「大量の宛名ラベルを手作業で入力するのは大変…」
「住所録から一括で名前ラベルを作れないかな?」
そんなときに便利なのが、Wordの「差し込み印刷」機能を使ったラベル作成です。
Excelで管理している住所録などのデータをもとに、複数のラベルを一気に自動生成できます。
この記事では、Wordで差し込み印刷を使ってラベルを作る手順・注意点・活用例を、初心者にもわかりやすく解説します。
差し込み印刷とは?

基本的な仕組み
差し込み印刷の概念: Wordの差し込み印刷は、外部のデータ(例:Excel)を使って、宛名や氏名などの個別情報をテンプレートに差し込む機能です。
ラベル印刷での活用:
- 各ラベルに違う情報を自動で流し込み
- 一括で大量印刷が可能
- データ管理と印刷の分離
- 効率的な作業フローの実現
差し込み印刷のメリット
作業効率の向上:
- 手作業でのコピー・貼り付けが不要
- データ変更時の自動反映
- 印刷ミスの大幅削減
- 時間短縮効果
品質の向上:
- 統一されたフォーマット
- 入力ミスの防止
- プロフェッショナルな仕上がり
- 大量処理での一貫性
活用できる場面
ビジネスシーン:
- 営業活動での宛名ラベル
- イベント参加者の名札作成
- 商品発送時の宛名ラベル
- 会議資料の名前ラベル
個人・家庭での利用:
- 年賀状の宛名ラベル
- 引っ越し挨拶状の宛名
- 子供の持ち物ラベル
- 整理収納用のラベル
事前準備:データファイルの作成
Excelでのデータ準備
基本的なデータ構造:
氏名 | 郵便番号 | 住所 | 会社名 |
---|---|---|---|
山田太郎 | 123-4567 | 東京都港区○○1-2-3 | ABC商事株式会社 |
鈴木花子 | 234-5678 | 大阪市北区△△2-3-4 | XYZ企画 |
田中次郎 | 345-6789 | 名古屋市中区□□3-4-5 | 個人事業主 |
データ作成のポイント:
- 1行目は必ず見出し(フィールド名)にする
- 1行に1人分の情報を入力
- 空白セルを極力避ける
- データ形式を統一する(郵便番号の表記など)
データの品質管理
入力時の注意点:
住所の表記統一:
- 都道府県名の統一(「東京都」「大阪府」など)
- 番地表記の統一(「1-2-3」「1丁目2番3号」など)
- 建物名の表記方法
郵便番号の形式:
- ハイフン付き:123-4567(推奨)
- 数字のみ:1234567
- 全角・半角の統一
氏名の表記:
- 姓名の分離または結合
- 敬称の有無(「様」「さん」など)
- ふりがなの管理
ファイル保存時の注意
保存形式:
- Excel形式(.xlsx)を推奨
- CSV形式も使用可能
- 文字コードはUTF-8を推奨
ファイル名の工夫:
- 日付を含める:「住所録_20250719.xlsx」
- バージョン管理:「顧客リスト_v2.xlsx」
- 用途の明記:「年賀状用_住所録.xlsx」
Wordでの差し込み印刷ラベル作成手順
ステップ1:Wordでラベル設定を開始
基本手順:
- Wordを開く
- 「差し込み文書」タブをクリック
- 「差し込み印刷の開始」 → 「ラベル」を選択
- 「ラベルオプション」ダイアログが表示される
ステップ2:ラベル用紙の設定
用紙選択の詳細:
プリンターの種類選択:
- ページプリンター(レーザー・インクジェット)
- 連続帳票プリンター
ラベル製品の選択:
- メーカー選択:A-ONE、エーワン、ヒサゴなど
- 製品番号:ラベル用紙パッケージに記載
- カスタムサイズ:独自サイズの設定も可能
主要なラベルサイズ例:
A-ONE 28371: 宛名ラベル 21面
A-ONE 28366: 名前ラベル 65面
A-ONE 28183: 宛名ラベル 10面
ヒサゴ OP32114: 宛名ラベル 14面
ステップ3:データファイルの接続
データソース接続手順:
- 「宛先の選択」 → 「既存のリストの使用」
- Excelファイルを選択
- 「データソースの選択」ダイアログで以下を確認:
- シート名の選択
- データ範囲の指定
- 見出し行の確認
- **「OK」**で確定
データ接続時の注意点:
- ファイルパスを確認
- シート名が正しいか確認
- データ範囲に空白行がないか確認
- 文字化けがないか確認
ステップ4:ラベルレイアウトの設計
フィールド配置の基本:
- 最初のラベル枠にカーソルを置く
- **「差し込みフィールドの挿入」**をクリック
- 必要なフィールドを選択(氏名、住所、郵便番号など)
- レイアウトを調整
一般的なレイアウト例:
宛名ラベル(縦書き):
〒«郵便番号»
«住所»
«氏名» 様
宛名ラベル(横書き):
〒«郵便番号»
«住所»
«氏名» 様
名前ラベル:
«氏名»
«会社名»
ステップ5:全ラベルへの反映
更新手順:
- レイアウト完成後、「ラベルの更新」ボタンをクリック
- 全てのラベルに同じレイアウトが適用される
- 個別調整が必要な場合は各ラベルで修正
ステップ6:プレビューと最終確認
確認項目:
- **「結果のプレビュー」**でデータの表示確認
- レイアウトの調整(文字サイズ、配置など)
- データの整合性確認(文字化け、欠損など)
- 印刷設定の確認(用紙サイズ、印刷品質など)
高度なカスタマイズテクニック

フィールドの高度な活用
条件付きフィールド:
{ IF «会社名» <> "" "«会社名»" "" }
会社名がある場合のみ表示
書式設定付きフィールド:
{ MERGEFIELD 郵便番号 \# "〒000-0000" }
郵便番号の書式を統一
複数フィールドの結合:
«姓» «名» 様
姓と名を分けて管理している場合
レイアウトの詳細調整
文字サイズと配置:
- フォントサイズ:8pt~12pt(ラベルサイズに応じて)
- 行間:固定値で調整
- 文字配置:左揃え、中央揃え、右揃え
- 余白:上下左右のバランス
日本語特有の調整:
- 縦書き・横書きの選択
- 文字間隔の調整
- 禁則処理の設定
- ふりがなの配置
品質向上のテクニック
印刷品質の最適化:
- 解像度設定:300dpi以上推奨
- フォント選択:印刷に適したフォント
- 色設定:モノクロまたはカラー
- 用紙設定:ラベル用紙に適した設定
よくあるトラブルと解決策
レイアウト関連のトラブル
問題:レイアウトがずれる
- 原因:ラベル型番が合っていない
- 解決策:メーカーと型番を再確認
- 対策:カスタムサイズでの微調整
問題:住所の文字がはみ出す
- 原因:文字サイズが大きすぎる
- 解決策:フォントサイズを小さく調整
- 対策:行間も詰める、長い住所は改行
データ関連のトラブル
問題:差し込みフィールドが正しく反映されない
- 原因:Excelの1行目が見出しになっていない
- 解決策:データ構造を見直し
- 対策:データソースの再接続
問題:文字化けが発生する
- 原因:文字コードの不一致
- 解決策:UTF-8での保存
- 対策:CSV経由での データ変換
印刷関連のトラブル
問題:印刷位置がずれる
- 原因:プリンター設定の問題
- 解決策:プリンタープロパティで調整
- 対策:テスト印刷での事前確認
問題:一部のラベルが印刷されない
- 原因:データの欠損または書式問題
- 解決策:データの完全性チェック
- 対策:予備データの準備
実践的な活用例
年賀状や案内状の宛名ラベル
準備するデータ:
- 氏名(姓名または分離)
- 郵便番号
- 住所(都道府県、市区町村、番地、建物名)
- 敬称(様、先生、など)
レイアウトのコツ:
- 縦書きが一般的
- 郵便番号は上部に配置
- 住所は複数行に分割
- 氏名は下部に大きく表示
名札やネームプレートの大量印刷
イベント用名札:
データ項目:
- 氏名
- 会社名・所属
- 役職
- 参加区分(一般、VIP等)
デザインのポイント:
- 読みやすい大きなフォント
- 会社名は小さめに
- 役職は必要に応じて
- 色分けやロゴの追加
商品や書類への名前ラベル貼付け
在庫管理ラベル:
- 商品名
- 商品コード
- 責任者名
- 管理番号
書類管理ラベル:
- 文書名
- 作成者
- 作成日
- 保管期限
オフィス用品の整理ラベル
個人用品ラベル:
- 氏名
- 部署名
- 内線番号
- 使用期限
効率化のための応用テクニック
バッチ処理での大量作成
複数種類のラベル同時作成:
- データをカテゴリ別に分類
- フィルター機能で対象を絞り込み
- 種類別にレイアウトを変更
- 一括印刷の実行
テンプレート化による標準化
再利用可能なテンプレート作成:
- 標準的なレイアウトを決定
- テンプレートファイルとして保存
- データソースの接続方法を文書化
- チーム内での共有と標準化
自動化マクロの活用
VBAでの処理自動化:
Sub AutoLabelPrint()
' データソース接続
' レイアウト適用
' 印刷実行
' ファイルクリーンアップ
End Sub
品質管理とチェックポイント

印刷前のチェックリスト
データ確認:
- [ ] 見出し行が正しく設定されている
- [ ] データに欠損がない
- [ ] 文字化けがない
- [ ] 書式が統一されている
レイアウト確認:
- [ ] フィールドが適切に配置されている
- [ ] 文字サイズが適切
- [ ] 改行・スペースが正しい
- [ ] 全体のバランスが良い
印刷設定確認:
- [ ] 用紙サイズが正しい
- [ ] ラベル型番が一致している
- [ ] プリンター設定が適切
- [ ] テスト印刷を実施済み
エラー対応の手順
段階的な問題解決:
- データレベルでの問題特定
- Wordレベルでの設定確認
- プリンターレベルでの調整
- 物理的要因(用紙、インク等)の確認
まとめ
Wordの差し込み印刷機能を使えば、一人ずつ手作業で入力することなく、ラベルを一括作成できます。
基本的な作業フロー:
- Excelでデータを整理・準備
- Wordで差し込み印刷の設定
- レイアウトの調整とカスタマイズ
- プレビューでの確認と修正
- 一括印刷の実行
効率化のポイント:
- データの事前整理と品質管理
- 適切なラベル用紙の選択
- レイアウトテンプレートの標準化
- エラー対応手順の確立
実務での価値:
- 大幅な時間短縮効果
- 入力ミスの防止
- プロフェッショナルな仕上がり
- 大量処理への対応
応用的な活用:
- 条件付きフィールドでの高度な制御
- マクロによる自動化
- 複数データソースの統合
- デザイン性の向上
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