Word(ワード)で文書を作成していて、「全体の背景に色をつけたい」「この部分だけ色で目立たせたい」と思ったことはありませんか?そんなときに便利なのが「背景色」の設定です。
この記事では、文書全体・段落・文字ごとに背景色をつける方法を、目的別にわかりやすくご紹介します。適切な背景色の使い方をマスターすることで、読みやすく印象的な文書を作成できます。
急いでいる人は、「デザイン」タブの「ページの色」で文書全体の背景色を、「ホーム」タブの「塗りつぶし」で段落の背景色をすぐに設定できます。
背景色設定の基本概念

背景色の種類と特徴
Wordでは3つのレベルで背景色を設定できます:
文書全体の背景色
- ページ全体に適用される背景色
- すべてのページに同じ色が適用
- 印刷設定との関連性が重要
段落レベルの背景色
- 特定の段落のみに適用される背景色
- 文字幅に応じて背景範囲が決まる
- 柔軟な範囲指定が可能
文字レベルの背景色(ハイライト)
- 選択した文字のみに適用
- 蛍光ペンのような効果
- 強調効果に最適
背景色の用途と効果
視覚的な効果
背景色が文書に与える影響:
- 情報の階層化:重要度による色分け
- 視覚的な区切り:セクションの明確化
- 注意喚起:重要な情報の強調
- 美観の向上:文書の洗練された印象
心理的な影響
色による印象の違い:
- 暖色系(赤、オレンジ、黄):活動的、注意喚起
- 寒色系(青、緑、紫):冷静、信頼感
- 中性色(グレー、ベージュ):落ち着き、上品
文書全体の背景色設定
基本的な設定方法
詳細手順
- 「デザイン」タブをクリック
- 「ページの色」ボタンをクリック
- カラーパレットから希望の色を選択
- 文書全体の背景色が即座に変更される
カスタムカラーの設定
独自の色を作成する場合:
- 「ページの色」→「その他の色」
- 「標準」または「ユーザー設定」タブ
- RGB値やHSL値で詳細指定
- 「OK」で適用
高度な背景設定
グラデーション背景
段階的な色変化の設定:
- 「ページの色」→「塗りつぶし効果」
- 「グラデーション」タブを選択
- 色の組み合わせと方向を設定
- プレビューで確認後「OK」
テクスチャ背景
質感のある背景の設定:
- 「ページの色」→「塗りつぶし効果」
- 「テクスチャ」タブを選択
- 木目、石材、布などから選択
- 文書の性格に適したテクスチャを適用
パターン背景
規則的な模様の背景:
- 「ページの色」→「塗りつぶし効果」
- 「パターン」タブを選択
- 前景色と背景色を設定
- 適切なパターンを選択
文書全体背景色の活用場面
ビジネス文書での活用
プレゼンテーション資料:
- 企業カラーを背景に使用
- 淡いトーンで上品な印象
- セクション別の色分け
提案書や企画書:
- 薄いグレーで高級感を演出
- ブランドカラーとの統一
- 読みやすさを保つ配色
教育・学習資料での活用
教材やワークシート:
- 年齢層に適した色選択
- 科目別の色分けシステム
- 注意力を引く適度な刺激
案内文書やお知らせ:
- 季節感のある色使い
- 親しみやすい印象作り
- 情報の緊急度による色分け
印刷時の背景色設定
印刷で背景色が表示されない問題
問題の原因
Wordの初期設定では:
- 背景色や背景画像を印刷しない設定になっている
- 印刷コストの節約を考慮した仕様
- 多くのユーザーが背景印刷を望まないため
解決方法
Word側の設定変更:
- 「ファイル」→「オプション」
- 「表示」カテゴリを選択
- 「印刷オプション」セクション
- 「背景の色とイメージを印刷する」にチェック
- 「OK」で設定を保存
プリンター側の設定確認
プリンタードライバーの設定
印刷時の詳細設定:
- 「ファイル」→「印刷」
- 「プリンターのプロパティ」をクリック
- 「カラー設定」または「印刷品質」
- 「カラー印刷」が選択されていることを確認
印刷プレビューでの確認
事前確認の手順:
- 「ファイル」→「印刷」でプレビュー表示
- 背景色が表示されているか確認
- 必要に応じて設定を調整
印刷コストと品質の考慮
コスト効率的な背景色使用
推奨する背景色:
- 10%以下の薄い色:インク消費を最小限に
- パステルカラー:ソフトな印象で経済的
- グレーのトーン:モノクロ印刷でも効果的
印刷品質の最適化
高品質印刷のための設定:
- **印刷解像度を「高品質」**に設定
- 用紙の種類を適切に選択
- カラーマネジメントの設定確認
段落・文字の背景色設定

段落レベルの背景色
基本的な設定手順
段落背景色の設定:
- 背景色を設定したい段落を選択
- 「ホーム」タブをクリック
- 「段落」グループの「塗りつぶし」ボタン(ペンキのアイコン)
- カラーパレットから色を選択
選択範囲による効果の違い
段落全体を選択した場合:
- 段落の幅いっぱいに背景色が適用
- 左右の余白まで色が広がる
- 改行記号も含めて背景色が設定
一部のテキストのみ選択した場合:
- 選択したテキスト部分のみに背景色
- 文字の直後までの範囲に限定
- より細かい制御が可能
段落背景色の応用テクニック
複数段落の一括設定:
- Ctrlキーを押しながら複数段落を選択
- 同じ背景色を一括適用
- 統一感のある文書作成
段落スタイルでの設定:
- 「ホーム」→「スタイル」→「新しいスタイル」
- 背景色を含むスタイルを作成
- 再利用可能なフォーマットとして保存
文字レベルの背景色(ハイライト)
基本的なハイライト設定
文字ハイライトの手順:
- ハイライトしたい文字を選択
- 「ホーム」タブの「フォント」グループ
- 「蛍光ペン」ボタン(マーカーのアイコン)をクリック
- 希望の色を選択
連続ハイライト機能
効率的なハイライト作業:
- 「蛍光ペン」ボタンをクリック
- カーソルがマーカー形状に変化
- ハイライトしたい文字を順次選択
- Escキーまたは再度ボタンクリックで終了
ハイライトの管理
ハイライトの削除:
- 個別削除:対象文字を選択→「蛍光ペン」→「色なし」
- 一括削除:全選択(Ctrl+A)→「蛍光ペン」→「色なし」
ハイライト色の変更:
- 既存のハイライト文字を選択
- 新しい色を選択すると自動的に変更
背景色の効果的な使い分け
目的別の色選択指針
情報の重要度による色分け
階層的な色使い:
重要度 | 推奨色 | 使用場面 |
---|---|---|
最重要 | 赤系(薄め) | 緊急事項、重要な期限 |
重要 | 黄系 | 注意事項、確認ポイント |
参考 | 青系(薄め) | 補足情報、参考データ |
一般 | グレー系(薄め) | 通常の強調、区切り |
文書の種類による使い分け
ビジネス文書:
- 控えめな色調:信頼性と読みやすさ重視
- 企業カラーとの統一:ブランドイメージの維持
- モノクロ印刷対応:グレースケールでも効果的
教育・学習資料:
- 視認性の高い色:集中力の維持
- 年齢層に適した色:対象者への配慮
- 記憶に残る色使い:学習効果の向上
案内・告知文書:
- 注目を集める色:情報伝達の確実性
- 親しみやすい色調:受け入れやすさ
- 季節感のある色:タイムリーな印象
読みやすさを重視した配色
コントラストの確保
適切なコントラスト比:
- 背景色と文字色の明度差を十分に確保
- WCAG基準:4.5:1以上のコントラスト比推奨
- 高齢者や視覚障害への配慮
推奨する背景色と文字色の組み合わせ
読みやすい組み合わせ例:
背景色 | 文字色 | 印象 | 用途 |
---|---|---|---|
薄いブルー | 濃い紺 | 信頼感、冷静 | ビジネス文書 |
薄いグレー | 黒 | 上品、シンプル | フォーマル文書 |
薄いイエロー | 黒 | 注意喚起、明るい | 重要事項 |
薄いグリーン | 濃い緑 | 安心感、自然 | 環境関連文書 |
避けるべき色の組み合わせ
視認性の悪い組み合わせ:
- 赤背景×緑文字:色覚多様性への配慮不足
- 黄背景×白文字:コントラスト不足
- 紫背景×青文字:色相が近すぎて識別困難
高度な背景色テクニック

透明度を活用した背景効果
図形を使った透明背景
透明度調整の手順:
- 「挿入」→「図形」→「四角形」
- テキストの上に図形を配置
- 「図形の書式」→「図形の塗りつぶし」
- 「その他の塗りつぶしの色」→透明度を調整
テキストボックスでの透明背景
テキストボックス活用法:
- 「挿入」→「テキストボックス」
- テキストを入力
- 背景色と透明度を設定
- 既存テキストと重ね合わせ
セクション別の背景色管理
セクション区切りを使った部分的背景
セクション単位での背景色設定:
- セクション区切りで文書を分割
- 各セクションで異なる背景色を設定
- 章やテーマごとの色分け
ヘッダー・フッターでの背景活用
ヘッダー・フッター領域の装飾:
- 「挿入」→「ヘッダーとフッター」
- ヘッダー/フッター編集モードに入る
- 図形や色付きテキストボックスで装飾
トラブルシューティング
よくある問題と解決法
問題1:背景色が印刷されない
チェックポイント:
- Word設定:「背景の色とイメージを印刷する」が有効か
- プリンター設定:カラー印刷が選択されているか
- プリンタードライバー:最新版かどうか
解決手順:
- 前述の印刷設定を確認
- テスト印刷で動作確認
- 必要に応じてプリンタードライバーを更新
問題2:背景色で文字が読みにくい
改善方法:
- 文字色を変更:白抜き文字や対比の強い色
- 背景色を薄く:透明度を上げて視認性を向上
- 縁取り効果:文字に枠線を追加
問題3:背景色を透明にしたい
削除方法:
- 文書全体:「ページの色」→「色なし」
- 段落:「塗りつぶし」→「色なし」
- ハイライト:「蛍光ペン」→「色なし」
問題4:背景色が思った通りに表示されない
確認事項:
- 表示モード:印刷レイアウトになっているか
- 画面設定:モニターの色温度や明度
- ソフトウェア設定:Wordの表示オプション
ファイル互換性の問題
異なるバージョンでの表示
互換性の確保:
- 基本的な色:標準カラーパレットの使用
- 特殊効果:グラデーションやパターンの制限
- ファイル形式:.docxでの保存推奨
他のソフトウェアとの互換性
PDF変換時の注意:
- 色の再現性:PDF設定で色管理を確認
- 背景の保持:PDF出力オプションの設定
- 印刷品質:解像度とカラープロファイル
まとめ
Wordで背景色を設定することで、視覚的に見やすく、印象的な文書に仕上げることができます。適切な背景色の使い方をマスターすることで、文書の品質と効果が大幅に向上します。
主要なポイント
3つのレベルの背景色設定:
- 文書全体の背景:「デザイン」→「ページの色」
- 段落レベル:「ホーム」→「塗りつぶし」
- 文字レベル:「ホーム」→「蛍光ペン」
効果的な活用のコツ:
- 目的に応じた色選択
- 読みやすさを最優先に考慮
- 印刷設定の事前確認
- 一貫性のある色使い
品質向上のポイント:
- 適切なコントラスト比の確保
- 色覚多様性への配慮
- 印刷とデジタル両方での最適化
- 文書の目的に適した色調整
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