Arch LinuxやManjaroを使っていて、AURパッケージをインストールしようと
yay -S google-chrome
と入力したときに、
bash: yay: command not found
と表示されて戸惑ったことはありませんか?
このエラーは、yayがまだインストールされていないだけです。
この記事では、yay
とは何か・なぜ必要か・どうやって導入するのかを、初心者にもわかるように詳しく解説します。
そもそもyayとは?AURを扱うための必須ツール!

AUR(Arch User Repository)とは?
AURは、Arch Linuxのユーザーコミュニティが管理する非公式パッケージ集です。
公式リポジトリには含まれていない、多くの便利なソフトウェアが登録されています。
AURに含まれる代表的なソフトウェア:
- Google Chrome
- Visual Studio Code
- Discord
- Spotify
- Zoom
- Android Studio
AURの特徴:
- ユーザーが作成・メンテナンス
- 公式より豊富なソフトウェア
- ソースコードからビルドして使用
yayとは?
yay(Yet Another Yaourt)は、AURを簡単に検索・インストール・管理できるコマンドラインツールです。
yayの主な機能:
- AURパッケージの検索・インストール
- 公式リポジトリとAURの統合管理
- パッケージの自動アップデート
- 依存関係の自動解決
なぜyayが必要?
pacman
はAURに対応していない- 手動でのAURビルドは複雑で時間がかかる
- yayなら
pacman
と同じような操作感でAURが使える
pacmanとyayの違い
項目 | pacman | yay |
---|---|---|
対象リポジトリ | 公式のみ | 公式 + AUR |
インストール方法 | バイナリパッケージ | ソースからビルド(AUR) |
標準インストール | ✅ 標準搭載 | ❌ 手動インストール必要 |
パッケージ数 | 限定的 | 非常に豊富 |
ポイント: yayは、Arch LinuxでAURを活用するための必須ツールです。
エラーの原因:「yay」が入っていないから

エラーメッセージの意味
bash: yay: command not found
このメッセージは、「yayというコマンドがシステムに存在しない」ことを示しています。
主な原因
原因1:yayをまだインストールしていない
- 最も一般的な原因
- Arch Linux系OSでも、yayは標準では入っていません
- 初回は手動でインストールが必要
原因2:パスが通っていない
- yayをインストールしたが、実行パスに含まれていない
- 稀なケースですが、カスタムインストールで発生することがある
原因3:インストールに失敗している
- ビルドエラーで正常にインストールされていない
- 依存関係の不足でビルドが途中で止まった
確認方法
yayの存在確認
# yayがインストールされているか確認
which yay
# 何も表示されない場合は未インストール
パッケージ管理システムでの確認
# pacmanでyayが管理されているか確認
pacman -Qs yay
# AURヘルパーの一覧確認
pacman -Qs aur
解決策:yayを手動でインストールしよう

前提条件の確認
システムの更新
# システムを最新状態に更新
sudo pacman -Syu
インターネット接続の確認
# 接続テスト
ping -c 3 archlinux.org
ステップ1:ビルドに必要なツールをインストール
sudo pacman -S git base-devel
各パッケージの説明:
- git:ソースコードのクローンに必要
- base-devel:コンパイルとビルドに必要なツール群
- gcc(コンパイラ)
- make(ビルドツール)
- fakeroot(パッケージ作成ツール)
- その他のビルド必須ツール
base-develの詳細確認
# base-develに含まれるパッケージ確認
pacman -Sg base-devel
ステップ2:yayのソースコードをクローン
# 一時ディレクトリに移動
cd /tmp
# yayのAURリポジトリをクローン
git clone https://aur.archlinux.org/yay.git
# クローンしたディレクトリに移動
cd yay
注意点:
/tmp
ディレクトリを使用(再起動時に自動削除される)- ホームディレクトリでも問題ありませんが、後でクリーンアップが必要
クローンの確認
# ディレクトリの内容確認
ls -la
# PKGBUILDファイルの存在確認
cat PKGBUILD | head -10
ステップ3:ビルドとインストール
makepkg -si
オプションの説明:
- -s (–syncdeps):依存パッケージを自動インストール
- -i (–install):ビルド成功後に自動インストール
ビルドプロセスの詳細
# より詳細な出力でビルド
makepkg -si --noconfirm
# 依存関係のみ確認したい場合
makepkg --printsrcinfo
ステップ4:インストール確認
# yayのバージョン確認
yay --version
# yayの場所確認
which yay
# 基本的な動作テスト
yay --help
成功時の出力例:
$ yay --version
yay v12.0.5 - libalpm v13.0.2
ステップ5:初回設定(オプション)
# yayの設定ファイル確認
yay --show
# AURの確認
yay -Ss google-chrome
高度なインストール方法
方法1:paru(yayの代替)をインストール
cd /tmp
git clone https://aur.archlinux.org/paru.git
cd paru
makepkg -si
方法2:事前ビルド済みバイナリを使用(非推奨)
# 公式ではないため推奨されません
# セキュリティリスクがあります
方法3:他のAURヘルパーから移行
# aurutilsからの移行例
sudo pacman -Rs aurutils
# その後、上記手順でyayをインストール
トラブルシューティング

よくあるエラーと対処法
エラー1:「makepkg: command not found」
# 症状
makepkg -si
# bash: makepkg: command not found
原因: base-devel
がインストールされていない
対処法:
sudo pacman -S base-devel
エラー2:「Permission denied」
# 症状
makepkg -si
# ==> ERROR: Running makepkg as root is not allowed
原因: rootユーザーでmakepkgを実行している
対処法:
# 一般ユーザーでログインし直す
exit # rootから出る
# 一般ユーザーで再実行
makepkg -si
エラー3:「依存関係の解決ができない」
# 症状
==> ERROR: Could not resolve all dependencies
対処法:
# システム更新
sudo pacman -Syu
# 手動で依存パッケージをインストール
sudo pacman -S [依存パッケージ名]
# 再ビルド
makepkg -si
エラー4:「git clone failed」
# 症状
fatal: unable to access 'https://aur.archlinux.org/yay.git/'
対処法:
# DNS設定確認
nslookup aur.archlinux.org
# プロキシ設定の確認
echo $http_proxy
echo $https_proxy
# 接続テスト
curl -I https://aur.archlinux.org/
エラー5:「yay: command not found」(再発)
確認手順:
# インストール場所確認
find /usr -name "yay" 2>/dev/null
# パス確認
echo $PATH
# 手動実行テスト
/usr/bin/yay --version
対処法:
# シェルの再読み込み
source ~/.bashrc
# パスの追加(必要な場合)
export PATH="/usr/bin:$PATH"
# 永続化
echo 'export PATH="/usr/bin:$PATH"' >> ~/.bashrc
yayの基本的な使い方
パッケージの検索
# AURでパッケージ検索
yay -Ss google-chrome
# 詳細情報表示
yay -Si google-chrome
パッケージのインストール
# 基本インストール
yay -S google-chrome
# 確認なしでインストール
yay -S --noconfirm visual-studio-code-bin
パッケージの更新
# システム全体更新(公式 + AUR)
yay -Syu
# AURパッケージのみ更新
yay -Sua
パッケージの削除
# パッケージ削除
yay -R package-name
# 設定ファイルも含めて完全削除
yay -Rns package-name
便利なオプション
# インストール済みAURパッケージ一覧
yay -Qm
# 不要な依存パッケージ削除
yay -Yc
# キャッシュクリーンアップ
yay -Sc
セキュリティ考慮事項
AUR使用時の注意点
PKGBUILDの確認
# インストール前にPKGBUILDを確認
yay -S --editmenu package-name
信頼できるメンテナーの確認
- AURページでメンテナー情報をチェック
- コメントや投票数を参考にする
- 最終更新日を確認
定期的な更新
# 定期的なシステム更新
yay -Syu
よくある質問と答え
Q: yayは安全ですか? A: yay自体は安全ですが、AURパッケージは事前にPKGBUILDを確認することを推奨します。
Q: yay以外のAURヘルパーはありますか? A: はい。paru、aurman、trizen などがありますが、yayが最も人気です。
Q: 公式パッケージとAURパッケージの優先順位は? A: 公式パッケージが優先されます。同名パッケージがある場合は公式が選ばれます。
Q: yayをアンインストールするには? A: sudo pacman -R yay
でアンインストールできます。
まとめ:「yay: command not found」はAURユーザーの最初の壁!
重要ポイントまとめ:
ステップ | コマンド | 説明 |
---|---|---|
環境準備 | sudo pacman -S git base-devel | ビルド環境の構築 |
ソース取得 | git clone https://aur.archlinux.org/yay.git | yayのクローン |
ビルド実行 | cd yay && makepkg -si | ビルドとインストール |
動作確認 | yay --version | インストール確認 |
解決のポイント:
base-devel
パッケージが必須- 必ず一般ユーザー権限でビルド
- システムを最新状態に保つ
- エラーメッセージをしっかり読む
Arch Linuxやその派生ディストリビューションでは、AURパッケージを使うためにyay
は必須のツールです。
このエラーが出たら、まずは落ち着いてgit clone
からmakepkg -si
の手順を実行すればOKです。
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