「本文の近くに補足情報を入れたい」「右端や下端にメモを添えたい」――そんなときに便利なのが「欄外に文字を表示する」テクニックです。Wordでは、ちょっとした設定や工夫で、欄外に自由に文字を配置できます。この記事では、Wordで欄外に文字を表示する4つの方法を、目的別にわかりやすく紹介します。
欄外に文字を配置する場面

よくある使用例
学術文書・論文
- 参考文献の引用:本文中の数字と下部の文献情報
- 用語解説:専門用語の詳細説明
- 補足情報:本文を妨げない追加説明
- 注意事項:読み手への重要な注記
ビジネス文書
- 会社情報:ページ下部の連絡先
- 機密区分:「社外秘」「重要」などの表示
- 補足説明:図表やグラフの詳細解説
- 免責事項:法的な注意書き
教材・マニュアル
- 操作のヒント:手順の補足説明
- 注意喚起:安全に関する重要事項
- 参考情報:関連する追加データ
- 用語集:専門用語の意味
欄外配置のメリット
読みやすさの向上
- 本文の流れを妨げない
- 必要な人だけが参照できる
- 情報の階層化が明確
- ページレイアウトが美しい
情報管理の効率化
- 関連情報を近くに配置
- 検索・参照が簡単
- 更新・修正が容易
- 印刷時の調整が可能
方法①:テキストボックスを使って欄外に文字を配置
基本手順
- 「挿入」→「テキストボックス」→「横書きテキストボックス」を選択
- 欄外に配置したい場所(余白近く)にドラッグして描く
- 必要な文字を入力し、文字サイズや配置を調整
- テキストボックスの「枠線なし」「塗りつぶしなし」に設定すると自然な見た目に
詳細な設定方法
テキストボックスの作成
基本操作:
- 「挿入」タブをクリック
- 「テキスト」グループの「テキストボックス」を選択
- 「横書きテキストボックス」または「縦書きテキストボックス」を選択
- 配置したい場所でドラッグして枠を作成
見た目の調整
枠線と背景の削除:
- テキストボックスを選択
- 「図形の書式」タブをクリック
- 「図形の枠線」→「枠線なし」
- 「図形の塗りつぶし」→「塗りつぶしなし」
文字の書式設定:
- テキストボックス内の文字を選択
- フォント、サイズ、色を調整
- 行間や文字間隔も設定可能
位置の調整
精密な配置:
- テキストボックスを右クリック
- 「レイアウトの詳細設定」または「位置」を選択
- 水平位置:「右余白」「左余白」など
- 垂直位置:「ページ上端から○cm」など
アンカー設定:
- 「文字列の折り返し」を「背面」に設定
- 本文と重ならないよう配置
- 「アンカーを段落に固定」で位置を安定化
この方法のメリット・デメリット
メリット
- 自由度が高い:右端・左端・上下どこでも配置可能
- 移動が簡単:ドラッグで位置変更
- 書式自由:文字サイズ、色、背景を自由設定
- 図表との連携:図表の補足説明に便利
デメリット
- 印刷範囲の注意:余白からはみ出る可能性
- 文字列の折り返し:本文との位置関係に注意
- ページ跨ぎ:複数ページには手動設定が必要
応用テクニック
吹き出し形式の注記
- 「挿入」→「図形」→「吹き出し」
- 本文の該当箇所から矢印を引く
- 視覚的に分かりやすい注記
色分けによる分類
- 重要事項:赤文字
- 補足情報:青文字
- 注意事項:オレンジ文字
方法②:ヘッダー・フッターを使う(ページ外上部・下部に文字)
基本手順
- 「挿入」→「ヘッダー」または「フッター」をクリック
- 表示された欄に文字を入力
- 「ヘッダーとフッター ツール」で位置や書式を調整
詳細な設定方法
ヘッダーの設定
基本操作:
- 「挿入」タブ→「ヘッダーとフッター」グループ
- 「ヘッダー」をクリック
- スタイルを選択または「ヘッダーの編集」
カスタマイズ:
- ヘッダー領域がアクティブになる
- 文字入力、書式設定が可能
- 「ヘッダーとフッター」タブで詳細設定
フッターの設定
基本操作:
- 「挿入」タブ→「フッター」
- スタイル選択または「フッターの編集」
- 下部欄に文字入力
自動挿入項目:
- ページ番号:「ページ番号の挿入」
- 日付:「日付と時刻の挿入」
- 文書タイトル:「文書情報の挿入」
高度な設定
セクション別の設定
異なる内容の表示:
- 「レイアウト」→「区切り」→「セクション区切り」
- セクションごとに異なるヘッダー・フッター
- 「前と同じヘッダー・フッター」のリンクを解除
奇数・偶数ページの使い分け
- 「ヘッダーとフッター」タブ
- 「奇数/偶数ページ別指定」にチェック
- 左右で異なる内容を表示
先頭ページのみ別指定
- 「先頭ページのみ別指定」にチェック
- 表紙とその他ページで異なる設定
- 表紙にはヘッダー・フッターなしも可能
この方法のポイント
適用範囲
- 全ページ共通:書類全体の情報表示
- 著作権表示:©マークや会社名
- 機密区分:「社外秘」「重要」表示
- 連絡先情報:会社住所や電話番号
レイアウトのコツ
- 本文との距離を適切に保つ
- フォントサイズは本文より小さく
- 中央・左右揃えを使い分け
方法③:脚注を使って欄外下部に注記を表示

基本手順
- 注釈を入れたい語句にカーソルを置く
- 「参考資料」タブ →「脚注の挿入」
- ページ下部に自動的に欄外注記が追加される
詳細な操作方法
脚注の挿入
基本操作:
- 注釈したい単語の直後にカーソル
- 「参考資料」タブをクリック
- 「脚注」グループの「脚注の挿入」
自動機能:
- 上付き数字が自動挿入(¹²³)
- ページ下部に対応する注釈欄
- 番号は自動で連番管理
脚注の書式設定
番号形式の変更:
- 「参考資料」→「脚注」グループの右下矢印
- 「脚注と文末脚注」ダイアログ
- 番号形式:1,2,3 / i,ii,iii / a,b,c など
位置と表示の調整:
- 脚注:各ページの下部
- 文末脚注:文書の最後
- 区切り線:本文との境界線
脚注の高度な活用
複数の脚注管理
連続する脚注:
- 複数箇所に脚注を挿入
- 自動的に番号が振られる
- 追加・削除で番号が自動調整
脚注の移動・削除:
- 本文の上付き数字を削除すると脚注も削除
- 脚注の順序は本文の順序に連動
- コピー&ペーストでも脚注が連動
カスタマイズ
脚注区切り線の変更:
- 「表示」→「下書き」表示
- 「参考資料」→「ノートの表示」
- 区切り線の編集が可能
この方法のメリット
学術文書での活用
- 参考文献:引用元の明記
- 補足説明:専門用語の解説
- 計算過程:数式の詳細
- 統計データ:調査結果の詳細
自動管理の利点
- 番号付けが自動
- 追加・削除で番号再調整
- ページ跨ぎでも適切に表示
- 印刷時も正確に出力
方法④:余白ギリギリに文字を配置する(段落のインデント調整)
基本手順
- 欄外近くに文字を入力
- 「レイアウト」タブ →「インデント」や「配置」オプションを調整
- 行の配置を「右揃え」「左揃え」などで微調整
詳細な調整方法
インデント設定
段落ダイアログでの設定:
- 調整したい段落を選択
- 「ホーム」→「段落」グループの右下矢印
- 「インデントと行間隔」タブ
具体的な設定値:
- 左インデント:15cm(右端近くに配置)
- 右インデント:-1cm(右余白内に配置)
- ぶら下げインデント:続く行の位置調整
配置の微調整
文字の配置:
- 「ホーム」→「段落」グループ
- 「右揃え」「中央揃え」「左揃え」
- 「両端揃え」で幅を調整
タブ位置の活用:
- ルーラー上でタブ位置を設定
- 右揃えタブで右端に配置
- 小数点揃えタブで数値整列
注意点とリスク管理
印刷範囲の確認
重要な注意事項:
- 余白設定によっては印刷時に切れる恐れ
- プレビュー確認が必須
- プリンターの印刷可能範囲を確認
対処法:
- 「ファイル」→「印刷」でプレビュー確認
- 「ページ設定」で余白を調整
- 印刷テストで実際の出力を確認
文書の互換性
他の環境での表示:
- 異なるプリンターでの印刷結果
- PDF変換時の表示
- 他のWordバージョンでの表示
用途別の最適方法選択
学術論文・レポート
推奨方法:脚注機能 理由:
- 自動番号管理
- 学術的な体裁
- 引用文献との連携
ビジネス文書
推奨方法:ヘッダー・フッター 理由:
- 全ページ統一表示
- 会社情報の標準化
- プロフェッショナルな見た目
マニュアル・説明書
推奨方法:テキストボックス 理由:
- 自由な配置
- 図表との連携
- 視覚的な分かりやすさ
短い注記・メモ
推奨方法:インデント調整 理由:
- 簡単な操作
- 文章の一部として管理
- 書式統一が容易
よくある質問と対処法

Q:「欄外に入れた文字が印刷されない」
A:印刷可能範囲を超えている可能性があります。「ページ設定」で余白を調整するか、文字の位置を内側に移動してください。
具体的な対処法:
- 「レイアウト」→「余白」で余白を広げる
- テキストボックスの位置を調整
- 印刷プレビューで確認
Q:「複数ページに渡って表示したい」
A:ヘッダーやフッター、または「ページ番号フィールド」を使えば対応可能です。
設定方法:
- ヘッダー・フッターで全ページ共通表示
- セクション区切りで部分的な制御
- テキストボックスのコピー&ペースト
Q:「文字が本文と重なってしまう」
A:テキストボックスの「文字列の折り返し」を「背面」または「前面」に設定してください。
Q:「脚注の番号形式を変更したい」
A:「参考資料」→「脚注」ダイアログで番号形式を選択できます(1,2,3 / ①②③ / a,b,c など)。
効率的な作業のコツ
テンプレート化
再利用可能な設定
- 完成した欄外レイアウトを含む文書を保存
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」→「Wordテンプレート」
- 今後の文書作成時に選択して使用
スタイル管理
欄外文字専用スタイル
- 欄外文字の書式を設定
- 「ホーム」→「スタイル」→「新しいスタイルの作成」
- 「欄外注記」などの名前で保存
- 統一した見た目で効率的に作成
品質チェック
最終確認ポイント
- 全ページでの表示確認
- 印刷プレビューでのチェック
- 異なる環境での動作確認
- PDFでの出力確認
まとめ
方法別の特徴比較
方法 | 用途 | 特徴 | 適用場面 |
---|---|---|---|
テキストボックス | 任意位置にメモを追加 | 自由配置・編集が簡単 | 図表の補足、自由な注記 |
ヘッダー・フッター | ページ共通情報 | 書類全体に使える | 会社情報、著作権表示 |
脚注 | 注釈・説明文 | 自動番号&レイアウト自動化 | 学術論文、参考文献 |
余白内文字配置 | 細かい表現 | 行間・インデントで調整可能 | 短い注記、メモ |
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