Word(ワード)文書で「ある1ページだけ横向きにしたい」と思ったことはありませんか?長い表や横長のグラフを載せると、縦のページでは収まりきらないこともあります。
この記事では、特定のページだけ横向き(横書きレイアウト)に変更する方法を、実例つきでわかりやすく解説します。セクション区切りの概念から実際の操作手順、よくある問題の解決法まで包括的にカバーします。
急いでいる人は、横向きにしたいページの前後に「レイアウト」→「区切り」→「次のページから開始」でセクション区切りを入れ、そのページで「印刷の向き」を「横」に変更してください。
Wordのページ向き設定の基本概念

通常の向き設定の制限
標準的な設定方法
Wordの基本仕様:
- 文書全体の向きが一括で設定されるのが標準
- 「レイアウト」→「印刷の向き」で「縦」または「横」を選択
- すべてのページに同じ設定が適用される
この制限による問題
実際の文書作成での課題:
- 横長の表やグラフが縦ページに収まらない
- データ量の多い表で文字が小さくなりすぎる
- 図表の見やすさが損なわれる
- 印刷時の読みにくさが発生
セクション区切りによる解決
セクション区切りとは
セクションの概念:
- 文書を論理的に分割する単位
- 各セクションで異なる書式設定が可能
- ページ設定、ヘッダー・フッター、段組みなどをセクション単位で制御
セクション区切りでできること
個別制御可能な要素:
- ページの向き(縦・横)
- 余白の設定
- ヘッダー・フッターの内容
- 段組みの数
- ページ番号の形式
特定のページを横向きにする詳細手順
事前準備:文書の構成確認
現在の文書状態をチェック
確認すべきポイント:
- 横向きにしたいページの内容を特定
- 前後のページとの関係を確認
- ヘッダー・フッターの有無をチェック
- ページ番号の連続性を確認
セクション区切り挿入位置の決定
適切な挿入位置:
- 横向きページの直前(1つ目のセクション区切り)
- 横向きページの直後(2つ目のセクション区切り)
ステップ1:セクション区切りの挿入
1つ目のセクション区切り(ページの前)
詳細手順:
- 横向きにしたいページの直前の行にカーソルを配置
- 「レイアウト」タブをクリック
- 「区切り」ボタンをクリック
- 「セクション区切り」グループから「次のページから開始」を選択
セクション区切りの種類と特徴
選択可能なセクション区切り:
区切りの種類 | 特徴 | 使用場面 |
---|---|---|
次のページから開始 | 新しいページでセクション開始 | ページ向き変更に最適 |
現在の位置から開始 | 同じページ内でセクション変更 | 段組み変更など |
偶数ページから開始 | 偶数ページでセクション開始 | 印刷物の章区切り |
奇数ページから開始 | 奇数ページでセクション開始 | 書籍形式の文書 |
2つ目のセクション区切り(ページの後)
手順:
- 横向きページの最後にカーソルを配置
- 同様に「レイアウト」→「区切り」→「次のページから開始」
- 横向きページが独立したセクションとして完成
ステップ2:ページ向きの変更
対象セクションでの向き設定
詳細操作:
- 横向きにしたいページ内の任意の場所にカーソルを配置
- 「レイアウト」タブをクリック
- 「印刷の向き」→「横」を選択
- **適用範囲が「このセクションのみ」**になっていることを確認
適用範囲の確認と調整
重要な確認ポイント:
- 「印刷の向き」を変更する際、適用範囲のダイアログが表示される場合がある
- **「このセクションのみ」**を選択することが重要
- **「文書全体」**を選ぶと全ページが横向きになってしまう
ステップ3:レイアウトの最適化
余白とサイズの調整
横向きページでの調整項目:
- **「レイアウト」→「余白」**で適切な余白を設定
- 上下の余白を狭く、左右の余白を広めに設定するのが一般的
- カスタム余白で数値を直接指定も可能
表や図の配置最適化
横向きページでの配置のコツ:
- 表の列幅を適切に調整
- フォントサイズを見やすく調整
- 図表のサイズを最適化
- キャプションの位置を調整
実用的な活用例

ビジネス文書での活用
売上報告書での表組み
縦向きページの内容:
第1章 概要
第2章 前年度比較
第3章 詳細データ(表:横向きページ)
第4章 今後の戦略
横向きページでの表例:
- 月別売上推移表(12ヶ月分の詳細データ)
- 商品別収益分析(多数の商品カテゴリ)
- 地域別販売実績(全国の営業所データ)
プレゼンテーション資料
効果的な使用例:
- 組織図:部門構造を横に展開
- プロセスフロー:業務の流れを時系列で表示
- 比較表:競合他社との詳細比較
学術・研究文書での活用
論文での図表配置
研究論文での使用例:
- 実験データの一覧表
- 統計分析結果のグラフ
- 参考文献の詳細リスト
調査報告書
調査結果の効果的な表示:
- アンケート結果の集計表
- 年代別・地域別の分析データ
- 回答者属性の詳細分析
教育分野での活用
授業資料・教材
教育現場での応用:
- 年間スケジュール表
- 成績一覧表
- カリキュラム体系図
学習ワークシート
効果的な教材作成:
- 問題と解答を並列表示
- 学習進度の確認表
- 評価基準の詳細表
よくある問題と解決法
セクション区切り関連の問題
問題1:セクション区切りが見えない
原因と対処法:
編集記号が非表示:
- 解決法:「ホーム」→「段落」グループの「編集記号の表示/非表示」をクリック
- 確認:「セクション区切り」が表示される
下書き表示になっていない:
- 解決法:「表示」→「下書き」に切り替えてセクション区切りを確認
問題2:意図しないページが横向きになる
原因:
- セクション区切りの位置が不適切
- 適用範囲の設定ミス
解決手順:
- **「表示」→「下書き」**でセクション区切りの位置を確認
- 不要なセクション区切りを削除
- 正しい位置に再挿入
問題3:セクション区切りが削除できない
安全な削除方法:
- セクション区切りの直前にカーソルを配置
- Deleteキーを押す
- 段落記号と一緒に削除される
ページ向き設定の問題
問題1:向きが変更されない
確認すべきポイント:
カーソル位置の確認:
- 解決法:対象セクション内にカーソルがあることを確認
- ステータスバーで現在のセクション番号をチェック
適用範囲の設定:
- 解決法:「このセクションのみ」が選択されていることを確認
問題2:前後のページまで影響を受ける
原因と対処:
- セクション区切りが不足または位置が不適切
- 解決法:前後両方にセクション区切りがあることを確認
印刷・PDF出力の問題
問題1:印刷時にレイアウトが崩れる
プリンター設定の確認:
- 「ファイル」→「印刷」
- **「プリンターのプロパティ」**をクリック
- **「自動用紙回転」または「自動方向選択」**を有効にする
問題2:PDF変換時の問題
PDF出力での注意点:
- 「ファイル」→「エクスポート」→「PDF/XPS の作成」
- **「オプション」で「ISO 19005-1 準拠(PDF/A)」**のチェックを外す
- **「印刷に最適化」**を選択
高度なセクション管理
ヘッダー・フッターの処理
セクション間でのヘッダー・フッター管理
基本的な設定:
- **各セクションで「前と同じヘッダー/フッター」**の設定を確認
- 横向きページでは異なるヘッダーが必要な場合が多い
- **「ヘッダーとフッター」→「前と同じ」**のリンクを解除
ページ番号の連続性
ページ番号の調整:
- 「挿入」→「ページ番号」→「ページ番号の書式設定」
- **「前のセクションから継続」**を選択
- 各セクションで個別にページ番号形式を設定可能
複数の横向きページ
連続する複数ページを横向きにする場合
効率的な方法:
- 横向きにしたい範囲の前後のみにセクション区切りを挿入
- 中間ページには区切りを入れない
- 1つのセクションとして一括管理
飛び飛びのページを横向きにする場合
個別管理の方法:
- 各横向きページごとにセクション区切りで囲む
- セクション数が多くなるが、個別制御が可能
- ヘッダー・フッターの管理が複雑になる点に注意
パフォーマンスと最適化

文書サイズとパフォーマンス
セクション数の最適化
推奨する管理方法:
- 必要最小限のセクション数に抑える
- 不要なセクション区切りは定期的に整理
- 大きな文書では目次機能でナビゲーションを改善
メモリ使用量の管理
大容量文書での注意点:
- 多数の横向きページがある場合のメモリ消費
- 定期的な保存でメモリ使用量をリセット
- 不要な改訂履歴の削除
互換性とファイル共有
異なるバージョンでの表示
互換性の確保:
- Word 2007以降では基本的に同じ表示
- 古いバージョンでは一部制限がある場合も
- PDF変換で確実な表示を保証
共同編集での注意点
Microsoft 365での共同編集:
- セクション区切りの変更は他の編集者に影響
- リアルタイム編集時の競合を避けるための調整
- 変更履歴機能でセクション変更を記録
まとめ
Wordで「特定のページだけ横向き」にするには、セクション区切りを活用することがカギです。この機能をマスターすることで、文書の表現力と読みやすさが大幅に向上します。
主要なポイント
基本的な手順:
- 前後にセクション区切りを挿入
- 横向きページだけ「印刷の向き:横」に設定
- 表や図の見やすさがグンと向上
成功のコツ:
- セクション区切りの位置を正確に設定
- 適用範囲を「このセクションのみ」に限定
- ヘッダー・フッターの連続性を管理
活用効果:
- データ表の視認性向上
- グラフや図表の効果的な配置
- 文書全体のプロフェッショナルな仕上がり
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