学校のプリント、国語の教材、プレゼン資料などで、「難しい漢字にふりがな(ルビ)を付けたい」と思ったことはありませんか?
Word(ワード)には、漢字にルビ(ふりがな)を自動で付ける機能が用意されています。
この記事では、Wordでルビを振る方法を詳しく解説し、手動で調整したい場合の応用テクニックも紹介します。
ルビ(ふりがな)とは何か

ルビの基本概念
**「ルビ」**とは、主に漢字の読み仮名をひらがなで小さく表示するものです。
読みにくい漢字や名前、古語の補助などに使われ、文章の理解を助ける重要な役割を果たします。
ルビの語源と歴史
名前の由来
「ルビ」という名前は、活版印刷時代に使われていた**「5.5ポイント」**のフォントサイズを指す「ruby」に由来します。
日本語での発達
- 古典文学:平安時代から漢文に読み方を示す
- 教育分野:明治時代以降の識字率向上
- 現代:多様な読者への配慮
ルビが活用される場面
教育分野
- 小学校教材:学年に応じた漢字の読み方
- 国語教育:古典文学の理解促進
- 外国人向け教材:日本語学習支援
出版・メディア
- 新聞・雑誌:人名・地名の読み方
- 小説・マンガ:特殊な読み方の表現
- 専門書:術語の読み方説明
ビジネス文書
- プレゼンテーション:聴衆への配慮
- マニュアル:専門用語の説明
- 社内資料:読みやすさの向上
Wordでルビを振る基本手順
基本的な操作方法
最も一般的なルビ設定の手順を説明します。
詳細な操作手順
- ルビを振りたい漢字部分を選択
- マウスでドラッグして選択
- ダブルクリックで単語選択
- 複数の漢字も同時選択可能
- 「ホーム」タブをクリック
- 画面上部のリボンメニューから選択
- 「フォント」グループを確認
- 右下に小さな矢印アイコンを探す
- 「拡張ダイアログ」(右下の斜め矢印)をクリック
- フォントダイアログボックスが開く
- 「ルビ」ボタンを選択
- ダイアログボックス下部にあるボタン
- 自動でふりがなが生成される
- Wordが自動的に読み方を判定
- 表示位置やサイズも自動調整
ショートカットキーでの操作
より効率的にルビを設定する方法です。
ルビ設定のショートカット
Windows版
- 漢字を選択後、「Alt + Shift + R」
- 直接ルビダイアログが開く
注意点
- バージョンによってショートカットが異なる場合がある
- 設定によっては無効になっている場合がある
右クリックメニューからの操作
もう一つの便利な方法です。
操作手順
- ルビを振りたい漢字を選択
- 右クリックでコンテキストメニューを表示
- 「ルビ」を選択
- バージョンによっては「ふりがな」と表示
- ルビダイアログが開く
ルビダイアログの詳細設定
ダイアログボックスの構成
ルビダイアログには多くの設定項目があります。
主要な設定項目
項目 | 説明 | 設定例 |
---|---|---|
対象文字列 | ルビを振る漢字 | 漢字、言葉 |
ルビ | 読み仮名の内容 | かんじ、ことば |
配置 | ルビの位置 | 中央、左、右、分散 |
フォント | ルビの書体 | MS明朝、MSゴシック |
サイズ | ルビの大きさ | 7pt、8pt |
オフセット | ルビの上下位置 | 0pt、1pt |
配置オプションの詳細
配置方法の種類
中央揃え
- 最も一般的な設定
- 漢字の中央にルビを配置
- バランスの良い見た目
左揃え
- ルビを漢字の左端に配置
- 複数の漢字で統一感を出す場合
右揃え
- ルビを漢字の右端に配置
- 特殊な用途で使用
分散配置
- ルビを漢字の幅に合わせて分散
- 長いルビの場合に有効
フォントとサイズの調整
推奨設定
フォントサイズ
- 7pt:標準的なルビサイズ
- 6pt:小さめ、文字数が多い場合
- 8pt:大きめ、見やすさ重視
フォントの種類
- MS明朝:本文が明朝体の場合
- MSゴシック:本文がゴシック体の場合
- メイリオ:現代的で読みやすい
手動でルビを修正する方法

自動生成されたルビの調整
Wordが自動で付けたルビが間違っている場合の修正方法です。
修正手順
- ルビダイアログを開く
- 既にルビが設定されている文字を選択
- 同じ手順でダイアログを表示
- 「ルビ」欄を手動で修正
- 正しい読み方をひらがなで入力
- カタカナでの入力も可能
- その他の設定を調整
- 配置、フォント、サイズなど
- 「OK」をクリックして適用
よくある修正例
人名・地名の修正
例1:人名
- 漢字:田中(たなか)
- 自動:たなか → 正しい
- 漢字:佐藤(さとう)
- 自動:さとう → 正しい
例2:地名
- 漢字:大阪(おおさか)
- 自動:おおさか → 正しい
- 漢字:愛媛(えひめ)
- 自動:あいひめ → えひめ(修正が必要)
特殊な読み方
例:当て字
- 漢字:昨日(きのう)
- 自動:さくじつ → きのう(修正が必要)
例:古語
- 漢字:須臾(しゅゆ)
- 自動:すゆ → しゅゆ(修正が必要)
文章全体への一括ルビ設定
一括設定の方法
長い文書全体にルビを設定する効率的な方法です。
全文選択での一括設定
- 文書全体を選択
- **「Ctrl + A」**で全選択
- または必要な範囲のみを選択
- ルビダイアログを開く
- 通常と同じ手順
- 一括でルビを生成
- すべての漢字に自動的にルビが付く
段落別の設定
- 段落単位で選択
- 段落の開始から終了まで選択
- ルビを設定
- その段落内の漢字のみに適用
一括設定時の注意点
確認が必要な項目
- 読み方の正確性:自動生成の確認
- ルビの密度:見た目のバランス
- 行間の調整:ルビによる間隔の変化
効率的な修正方法
- 一括設定後に個別確認
- 間違いがあるルビのみ修正
- 全体のバランスを最終調整
行間とレイアウトの調整
ルビによる行間への影響
ルビを設定すると、行間が自動的に広がることがあります。
行間調整の方法
- ルビ付きの段落を選択
- 「ホーム」タブ→「段落」グループ
- 「行間」オプションを選択
- 1行:標準的な間隔
- 1.5行:やや広め
- 固定値:具体的な数値で指定
推奨設定
標準的な文書
- 行間:1.2行~1.5行
- ルビとの調和を重視
教育教材
- 行間:1.5行~2行
- 読みやすさを最優先
ページレイアウトへの影響
考慮すべき要素
ページ数の増加
- ルビにより文書が長くなる
- 印刷コストや見た目への影響
読みやすさとのバランス
- 情報量と可読性のトレードオフ
- 対象読者に応じた最適化
特殊なルビの活用方法

創作での応用
小説・物語での活用
キャラクター名
例:火影(ほかげ)
例:木の葉(このは)
特殊な読み方
例:昨日(きのう)
例:今日(きょう)
例:明日(あした)
マンガ・アニメ風の表現
強調表現
例:本気(まじ)
例:最高(さいこう)
学術文書での活用
専門用語の説明
医学用語
例:心筋梗塞(しんきんこうそく)
例:白血病(はっけつびょう)
法律用語
例:民事訴訟(みんじそしょう)
例:不法行為(ふほうこうい)
外国語表記でのルビ
カタカナルビの活用
英語の読み方
例:Computer(コンピュータ)
例:Internet(インターネット)
中国語の読み方
例:北京(ペキン)
例:上海(シャンハイ)
バージョン別の機能差
Word 2019/2021/Microsoft 365
最新機能
- 改良された自動判定:読み方の精度向上
- 豊富なフォントサポート:多様な書体選択
- レイアウト最適化:自動行間調整
Word 2016
基本機能
- 標準的なルビ機能:基本的な設定は利用可能
- 手動調整:詳細設定で対応
Word Online(Web版)
制限事項
- 基本的なルビ機能のみ利用可能
- 詳細設定は制限される場合がある
- デスクトップ版での最終調整を推奨
印刷時の注意点
印刷品質の確保
事前確認項目
印刷プレビュー
- ルビが正しく表示されるか
- 文字が切れていないか
- 行間は適切か
フォントサイズ
- 印刷時にルビが読めるサイズか
- 必要に応じてサイズ調整
推奨設定
印刷用ルビサイズ
- 最低6pt以上:読みやすさを確保
- 本文との比率:1:2~1:3程度
PDF変換時の注意
フォント埋め込み
- 「ファイル」→「エクスポート」→「PDF/XPSの作成」
- 「オプション」で「フォント埋め込み」を確認
- ルビフォントも確実に埋め込み
トラブルシューティング

よくある問題と解決方法
ルビが表示されない
原因と対策
- 選択範囲の問題:漢字のみを正確に選択
- フォントの問題:対応フォントを使用
- バージョンの問題:機能対応の確認
ルビの位置がずれる
調整方法
- オフセット設定の変更
- フォントサイズの調整
- 行間の最適化
自動判定が正しくない
対処法
- 手動での修正:正しい読み方を入力
- 辞書の更新:最新版へのアップデート
- カスタム辞書:独自の読み方を登録
パフォーマンスの最適化
大量のルビがある文書
動作を軽くする方法
- 段階的な設定:部分ごとに処理
- 不要なルビの削除:必要最小限に
- ファイル形式の最適化:適切な保存形式
他の機能との連携
目次機能との連携
見出しにルビがある場合
- 目次にもルビが反映される
- 必要に応じて目次用の見出しを別途作成
- ナビゲーション機能でも正しく表示
検索機能との関係
ルビ付き文字の検索
- 漢字部分:通常通り検索可能
- ルビ部分:ひらがなでも検索可能
- 置換機能:ルビも含めて置換
まとめ
Wordでルビを振ることで、文書の理解しやすさと親しみやすさが大幅に向上します。
基本的な設定方法
- **「ホーム」→「フォント」→「ルビ」**から操作
- 自動生成と手動修正の両方が可能
- 文書全体への一括設定も効率的
効果的な活用のポイント
- 対象読者を意識した適切なルビ設定
- 行間とレイアウトのバランス調整
- 印刷・PDF変換時の品質確認
応用テクニック
- 創作での特殊な読み方表現
- 学術文書での専門用語説明
- 教育教材での学習支援
品質向上のために
- 自動生成結果の確認と修正
- 統一されたルビスタイルの維持
- 読みやすさを最優先した設定
効率化のコツ
- テンプレート化:よく使う設定の保存
- ショートカット活用:作業速度の向上
- 一括処理:大量文書での効率化
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