はじめに:ダイヤカットって何?
ダイヤモンドを選ぶとき、「カット」という言葉をよく聞きますよね。
実は、この「カット」には2つの大切な意味があるんです。
1. 形としてのカット
- 上から見たときの形(丸、四角、楕円など)
- これを「シェイプ」と呼ぶこともあります
2. 品質としてのカット
- どれだけ上手に磨かれているか
- これが輝きを決める最重要ポイント!
ダイヤモンドには**57〜58個の小さな面(ファセット)**があります。これらが小さな鏡のように光を反射させて、あの美しい輝きを生み出しているんです。
面白いことに、大きくても磨き方が悪いダイヤより、小さくても上手に磨かれたダイヤの方がずっときれいに輝きます。
💎 人気のダイヤカット10選

1. ラウンドブリリアントカット:永遠の定番
特徴:
- 完璧な円形
- 57〜58個のファセット
- 売られているダイヤの70%以上がこの形
なぜ人気? 最も輝きが強く、どんな指にも似合うから。ただし、原石の40%しか使えないので、一番高価になってしまいます。
2. プリンセスカット:モダンな正方形
特徴:
- 正方形で角が尖っている
- 50〜58個のファセット
- ラウンドの次に人気
メリット:
- ラウンドより30〜40%お手頃
- 現代的でスタイリッシュ
- 原石の80%を使えて経済的
注意点: 角が欠けやすいので、保護するセッティングが必要です。
3. エメラルドカット:優雅な長方形
特徴:
- 長方形で角が切り取られた形
- 「鏡の廊下」のような輝き方
- アールデコスタイルの代表
こんな人におすすめ:
- 指を長く見せたい
- 落ち着いた輝きが好き
- ヴィンテージ感を楽しみたい
内包物(中の傷)が見えやすいので、クラリティ(透明度)の高いものを選びましょう。
4. オーバルカット:エレガントな楕円
特徴:
- 楕円形で優雅
- 58個のファセット
- 同じ重さでもラウンドより8%大きく見える
最近とても人気が高まっています。指を長く美しく見せる効果がありますが、カットが悪いと中央に暗い影(ボウタイ)が出ることも。
その他の魅力的なカット
5. ペアシェイプ(涙型)
- ロマンチックな形
- 指を最も長く見せる
6. マーキース(ボート型)
- 同じ重さで最大に見える
- フランス王妃の唇がモチーフ
7. ハートシェイプ
- 究極の愛の象徴
- 技術的に最も難しいカット
8. クッションカット
- 枕のような丸みのある四角
- ヴィンテージな雰囲気
9. アッシャーカット
- エメラルドカットの正方形版
- アールデコの美学
10. ラディアントカット
- 70個のファセット
- エメラルドの形+ブリリアントの輝き
📊 カットの良し悪しはどう決まる?
GIAの5段階評価
アメリカの宝石学会(GIA)が定めた評価基準:
- Excellent(エクセレント):最高級
- Very Good(ベリーグッド):とても良い
- Good(グッド):良い
- Fair(フェア):普通
- Poor(プア):悪い
約55%のダイヤがエクセレント評価ですが、その中でも差があります。
理想的な測定値
カットの良さは、こんな細かい角度で決まります:
- テーブル(上面):53〜58%
- 深さ:59〜63%
- クラウン角度:32〜36度
- パビリオン角度:40.6〜41.0度
ちょっと難しそうですが、要は「光を最も美しく反射する角度」があるということ。この角度がズレると、輝きが弱くなってしまうんです。
✨ ダイヤの輝きの3要素

1. ブリリアンス(白い輝き)
ダイヤに入った光が反射して戻ってくる白い光。これが一番基本的な輝きです。
2. ファイア(虹色の輝き)
プリズムのように光を分解して、虹色に光る現象。キラキラと色とりどりに輝きます。
3. シンチレーション(きらめき)
動かしたときに見える明暗のパターン。チカチカと瞬くような輝きです。
理想的なカットは、この3つがバランスよく組み合わさっています。
🕰️ ダイヤカットの歴史
昔はただ磨くだけだった
14世紀頃、ダイヤモンドはただ表面を磨くだけでした。
今のような複雑なカットができるようになったのは、実は比較的最近のこと。
革命的な発明
1458年:ベルギーで研磨ホイールが発明される 1919年:19歳の青年が数学で完璧な角度を計算!
この青年、マルセル・トルコウスキーが発見した「理想的な58面体」が、今でも世界標準になっています。
現代の技術
今では:
- コンピュータで完璧な設計
- レーザーで精密カット
- AIが最適なカット方法を提案
でも、最高級のダイヤは今でも職人の手で磨かれています。マスターになるには7〜10年の修行が必要なんです。
質の基準ガイド
4Cの優先順位
ダイヤモンドの価値を決める4C。でも、どれを優先すべき?
おすすめの順番:
- Cut(カット):輝きの要!最優先
- Color(カラー):色味
- Clarity(クラリティ):透明度
- Carat(カラット):大きさ
なぜカットが最重要?良いカットは色や傷を目立たなくする効果があるからです。
形による価格の違い
ラウンドを100%とすると:
- プリンセス:30〜40%安い
- エメラルド:20〜35%安い
- オーバル:10〜25%安い
同じ予算でも、形を変えれば大きなダイヤが買えるかも!
🧹 お手入れ方法
日常のケア
基本の清掃方法:
- ぬるま湯に食器用洗剤を少し
- 15〜30分つけ置き
- 柔らかい歯ブラシで優しくこする
- きれいな水ですすぐ
- 柔らかい布で拭く
カット別の注意点
丈夫なカット:
- ラウンド、オーバル、クッション
- 角がないので欠けにくい
デリケートなカット:
- ペア、マーキース、ハート
- 尖った部分は要注意
❓ よくある勘違い
勘違い1:大きければ良い
真実: 小さくても良いカットの方が、大きくて悪いカットより輝きます。
勘違い2:ラウンドが一番
真実: 花嫁の約半数は他の形を選んでいます。好みは人それぞれ!
勘違い3:高ければ良い
真実: 賢く選べば、予算内で素晴らしいダイヤが見つかります。
カットとシェイプの違い
多くの人が混同しますが:
- シェイプ:形のこと(丸、四角など)
- カット:磨きの品質のこと
「プリンセスカット」と言うとき、正確には「プリンセスシェイプ」のことを指しています。
まとめ
ダイヤモンドの美しさは、大きさではなくカットの品質で決まります。
覚えておきたいポイント:
- カットに予算を集中させる
- ファンシーシェイプも検討する
- 定期的なメンテナンスを忘れない
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