「この図形と同じ色を他の部分にも使いたい」 「どの色だったか分からないけど、同じ色にしたい」
そんなときに便利なのが、Wordの「スポイト」機能です。
Wordでは、図形や文字の塗りつぶしに使った色を、スポイトツールで簡単にコピーして別の場所に適用できます。この機能を使えば、色を覚えておく必要もなく、一瞬で同じ色を再現できます。
この記事では、Wordでのスポイト機能の使い方と、塗りつぶしに適用する具体的な手順を詳しく解説します。読み終わる頃には、デザインの統一感がある美しい文書が作れるようになります。
スポイト機能とは何か

基本的な仕組み
スポイトとは、すでに文書内に存在する色を吸い取って(抽出して)、そのまま別の図形やテキストの色に再利用できる機能です。
まるで絵の具のスポイトのように、色を「吸い取って」「他の場所に付ける」ことができる便利なツールです。
どんなときに使うのか
よくある使用場面
- 図形の色を統一したいとき:複数の図形を同じ色にそろえる
- 色の名前がわからないとき:「この青色は何という色?」がわからなくても大丈夫
- 過去に使った色を再現したいとき:前に作った資料と同じ色を使いたい
- 画像から色を抽出したいとき:写真やイラストの色を図形に適用
対応しているOffice製品
Microsoft Office製品(Word、Excel、PowerPoint、Outlook)共通で使えます。一度覚えれば、どのソフトでも同じ操作で色をコピーできます。
スポイト機能のメリット
正確性
手作業で似た色を探すよりも、まったく同じ色を確実に再現できます。
効率性
色のコード(#FF0000など)を調べる必要がなく、クリック一つで色をコピーできます。
統一性
文書全体の色の統一感を簡単に保つことができます。
基本的なスポイト機能の使い方
事前準備:対象となるオブジェクト
スポイト機能を使うには、まず色を適用する対象が必要です。
色を変更できるオブジェクト
- 図形:四角、円、矢印などの図形
- テキストボックス:文字を入れる枠
- 表のセル:表の各マス
- SmartArt:組織図やフローチャート
- グラフ:棒グラフ、円グラフなどの要素
オブジェクトの作成方法
- 「挿入」タブをクリック
- 「図形」ボタンから好きな形を選択
- 文書上でドラッグして図形を作成
基本操作:スポイトで色を取得・適用
Windows・Mac共通の手順
ステップ1:対象を選択
- 塗りつぶしを変更したい図形またはテキストボックスをクリック
- 選択されると、オブジェクトの周りに選択枠が表示される
ステップ2:塗りつぶしメニューを開く
- 「図形の書式」タブ(または「描画ツール」)をクリック
- 「図形の塗りつぶし」ボタンをクリック
- カラーパレットが表示される
ステップ3:スポイトを選択
- パレットの下部にある「スポイト」をクリック
- マウスポインタがスポイトの形に変わる
ステップ4:色を取得
- 取得したい色の上にスポイトを移動
- クリックすると、その色が選択した図形に自動適用される
スポイト使用時のマウスポインタの変化
スポイトを選択すると、マウスポインタが以下のように変わります:
- 通常時:矢印ポインタ
- スポイト選択後:スポイトアイコン
- 色の上:スポイト+取得予定の色のプレビュー
詳細な操作手順:場面別の使い方
図形から図形へ色をコピー
基本的なコピー手順
- 元の図形を用意:すでに色が付いている図形
- 新しい図形を作成:色を適用したい図形
- 新しい図形を選択
- 「図形の書式」タブ→「図形の塗りつぶし」
- 「スポイト」を選択
- 元の図形の色をクリック
複数の図形に同じ色を適用
- 最初の図形にスポイトで色を適用
- その図形を選択した状態で「Ctrl+C」でコピー
- 他の図形を選択
- 「ホーム」タブ→「書式のコピー/貼り付け」をクリック
- 色を適用したい図形をクリック
画像から色を抽出する方法
挿入した画像から色を取得
- 「挿入」タブ→「画像」で写真やイラストを挿入
- 色を変更したい図形を選択
- スポイト機能を起動
- 画像の好きな部分の色をクリック
注意すべきポイント
- 画像の解像度:ぼやけた画像では正確な色が取得できない場合がある
- 画面の表示設定:モニターの色設定によって見え方が変わることがある
テキストの背景色に適用
テキストボックスの背景色を変更
- テキストボックスを選択
- 「図形の書式」タブを表示
- 「図形の塗りつぶし」からスポイトを選択
- 取得したい色をクリック
文字自体の色を変更
- 色を変えたい文字を選択
- 「ホーム」タブの「フォントの色」ボタン
- 「その他の色」→「スポイト」で色を取得
表のセルに色を適用
セル単位での色変更
- 色を変更したいセルを選択
- 「ホーム」タブ→「塗りつぶし」ボタン
- 「その他の塗りつぶしの色」→「スポイト」
- 参考にしたい色をクリック
行や列全体の色変更
- 行番号または列の上部をクリックして全体選択
- 同様の手順で色を適用
スポイト機能の応用テクニック

画面外の色を取得する方法
Windows版での拡張操作
- スポイトを起動
- Altキーを押しながらWordウィンドウの外をクリック
- デスクトップの背景やブラウザの色も取得可能
Mac版での制限事項
- Mac版では基本的にWord内の色のみ取得可能
- 画面キャプチャを使って色を確認する方法もある
カスタム色の保存と再利用
よく使う色を保存する方法
- スポイトで色を取得
- 「図形の塗りつぶし」→「その他の塗りつぶしの色」
- 「カスタム」タブで色を確認
- 「カスタム色」に自動的に追加される
保存された色の再利用
- 「最近使用した色」に表示される
- 「カスタム色」から選択可能
- 次回の文書作成時にも利用できる
透明度や効果との組み合わせ
取得した色に透明度を適用
- スポイトで基本色を取得
- 「図形の塗りつぶし」→「その他の塗りつぶしの色」
- 「透明度」のスライダーで調整
グラデーション効果との組み合わせ
- スポイトで基本色を取得
- 「図形の塗りつぶし」→「グラデーション」
- 取得した色をベースにグラデーションを作成
よくあるトラブルと解決方法
スポイトが使えない場合
スポイトがグレーアウトしている
原因:選択しているオブジェクトがスポイト機能に対応していない
対処法:
- テキストだけ選択している場合:テキストボックスや図形を作成
- 保護されたオブジェクト:保護を解除してから操作
- グループ化された図形:グループ解除してから個別に色を変更
スポイトメニューが見つからない
場所を確認:
- 「図形の塗りつぶし」の一番下
- 「その他の塗りつぶしの色」の中
- 「カスタム」タブ内
色が正確に再現されない
表示設定による違い
原因:モニターの色設定や明度によって見え方が変わる
対処法:
- 印刷プレビューで最終的な色を確認
- カラープロファイルの設定を確認
- テスト印刷で実際の色を確認
画像の色が取得できない
原因:画像の形式や圧縮による色の変化
対処法:
- 高解像度の画像を使用
- 拡大表示してから色を取得
- 画像の編集ソフトで色を確認
スポイト機能が突然動かなくなった
一時的な不具合
対処法:
- Wordの再起動
- 文書の保存・再読み込み
- パソコンの再起動
設定の問題
確認項目:
- Officeの更新が必要かチェック
- アドインの影響がないか確認
- セーフモードでの起動を試す
効率的な色管理のコツ
テーマカラーとの使い分け
Wordのテーマカラー
- 文書全体で統一された色セット
- デザインの一貫性を保ちやすい
- テーマを変更すると一括で色が変わる
スポイトで取得したカスタム色
- 既存の素材や画像と合わせやすい
- より細かい色の調整が可能
- オリジナリティのあるデザインを作成
色の組み合わせ選択のコツ
基本的な配色ルール
- 同系色:青の濃淡など、統一感がある
- 補色:赤と緑など、コントラストが強い
- 類似色:青と紫など、調和しやすい
スポイトを活用した配色
- メイン色をスポイトで取得
- カラーパレットで類似色を確認
- 明度を変えて濃淡を作る
文書の種類別おすすめ活用法
ビジネス文書
- 企業ロゴの色をスポイトで取得
- コーポレートカラーで統一感を演出
- 落ち着いた色調で信頼感をアップ
プレゼン資料
- 画像の主要色を図形に適用
- 視覚的なつながりを作って理解を促進
- アクセントカラーで重要ポイントを強調
教育資料
- カラフルで親しみやすい色を使用
- 学習内容に応じた色分けで整理
- 読みやすさを重視した配色
他のOfficeアプリとの連携
PowerPointでの活用
Wordで作成した色をPowerPointで使用
- Wordでスポイトを使って色を決定
- PowerPointで同じ色のオブジェクトを作成
- ファイル間での色の統一が可能
共通のカスタム色
- Office製品間でカスタム色が共有される
- 一度設定した色は他のアプリでも利用可能
Excelでの応用
グラフの色をWordの図形と統一
- Excelでグラフを作成
- Wordにグラフをコピペまたはリンク
- スポイトでグラフの色を取得して図形に適用
まとめ
Wordのスポイト機能を使えば、色を正確に再現できるだけでなく、デザインの統一感も保てます。
覚えておきたい基本操作
- 図形を選択→「図形の塗りつぶし」→「スポイト」
- 色を取得したい部分をクリック
- 自動的に色が適用される
活用のポイント
- 企業ロゴや画像から色を抽出してブランド統一
- 複数の図形に同じ色を適用して見た目を整理
- カスタム色として保存して再利用
注意すべきこと
- 画面表示と印刷結果の色の違い
- 画像の解像度による色の精度
- モニター設定による見え方の変化
チラシや報告書、資料作成時など、見た目にこだわりたいときに重宝するテクニックです。一度覚えてしまえば操作も簡単なので、ぜひ活用してみてください。
色の統一感を保つことで、文書の品質が大幅に向上し、読み手に与える印象も良くなります。特にビジネス文書やプレゼン資料では、プロフェッショナルな仕上がりを簡単に実現できる便利な機能です。
スポイト機能を使いこなして、見た目にも美しい文書を作成しましょう。
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