Word(ワード)で文書を作成していると、突然文字の下に赤や青の波線が表示されることがあります。
「これって間違ってるの?」 「消してもまた出てくる!」 「見た目が気になって集中できない…」
このような困りごとを抱えている方は非常に多く、特に日本語入力時や専門用語を使用する際に頻繁に発生します。これらの波線は、Wordの自動校正機能によるもので、ユーザーの入力をリアルタイムでチェックして表示されています。
この記事では、Wordで表示される波線の詳しい意味と、それを簡単に非表示にする方法、さらに表示・非表示それぞれのメリット・デメリットまで詳しく解説します。
この記事でわかること
- 波線が表示される理由と種類の詳細
- Windows・Mac両方での非表示設定方法
- 部分的な設定調整のテクニック
- 効果的な使い分けの方法
波線の正体と表示される理由

Wordの自動校正機能とは
Wordの波線は、文書の品質向上を支援する自動校正機能の一部です。入力内容をリアルタイムで分析し、潜在的な問題を視覚的に知らせてくれます。
波線の種類と意味
赤い波線(スペルチェック)
表示される理由:
- スペルミス:英単語のつづりの間違い
- 未登録語:Wordの辞書にない専門用語や固有名詞
- 言語設定の不一致:設定言語と入力言語の相違
具体例:
間違い例:
- recieve → receive(正しいつづり)
- managment → management
- occured → occurred
未登録語例:
- 会社名(例:サイボウズ)
- 専門用語(例:アルゴリズム)
- 新しい言葉(例:テレワーク)
青い波線(文法チェック)
表示される理由:
- 文法ミス:助詞の誤用や語順の問題
- 表現の誤り:不自然な言い回し
- 文体の不統一:敬語と常体の混在
具体例:
文法の問題:
- 「を」「が」の使い分けミス
- 「ら抜き言葉」の指摘
- 重複表現の指摘
表現の問題:
- 「~することができる」→「~できる」
- 「~していただきたく存じます」→「~いただきたく存じます」
緑の波線(スタイルチェック)
表示される理由:
- スタイルの提案:より良い表現の提案
- 冗長表現:無駄な言葉遣いの指摘
- 読みやすさの改善:文章構造の最適化提案
波線が表示される仕組み
自動検出のタイミング
- リアルタイム検出:文字入力と同時に処理
- 辞書との照合:内蔵辞書およびユーザー辞書との比較
- 文脈分析:前後の文脈を考慮した判定
判定基準
- 言語設定:文書に設定された校正言語
- 校正レベル:厳密さの設定レベル
- ユーザー辞書:追加登録された単語
波線を非表示にする詳細な方法
Windows版Wordでの設定
基本的な非表示設定
完全非表示の手順
- 「ファイル」メニューを開く:画面左上のファイルタブをクリック
- 「オプション」を選択:メニュー下部の「オプション」をクリック
- 「文章校正」を選択:左側メニューから「文章校正」を選択
- 校正オプションの調整:以下の項目を設定
詳細な設定項目
スペルチェック関連:
- ✅ → ❌ 「入力時にスペルチェックを行う」
- ✅ → ❌ 「隠し文字を除いてスペルチェックを行う」
- ✅ → ❌ 「大文字の単語を無視する」
文法チェック関連:
- ✅ → ❌ 「入力時に文章校正を行う」
- ✅ → ❌ 「書式の矛盾をチェックする」
表示関連:
- ✅ → ❌ 「校正エラーを表示しない」
設定の確定
- 「OK」をクリック:設定を保存して完了
部分的な調整オプション
言語別の設定
- 「ファイル」→「オプション」→「言語」
- 「編集言語」で言語を選択
- 「校正しない」にチェック:特定言語のみ校正を無効化
ファイル単位の設定
- 「校閲」タブをクリック
- 「言語」→「校正言語の設定」
- 「スペルチェックと文章校正を行わない」にチェック
Mac版Wordでの設定
基本設定手順
環境設定からの設定
- 「Word」メニューを開く:画面上部のWordメニュー
- 「環境設定」を選択:ドロップダウンメニューから選択
- 「作成および校正ツール」を選択
- 「文章校正」をクリック
校正設定の調整
スペルチェック:
- ❌ 「入力時にスペルチェックを行う」
- ❌ 「自動スペル修正」
文法チェック:
- ❌ 「入力時に文章校正を行う」
- ❌ 「校正候補の表示」
Macでの言語設定
システム言語との連携
- 「ツール」→「言語」
- 「校正言語の設定」
- 「既定として設定」で言語固定
一時的な非表示方法
表示の一時切り替え
ショートカットキーでの操作
- F7キー:スペルチェックダイアログの表示/非表示
- 校閲タブ:「スペルチェックと文章校正」のオン/オフ
個別解除の方法
- 波線を右クリック
- 「辞書に追加」:単語を登録して今後の表示を防止
- 「すべて無視」:このセッション中は無視
効果的な使い分けとカスタマイズ
文書種類による使い分け戦略
ビジネス文書での活用
正式文書(契約書・提案書)
推奨設定:
- スペルチェック:❌(見た目重視)
- 文法チェック:⚡(作成時のみ有効)
- 最終確認:手動で校正実行
理由:
- 赤線・青線が印刷されるリスク回避
- プロフェッショナルな見た目の確保
- 最終段階での集中的なチェック
下書き・社内文書
推奨設定:
- スペルチェック:✅(品質向上)
- 文法チェック:✅(改善支援)
- リアルタイム表示:有効
理由:
- 作成効率の向上
- ミスの早期発見
- 文章品質の向上
学術文書での活用
論文・レポート
推奨設定:
作成段階: 全てのチェック有効
確認段階: 文法チェックのみ有効
最終段階: 全てのチェック無効
引用・参考文献
特別な配慮:
- 固有名詞の事前辞書登録
- 外国語引用部分の言語設定変更
- 専門用語辞書の活用
業界・分野別のカスタマイズ
IT・技術文書
よくある問題と対策
問題: プログラミング用語に波線が表示 対策:
1. 技術用語辞書の導入
2. 専門用語の一括登録
3. コード部分の言語設定変更
具体的な登録語例:
- JavaScript、Python、HTML
- API、SDK、UI/UX
- クラウド、サーバー、データベース
医療・法務文書
専門用語への対応
医療用語:
- 薬品名、症状名の事前登録
- 略語(MRI、CT等)の辞書追加
- ラテン語医学用語の言語設定
法務用語:
- 法令名、条文番号の登録
- 法律用語の統一表記設定
- 引用法文の校正除外設定
校正精度の調整
校正レベルのカスタマイズ
厳密さの調整
- 「ファイル」→「オプション」→「文章校正」
- 「設定」ボタンをクリック
- 項目別の詳細設定
調整可能な項目
スペルチェック:
- 大文字の単語を無視
- 数字を含む単語を無視
- インターネットアドレスを無視
文法チェック:
- 助詞の使い方
- 敬語の使い方
- 文体の統一
よくあるトラブルと解決方法

トラブル1:設定しても波線が消えない
原因の特定
最も一般的な原因
文書固有の設定が優先されている
確認方法:
- 「校閲」タブを確認
- 「言語」→「校正言語の設定」
- 文書単位の設定をチェック
解決手順
文書設定のリセット
- Ctrl + A で全選択
- 「校閲」→「言語」→「校正言語の設定」
- 「スペルチェックと文章校正を行わない」のチェックを外す
- 再度、全体オプションで設定
テンプレートの確認
- 使用テンプレート:特定テンプレートに設定が保存されている可能性
- Normal.dotm:標準テンプレートの設定確認
- 再起動:Word完全再起動による設定反映
トラブル2:特定の語句だけ波線が出る
個別対応の方法
辞書への追加
- 波線のある語句を右クリック
- 「辞書に追加」を選択
- 今後同じ語句では波線が表示されない
カスタム辞書の管理
- 「ファイル」→「オプション」→「文章校正」
- 「ユーザー辞書」をクリック
- 辞書の編集・管理が可能
言語設定の調整
混在言語への対応
問題: 日本語文書内の英語に波線
解決:
1. 英語部分を選択
2. 「校閲」→「言語」
3. 「英語(米国)」に設定
トラブル3:印刷時に波線が出力される
印刷設定の確認
印刷オプションの調整
- 「ファイル」→「印刷」
- 「設定」→「詳細設定」
- 「校正マークを印刷する」のチェック確認
確実な対策
- PDF変換:印刷前にPDF化で最終確認
- 印刷プレビュー:事前の視覚的確認
- テスト印刷:1ページのみの確認印刷
高度な活用テクニック
校正機能の戦略的活用
作業段階別の設定切り替え
マクロによる自動切り替え
Sub ToggleProofing()
With Options
.CheckSpellingAsYouType = Not .CheckSpellingAsYouType
.CheckGrammarAsYouType = Not .CheckGrammarAsYouType
End With
If Options.CheckSpellingAsYouType Then
MsgBox "校正機能を有効にしました"
Else
MsgBox "校正機能を無効にしました"
End If
End Sub
クイックアクセスツールバーの活用
ワンクリック切り替え
- クイックアクセスツールバーをカスタマイズ
- 「スペルチェックと文章校正」を追加
- ツールバーから素早く切り替え可能
組織での標準化
企業・チームでの統一設定
設定テンプレートの配布
推奨手順:
1. 標準設定でのWordテンプレート作成
2. 校正設定を組織標準として統一
3. 新規文書での自動適用
4. 定期的な設定見直し
教育・研修での活用
- 新入社員研修:基本設定の教育
- 文書作成ガイドライン:標準的な使い方の周知
- 品質管理:統一された校正基準の維持
まとめ
Wordの赤や青の波線は、文書品質向上を支援する自動校正機能による表示です。非表示にする方法は比較的簡単ですが、文書の用途や作業段階に応じて適切に使い分けることが重要です。
効果的な活用のポイント
- 目的に応じた設定:文書の用途と作業段階での使い分け
- 段階的な活用:作成時は有効、最終確認時は無効
- カスタマイズ:業界・分野に応じた辞書の充実
推奨される使い分け戦略
作成段階での活用
- 下書き・草稿:全ての校正機能を有効
- 内容確認:リアルタイムでの品質向上
- 効率的な修正:即座のフィードバック活用
最終段階での調整
- 見た目重視:正式文書では校正表示を無効
- 印刷前確認:校正マークの非表示確認
- 品質保証:手動での最終チェック実施
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