「Wordで作った書類を印刷したら、レイアウトが崩れてしまった…」 「両面印刷しようとしたら、うまくいかなくて紙を無駄にした…」 「印刷したら文字が切れていて、大事な会議で使えなかった…」
Word(ワード)で書類を完成させたら、最後のステップは「印刷」です。しかし、「余白がずれる」「ページが切れてしまう」「両面印刷がうまくいかない」など、印刷でつまずく人は意外と多いものです。
この記事では、Wordの印刷機能をスムーズに使いこなすための基本操作から、プリンター別の設定方法、よくある失敗の防ぎ方、そして効率的な印刷テクニックまでを詳しく解説します。
Word印刷の基本知識:失敗しないための前提を理解しよう

印刷時によくある問題とその原因
Word文書の印刷で発生しやすい問題を理解しておきましょう。
レイアウト崩れの主な原因
- Word文書の用紙設定とプリンターの用紙サイズの不一致
- 余白設定が適切でない
- フォントがプリンターで対応していない
- 画像や表の配置設定に問題がある
印刷品質の問題
- プリンターの解像度設定が低い
- インクやトナーの残量不足
- 用紙の種類と設定の不一致
機能的な問題
- 両面印刷の設定ミス
- ページ範囲の指定間違い
- 印刷部数の設定ミス
Word文書と印刷の関係性
Word文書は画面表示と印刷結果が異なる場合があります。
画面表示と印刷の違い
- 画面の解像度と印刷解像度の差
- フォントの表示方法の違い
- 色の表現方法の差(RGB vs CMYK)
事前確認の重要性 印刷前の確認作業が成功のカギとなります。
基本の印刷手順:確実に印刷するためのステップ
印刷画面へのアクセス方法
Wordの印刷機能にアクセスする複数の方法を紹介します。
方法1:ショートカットキー(最速)
- Windows:「Ctrl + P」
- Mac:「Command + P」
- 直接印刷画面が開くため最も効率的
方法2:リボンメニューから
- 「ファイル」タブをクリック
- 左メニューから「印刷」を選択
- 印刷設定画面が表示される
方法3:クイックアクセスツールバー
- クイックアクセスツールバーに印刷ボタンを追加
- ワンクリックで印刷画面にアクセス
- 頻繁に印刷する場合におすすめ
印刷プレビューの見方と活用法
印刷プレビューは印刷前の最終確認に不可欠です。
プレビュー画面の構成
- 左側:印刷設定オプション
- 右側:実際の印刷イメージ
- 下部:ページナビゲーション
チェックすべきポイント
レイアウト確認:
- 文字や画像が用紙内に収まっているか
- 余白が適切に設定されているか
- ページの境界で不自然な改行がないか
内容確認:
- すべてのページが含まれているか
- ヘッダー・フッターが正しく表示されているか
- ページ番号が正確か
プレビューの操作方法
- ズームイン・アウト:詳細確認と全体確認
- ページめくり:複数ページの確認
- 表示モード切り替え:1ページ表示と複数ページ表示
基本設定項目の詳細説明
印刷画面で設定できる主要項目を詳しく解説します。
プリンター選択
- 使用可能なプリンター一覧から選択
- ネットワークプリンターの場合は接続確認
- プリンターのプロパティで詳細設定
印刷部数
- 必要な部数を入力
- 大量印刷時は分割印刷も検討
- 部単位で印刷する場合の設定
ページ範囲
すべてのページ:文書全体を印刷
現在のページ:表示中のページのみ
ページ指定:特定のページや範囲を指定
例:1,3,5(1、3、5ページ)
例:1-5(1から5ページ)
例:2-(2ページ以降すべて)
用紙設定の完全マスター
用紙サイズの設定と確認
適切な用紙サイズの設定が印刷成功の基本です。
Word文書での用紙サイズ設定
- 「レイアウト」タブをクリック
- 「サイズ」ボタンから用紙サイズを選択
- 一般的なサイズ:A4、A3、B4、B5、レター
プリンターの用紙設定との同期
- 印刷画面で「プリンターのプロパティ」をクリック
- 「用紙」または「ページ設定」タブを確認
- Word文書と同じサイズに設定
カスタムサイズの設定
Word側の設定:
1. 「レイアウト」→「サイズ」→「その他の用紙サイズ」
2. 幅と高さを手動で入力
3. 印刷の向きも同時に設定
プリンター側の設定:
1. プリンターのプロパティで「ユーザー定義サイズ」
2. Word文書と同じ寸法を入力
余白設定の最適化
読みやすく印刷するための余白設定方法です。
標準的な余白設定
- 上下:25mm(1インチ)
- 左右:25mm(1インチ)
- 見出しとフッター:12.5mm
用途別の余白調整
ビジネス文書:
- 上下左右:20mm
- 見やすく、無駄のない設定
製本用資料:
- 左(とじ代):30mm
- 右:20mm
- 上下:25mm
プレゼン資料:
- 上下左右:15mm
- 内容を最大化する設定
余白設定の手順
- 「レイアウト」タブの「余白」をクリック
- 標準設定から選択、または「ユーザー設定の余白」
- 上下左右の数値を個別に設定
- 「OK」で確定
印刷の向きの選択
縦向きと横向きの使い分けと設定方法です。
縦向き(ポートレート)の適用場面
- 一般的な文書(レポート、契約書など)
- 縦書きの文書
- 文字中心のコンテンツ
横向き(ランドスケープ)の適用場面
- 表やグラフが多い文書
- プレゼンテーション資料
- 幅の広いコンテンツ
向きの変更手順
- 「レイアウト」タブの「印刷の向き」をクリック
- 「縦」または「横」を選択
- 印刷プレビューで確認
両面印刷の完全攻略

プリンター別の両面印刷設定
プリンターの種類によって設定方法が異なります。
自動両面印刷対応プリンターの場合
設定手順:
1. 印刷画面で「両面印刷」を選択
2. 綴じ方向を選択(長辺とじ・短辺とじ)
3. プレビューで確認
4. 印刷実行
綴じ方向の選択:
- 長辺とじ:一般的な書籍のような綴じ方
- 短辺とじ:カレンダーのような綴じ方
手動両面印刷の場合
奇数ページ印刷:
1. 「ページ範囲」で「奇数ページのみ」を選択
2. 印刷実行
3. 印刷された用紙を確認
偶数ページ印刷:
1. 用紙を正しい向きでプリンターにセット
2. 「ページ範囲」で「偶数ページのみ」を選択
3. 印刷実行
両面印刷での注意点とコツ
失敗しない両面印刷のためのポイントです。
用紙のセット方向
- プリンターのマニュアルで正しい向きを確認
- テスト印刷で向きを検証
- 印字面と余白の関係を理解
ページレイアウトの調整
見開きページの設定:
1. 「レイアウト」→「ページ設定」の起動ツール
2. 「複数ページ」で「見開きページ」を選択
3. 内側と外側の余白を個別設定
ヘッダー・フッターの調整:
- 奇数ページと偶数ページで異なる設定
- ページ番号の位置を左右で変更
トラブルシューティング
両面印刷でよくある問題の解決法です。
問題:裏面が逆さまに印刷される
原因:用紙のセット方向が間違っている
解決:
1. プリンターの説明書で正しいセット方法を確認
2. テスト用紙で向きを検証
3. プリンタードライバーの設定を確認
問題:片面しか印刷されない
原因:両面印刷設定が有効になっていない
解決:
1. プリンターが両面印刷に対応しているか確認
2. プリンターのプロパティで両面設定を確認
3. 手動両面印刷に切り替え
PDF保存と印刷の活用術
PDFとして保存するメリット
直接印刷よりもPDF経由の印刷が推奨される理由です。
レイアウト保持の確実性
- フォントの埋め込みで表示崩れを防止
- 異なる環境でも同じ表示を保証
- プリンター依存の問題を回避
互換性とポータビリティ
- どのOSでも同じように表示
- 印刷会社への入稿に適している
- メール添付やクラウド共有が簡単
セキュリティと管理
- パスワード保護が可能
- 印刷禁止設定ができる
- 編集制限の設定が可能
PDF保存の詳細手順
Word文書をPDFに変換する複数の方法を紹介します。
方法1:エクスポート機能(推奨)
手順:
1. 「ファイル」→「エクスポート」
2. 「PDF/XPSドキュメントの作成」を選択
3. 「PDF/XPSの作成」をクリック
4. ファイル名と保存場所を指定
5. 「オプション」で詳細設定
6. 「発行」をクリック
方法2:印刷機能からPDF作成
手順:
1. 「Ctrl + P」で印刷画面を開く
2. プリンターで「Microsoft Print to PDF」を選択
3. 印刷設定を確認
4. 「印刷」をクリック
5. 保存場所とファイル名を指定
方法3:名前を付けて保存
手順:
1. 「ファイル」→「名前を付けて保存」
2. ファイルの種類で「PDF」を選択
3. 保存場所とファイル名を指定
4. 「保存」をクリック
PDF保存時の詳細設定
用途に応じたPDF設定の最適化方法です。
品質とサイズのバランス設定
最高品質(印刷用):
- 解像度:300dpi以上
- 画像圧縮:最小
- フォント埋め込み:すべて
標準品質(一般用):
- 解像度:150dpi
- 画像圧縮:中程度
- ファイルサイズとのバランス
最小サイズ(Web用):
- 解像度:72dpi
- 画像圧縮:最大
- フォント埋め込み:最小限
ページ範囲とオプション設定
ページ範囲:
- すべてのページ
- 現在のページ
- ページ指定(例:1-10)
含める内容:
- 文書のプロパティ
- ドキュメント構造タグ
- ブックマーク
- アクセシビリティ情報
高度な印刷設定とカスタマイズ

印刷品質の調整
用途に応じた印刷品質の最適化方法です。
解像度設定
ドラフト品質(下書き用):
- 解像度:150dpi
- 印刷速度:高速
- インク消費:少ない
標準品質(一般用):
- 解像度:300dpi
- 印刷速度:標準
- インク消費:標準
高品質(最終版):
- 解像度:600dpi以上
- 印刷速度:低速
- インク消費:多い
カラー設定
モノクロ印刷:
- コスト削減
- 文字中心の文書に適している
- 印刷速度が速い
カラー印刷:
- 図表やグラフを含む文書
- プレゼンテーション資料
- マーケティング資料
複数部印刷の効率化
大量印刷時の設定とコツです。
部単位印刷の設定
部単位印刷:
- 1部完成してから次の部を印刷
- ページ順序が正しく保たれる
- 仕分け作業が不要
ページ単位印刷:
- 同じページをまとめて印刷
- 印刷速度が速い場合がある
- 手動での仕分けが必要
印刷ジョブの管理
- 印刷キューの確認方法
- 印刷の一時停止・再開
- 印刷ジョブのキャンセル
ヘッダーとフッターの印刷制御
ヘッダーとフッターの効果的な活用法です。
ヘッダー・フッターの設定
基本設定:
1. 「挿入」→「ヘッダーとフッター」
2. デザインを選択
3. 内容を入力・編集
内容の例:
- 文書タイトル
- 作成日時
- ページ番号
- 作成者名
印刷時の制御
印刷しない設定:
1. 印刷画面の「設定」
2. 「ページ設定」をクリック
3. 「その他」タブで設定変更
一部のページのみ制御:
- セクション区切りを使用
- ページごとに異なる設定
プリンター別の最適化設定
家庭用インクジェットプリンター
家庭用プリンターでの最適な印刷設定です。
Canon製プリンターの設定
推奨設定:
- 用紙種類:普通紙またはマット紙
- 印刷品質:標準(文書用)
- カラーモード:文書に応じて選択
省インク設定:
- エコノミーモードを有効
- モノクロ印刷の活用
- 下書き品質での印刷
EPSON製プリンターの設定
推奨設定:
- 用紙設定:使用する用紙に正確に合わせる
- 印刷品質:きれい(文書用)
- 双方向印刷:有効(速度優先)
高品質設定:
- 双方向印刷:無効
- 印刷品質:きれい(写真用)
- 用紙種類:高品質用紙
ビジネス用レーザープリンター
オフィス環境での効率的な印刷設定です。
HP製プリンターの設定
標準設定:
- 印刷品質:600dpi
- トナー節約:有効
- 両面印刷:自動
高速印刷設定:
- 印刷品質:300dpi
- RET(Resolution Enhancement Technology):無効
- 先行排紙:有効
Brother製プリンターの設定
効率的な設定:
- 印刷品質:HQ1200
- トナーセーブ:有効
- 静音モード:必要に応じて
大量印刷用設定:
- 連続印刷モード:有効
- 排紙トレイ容量:最大
- メモリー使用量:最大
よくあるトラブルと完全解決法

レイアウト崩れの対処法
印刷時のレイアウト問題を根本的に解決する方法です。
文字化けや表示異常
原因分析:
- フォントがプリンターで対応していない
- 文字コードの問題
- ドライバーの不具合
解決手順:
1. 標準フォント(MS明朝、MSゴシック)に変更
2. プリンタードライバーの更新
3. PDF経由での印刷に変更
画像や表の位置ずれ
原因分析:
- 画像の配置設定が「行内」以外
- 表の幅設定が用紙サイズを超過
- 余白設定との競合
解決手順:
1. 画像の配置を「行内」に変更
2. 表の幅を用紙サイズ内に調整
3. 印刷プレビューで最終確認
印刷速度の改善
印刷処理を高速化する方法です。
Word側の最適化
文書の軽量化:
- 不要な画像の削除・圧縮
- 埋め込みオブジェクトの最小化
- 自動保存間隔の調整
印刷設定の最適化:
- 印刷品質を標準以下に設定
- カラー印刷をモノクロに変更
- 両面印刷の無効化(必要に応じて)
プリンター側の最適化
ハードウェア設定:
- メモリー増設(可能な場合)
- 有線接続の使用
- 最新ドライバーの使用
ソフトウェア設定:
- 印刷キューの最適化
- バックグラウンド印刷の設定
- 印刷解像度の調整
用紙設定のミスマッチ解決
用紙関連の問題を完全に解決する方法です。
サイズ不一致の解決
確認手順:
1. Word文書の用紙サイズを確認
2. プリンターにセットされている用紙サイズを確認
3. プリンタードライバーの設定を確認
調整方法:
- Word側の設定変更
- プリンター側の設定変更
- 用紙の交換
向きの不一致解決
確認ポイント:
- Word文書の印刷向き
- プリンターの用紙セット向き
- ドライバーの向き設定
統一方法:
1. すべての設定を縦向きまたは横向きに統一
2. 印刷プレビューで最終確認
3. テスト印刷での検証
効率的な印刷ワークフローの構築
印刷前チェックリストの作成
失敗しない印刷のためのシステマティックなアプローチです。
文書内容の確認
□ 誤字脱字のチェック完了
□ レイアウトの最終確認
□ ページ番号の連続性確認
□ ヘッダー・フッターの内容確認
□ 図表の配置確認
印刷設定の確認
□ プリンターの選択確認
□ 用紙サイズの一致確認
□ 印刷部数の確認
□ ページ範囲の確認
□ 両面印刷設定の確認
最終確認
□ 印刷プレビューでの全ページ確認
□ 用紙とインクの残量確認
□ プリンターの接続状態確認
□ 印刷コストの確認
□ 印刷時間の見積もり
バッチ印刷の活用
複数文書を効率的に印刷する方法です。
複数ファイルの同時印刷
準備:
1. 印刷したいWordファイルを同じフォルダーに配置
2. すべてのファイルの印刷設定を統一
3. プリンターの設定を確認
実行:
1. エクスプローラーで複数ファイルを選択
2. 右クリックで「印刷」を選択
3. 自動的に順次印刷が実行
印刷ジョブの管理
効率化のコツ:
- 印刷順序の最適化
- 用紙サイズ別のグループ化
- カラーとモノクロの分離
- 両面印刷の一括設定
まとめ
Wordの印刷は、正しい設定と手順を知っていれば確実に成功できます。
基本操作の習得
- ショートカットキー「Ctrl + P」で素早くアクセス
- 印刷プレビューでの事前確認は必須
- 用紙設定とプリンター設定の一致が重要
トラブル予防のポイント
- Word文書とプリンター設定の統一
- PDF経由の印刷でレイアウト崩れを防止
- 印刷前チェックリストの活用
効率化のテクニック
- 両面印刷の活用でコスト削減
- 印刷品質の使い分けで時間短縮
- バッチ印刷で大量印刷の効率化
高品質印刷の実現
- 用途に応じた品質設定の選択
- プリンター別の最適化設定
- ヘッダー・フッターの効果的活用
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