「XMLファイルを編集したいけど、どのソフトを使えばいいかわからない…」
「メモ帳だと見づらいし、もっとタグ構造がきれいに見えるツールはないの?」
「無料で使えて、初心者でも簡単に使えるXMLエディタってあるの?」
XML(エックスエムエル)はデータ構造を扱うファイルとして、システム設定やデータ交換、Webサービスの連携など、様々な場面でよく使われます。
でもXMLはタグが多いので、普通のテキストエディタだと次のような問題があります:
- どこがどの階層かわからない
- タグの対応関係が見えない
- エラーがあっても気づきにくい
- 整形されていないと読みにくい
この記事では、初心者でも無料で使いやすいXMLエディタから、業務用にもしっかり使える高機能ツールまで、おすすめを厳選して紹介します。それぞれの特徴や選び方も合わせて解説するので、あなたにピッタリのXMLエディタがきっと見つかります。
メモ帳でXMLを編集する際の問題点

よくある困りごと
構造がわからない
<order><customer><name>田中太郎</name><email>tanaka@example.com</email></customer><items><item><product>ノートPC</product><price>80000</price></item></items></order>
メモ帳だとこんなふうに一行で表示されて、どこが何だかわかりません。
エラーに気づかない
<order>
<customer>
<name>田中太郎</name>
<email>tanaka@example.com</email>
<!-- </customer> の閉じ忘れ -->
<items>
<item>
<product>ノートPC</product>
</item>
</items>
</order>
タグの閉じ忘れがあっても、メモ帳では気づけません。
専用エディタを使うメリット
専用のXMLエディタを使うと:
- 構造が見やすい:ツリー表示や色分け
- エラーがすぐわかる:リアルタイムチェック
- 自動整形:きれいに並び替えてくれる
- 効率的な編集:タグの自動補完など
XMLエディタを選ぶポイント

見やすさ(構造表示)
シンタックスハイライト
タグや属性、値などが色分けされて表示される機能です。
ツリー表示
XMLの階層構造をツリー形式で表示する機能です。
インデント
階層に応じて字下げされて表示される機能です。
バリデーション(エラー検証)
リアルタイムチェック
入力しながらその場でエラーを検出してくれる機能です。
エラーの種類
- タグの閉じ忘れ
- 属性値の書き方ミス
- 不正な文字の使用
- スキーマとの不整合
整形(フォーマット)
自動整形
ぐちゃぐちゃに並んだXMLをきれいに整形(インデントを揃える)してくれる機能です。
カスタマイズ
- インデントの幅(2スペース、4スペースなど)
- 改行の仕方
- 属性の並び方
その他の便利機能
自動補完
タグ名や属性名を途中まで入力すると候補を表示してくれる機能です。
検索・置換
大きなXMLファイルでの特定の要素を見つけたり、一括で変更したりする機能です。
スキーマ対応
XML Schema(XSD)やDTDとの照合機能です。
おすすめの無料XMLエディタ5選

1. Visual Studio Code(VSCode)
基本情報
- 開発元:Microsoft
- 対応OS:Windows、Mac、Linux
- ライセンス:無料
- サイズ:約100MB
特徴
多機能で拡張性が高い
- XML以外にも多くのプログラミング言語に対応
- 豊富な拡張機能で機能を追加可能
- Git連携などの開発ツールも充実
XMLでの主要機能
- シンタックスハイライト:標準で対応
- 拡張機能「XML Tools」:整形、バリデーション機能
- 拡張機能「XML Language Support」:自動補完、エラー検出
インストールと設定
VSCodeのインストール
- https://code.visualstudio.com/ からダウンロード
- インストーラーを実行
- セットアップ完了
XML用拡張機能のインストール
- VSCodeを起動
- 左サイドバーの「拡張機能」をクリック
- 「XML Tools」で検索してインストール
- 「XML Language Support by Red Hat」もインストール
使い方
基本的な編集
- XMLファイルを開く(
.xml
拡張子で自動認識) - タグが色分けされて表示される
Ctrl+Shift+P
でコマンドパレット呼び出し- 「XML Tools: Format」で整形実行
便利なショートカット
Ctrl+K Ctrl+F
:選択部分の整形Ctrl+Shift+P
:コマンドパレットCtrl+F
:検索Ctrl+H
:置換
こんな人におすすめ
- XML以外の開発ファイルも扱う人
- カスタマイズして自分用の環境を作りたい人
- Git連携などの開発機能も使いたい人
- 将来的にプログラミングも学びたい人
メリット・デメリット
メリット
- 豊富な拡張機能
- 活発なコミュニティ
- 定期的なアップデート
- 多言語対応
デメリット
- やや重い(起動時間、メモリ使用量)
- 初心者には機能が多すぎることも
- 拡張機能の設定が必要
2. Notepad++
基本情報
- 開発元:Don Ho
- 対応OS:Windows専用
- ライセンス:無料(GPL)
- サイズ:約4MB
特徴
軽量で高速
- 起動が速い
- メモリ使用量が少ない
- 古いPCでもサクサク動作
XMLサポート
- シンタックスハイライト:標準で対応
- XML Tools プラグイン:整形、バリデーション機能
- ツリー表示:プラグインで実現可能
インストールと設定
Notepad++のインストール
- https://notepad-plus-plus.org/ からダウンロード
- インストーラーを実行
- セットアップ完了
XML Tools プラグインのインストール
- Notepad++を起動
- 「プラグイン」→「Plugin Manager」→「Show Plugin Manager」
- 「XML Tools」を検索してインストール
- 再起動
使い方
基本的な編集
- XMLファイルを開く
- 「言語」→「XML」を選択(自動認識されることが多い)
- タグが色分けされて表示される
XML Tools の使用
- 「プラグイン」→「XML Tools」を選択
- 「Pretty print (XML only – with line breaks)」で整形
- 「XML Syntax Check」でバリデーション
こんな人におすすめ
- とにかく軽くてサクサク動くものが欲しい人
- 古いPCやVM環境で使いたい人
- Windowsをメインで使っている人
- シンプルな機能で十分な人
メリット・デメリット
メリット
- 非常に軽量
- 起動が速い
- 長年の実績
- プラグインが豊富
デメリット
- Windows専用
- UIが古い感じ
- 標準ではXML機能が限定的
- プラグインの設定が必要
3. Sublime Text
基本情報
- 開発元:Sublime HQ
- 対応OS:Windows、Mac、Linux
- ライセンス:基本無料(購入推奨)
- サイズ:約20MB
特徴
高速で美しいUI
- キー入力のレスポンスが非常に良い
- モダンで洗練されたデザイン
- カスタマイズ性が高い
XMLサポート
- シンタックスハイライト:標準で対応
- Package Control:機能拡張システム
- XML関連パッケージが多数利用可能
インストールと設定
Sublime Textのインストール
- https://www.sublimetext.com/ からダウンロード
- インストーラーを実行
- セットアップ完了
Package Controlのインストール
Ctrl+Shift+P
でコマンドパレット呼び出し- 「Install Package Control」を実行
- XMLパッケージをインストール(「XML」、「Pretty JSON」など)
使い方
基本的な編集
- XMLファイルを開く
- 右下の言語設定を「XML」に変更
- タグが色分けされて表示される
パッケージの活用
Ctrl+Shift+P
でコマンドパレット- インストールしたパッケージのコマンドを実行
- XML整形やバリデーション
こんな人におすすめ
- コード編集をストレスなくしたい人
- VSCodeは重いと感じる人
- 美しいUIにこだわりたい人
- カスタマイズを楽しみたい人
メリット・デメリット
メリット
- 非常に高速
- 美しいUI
- 豊富なカスタマイズ
- マルチプラットフォーム
デメリット
- 購入ダイアログが定期的に表示
- 標準ではXML機能が限定的
- パッケージの設定が必要
4. XML Copy Editor
基本情報
- 開発元:Gerald Schmidt
- 対応OS:Windows、Linux(Macは非公式)
- ライセンス:無料(GPL)
- サイズ:約10MB
特徴
XML専用エディタ
- XMLに特化した機能
- DTDやXSDによるバリデーション機能
- XSLT変換機能
業務向け機能
- スキーマ検証が標準装備
- Well-formedness チェック
- エンコーディング対応
インストールと設定
XML Copy Editorのインストール
- http://xml-copy-editor.sourceforge.net/ からダウンロード
- インストーラーを実行
- セットアップ完了
使い方
基本的な編集
- XMLファイルを開く
- 自動的にシンタックスハイライト
- 「Tools」→「Check well-formedness」でチェック
スキーマ検証
- 「Tools」→「Validate」
- DTDまたはXSDファイルを指定
- バリデーション結果を確認
こんな人におすすめ
- 純粋にXML専用エディタが欲しい人
- スキーマチェックも必要な業務用途の人
- XSLT変換も行いたい人
- 軽量でありながら高機能を求める人
メリット・デメリット
メリット
- XML専用設計
- スキーマ検証機能
- 軽量
- 無料
デメリット
- Mac対応が不完全
- UIが古い
- 他の言語には対応しない
- アップデートが少ない
5. Online XML Editor(ブラウザツール)
基本情報
- 提供元:各種Webサービス
- 対応OS:ブラウザがあればどこでも
- ライセンス:無料
- サイズ:インストール不要
主要なオンラインツール
1. JSON Formatter & Validator
- URL:https://jsonformatter.org/xml-formatter
- 機能:整形、バリデーション、ミニファイ
2. Code Beautify XML Viewer
- URL:https://codebeautify.org/xmlviewer
- 機能:ツリー表示、整形、検証
3. FreeFormatter.com XML Formatter
- URL:https://www.freeformatter.com/xml-formatter.html
- 機能:詳細な整形オプション
特徴
インストール不要
- ブラウザがあればすぐ使える
- OS問わず利用可能
- アップデートやメンテナンス不要
基本機能
- 整形(Pretty Print)
- ミニファイ(圧縮)
- バリデーション
- ツリー表示
使い方
基本的な使用方法
- ブラウザでオンラインツールにアクセス
- XMLコードをテキストエリアに貼り付け
- 「Format」や「Validate」ボタンをクリック
- 結果をコピーして使用
こんな人におすすめ
- ちょっと確認したいだけの人
- 社内PCにソフトを入れられない人
- 外出先で急にXMLを見る必要がある人
- 複数のPCで作業する人
メリット・デメリット
メリット
- インストール不要
- どこでも使える
- 最新版を常に利用
- 多機能
デメリット
- インターネット接続が必要
- 機密データの扱いに注意
- 大きなファイルは扱いにくい
- オフラインで使えない
用途別おすすめエディタ

初心者・一般ユーザー向け
最もおすすめ:Visual Studio Code
理由:
- 無料で高機能
- 日本語対応
- 豊富なドキュメント
- 将来性がある
設定の流れ:
- VSCodeをインストール
- XML拡張機能を追加
- 基本的な使い方を覚える
軽さ重視の人向け
最もおすすめ:Notepad++
理由:
- 非常に軽量
- 起動が速い
- Windows環境で安定
注意点:
- Windows専用
- プラグイン設定が必要
業務・本格利用向け
最もおすすめ:XML Copy Editor + VSCode
理由:
- 専用エディタの確実性
- 汎用エディタの利便性
- 用途によって使い分け
使い分け:
- XML Copy Editor:スキーマ検証、重要な編集
- VSCode:日常的な編集、他ファイルとの連携
一時的な利用・確認のみ
最もおすすめ:Online XML Editor
理由:
- インストール不要
- すぐに使える
- 基本機能は十分
おすすめサイト:
- Code Beautify XML Viewer
- JSON Formatter XML Tool
エディタの詳細比較
機能比較表
機能 | VSCode | Notepad++ | Sublime Text | XML Copy Editor | Online Tools |
---|---|---|---|---|---|
基本機能 | |||||
シンタックスハイライト | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
自動整形 | ○※1 | ○※1 | ○※1 | ○ | ○ |
ツリー表示 | ○※1 | ○※1 | △※1 | ○ | ○ |
検証機能 | |||||
Well-formedness チェック | ○※1 | ○※1 | ○※1 | ○ | ○ |
DTD検証 | ○※1 | △ | △ | ○ | △ |
XSD検証 | ○※1 | △ | △ | ○ | △ |
その他 | |||||
自動補完 | ○※1 | △ | ○※1 | ○ | × |
マルチファイル編集 | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
日本語表示 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
※1 拡張機能やプラグインが必要
パフォーマンス比較
エディタ | 起動時間 | メモリ使用量 | 大きなファイル | 複数ファイル |
---|---|---|---|---|
VSCode | 普通(2-3秒) | 中(100-200MB) | 普通 | 得意 |
Notepad++ | 高速(1秒未満) | 軽(20-50MB) | 得意 | 得意 |
Sublime Text | 高速(1秒未満) | 軽(30-80MB) | 得意 | 得意 |
XML Copy Editor | 高速(1秒未満) | 軽(10-30MB) | 普通 | 普通 |
Online Tools | – | – | 苦手 | 苦手 |
実際の使用例とコツ

VSCodeでのXML編集
効率的な編集方法
1. ワークスペースの設定
{
"xml.format.enabled": true,
"xml.format.splitAttributes": true,
"xml.validation.enabled": true
}
2. 便利なショートカット
Alt+Shift+F
:ファイル全体を整形Ctrl+K Ctrl+0
:全ての階層を折りたたみCtrl+K Ctrl+J
:全ての階層を展開
XML拡張機能の活用
XML Tools の機能
- 整形:きれいに並び替え
- XPath評価:特定要素の検索
- XQuery実行:データ抽出
Notepad++での効率的作業
プラグインの活用
XML Tools の便利機能
- Pretty print:整形
- Linearize:一行にまとめる
- Current XML Path:現在位置の表示
カスタマイズ設定
スタイル設定
- 「設定」→「スタイル設定」
- 言語を「XML」に変更
- 色やフォントをカスタマイズ
よくあるトラブルと対処法
文字化け問題
原因:
- 文字エンコーディングの不一致
- BOMの有無
対処法:
- エディタでエンコーディングを確認
- UTF-8で保存し直す
- XML宣言を正しく記述
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
整形がうまくいかない
原因:
- XMLの構文エラー
- 混在コンテンツ
対処法:
- バリデーションでエラーチェック
- エラー箇所を修正
- 再度整形実行
大きなファイルの処理
問題:
- エディタが重くなる
- 応答しなくなる
対処法:
- ファイルを分割
- 軽量エディタに変更
- ストリーミング処理ツールを検討
高度な活用方法

スキーマ(XSD)の活用
XML Schemaとは
XMLの構造や内容を定義するファイルです。
スキーマ検証の利点
- データの妥当性確認
- エラーの早期発見
- 自動補完の精度向上
実際の使用例
1. スキーマファイルの準備
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<xs:schema xmlns:xs="http://www.w3.org/2001/XMLSchema">
<xs:element name="product">
<xs:complexType>
<xs:sequence>
<xs:element name="name" type="xs:string"/>
<xs:element name="price" type="xs:decimal"/>
</xs:sequence>
</xs:complexType>
</xs:element>
</xs:schema>
2. XMLファイルでの参照
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<product xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance"
xsi:noNamespaceSchemaLocation="product.xsd">
<name>ノートパソコン</name>
<price>89800</price>
</product>
バッチ処理での活用
複数ファイルの一括処理
VSCodeでの方法
- 拡張機能「Multi-command」をインストール
- 複数ファイルを選択
- 一括で整形やバリデーション実行
コマンドラインツールの活用
# xmllintを使った一括整形
for file in *.xml; do
xmllint --format "$file" > "formatted_$file"
done
自動化の設定
VSCodeでの自動整形
設定方法
- 「設定」→「テキストエディター」→「書式設定」
- 「保存時にフォーマット」をオン
- XMLファイル保存時に自動整形
エラー検出の自動化
リアルタイムバリデーション
- XML Language Support拡張機能をインストール
- 入力中にエラーが赤線で表示
- 問題パネルでエラー一覧を確認
まとめ
自分に合ったエディタの選び方
用途 | おすすめエディタ | 理由 |
---|---|---|
XML初心者 | Visual Studio Code | 高機能で将来性があり、学習コストも適度 |
軽さ重視 | Notepad++ | 軽量でサクサク動作、Windows定番 |
美しいUI重視 | Sublime Text | 高速で洗練されたデザイン |
XML専門作業 | XML Copy Editor | 専用エディタで堅牢、業務向け |
一時的な確認 | Online XML Editor | インストール不要、どこでも使える |
チーム開発 | Visual Studio Code | 設定共有や拡張機能の統一が容易 |
機能別重要度
機能 | 初心者 | 中級者 | 上級者 | 業務用 |
---|---|---|---|---|
シンタックスハイライト | ★★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★ |
自動整形 | ★★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★ |
バリデーション | ★★☆ | ★★★ | ★★★ | ★★★ |
スキーマ検証 | ★☆☆ | ★★☆ | ★★★ | ★★★ |
自動補完 | ★★☆ | ★★★ | ★★★ | ★★☆ |
ツリー表示 | ★★☆ | ★★★ | ★★☆ | ★★★ |
最終的なおすすめ
迷ったらこれ:Visual Studio Code
理由:
- 無料で高機能
- 豊富な拡張機能
- アクティブなコミュニティ
- 将来性が高い
- 初心者から上級者まで対応
セットアップ手順
- VSCode公式サイトからダウンロード
- インストール実行
- 「XML Tools」拡張機能をインストール
- 「XML Language Support by Red Hat」をインストール
- XMLファイルを開いて動作確認
用途別の使い分け
日常的なXML編集:Visual Studio Code
軽量さが必要な場面:Notepad++
一時的な確認:Online XML Editor
スキーマ検証が重要:XML Copy Editor
用途やパソコンの性能によってベストな選択肢は変わります。「ちょっとだけ開きたい」「大量のXMLを日常的に扱う」など、あなたの状況に合わせてぜひ試してみてくださいね。
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