「原子」と「分子」…理科の授業で聞いたことはあるけど、違いがよく分からない。
そんな疑問を持っている人、多いんじゃないでしょうか?
実は、私たちの身の回りのすべてのものは、原子と分子でできているんです。
水も空気も、スマホも鉛筆も、そしてあなた自身も!
今回は、この原子と分子の違いを、レゴブロックのような身近な例えを使って、誰でも「なるほど!」と理解できるように解説します。
読み終わる頃には、化学がちょっと身近に感じられるはずです。
まずは原子から理解しよう:物質の最小単位

原子って何?
原子とは、物質を構成する最も小さな粒子のことです。
これ以上分けると、その物質の性質を失ってしまう「究極の粒」といえます。
レゴブロックで例えると
原子を**「1個1個のレゴブロック」**だと考えてください。
- 赤いブロック1個 = 水素原子(H)
- 青いブロック1個 = 酸素原子(O)
- 黄色いブロック1個 = 炭素原子(C)
それぞれのブロック(原子)には、特有の色(性質)があります。
原子の特徴
大きさはどのくらい?
原子の大きさは約0.0000000001メートル(1億分の1センチ)。
髪の毛の太さを100万個に分けたくらいの大きさです。
想像できないくらい小さいですね!
原子の種類
現在発見されている原子は118種類。
そのうち自然界に存在するのは約90種類です。
代表的な原子と記号
- 水素(H):一番軽い原子
- 炭素(C):生物の体を作る主役
- 酸素(O):呼吸に必要
- 鉄(Fe):金属の代表
- 金(Au):貴金属
分子を理解しよう:原子の組み合わせ

分子って何?
分子とは、2個以上の原子が結びついたものです。
原子同士が手をつないで、新しい性質を持つグループを作ったものといえます。
レゴブロックで例えると
分子は**「レゴブロックを組み合わせて作った作品」**です。
- 赤2個をくっつけた = 水素分子(H₂)
- 赤2個と青1個をくっつけた = 水分子(H₂O)
- 黄1個と青2個をくっつけた = 二酸化炭素分子(CO₂)
組み合わせ方によって、全く違う性質のものができあがります!
分子の特徴
同じ原子でできた分子
- 水素分子(H₂):水素原子が2個
- 酸素分子(O₂):酸素原子が2個
- オゾン(O₃):酸素原子が3個
違う原子でできた分子
- 水(H₂O):水素2個 + 酸素1個
- 塩化ナトリウム(NaCl):ナトリウム1個 + 塩素1個
- ブドウ糖(C₆H₁₂O₆):炭素6個 + 水素12個 + 酸素6個
原子と分子の決定的な違い
分かりやすい比較表
項目 | 原子 | 分子 |
---|---|---|
基本の定義 | 物質の最小単位 | 原子が結合したもの |
構成 | それ以上分けられない | 2個以上の原子でできている |
例え | レゴの1個のブロック | レゴで作った作品 |
実例 | H(水素原子) | H₂O(水分子) |
分けられる? | これ以上分けられない | 原子に分けられる |
具体例で理解を深める
水を例に考えてみよう
- 水分子(H₂O)
- 水素原子2個と酸素原子1個が結合
- この組み合わせで「水」の性質を持つ
- 分解すると…
- 水素原子(H)と酸素原子(O)に分かれる
- でも、もう「水」ではなくなる!
- ポイント
- 原子:H や O 単体
- 分子:H₂O という組み合わせ
身近なものは原子?分子?

私たちの周りの物質
分子でできているもの
🔹 水(H₂O)
- 水素原子2個 + 酸素原子1個
- 地球上で最も身近な分子
🔹 二酸化炭素(CO₂)
- 炭素原子1個 + 酸素原子2個
- 呼吸で吐き出す気体
🔹 砂糖(C₁₂H₂₂O₁₁)
- 炭素12個 + 水素22個 + 酸素11個
- 甘さの正体
🔹 塩(NaCl)
- ナトリウム原子1個 + 塩素原子1個
- 料理の必需品
原子単体で存在するもの(単体)
🔸 金属類
- 鉄(Fe)
- 銅(Cu)
- アルミニウム(Al)
🔸 貴ガス
- ヘリウム(He)
- ネオン(Ne)
- アルゴン(Ar)
これらは原子1個1個がそのまま存在しています。
空気の成分で理解する
空気の中身
- 窒素分子(N₂):約78%
- 酸素分子(O₂):約21%
- アルゴン原子(Ar):約0.9%
- 二酸化炭素分子(CO₂):約0.04%
空気は分子と原子の混合物なんです!
よくある勘違いと正しい理解
勘違い1:原子は目に見えない?
半分正解、半分違います
- 原子1個は確かに見えない
- でも原子が集まったものは見える
- 例:鉄は鉄原子の集まり
勘違い2:分子は必ず違う原子の組み合わせ?
これは間違い!
- 同じ原子同士も分子を作る
- 例:酸素分子(O₂)は酸素原子2個
勘違い3:原子と元素は同じ?
微妙に違います
- 元素:原子の種類を表す概念
- 原子:実際の粒子そのもの
- 例:「酸素元素」という種類の「酸素原子」
化学式の読み方:記号の意味を知ろう

基本ルール
数字の意味
- H₂O の「2」:水素原子が2個
- CO₂ の「2」:酸素原子が2個
- 数字がない場合は1個
よく見る化学式
日常生活でよく出会う分子
- H₂O(水) 読み方:エイチツーオー 意味:水素2個 + 酸素1個
- CO₂(二酸化炭素) 読み方:シーオーツー 意味:炭素1個 + 酸素2個
- O₂(酸素) 読み方:オーツー 意味:酸素2個
- C₆H₁₂O₆(ブドウ糖) 読み方:シーロクエイチジュウニオーロク 意味:炭素6個 + 水素12個 + 酸素6個
原子と分子の大きさ比較
スケール感を掴もう
もしも原子がビー玉だったら…
- 原子(ビー玉):直径1cm
- 分子(ビー玉2〜3個):2〜3cm
- 人間:地球より大きい!
これくらいのスケール差があるんです。
実際の大きさ
具体的な数値
- 水素原子:約0.1ナノメートル
- 水分子:約0.3ナノメートル
- DNAの幅:約2ナノメートル
- ウイルス:約100ナノメートル
※1ナノメートル = 10億分の1メートル
原子・分子が関わる身近な現象
料理で起こる化学変化
砂糖がカラメルになる
- 加熱前:砂糖分子(C₁₂H₂₂O₁₁)
- 加熱後:分子が分解・再結合して茶色に
- 原子の種類は同じ、組み合わせが変わる
パンが膨らむ
- イースト菌が砂糖を分解
- 二酸化炭素分子(CO₂)が発生
- 気体の分子がパンを膨らませる
日常の化学反応
鉄がさびる
- 鉄原子(Fe)+ 酸素分子(O₂)
- 酸化鉄(Fe₂O₃)という新しい分子に
火が燃える
- 炭素(C)+ 酸素分子(O₂)
- 二酸化炭素分子(CO₂)+ 熱エネルギー
テストに出る!重要ポイント

覚えておくべき基本事項
原子について
- 物質を構成する最小の粒子
- これ以上分けられない
- 現在118種類が発見されている
分子について
- 2個以上の原子が結合したもの
- 同じ原子同士でも分子になる
- 化学式で表現される
間違えやすいポイント
- 単体と化合物
- 単体:1種類の原子だけ(O₂も単体)
- 化合物:2種類以上の原子(H₂O)
- 原子の個数の数え方
- H₂O:原子は全部で3個(H×2 + O×1)
- CO₂:原子は全部で3個(C×1 + O×2)
- 化学式の書き方
- 数字は右下に小さく書く
- 1個の時は数字を書かない
よくある質問
Q1. 原子はなぜくっつくの?
A. 原子には「電子」という粒子があり、これを共有したり、やり取りすることで結合します。
磁石のN極とS極がくっつくような感じです。
Q2. すべての物質は分子でできている?
A. いいえ、金属のように原子が直接つながっているものもあります。
分子を作らない物質も多く存在します。
Q3. 新しい原子は作れる?
A. 人工的に作ることは可能ですが、とても不安定ですぐに壊れてしまいます。
原子番号93番以降は人工元素です。
まとめ:原子と分子、もう迷わない!
今回は原子と分子の違いについて詳しく解説しました。
覚えておきたい核心
📌 原子とは
- 物質の最小単位
- レゴの1個のブロック
- これ以上分けられない
- 元素記号1文字または2文字で表す
📌 分子とは
- 原子が2個以上結合したもの
- レゴブロックで作った作品
- 原子に分解できる
- 化学式で表現する
📌 決定的な違い
- 原子:それ以上分けられない基本単位
- 分子:原子の組み合わせでできた集合体
📌 身近な例で覚える
- 水(H₂O)は分子
- 鉄(Fe)は原子の集まり
- 空気は分子と原子の混合物
原子と分子の関係は、文字とことばの関係に似ています。
原子が「あ」「い」「う」という一文字なら、分子は「あい」「うみ」という単語のようなもの。
この基本を理解すれば、化学がグッと身近に感じられるはずです。
次に水を飲むとき、「H₂O分子を飲んでいるんだな」と思い出してみてください。
きっと世界の見え方が少し変わるはずです!
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