Word(ワード)を使っているとき、特定の箇所が編集できず「選択範囲がロックされています」とエラーが出ることがあります。
特に共有文書やテンプレート、他者が作成した文書では、思いとおりに編集できず困る場面も多いでしょう。
この記事では、選択範囲のロックを解除する方法と、その原因をわかりやすく解説します。
急いでいる人は、まず「校閲」タブの「編集の制限」から「保護の停止」を試してみてください。多くの場合、これで解決できます。
ロックされる主な原因

4つの代表的な原因
文書に編集制限がかかっている
最も一般的な原因です:
- 文書全体または一部が保護されている状態
- 意図しない変更を防ぐための機能
- 共用やテンプレートでよく使われる
セクションに保護設定がある
部分的な保護も多く見られます:
- 特定の部分のみ保護されている
- 重要な目次やヘッダーなどの保護
- 部分的な編集禁止
コンテンツコントロールが使用されている
フォーム機能による制限です:
- チェックボックス、日付入力などのフォーム素材
- 入力形式が指定されている
- あらかじめ作成されたテンプレートに含まれる
共有ドキュメントに誰かのロックが残っている
オンライン編集での問題です:
- オンラインでの同時編集中
- 他のユーザーがその部分を編集中
- ネットワークやアプリの不具合でロックが残る
ロックの種類と認識方法
見た目での判別
全体保護
- 文書のどこも編集できない
- 「保護された文書」のメッセージ表示
- 黄色い情報バーが表示される
部分保護
- 特定のセクションや段落のみ編集不可
- 該当箇所をクリックするとエラーメッセージ
- 保護されていない部分は通常どおり編集可能
フォームコントロール
- 入力フィールドや選択ボックスがあらかじめ設定
- 指定された形式でのみ入力可能
- フォームライブラリの要素が使われている
編集制限を解除する方法
基本的な解除手順
詳しい操作ステップ
- 「校閲」タブをクリック
- 「編集の制限」パネルを確認
- 「編集を許可する範囲」セクションで、制限が設定されているか表示
- 「保護の停止」ボタンをクリック(パスワードがあれば入力)
- ロックが解除され、自由に編集できるようになります
編集制限パネルの見方
状態確認
編集制限パネルでは以下を確認できます:
- 「この文書は保護されています」の表示
- 制限の種類(読み取り専用、コメントのみなど)
- 保護されている範囲の指定
解除オプション
パネルで確認すべき項目:
- 「保護の停止」ボタンの有無
- パスワード入力フィールドの表示
- 制限された範囲の一覧
パスワードが必要な場合
パスワード入力
パスワードが設定されている場合:
- 作成者によって設定されたパスワード
- 正確に入力する(大文字・小文字の区別も必要)
- パスワードを忘れた場合は作成者に問い合わせ
安全なパスワード管理
組織での文書管理では:
- 作成者はパスワードを安全な場所に記録
- チーム内でのパスワード共有ルールの確立
- 定期的なパスワード変更
セクションごとの保護を解除する方法
内容制限の確認
制限範囲の特定
部分的な保護を解除するには:
- 文書末尾や制限された範囲を選択
- 「校閲」→「制限の表示」で、どこまでロックされているか確認
- 範囲指定されている場合、その場所を特定し解除
制限の種類
読み取り専用
- 内容の確認のみ可能
- 一切の編集が禁止
- この部分の重要性が高い
コメントのみ
- コメントの追加のみ可能
- 本文の編集は不可
- 共同校閲での活用
入力のみ
- フォームへの入力のみ可能
- 既存テキストの変更は不可
- 書類テンプレートでよく使用
部分的な保護解除
特定範囲の解除
- 保護されたセクションを特定
- 「校閲」→「編集の制限」でその範囲を選択
- 「選択した範囲の保護解除」を実行
注意点
部分解除時の注意事項:
- 他の保護された範囲はそのまま維持
- 解除後はその部分のみ編集可能
- 再度保護したい場合の手順確認
コンテンツコントロールによるロック解除

コンテンツコントロールとは
機能の概要
コンテンツコントロールは以下のような機能です:
- フォーム素材や入力フィールド
- 日付ピッカー、ドロップダウンリスト
- チェックボックス、テキストボックス
用途
主に以下の場面で使用されます:
- 書類テンプレートでの決まった入力
- フォーマットの統一と整合性
- 入力内容の制約
解除手順
詳しい操作方法
- ロックされている領域にカーソルを配置
- 「開発」タブが表示されていない場合、「オプション」→「リボンのユーザー設定」で「開発」にチェック
- 「開発」タブ →「プロパティ」で、「編集を許可する」などの設定を確認・解除
開発タブの有効化
手順
- 「ファイル」→「オプション」をクリック
- 「リボンのユーザー設定」を選ぶ
- 右側のリストで「開発」にチェック
- 「OK」で設定完了
表示される機能
- コンテンツコントロールの挿入
- プロパティの編集
- フォームの保護と解除
コンテンツコントロールの編集
プロパティ設定の変更
コンテンツコントロールの制限を変更するには:
- 「編集を不可にする」のチェックを外す
- 「削除を不可にする」の設定変更
- 入力形式のカスタマイズ
注意点
編集時の注意事項:
- 元の目的を損なわないよう注意
- フォームの一貫性を保つ
- 変更後の動作確認
共同編集時のロック解除のコツ
オンラインでの同時編集
よくある状況
オンライン環境でのロック問題:
- オンライン保存されている場合、他のユーザーが編集中だとロックされる
- Microsoft 365やOneDriveでの共有ファイル
- リアルタイムでの編集状況表示
対応方法
この場合の解決策:
- そのユーザーが編集を終了するのを待って再度編集
- 違う部分から編集を開始
- チャットやメールでの連絡
一時的なロック解除
ファイルの再読み込み
簡単な解決方法:
- ファイルを一度保存して閉じる
- 少し待ってから再度開く
- ロックが解除されることもあります
ネットワーク接続の確認
接続状態の確認項目:
- インターネット接続の安定性
- Wordのクラウド同期状態
- 最新バージョンへの更新
共同編集でのマナー
効率的な共同作業
スムーズな共同編集のために:
- 編集範囲の事前調整
- 定期的な保存と同期
- 編集終了時の連絡
ロックが解除できないときの対応策
状況別の対策
パスワードがわからない場合
状態 | 対策 | おすすめ度 |
---|---|---|
作成者に連絡可能 | 作成者に問い合わせる | ◎推奨 |
急にパスワードが必要 | 新しい文書に内容をコピーして再作成 | ○代替 |
文書が保護ビューで開いている | 「編集を有効にする」をクリック | ◎推奨 |
編集制限が解除できない場合
再作成の順序
どうしても解除できない場合の最終手段:
- 本文の内容をすべて選択(Ctrl + A)
- 新しい文書に貼り付け(Ctrl + V)
- 書式やレイアウトを再調整
- 必要によって画像や表を改めて挿入
再作成時の注意点
再作成で注意すべき点:
- 元の書式情報が一部失われることがある
- 画像や特殊オブジェクトの再設定
- ページ設定やヘッダー・フッターの復旧
予防的な対策
今後のロック回避
文書作成時の心がけ
問題を予防するために:
- 必要最小限の保護設定
- パスワードの安全な管理と共有
- 保護範囲の明確な設定
チーム作業でのルール
組織での文書管理ルール:
- 編集権限の事前調整
- 保護解除の手順共有
- 緊急時の連絡先明確化
より高度なロック解除テクニック

高度な保護設定の解除
セクション別の保護管理
複雑な保護設定への対応:
- 複数セクションの個別設定
- セクションブレイクを利用した部分保護
- セクションパスワードの個別管理
マクロやVBAでの保護解除
上級者向けの解除方法:
Sub RemoveDocumentProtection()
' 文書保護を解除(パスワードが既知の場合)
If ActiveDocument.ProtectionType <> wdNoProtection Then
ActiveDocument.Unprotect Password:="yourpassword"
End If
End Sub
注意事項:
- 十分な知識と注意が必要
- 安全性と法律面の考慮
- 組織のセキュリティポリシー遵守
ファイル復旧の応急策
バックアップファイルの活用
データ復旧の選択肢:
- 自動保存ファイル(.asd ファイル)の確認
- バージョン履歴からの復旧
- OneDriveやSharePointのバージョン管理
代替ソフトでのファイル開き
他のソフトウェアを使った解決策:
- LibreOfficeやGoogleドキュメントで開く
- 代替ソフトでの保護解除
- 最後はWord形式に変換
トラブルシューティング
よくある問題と解決法
保護解除ボタンが表示されない
原因: 権限が不足している 解決法:
- 管理者権限でWordを起動
- ファイルのプロパティで読み取り専用を解除
- 別の場所にコピーしてから編集
パスワードを入力しても解除されない
原因: 入力ミスまたは別の保護が設定されている 解決法:
- 大文字・小文字を正確に確認
- 数字・記号の入力ミスをチェック
- セクション別の保護設定を確認
一部だけ編集できない
原因: 部分的な保護やコンテンツコントロール 解決法:
- 該当部分の保護設定を個別確認
- コンテンツコントロールのプロパティを変更
- セクション区切りの設定を確認
予防策とベストプラクティス
文書作成時の配慮
効果的な文書管理のために:
- 保護の目的と範囲を明確にする
- パスワードの複雑さと管理のバランス
- 共同編集者への事前説明
組織レベルでの対策
チーム全体での効率化:
- 文書保護の標準ルール策定
- 緊急時の解除手順の文書化
- 定期的な権限とパスワードの見直し
まとめ
「選択範囲がロックされています」が表示されたときは、まず編集制限の設定を確認し、保護解除を試みるのが基本です。
解決手順まとめ
基本的な対処法:
- 校閲→編集の制限→保護の停止
- セクション制限やコンテンツコントロールの解除
- オンライン編集中なら一度閉じて再度開く
- パスワード不明の場合は作成者に相談
予防と対策:
- ロックの種類と原因の理解
- 予防的なファイル管理の習慣
- チーム内での保護ルール統一
- 緊急時の対応計画策定
活用のポイント:
- 定期的な確認とメンテナンス
- 適切な保護レベルの設定
- 共同作業でのコミュニケーション
コメント