「この部分にメモを入れておきたい」 「誰かに意見を伝えたいけれど文書はそのままにしたい」
と思ったことはありませんか?Microsoft Wordには、編集したり削除せずに意見や注意点を残せる「メモ(コメント)」機能が用意されています。
この記事では、Wordのメモ機能の基本的な使い方から、共有・表示設定まで分かりやすくご紹介します。
メモ機能をマスターして、効率的な文書作成と協同作業を実現しましょう。
Wordの「メモ機能」とは

正式名称と基本概念
Wordの「メモ機能」とは、正式には「コメント機能」と呼ばれるもので、文書内の特定の場所に補足や意見、指示などを入力できる機能です。
最大の特徴 本文の内容に手を加えずに情報を追加できる
どんなときに便利?
校正・レビュー作業 文書の内容を変更せずに修正点を指摘
協同作業 チームメンバー間での意見交換
覚え書き 後で修正したい箇所にメモを残す
指導・添削 学生のレポートへの教員からのコメント
コメント機能の表示形式
吹き出し表示 文書の右側に色付きの吹き出しで表示
インライン表示 文書内に直接表示される形式
ユーザー識別 作成者の名前と色で区別される
コメント(メモ)を挿入する基本方法
詳しい操作手順(Windows版 Word)
- 対象箇所の選択 メモを入れたい文字列や段落を選択
- 校閲タブを開く リボンの「校閲」タブをクリック
- 新しいコメントを作成 「新しいコメント」ボタンをクリック
- メモの入力 右側に表示されるコメント入力欄にメモを入力
- 入力完了 他の場所をクリックして入力を確定
Mac版Wordでの操作
基本的な手順は同じ
- 対象箇所を選択
- 「校閲」タブをクリック
- 「コメント」→「新規コメント」
- コメントを入力
コメントの見た目
吹き出しの色 ユーザーごとに自動で色分けされる
接続線 対象箇所とコメントを結ぶ線で表示
作成者情報 コメント内に作成者名と作成日時が表示
コメントの表示・非表示設定
表示設定の切り替え
基本的な表示切り替え
- 「校閲」タブをクリック
- 「変更履歴の表示」をクリック
- 「コメント」のチェックを切り替え
表示モードの種類
すべての変更履歴(詳細表示) コメントが吹き出しで表示される
すべての変更履歴(簡易表示) コメントがアイコンで表示される
変更履歴なし コメントが非表示になる
印刷時の設定
印刷にコメントを含めない方法
- 「ファイル」→「印刷」をクリック
- 「設定」セクションを確認
- 「ドキュメントの校閲マークを印刷」のチェックを外す
印刷にコメントを含める方法
- 同じく印刷設定画面で
- 「校閲マーク付き文書」を選択
- コメントも一緒に印刷される
画面表示の最適化
閲覧しやすい表示設定
印刷レイアウト表示 「表示」→「印刷レイアウト」でレイアウトを保ったまま確認
ズーム調整 コメントが見やすいようにズーム倍率を調整
画面分割 長い文書では画面分割機能も有効
コメントの編集・削除方法
コメントの編集
内容の変更
直接編集 コメントのテキスト部分をクリックして直接編集
詳細な編集
- コメントを右クリック
- 「コメントの編集」を選択
- 内容を修正
書式の変更
文字装飾 太字、斜体、色変更などが可能
リンクの追加 関連するWebページへのリンクも挿入可能
コメントの削除
個別削除
- 削除したいコメントを右クリック
- 「コメントの削除」を選択
一括削除
すべてのコメントを削除
- 「校閲」タブをクリック
- 「削除」→「ドキュメント内のすべてのコメントを削除」
特定作成者のコメントのみ削除
- コメントを右クリック
- 「[作成者名]のすべてのコメントを削除」
コメントの解決
解決機能の活用
コメントを解決としてマーク
- コメントを右クリック
- 「コメントを解決」を選択
- 解決済みとして薄く表示される
解決済みコメントの再表示 「校閲」タブで「解決済みコメントの表示」を切り替え
高度な活用方法

チーム作業での効果的な使い方
役割別のコメント活用
編集者
- 修正指示
- 事実確認依頼
- 構成提案
レビュアー
- 内容への意見
- 改善提案
- 承認・否認
作成者
- 作業メモ
- 確認事項
- 進捗状況
コメントのルール作り
統一されたフォーマット
- 【修正】文法エラーがあります
- 【確認】この数値は正確ですか?
- 【提案】別の表現はいかがでしょうか?
コメントと変更履歴の併用
効果的な組み合わせ
変更履歴 実際の修正内容を記録
コメント 修正理由や補足説明を記録
設定方法
- 「校閲」タブで「変更履歴の記録」をオン
- 修正作業を実行
- 必要に応じてコメントで説明を追加
段階的なレビュープロセス
レビューの流れ
- 初回レビュー コメントで大まかな指摘
- 修正作業 コメントに基づいて修正
- 再レビュー 修正内容の確認
- 最終確認 すべてのコメントを解決または削除
実用的な活用例
ビジネス文書での活用
企画書・提案書
上司からの指示 「この部分のデータを最新にしてください」
同僚からの提案 「グラフを追加すると分かりやすくなりそうです」
クライアントからのフィードバック 「予算の詳細をもう少し具体的に記載してください」
契約書・重要文書
法務チェック 「この条項は法的リスクがあります」
承認プロセス 「部長承認済み – 2024/1/15」
教育現場での活用
学生レポートの添削
内容面の指導 「この論点についてもう少し詳しく説明してください」
構成面の指導 「この段落は第3章に移動した方が良いでしょう」
技術面の指導 「参考文献の記載方法を確認してください」
論文指導
研究内容への助言 「このデータの分析方法について検討が必要です」
執筆技術の指導 「この表現をより学術的にしてみてください」
個人での活用
自分用のメモ
作業メモ 「後でこの部分を詳しく調べる」
アイデアメモ 「関連するトピックとして○○も追加できそう」
確認事項 「この数値を再確認する必要あり」
コメント機能の詳細設定
ユーザー情報の設定
表示名の変更
- 「ファイル」→「オプション」をクリック
- 「基本設定」を選択
- 「ユーザー名」と「イニシャル」を設定
色の設定
自動色分け Wordが自動的にユーザーごとに色を割り当て
手動設定 一部のバージョンでは色の手動設定も可能
コメントの詳細表示設定
タイムスタンプの表示
作成日時 コメント作成の日時が自動記録
編集履歴 コメントの編集履歴も記録される
コメントの並び順
時系列順 作成順に表示
文書順 文書内の出現順に表示
トラブルシューティング
よくある問題と解決法
コメントが表示されない
原因と対処法
- 表示設定の確認:「校閲」→「変更履歴の表示」→「コメント」をチェック
- 表示モードの確認:「印刷レイアウト」表示になっているか確認
- ズームレベルの調整:ズームが小さすぎるとコメントが見えない場合
コメントが印刷されない
原因と対処法
- 印刷設定の確認:「印刷」→「設定」で「校閲マーク付き文書」を選択
- プリンタ設定の確認:カラー印刷設定になっているか確認
コメントの削除ができない
原因と対処法
- 文書保護の確認:文書が保護されていないか確認
- 権限の確認:コメント作成者本人か管理者権限があるか確認
パフォーマンスの最適化
大量のコメントがある場合
表示の最適化
- 解決済みコメントを非表示に
- 不要なコメントは定期的に削除
- 必要に応じてコメントをテキストに変換
セキュリティと注意点

プライバシーの保護
個人情報の管理
ユーザー名の設定 適切なユーザー名を設定(本名の使用是非を検討)
コメント内容の注意 機密情報をコメントに含めない
文書共有時の注意
外部共有前の確認
コメントの削除確認 外部に送る前にすべてのコメントを確認・削除
解決済みコメントの処理 解決済みコメントも削除を検討
よくある質問
メモが表示されないのはなぜですか?
表示設定で「コメント」が非表示になっている可能性があります。「校閲」タブ→「変更履歴の表示」で「コメント」にチェックを入れてください。
コメントを印刷したいのですが枠が出ません
印刷設定で「校閲マーク付き文書」を選ぶ必要があります。「ファイル」→「印刷」→「設定」→「校閲マーク付き」で確認してください。
他の人のコメントを編集できますか?
基本的には作成者本人のみが編集できますが、文書の管理者権限があれば他の人のコメントも編集・削除できます。
コメントに画像を挿入できますか?
標準的なコメント機能では画像の挿入はできませんが、リンクを使って外部の画像を参照することは可能です。
音声コメントは可能ですか?
Wordの標準コメント機能では音声は挿入できませんが、OneDriveやSharePointの機能を使えば音声コメントも可能です。
まとめ
Wordのメモ(コメント)機能は、文書の内容に手を加えることなく「補足」「意見」「指示」などを伝えることができる便利なツールです。
主要な機能
- 「校閲」→「新しいコメント」で意見を追加
- 表示・非表示を場面に応じて切り替え
- 印刷前には削除・非表示で見た目を整える
- チーム作業での効率的な意見交換
効果的な活用のために
基本操作をマスター
- コメントの挿入と編集
- 表示設定の切り替え
- 削除と解決の使い分け
- 印刷設定の調整
応用テクニックの習得
- 変更履歴との併用
- チーム内でのルール作り
- 段階的なレビュープロセス
- セキュリティ面での注意
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