Word(ワード)で図形や画像を配置するとき、「グリッド線を表示して、きれいに並べられた!」と思って印刷してみると、「あれ?線が印刷されていない…」と困った経験はありませんか。
グリッド線とは、画面に表示される格子状の線のことで、図形や文字をきれいに並べるための「目安の線」として使われます。まるで方眼紙のような線が画面に表示されるので、とても便利です。
でも、多くの人が知らないのは、Wordのグリッド線は「画面で見るためだけの線」で、印刷には出てこないということです。これは、グリッド線が「作業を助けるための補助線」として設計されているからです。
「でも、実際に印刷物にもグリッド線が欲しい!」「方眼紙のような資料を作りたい!」「子供の工作用の台紙を作りたい!」という場面もありますよね。
この記事では、Wordでグリッド線がなぜ印刷されないのか、そして印刷にも反映されるグリッド線を作る方法を、初心者の方でもわかるように詳しく説明します。
きれいで使いやすい資料作りのために、ぜひこの知識を活用してください。
Wordのグリッド線って何?なぜ印刷されないの?

グリッド線の基本概念
グリッド線とは、Wordの画面に表示される格子状の線のことです。「Grid(グリッド)」は英語で「格子」を意味し、縦と横の線が交差してできる方眼のような模様を指します。
グリッド線の役割
配置の目安
図形や画像の整列
- 複数の図形を同じ間隔で並べる
- 画像を規則正しく配置する
- 文字や表を適切な位置に置く
サイズの統一
- 同じ大きさの図形を作る
- 均等な間隔を保つ
- 全体のバランスを整える
作業効率の向上
視覚的な目安
- どこに配置すればいいかが一目でわかる
- 微調整が簡単になる
- きれいなレイアウトが作りやすい
なぜ印刷されないの?
設計思想の違い
作業用の補助線
- グリッド線は「作業を助けるための線」として作られています
- 完成した文書には不要と考えられています
- 印刷コストや見た目を考慮した設計です
国際的な標準
- 多くのソフトウェアで同じ仕様
- 混乱を避けるための統一規格
- プロの現場でも同様の扱い
実用上の理由
印刷コストの削減
- 不要な線を印刷しないことでインク節約
- 印刷時間の短縮
- 用紙の節約にも貢献
見た目の美しさ
- 完成した文書に補助線は不要
- プロフェッショナルな仕上がり
- 読みやすさの向上
グリッド線の表示方法
基本の表示手順
- 「表示」タブをクリックします
- Wordの上部にあるタブから「表示」を選択してください
- 「グリッド線」にチェックを入れます
- 「表示」グループにある「グリッド線」のチェックボックスをクリックしてください
- 画面にグリッド線が表示されます
- 方眼紙のような格子状の線が表示されます
グリッド線の設定変更
- 「レイアウト」タブをクリックします
- 「配置」グループの「グリッドの設定」をクリックします
- グリッドの間隔や表示方法を調整できます
- 間隔の調整
- 線の種類の変更
- 表示・非表示の切り替え
グリッド線が必要な場面
学校での活用例
図形の学習
算数・数学
- 図形の作図練習
- 座標の学習
- グラフの作成
美術・図工
- 絵の下書き用紙
- 工作の設計図
- レイアウトの練習
文書作成の学習
国語
- 作文用紙の代用
- 文字の配置練習
- レポートのレイアウト学習
仕事での活用例
設計・企画
レイアウト設計
- チラシやポスターの下書き
- Webサイトの設計図
- 建築図面の補助
プレゼン資料
- スライドのレイアウト統一
- 図表の配置決め
- 全体のバランス調整
教育・研修
資料作成
- 教材の作成
- ワークシートの作成
- 演習問題の配置
日常での活用例
家庭での利用
子供の学習支援
- 宿題用の方眼紙
- 図工の設計図
- 自由研究のまとめ
趣味・創作
- 手芸の型紙
- ガーデニングの設計
- 模型作りの設計図
表を使ってグリッドを作る方法
最も確実で簡単な方法
表を使ってグリッドを作る方法は、最も確実で簡単です。Word の表機能を使うので、確実に印刷されますし、細かい調整も可能です。
基本的な作成手順
ステップ1:表の挿入
- 「挿入」タブをクリックします
- 「表」をクリックします
- 「表」グループにある「表」ボタンをクリックしてください
- 表のサイズを選択します
- グリッドマス(10×10、20×20など)にしたい大きさを選択してください
- 後からサイズ変更も可能です
- 表が挿入されます
ステップ2:表のサイズ調整
- 表全体を選択します
- 表の左上角の十字マークをクリックしてください
- 表のサイズを調整します
- 角のハンドルをドラッグして、ページいっぱいに広げてください
- 行と列の高さ・幅を統一します
- 「表ツール」の「レイアウト」タブで「行の高さ」と「列の幅」を同じ値に設定
ステップ3:デザインの調整
- 「表ツール」の「デザイン」タブをクリックします
- 罫線のスタイルを選択します
- 線の太さ、色、種類を選択できます
- 背景色を設定します(必要に応じて)
- 薄い色を選ぶと、文字や図形が見やすくなります
詳細なカスタマイズ
罫線の細かい設定
線の種類の変更
- 表を選択した状態で「表ツール」の「デザイン」タブをクリック
- 「罫線のスタイル」で線の種類を選択
- 実線、点線、破線などから選択可能
線の太さの調整
- 「ペンの太さ」で線の太さを選択
- 0.5pt(細い)から6pt(太い)まで選択可能
線の色の変更
- 「ペンの色」で線の色を選択
- 薄いグレーにすると目立ちすぎません
サイズの精密調整
均等な正方形にする方法
- 表全体を選択
- 「表ツール」の「レイアウト」タブで「プロパティ」をクリック
- 「行」タブで「高さを指定する」にチェック
- 「列」タブで「幅を指定する」にチェック
- 同じ値(例:1cm)を設定
活用例
子供用の作文用紙
設定例
- 20×20マスの表を作成
- 罫線を薄いブルーに設定
- 各マスを1cm×1cmに調整
- 上部に名前欄を追加
設計図用のグリッド
設定例
- 50×50マスの表を作成
- 5マスごとに太い線を設定
- 背景を薄いグレーに設定
- 余白を最小に調整
プレゼン資料のレイアウト用
設定例
- 12×8マスの表を作成
- 罫線を非常に薄いグレーに設定
- 背景は透明のまま
- スライドサイズに合わせて調整
図形の線でグリッドを作る方法

より自由度の高い方法
図形の線を使ってグリッドを作る方法は、表よりも自由度が高く、細かいカスタマイズが可能です。ただし、作業に少し時間がかかります。
基本的な作成手順
ステップ1:縦線の作成
- 「挿入」タブをクリックします
- 「図形」をクリックします
- 「線」を選択します
- 基本図形の中から直線を選んでください
- 縦線を描きます
- ページの上から下まで、まっすぐな線を描いてください
- Shiftキーを押しながらドラッグすると、まっすぐな線が描けます
- 線をコピーします
- 描いた線を選択して「Ctrl + C」でコピー
- 必要な本数分貼り付けます
- 「Ctrl + V」で貼り付けて、適切な間隔で配置
ステップ2:横線の作成
- 横線を描きます
- ページの左から右まで、まっすぐな線を描いてください
- 線をコピーして配置します
- 縦線と同様に、必要な本数分コピーして配置
ステップ3:線の整列
- すべての縦線を選択します
- Ctrlキーを押しながら、すべての縦線をクリック
- 「図形の書式」タブの「配置」をクリックします
- 「左右に整列」→「等間隔に分布」を選択します
- 横線も同様に整列します
ステップ4:グループ化
- すべての線を選択します
- Ctrlキーを押しながら、すべての線をクリック
- 右クリックして「グループ化」→「グループ化」を選択します
- 一つの要素として扱えるようになります
線の詳細設定
線のスタイル設定
線の太さの調整
- 線を選択
- 「図形の書式」タブで「図形の枠線」をクリック
- 「太さ」から適切な太さを選択
線の色の変更
- 線を選択
- 「図形の枠線」で色を選択
- 薄いグレーや青など、目立ちすぎない色がおすすめ
線の種類の変更
- 線を選択
- 「図形の枠線」→「実線/点線」で種類を選択
- 点線や破線も選択可能
より効率的な作成方法
マクロを使った自動作成
Sub CreateGrid()
Dim i As Integer
Dim gridSize As Single
gridSize = 28.35 ' 1cmをポイントに変換
' 縦線の作成
For i = 1 To 20
ActiveDocument.Shapes.AddLine(i * gridSize, 50, i * gridSize, 600).Select
Next i
' 横線の作成
For i = 1 To 15
ActiveDocument.Shapes.AddLine(50, i * gridSize, 600, i * gridSize).Select
Next i
End Sub
このマクロを実行すると、自動的にグリッドが作成されます。
背景画像としてグリッドを作る方法
最も柔軟な方法
背景画像として グリッドを挿入する方法は、最も柔軟で美しい仕上がりが可能です。他のソフトで作成したグリッド画像を使用するため、完全にカスタマイズされたデザインが実現できます。
他のソフトでグリッド画像を作成
Excelを使った作成
- 新しいExcelファイルを開きます
- セルのサイズを正方形に調整します
- 行の高さと列の幅を同じ値に設定
- 必要な範囲を選択します
- 例:A1からT20まで(20×20のグリッド)
- 罫線を設定します
- 「ホーム」タブの「罫線」→「すべての罫線」
- 画像として保存します
- 選択範囲をコピーして、「図として貼り付け」
- 画像を右クリックして「図として保存」
無料の画像編集ソフト(GIMP)を使った作成
- GIMPを開きます
- 新しい画像を作成します
- A4サイズ(210×297mm、300dpi)
- フィルターでグリッドを作成します
- 「フィルター」→「下絵」→「グリッド」
- グリッドの設定を調整します
- 線の間隔、太さ、色を設定
- PNG形式で保存します
- 透明度を保持できるPNG形式がおすすめ
オンラインツールの活用
無料のグリッド作成サイト
- Grid Paper Generator
- Print Free Graph Paper
- Canva(無料プラン)
これらのサイトで、様々な種類のグリッドを無料で作成・ダウンロードできます。
Wordへの挿入方法
背景として挿入
- 「デザイン」タブをクリックします
- 「ページの色」→「塗りつぶし効果」を選択します
- 「図」タブを選択します
- 「図の選択」で作成したグリッド画像を選択します
- 必要に応じて透明度を調整します
画像として挿入
- 「挿入」タブをクリックします
- 「画像」→「このデバイス」を選択します
- 作成したグリッド画像を選択します
- 画像を右クリックして「文字列の折り返し」→「背面」を選択します
- 画像サイズをページに合わせて調整します
活用のメリット
高い自由度
カスタムデザイン
- 完全にオリジナルのグリッドが作成可能
- 色、間隔、線の種類を自由に設定
- 透明度や模様なども表現可能
複雑なパターン
- 等角投影法のグリッド
- 極座標グリッド
- ログスケールグリッド
プロフェッショナルな仕上がり
高解像度対応
- 印刷品質を考慮した解像度設定
- ベクター形式での作成も可能
- 商業印刷にも対応
用途別のおすすめ方法

簡単さを重視する場合
表を使用
おすすめする場面
- 初心者の方
- 急いで作成したい場合
- 確実に印刷したい場合
設定のコツ
- 罫線を薄いグレーに設定
- 背景は透明または白のまま
- 行と列の高さ・幅を統一
カスタマイズを重視する場合
図形の線を使用
おすすめする場面
- 部分的にグリッドが必要
- 線の太さや間隔を細かく調整したい
- 他の図形と組み合わせたい
作業のコツ
- 配置ツールを活用して整列
- グループ化で管理しやすく
- マクロで作業を自動化
デザインを重視する場合
背景画像を使用
おすすめする場面
- プロフェッショナルな仕上がりが必要
- 特殊なグリッドパターンが必要
- 透明度や特殊効果を使いたい
制作のコツ
- 高解像度で作成
- 透明度を活用
- 印刷テストを必ず実施
よくある問題と解決方法
問題1:グリッドが印刷されない
原因の確認
プリンター設定
- 「図とテキストボックスを印刷する」がオフになっている
- 「下書き品質」で印刷している
Word設定
- 「ファイル」→「オプション」→「表示」で「印刷オプション」を確認
解決方法
- 印刷設定を確認
- 「ファイル」→「印刷」→「設定」で「高品質」を選択
- 印刷プレビューで確認
- 実際にグリッドが表示されているかチェック
問題2:グリッドの間隔が不均等
表の場合の対処
- 表全体を選択
- 「表ツール」→「レイアウト」→「プロパティ」
- 行の高さと列の幅を数値で指定
図形の場合の対処
- すべての線を選択
- 「図形の書式」→「配置」→「等間隔に分布」
問題3:グリッドが他の要素と干渉する
レイヤーの調整
- グリッド要素を選択
- 「図形の書式」→「配置」→「オブジェクトの選択と表示」
- レイヤーの順序を調整
文字列の折り返し設定
- グリッド要素を右クリック
- 「文字列の折り返し」→「背面」を選択
高度な活用テクニック
複数種類のグリッドの組み合わせ
階層化されたグリッド
基本グリッド
- 細い線で基本的な格子を作成
- 薄いグレーで目立たないように設定
強調グリッド
- 5または10マスごとに太い線を配置
- 少し濃い色で区切りを明確化
条件付きグリッド
マクロでの動的生成
Sub CreateCustomGrid()
Dim userInput As String
Dim gridCount As Integer
userInput = InputBox("グリッドの数を入力してください", "カスタムグリッド", "10")
gridCount = CInt(userInput)
' 指定された数でグリッドを作成
' (詳細なコードは省略)
End Sub
テンプレート化
再利用可能なテンプレート作成
- 完成したグリッド文書を作成
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」
- ファイルの種類で「Wordテンプレート(*.dotx)」を選択
- 今後同じグリッドを簡単に使用可能
まとめ
Wordでグリッド線を印刷する方法は、標準機能では不可能ですが、工夫次第で様々な方法で実現できます。それぞれの方法には特徴があり、用途に応じて使い分けることが重要です。
主な方法の特徴:
表を使った方法
- 最も簡単で確実
- 初心者におすすめ
- カスタマイズも比較的容易
図形の線を使った方法
- 高い自由度とカスタマイズ性
- 部分的な使用に適している
- 作業時間は少し長め
背景画像を使った方法
- 最も美しい仕上がり
- プロフェッショナルな用途に最適
- 他のソフトとの連携が必要
選択の指針:
- 簡単さ重視:表を使用
- カスタマイズ重視:図形の線を使用
- デザイン重視:背景画像を使用
活用のポイント:
- 用途に応じた適切な方法の選択
- 印刷テストでの事前確認
- テンプレート化による効率化
- 他の要素との調和を考慮
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