Word(ワード)で文書を作っているとき、「この部分をもっと目立たせたい」「大切な注意事項をはっきりと示したい」と思うことはありませんか。そんなときに役立つのが、文字や段落を「枠で囲む」テクニックです。
枠で囲むことで、普通の文章の中でも特に重要な部分を読み手にわかりやすく伝えることができます。例えば、学校のお知らせプリントで「提出期限」を枠で囲んだり、会社の資料で「重要なポイント」を強調したりするときに使われています。
でも、「枠で囲むって、どうやるの?」「やり方がわからない」と困っている人も多いはずです。実は、Wordには文字や段落を枠で囲む方法がいくつかあって、それぞれに特徴があります。
この記事では、Wordで枠を作る3つの基本的な方法を、初心者の方でもわかるように順番に説明します。どの方法がどんな場面に向いているのかも、具体例を交えてお教えします。
見やすくて伝わりやすい文書を作るために、ぜひこの便利なテクニックを覚えてみてください。
なぜ枠で囲むと効果的なの?

視覚的な効果
枠で囲むことで得られる効果を理解しておくと、より効果的に活用できます。
注意を引く効果
人の目は、線で囲まれた部分に自然と注意が向くようになっています。これは、枠があることで「特別な情報」だと脳が判断するからです。
情報の整理効果
関連する情報をまとめて枠で囲むことで、文書全体が整理され、読みやすくなります。
重要度の表現
枠の太さや色を変えることで、情報の重要度を視覚的に表現できます。
具体的な活用場面
学校での活用例
お知らせプリント
- 提出期限や持ち物を枠で囲む
- 重要な変更事項を目立たせる
レポートや課題
- 結論や要点をまとめて枠内に記載
- 引用文を枠で区別
テスト問題
- 注意事項や指示を枠で強調
- 計算式や重要な公式を枠内に表示
仕事での活用例
企画書や提案書
- 重要なポイントや結論を枠で強調
- 数値やデータを見やすく整理
マニュアルや手順書
- 注意事項や警告を枠で目立たせる
- ステップごとの説明を枠で区分
会議資料
- 決定事項や次回のアクションを明確化
- 参加者への重要な連絡事項
段落の囲み線を使う方法
一番簡単で確実な方法
Wordに最初から用意されている「囲み線」機能を使う方法です。この方法は操作が簡単で、文章の一部を手軽に枠で囲むことができます。
基本の操作手順
一部の文字を囲む場合
- 囲みたい文字を選択します
- マウスでドラッグして、枠で囲みたい文字を選択してください
- 文字が青く反転表示されます
- 「ホーム」タブをクリックします
- Wordの上部にあるタブの中から「ホーム」を選択してください
- 「段落」グループを見つけます
- 「ホーム」タブの中央付近にある「段落」というグループを探してください
- 「罫線」ボタンをクリックします
- 四角い枠のマークがついたボタンを探してクリックしてください
- ボタンの横に小さな下向きの矢印があります
- 「外枠」を選択します
- メニューが表示されるので、「外枠」という項目をクリックしてください
- 枠が表示されます
- 選択した文字のまわりに四角い枠が表示されます
段落全体を囲む場合
- 囲みたい段落をクリックします
- 段落のどこか一箇所をクリックするだけで大丈夫です
- 特に選択する必要はありません
- 上記と同じ手順で「外枠」を選択します
- 段落全体が枠で囲まれます
枠線の詳細設定
線の種類を変更する
- 枠で囲んだ部分をクリックします
- 「罫線」ボタンの横の矢印をクリックします
- 「線種とページ罫線と網かけの設定」を選択します
- 「罫線」タブで詳細設定ができます
- 線の種類:実線、点線、破線、二重線など
- 線の太さ:細い線から太い線まで選択可能
- 線の色:黒以外にも様々な色を選択可能
部分的な枠線を設定する
全ての辺に線を引くのではなく、上だけ、下だけなど、特定の辺だけに線を引くこともできます。
設定方法:
- 「線種とページ罫線と網かけの設定」を開きます
- 右側のプレビュー画面で、線を引きたい辺をクリックします
- 不要な辺の線をクリックして削除できます
この方法のメリットとデメリット
メリット
- 操作が簡単:数クリックで枠を作成可能
- 文章との一体感:文章の流れを崩さずに枠を追加
- 印刷での安定性:印刷時にズレや崩れが起こりにくい
デメリット
- 位置の自由度が低い:文章の流れに沿った配置のみ
- 複雑なデザインは難しい:シンプルな枠線のみ
テキストボックスで囲む方法
より自由なデザインが可能
テキストボックスを使う方法は、文字の配置や枠のデザインをより自由に設定できます。注釈やコラム、特別なお知らせなどに適しています。
基本の操作手順
テキストボックスを作成する
- 「挿入」タブをクリックします
- Wordの上部にあるタブの中から「挿入」を選択してください
- 「テキストボックス」をクリックします
- 「テキスト」グループの中にある「テキストボックス」というボタンを探してクリックしてください
- 「横書きテキストボックス」を選択します
- メニューが表示されるので、「横書きテキストボックス」をクリックしてください
- テキストボックスを描きます
- マウスの形が「+」マークに変わります
- 枠を作りたい場所で、左上から右下にドラッグしてください
- 四角いテキストボックスが表示されます
文字を入力する
- テキストボックス内をクリックします
- カーソルが点滅して、文字を入力できる状態になります
- 文字を入力します
- 普通にキーボードで文字を打ってください
- 文字の書式を設定します
- 文字を選択して、フォントサイズや色を変更できます
テキストボックスのカスタマイズ
枠線の設定
- テキストボックスの枠線をクリックします
- テキストボックスが選択された状態になります
- 「図形の書式」タブが表示されます
- テキストボックスを選択したときだけ表示される特別なタブです
- 「図形の枠線」をクリックします
- 枠線の色や太さを変更できます
枠線の詳細設定
右クリックで詳細設定
- テキストボックスの枠線上で右クリックします
- 「図形の書式設定」を選択します
- 「線」の項目で詳細な設定が可能です
- 線の種類(実線、点線、破線など)
- 線の太さ(ポイント単位で指定)
- 線の色(豊富なカラーパレットから選択)
背景色の設定
枠だけでなく、背景に色を付けることもできます。
- テキストボックスを選択します
- 「図形の塗りつぶし」をクリックします
- 好きな色を選択します
- 薄い色を選ぶと、文字が読みやすくなります
テキストボックスの位置調整
ドラッグでの移動
- テキストボックスの枠線をクリックします
- マウスの形が十字矢印に変わったら、ドラッグして移動します
- 好きな位置に配置できます
正確な位置設定
- テキストボックスを右クリックします
- 「レイアウトオプション」を選択します
- 「その他のレイアウトオプション」をクリックします
- 「位置」タブで正確な位置を数値で指定できます
この方法のメリットとデメリット
メリット
- 自由な配置:文書のどこにでも配置可能
- 豊富なデザイン:色、線種、背景など詳細設定可能
- サイズ調整:内容に応じて自由にサイズ変更可能
デメリット
- 操作が複雑:設定項目が多く、慣れが必要
- 文章との調和:配置によっては文章の流れを妨げる可能性
表を使って囲む方法

整然とした枠を作りたい場合
表を使って枠を作る方法は、複数の項目を整理して表示したい場合や、決まったフォーマットで情報を整理したい場合に適しています。
基本の操作手順
1行1列の表を作成
- 「挿入」タブをクリックします
- 「表」ボタンをクリックします
- 「表」グループの中にある表のマークがついたボタンです
- 「表の挿入」を選択します
- メニューが表示されるので、「表の挿入」をクリックしてください
- 列数と行数を指定します
- 列数:1、行数:1 に設定してください
- 枠を複数作りたい場合は、必要に応じて数を増やしてください
- 「OK」をクリックします
- 1つのセル(マス)からなる表が作成されます
表に文字を入力
- 表のセル内をクリックします
- カーソルが点滅して、文字を入力できる状態になります
- 文字を入力します
- 普通にキーボードで文字を打ってください
- 必要に応じてセルのサイズを調整します
- セルの境界線をドラッグして、適切なサイズに調整してください
表の枠線設定
罫線のスタイル変更
- 表の中をクリックして表を選択します
- 「表ツール」の「デザイン」タブが表示されます
- 表を選択したときだけ表示される特別なタブです
- 「罫線のスタイル」で線の種類を選択します
- 実線、点線、破線、二重線など様々な種類があります
- 「ペンの太さ」で線の太さを選択します
- 「ペンの色」で線の色を選択します
部分的な罫線の変更
表の特定の辺だけ線を変更することもできます。
- 「表ツール」の「デザイン」タブで「罫線」をクリックします
- 変更したい罫線の種類を選択します
- 「上罫線のみ」「下罫線のみ」など、細かく指定可能
- 設定が完了したら、他の場所をクリックして確定します
複数の枠を整然と配置
複数行・複数列の表を活用
複数の項目を枠で囲みたい場合は、最初から必要な行数・列数の表を作成します。
例:注意事項を3つ枠で囲む場合
- 3行1列の表を作成
- 各行に1つずつ注意事項を入力
- 統一感のある見た目で複数の枠が完成
表のスタイルを活用
- 表を選択して「表ツール」の「デザイン」タブをクリック
- 「表のスタイル」から好みのデザインを選択
- 色付きの枠、影付きの枠など、様々なスタイルが用意されています
- 「表のスタイルオプション」で細かい調整
- ヘッダー行、縞模様などの設定が可能
この方法のメリットとデメリット
メリット
- 整然とした配置:複数の枠を規則正しく配置可能
- 統一感:すべての枠が同じサイズ・デザインになる
- データ管理:表形式なので情報の整理がしやすい
デメリット
- 柔軟性が低い:表の構造に従った配置のみ
- サイズ調整:個別のセルサイズ調整は少し複雑
目的別の使い分けガイド
どの方法を選ぶべき?
用途や目的に応じて、最適な方法を選ぶことが大切です。
囲み線を使う場面
適している場面:
- 文章中の一部を簡単に強調したい
- レポートや論文での引用部分
- 段落全体を目立たせたい
- 印刷物での確実な表示が必要
具体例:
- 「注意:提出期限は〇月〇日です」
- 重要な法律条文の引用
- 結論部分の強調
テキストボックスを使う場面
適している場面:
- 本文とは独立した情報を表示
- 自由な位置に配置したい
- デザイン性を重視したい
- 注釈やコラム風の情報
具体例:
- 「豆知識:〇〇について」
- 重要な連絡事項
- 用語解説ボックス
表を使う場面
適している場面:
- 複数の情報を整理して表示
- 統一感のあるデザインが必要
- リスト形式での情報提示
- フォーマットが決まっている文書
具体例:
- 手順書の各ステップ
- チェックリスト
- 複数の注意事項
デザインのコツとベストプラクティス
見やすい枠デザインの原則
色の選び方
基本の原則:
- 薄い色を背景に:文字が読みやすくなります
- 濃い色を枠線に:境界がはっきりします
- 文書全体との調和:他の要素と色合いを合わせる
おすすめの色組み合わせ:
- 黒い枠線 + 薄いグレーの背景
- 青い枠線 + 薄い青の背景
- 緑の枠線 + 薄い緑の背景
サイズと余白の設定
読みやすさのための配慮:
- 文字と枠線の間に適度な余白:窮屈に見えないよう調整
- 枠のサイズは内容に応じて:必要以上に大きくしない
- 文書全体とのバランス:他の要素との大きさの比率を考慮
アクセシビリティへの配慮
色に頼らないデザイン
色覚に特性がある方でも情報を理解しやすくするための配慮:
- 枠線だけでなく、太字や大きな文字も併用
- 重要度は色だけでなく、枠の太さでも表現
- 背景色は薄めにして、コントラストを確保
印刷時の配慮
- 薄い色は印刷で見えなくなることがある
- カラー印刷できない環境も考慮
- 白黒印刷でも情報が伝わるデザイン
トラブルシューティング

よくある問題と解決方法
問題1:囲み線が段落の途中で切れる
原因: 選択範囲が文字の途中で終わっている場合に発生します。
解決方法:
- 段落全体を選択し直す
- 段落の最初から最後まで、確実に選択してください
- 段落記号(¶)も含めて選択するのがポイントです
- 段落単位での選択
- 段落のどこか一箇所をクリックしてから囲み線を設定すると、段落全体が対象になります
問題2:テキストボックスが思った位置に配置できない
原因: 文字列との位置関係の設定が適切でない場合があります。
解決方法:
- テキストボックスを右クリック
- 「レイアウトオプション」を選択
- 「文字列の折り返し」で「前面」または「背面」を選択
- 自由に配置できるようになります
問題3:表の枠線が印刷されない
原因: 表の罫線が「線なし」に設定されているか、印刷設定の問題です。
解決方法:
- 表を選択して「表ツール」の「デザイン」タブを確認
- 「罫線」で「すべての罫線」を選択
- 印刷プレビューで確認
問題4:枠内の文字が見切れる
原因: 枠のサイズが文字量に対して小さすぎる場合があります。
解決方法:
- 枠のサイズを大きくする
- テキストボックスや表のセルをドラッグして拡大
- 文字サイズを小さくする
- 改行を調整して、文字を適切に配置
応用テクニック
枠を使った高度なレイアウト
階層構造の表現
重要度に応じて、異なる枠のスタイルを使い分けることで、情報の階層構造を表現できます。
例:
- 最重要:太い赤い枠線 + 薄い赤の背景
- 重要:普通の黒い枠線 + 薄いグレーの背景
- 参考情報:点線の枠線 + 背景色なし
連続する情報ボックス
複数の関連情報を、統一感のある枠で表示する方法:
- 最初の枠を完成させる
- 枠をコピー(Ctrl + C)
- 必要な箇所に貼り付け(Ctrl + V)
- 中身の文字だけを変更
マクロを使った自動化
頻繁に同じスタイルの枠を作る場合は、マクロで自動化できます。
簡単な枠作成マクロの例
Sub CreateTextBox()
Dim textBox As Shape
Set textBox = ActiveDocument.Shapes.AddTextbox(msoTextOrientationHorizontal, 100, 100, 200, 50)
textBox.TextFrame.TextRange.Text = "ここに文字を入力"
textBox.Line.Weight = 1.5
textBox.Line.ForeColor.RGB = RGB(0, 0, 0)
End Sub
このマクロを実行すると、決まったスタイルのテキストボックスが自動的に作成されます。
まとめ
Wordで文字や段落を枠で囲む方法には、それぞれ特徴があり、用途に応じて使い分けることが重要です。
3つの基本方法の特徴:
囲み線
- 操作が簡単で確実
- 文章の流れを崩さない
- 基本的な強調に最適
テキストボックス
- 自由な配置とデザイン
- 注釈やコラムに最適
- 高度なカスタマイズ可能
表
- 整然とした複数の枠
- 統一感のあるデザイン
- 情報の整理に最適
効果的な活用のポイント:
- 目的に応じて適切な方法を選択
- 文書全体のデザインとの調和を考慮
- 読みやすさを最優先に設定
- 印刷時の見え方も確認
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