイン方程式
一般相対性理論の中心となるのが、「アインシュタイン方程式(Einstein Field Equations)」です。
この方程式は、時空の曲がり方(幾何学的性質)と、物質やエネルギーの分布(物理的性質)を結びつけます。
アインシュタイン方程式は、非常に複雑な方程式で、解くのは極めて難しいとされています。
アインシュタイン自身も、この方程式が解けるとは思っていませんでした。
しかし、1915年、ドイツの物理学者カール・シュヴァルツシルトが、球対称な時空に対する最初の厳密解を発見しました。
この解は、後にブラックホールを記述するものとして重要になります。
宇宙定数
1917年、アインシュタインは宇宙論への応用を考え、アインシュタイン方程式に「宇宙定数(Cosmological Constant)」という項を追加しました。
当時は、宇宙は静的(変化しない)であると考えられていたため、アインシュタインは宇宙定数を導入して静的な宇宙を実現しようとしました。
しかし、1929年にエドウィン・ハッブルが宇宙の膨張を発見すると、アインシュタインは宇宙定数の導入を「人生最大の過ち」と呼んだとされています。
興味深いことに、現代の宇宙論では、宇宙の加速膨張を説明するために宇宙定数(または暗黒エネルギー)が再び注目されています。
一般相対性理論の検証
一般相対性理論は、発表当初はあまりにも革命的で複雑なため、「世界で3人しか理解できない」とまで言われました。
しかし、この理論は多くの予言を行い、それらが実験や観測によって次々と確認されていきました。
水星の近日点移動(1915年)
一般相対性理論の最初の成功は、水星の軌道の謎を解いたことでした。
水星は太陽に最も近い惑星で、その軌道は完全な楕円ではなく、少しずつ回転しています(近日点移動)。
19世紀の天文学者たちは、ニュートンの重力理論を使って計算しましたが、観測値と理論値の間に1世紀あたり約43秒角のずれがありました。
このずれを説明するために、当時は太陽の近くに「バルカン」という未知の惑星が存在すると考えられていました。
しかし、アインシュタインは一般相対性理論を使って計算し、このずれを完璧に説明することに成功しました。
新しい惑星を仮定する必要はなかったのです。
エディントンの日食観測(1919年)
一般相対性理論の最も劇的な検証は、1919年5月29日の皆既日食の観測でした。
一般相対性理論は、「光は重力によって曲がる」と予言していました。
太陽のような巨大な天体の近くを通る光は、時空の歪みによって曲がるのです。
イギリスの天文学者アーサー・エディントンは、日食の際に太陽の近くに見える星の位置を測定しました。
日食で太陽が隠れると、通常は太陽の明るさで見えない背後の星が見えるようになります。
もし光が曲がるなら、星は本来の位置からわずかにずれて見えるはずです。
観測の結果、星の位置のずれはアインシュタインの予言と一致しました。
この発見により、アインシュタインは一夜にして世界的に有名になりました。
イギリスの物理学者J.J.トムソンは、この結果を「一つの孤立した結果ではなく、科学的アイデアの大陸全体だ」と評しました。
重力赤方偏移
一般相対性理論は、「強い重力場では時間がゆっくり流れる」と予言します。
これにより、重力の強い場所から発せられた光は、波長が長くなる(赤方偏移する)ことが予測されます。
この効果は、1960年にロバート・パウンドとグレン・レブカによって実験的に確認されました。
重力レンズ効果
重力によって光が曲がる現象は、「重力レンズ効果(Gravitational Lensing)」として天文学で広く観測されています。
遠方の天体からの光が、途中にある銀河や銀河団の重力によって曲げられ、複数の像が見えたり、光が増幅されたりします。
天文学者は、この効果を利用して、遠方の天体や暗黒物質の分布を研究しています。
重力波の検出(2015年)
一般相対性理論は、「重力波(Gravitational Waves)」の存在を予言していました。
重力波とは、巨大な天体が激しく運動するときに生じる、時空の歪みが波として伝わる現象です。
アインシュタインは1916年に重力波の存在を予言しましたが、あまりにも微弱なため検出は不可能だと考えられていました。
しかし、2015年9月14日、アメリカのLIGO(レーザー干渉計重力波観測所)が、2つのブラックホールの合体による重力波を初めて直接検出しました。
この発見は、2016年2月11日に発表され、世界中で大きなニュースになりました。
この業績により、2017年にはライナー・ワイス、バリー・バリッシュ、キップ・ソーンの3人がノーベル物理学賞を受賞しました。
ブラックホール
一般相対性理論から導かれる最も驚くべき予言の一つが、「ブラックホール」です。
ブラックホールとは、非常に強い重力によって、光さえも脱出できない天体です。
1916年にカール・シュヴァルツシルトが発見した解は、後にブラックホールを記述するものとして理解されました。
長い間、ブラックホールは理論上の存在に過ぎないと考えられていましたが、1960年代以降、天文学的観測によってブラックホールの存在が確認されるようになりました。
2019年4月10日、イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)プロジェクトが、M87銀河の中心にある超大質量ブラックホールの「影」の撮影に初めて成功しました。
2022年には、私たちの銀河系(天の川銀河)の中心にあるブラックホール「いて座A*」の撮影にも成功しています。
E=mc²:最も有名な物理学の式
特殊相対性理論から導かれる最も有名な式が、「E=mc²」です。
この式は、1907年にアインシュタインによって導出されました。
式の意味
- E:エネルギー(Energy)
- m:質量(Mass)
- c:光速度(Speed of Light)
この式は、「質量とエネルギーは等価である」ことを示しています。
質量を持つ物体は、たとえ静止していても、膨大なエネルギーを持っています。
そのエネルギーは、質量に光速の2乗をかけたものです。
光速度は秒速約30万kmなので、cの2乗(c²)は約9×10¹⁶ m²/s²という膨大な数値です。
つまり、ほんのわずかな質量でも、莫大なエネルギーに相当するのです。
具体例
1グラムの物質が持つエネルギーは、E = 0.001kg × (3×10⁸ m/s)² = 9×10¹³ ジュール です。
これは、約2500万キロワット時のエネルギーに相当し、一般家庭の約8000年分の電力消費量に匹敵します。
原子力への応用
E=mc²の式は、原子力発電や原子爆弾の原理を説明します。
原子核反応では、反応前後で質量がわずかに減少します。
この減少した質量が、E=mc²に従って膨大なエネルギーに変換されるのです。
アインシュタイン自身は、原子爆弾の開発には直接関与していませんが、1939年にフランクリン・ルーズベルト大統領に宛てて、原子爆弾の可能性について警告する手紙に署名しました。
後年、アインシュタインはこの手紙に署名したことを後悔し、平和運動に尽力しました。
相対性理論の実生活への応用
相対性理論は、一見すると私たちの日常生活とは無縁のように思えます。
しかし、実際には、相対性理論がなければ正確に機能しない技術が身の回りにたくさんあります。
GPS(全地球測位システム)
最も身近な例が、スマートフォンやカーナビで使われているGPS(Global Positioning System)です。
GPSは、地球の周りを回る約30個の人工衛星からの信号を受信して、位置を計算します。
GPSの精度は、数メートル以下という高い精度が求められます。
この精度を実現するために、相対性理論の効果を考慮する必要があります。
特殊相対性理論の効果
GPS衛星は、秒速約3.9km(時速約14,000km)で地球の周りを回っています。
特殊相対性理論によれば、運動している時計は遅れます。
この効果により、GPS衛星の時計は、地上の時計に比べて1日あたり約7マイクロ秒(7μs = 0.000007秒)遅れます。
一般相対性理論の効果
一方、一般相対性理論によれば、重力の弱い場所では時間が速く進みます。
GPS衛星は高度約2万kmの軌道にあり、地上よりも重力が弱いため、衛星の時計は地上の時計に比べて1日あたり約45マイクロ秒速く進みます。
合計の効果
2つの効果を合わせると、GPS衛星の時計は1日あたり約38マイクロ秒(45 – 7 = 38μs)速く進みます。
もし相対性理論の効果を補正しなければ、1日で約11kmもの誤差が生じてしまいます。
現在のGPSシステムは、相対性理論の効果を正確に補正することで、高い精度を実現しています。
粒子加速器
素粒子物理学の研究で使われる粒子加速器では、粒子を光速に近い速度まで加速します。
このような高速で運動する粒子の振る舞いを理解するには、相対性理論が不可欠です。
例えば、ヨーロッパ原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)では、陽子を光速の99.9999991%まで加速します。
この速度では、陽子の質量は静止時の約7,000倍に増加します。
電子機器
相対性理論の効果は、原子番号の大きい元素の性質にも影響します。
例えば、金(Au)が黄色く見えるのは、相対論的効果によって電子の軌道が変化し、特定の波長の光を吸収するためです。
また、水銀(Hg)が常温で液体であることも、相対論的効果が一因とされています。
相対性理論の限界と未来
相対性理論は、現代物理学の2本柱の一つです(もう一つは量子力学)。
しかし、相対性理論にも限界があります。
量子力学との矛盾
一般相対性理論と量子力学は、現時点では統一されていません。
一般相対性理論は、重力を時空の幾何学として記述しますが、量子化(量子力学の枠組みに組み込むこと)しようとすると、無限大の値が現れて計算ができなくなります。
他の力(電磁気力、弱い力、強い力)は量子化に成功していますが、重力だけは量子化できていません。
量子重力理論
一般相対性理論と量子力学を統一する理論を「量子重力理論(Quantum Gravity)」と呼びます。
量子重力理論の有力な候補として、超弦理論(超ひも理論)やループ量子重力理論などが研究されています。
特異点の問題
一般相対性理論は、ブラックホールの中心や宇宙の始まりに「特異点(Singularity)」が存在することを予言します。
特異点とは、密度や曲率が無限大になる点で、物理法則が破綻する場所です。
この問題を解決するためにも、量子重力理論が必要とされています。
相対性理論への反対と誤解
相対性理論は、発表当初から様々な反対や誤解に直面しました。
ナチス・ドイツでの攻撃
1930年代のナチス・ドイツでは、アインシュタインがユダヤ人であったため、相対性理論は「ユダヤ物理学」として攻撃されました。
「ドイツ物理学派」と呼ばれる一派は、相対性理論を否定し、「アーリア物理学」を主張しました。
アインシュタインは1933年にドイツを離れ、アメリカに移住しました。
現代の誤解
現代でも、相対性理論を否定する立場の本が出版されることがあります。
しかし、相対性理論は、多くの実験や観測によって繰り返し検証されており、現代物理学の確立した理論です。
まとめ
相対性理論は、20世紀初頭にアルベルト・アインシュタインによって提唱された、時間と空間、そして重力に関する革命的な物理学の理論です。
相対性理論は、大きく2つに分けられます。
特殊相対性理論(1905年)
- 光速度不変の原理と相対性原理に基づく
- 運動している物体の時間は遅れる(時間の遅れ)
- 運動している物体は縮む(長さの収縮)
- 質量とエネルギーは等価である(E=mc²)
一般相対性理論(1915-1916年)
- 重力は時空の歪みである
- 等価原理に基づく
- アインシュタイン方程式で記述される
- 水星の近日点移動、光の曲がり、重力波、ブラックホールなどを予言
相対性理論の主な検証と応用は以下の通りです。
- 水星の近日点移動の説明(1915年)
- エディントンの日食観測(1919年)
- 重力波の検出(2015年)
- ブラックホールの撮影(2019年、2022年)
- GPS衛星の時刻補正
- 粒子加速器での粒子の振る舞い
相対性理論は、私たちの宇宙観を根本から変えました。
時間は絶対的なものではなく、観測者によって異なります。
空間も絶対的なものではなく、物質やエネルギーによって歪みます。
これらの考え方は、日常の感覚とは大きく異なりますが、実験と観測によって繰り返し確認されています。
相対性理論は、量子力学とともに現代物理学の基礎を成す理論であり、21世紀の今日でも、宇宙の謎を解き明かすための重要な道具として活躍し続けています。

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