メレンゲに塩を入れるべきか?この単純な質問には、驚くべき矛盾が隠されています。
科学的事実: 塩はメレンゲを不安定にする
プロの実践: 多くのシェフは塩を最初から加える
なぜこんな矛盾が生まれるのでしょうか?その答えは「味を優先するか、構造を優先するか」という選択にあります。
🧪 塩がメレンゲに与える影響(簡単に説明)

メレンゲの仕組み
メレンゲは、卵白のタンパク質が空気を包み込んで作る「泡」です。
卵白を泡立てる
↓
タンパク質が網目状につながる
↓
空気を閉じ込めてふわふわに!
塩を入れるとどうなる?
塩を入れると、このタンパク質の「つながり」が邪魔されます。
状態 | 結果 |
---|---|
塩なし | タンパク質がしっかりつながる → 安定した泡 |
塩あり | タンパク質のつながりが弱い → 崩れやすい泡 |
結論: 塩を入れると泡が15-20%泡立ちにくくなり、30%崩れやすくなります。
👨🍳 でも、プロは塩を使っている!

世界の料理学校の教え
料理学校・シェフ | 塩の使い方 |
---|---|
アメリカ料理学院 | 卵白4個に小さじ1/8を最初から |
ピエール・エルメ | フルール・ド・セルで味を引き立てる |
キングアーサー | 風味のために早めに加える |
なぜプロは塩を使うの?
理由はシンプル:味が良くなるからです。
- 甘さが引き立つ
- 味に深みが出る
- プロとしての「美味しさ」を優先
🎯 正しい安定剤の選び方

安定剤の効果比較
安定剤 | 効果 | 使用量(卵白1個) | おすすめ度 |
---|---|---|---|
クリームタルタル | 最も安定 | 小さじ1/8 | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
レモン汁 | 良好 | 小さじ1/4 | ⭐⭐⭐⭐ |
白酢 | 良好 | 小さじ1/4 | ⭐⭐⭐ |
塩 | 不安定化 | 小さじ1/16 | ⭐ |
なし | 基準 | – | ⭐⭐ |
💡 ポイント: クリームタルタルが圧倒的に優秀!
なぜクリームタルタルが良いの?
クリームタルタル(酒石酸)は、卵白を「ちょうど良い」状態にします。
酸性にする → タンパク質が適度にほどける → 理想的な泡に!
塩とは全く逆の働きをするんです。
📊 塩あり・なしの違い(実際どうなる?)
見た目と質感の違い
項目 | 塩あり | 塩なし |
---|---|---|
泡立ち時間 | 遅い(5-6分) | 速い(4分) |
きめ細かさ | 粗い | 細かい |
ツヤ | 少ない | ある |
持続時間 | 短い | 長い |
味 | バランス良い | 甘さが強い |
こんな時は塩を避けるべき
❌ マカロン作り – 安定性が命
❌ 湿度の高い日 – 塩が水分を吸って崩れやすい
❌ 作り置き – 時間とともに水が出てくる
❌ 大事なイベント – 失敗できない時
🍰 用途別のベストな方法

ケース1:とにかく安定したメレンゲが欲しい
方法:
- クリームタルタルを使う(卵白1個に小さじ1/8)
- 塩は入れない
- 砂糖は少しずつ加える
向いている料理: マカロン、パヴロヴァ、メレンゲクッキー
ケース2:美味しさを重視したい
方法:
- メレンゲを作る(塩なしで)
- 完成後に塩をひとつまみ
- さっと混ぜる
向いている料理: レモンメレンゲパイ、ムース、シフォンケーキ
ケース3:簡単に作りたい(初心者向け)
方法:
- スイスメレンゲ法を使う(湯煎で温めながら泡立てる)
- 温度60℃まで加熱
- 熱で安定するので塩の影響が少ない
メリット: 失敗しにくい、殺菌効果もある
💡 よくある間違いと正しい理解
誤解トップ5
誤解 | 真実 |
---|---|
「塩で泡が安定する」 | 逆です。不安定になります |
「塩でボリュームが増える」 | 一時的に見えるだけ。実際は弱い泡 |
「塩も酸も同じ効果」 | 正反対の効果です |
「昔からの方法が一番」 | 塩の使用は比較的最近の習慣 |
「プロの方法が絶対正しい」 | プロは味を優先しているだけ |
🎓 まとめ:あなたはどちらを選ぶ?
2つの道
科学的アプローチ(安定重視)
- クリームタルタル使用
- 塩は最後に少量
- 失敗が少ない
- 長持ちする
プロのアプローチ(味重視)
- 塩を最初から加える
- やや不安定でも味が良い
- 経験とテクニックでカバー
- すぐ使い切る前提
ポイント
- まずは塩なしで練習 – 基本を身につける
- クリームタルタルを買う – 成功率が格段に上がる
- 用途で使い分ける – 見た目重視か味重視か
- 失敗を恐れない – メレンゲは練習で必ず上達する
覚えておくべきこと
✅ 塩は「安定剤」ではなく「調味料」
✅ 科学的には塩は邪魔者
✅ でも味は確実に良くなる
✅ 目的に応じて使い分けが大切
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