Wordで文書を作っていて、「なんだか文字が詰まって見える」「行間がせまくて読みにくい」と感じたことはありませんか?
実は、最近のWordでは、初期設定の行間が従来よりも少しせまくなっています。これは見た目をコンパクトにするための設定なのですが、読みやすさを重視する場合には、もう少し行間を広げた方が良いことが多いです。
この記事では、Wordの行間の初期設定について詳しく解説し、自分好みの読みやすい行間に変更する方法を、初心者の方でもわかるよう丁寧に説明します。
一度設定すれば、今後作る文書すべてに適用されるので、とても便利です。
Wordの行間について理解しよう

行間とは何?
行間とは、文字の行と行の間のスペースのことです。この間隔によって、文書の読みやすさが大きく変わります。
行間が与える印象:
- せまい行間:情報がたくさん入るが、読みにくく感じることがある
- 適度な行間:読みやすく、疲れにくい
- 広すぎる行間:読みやすいが、ページ数が増える
Wordの行間の表し方
Wordでは行間を以下の方法で表します:
倍数での表現:
- 1.0倍:文字の高さと同じ間隔
- 1.5倍:文字の高さの1.5倍の間隔
- 2.0倍:文字の高さの2倍の間隔(ダブルスペース)
固定値での表現:
- 12pt、14ptなど、具体的な数値で指定
- より細かい調整が可能
現在のWordの初期設定
Word 2016以降の初期設定:
- 行間:1.08倍(わずかにせまい)
- 段落後スペース:10pt(段落の後に自動的に空間)
- 段落前スペース:0pt
この設定により、従来のWord(1.0倍)よりも少し詰まった印象になります。
現在の文書の行間を確認する方法
確認手順
ステップ1: 行間を確認したい文字をクリック
- 確認したい段落の任意の場所をクリック
ステップ2: 段落ダイアログボックスを開く
- 「ホーム」タブをクリック
- 段落グループの右下にある小さな矢印(ダイアログボックス起動ツール)をクリック
ステップ3: 設定を確認
- 「インデントと行間隔」タブで現在の設定を確認
- **「行間」**の項目を見る
- **「間隔」**の「段落前」「段落後」も確認
簡単な確認方法
クイック確認:
- 文字を選択
- 「ホーム」タブ→**「行と段落の間隔」**ボタンをクリック
- 現在選択されている項目にチェックマークが付いている
方法1: 現在の文書の行間を変更する
まずは、今作業している文書の行間を変更する基本的な方法から説明します。
全文の行間を一括変更
ステップ1: 文書全体を選択
Ctrl + A
で文書全体を選択- または、選択したい部分をマウスでドラッグ
ステップ2: 行間を変更
- 「ホーム」タブをクリック
- **「行と段落の間隔」**ボタンをクリック
- 希望の行間を選択(例:「1.0」、「1.5」、「2.0」)
ステップ3: 段落間のスペースを調整(必要に応じて)
- 再び**「行と段落の間隔」**ボタンをクリック
- **「段落の前にスペースを追加」または「段落の後のスペースを削除」**を選択
より詳細な行間設定
ステップ1: 段落ダイアログボックスを開く
- 対象の文字を選択
- 「ホーム」タブ→段落グループの右下の矢印をクリック
ステップ2: 詳細設定
- **「行間」**で希望の種類を選択:
- 「1行」:標準的な行間
- 「1.5行」:読みやすい行間
- 「2行」:ダブルスペース
- 「最小値」:最低限必要な間隔
- 「固定値」:具体的な数値で指定
- 「倍数」:倍率で指定
ステップ3: 間隔の調整
- 「段落前」:段落の前のスペース
- 「段落後」:段落の後のスペース
- 数値を入力(通常は0pt〜12pt程度)
ステップ4: 設定を適用
- **「OK」**をクリック
方法2: 初期設定(デフォルト)を変更する

この方法で設定すると、今後作成するすべての新しい文書に、希望の行間が自動的に適用されます。
標準スタイルを変更する方法
ステップ1: 標準スタイルを選択
- 「ホーム」タブのスタイルグループを確認
- **「標準」**スタイルを右クリック
ステップ2: スタイルの変更を開始
- **「変更」**をクリック
- 「スタイルの変更」ダイアログボックスが開く
ステップ3: 段落設定を開く
- 「スタイルの変更」ダイアログボックス下部の**「書式」**をクリック
- **「段落」**を選択
ステップ4: 行間を設定
- **「行間」**で希望の設定を選択(例:「1行」または「1.5行」)
- **「段落前」と「段落後」**の数値も調整(例:段落後を「6pt」または「0pt」)
ステップ5: プレビューで確認
- 設定変更の結果が「プレビュー」欄で確認できる
- 希望通りでない場合は調整
ステップ6: 今後の文書にも適用
- 「このテンプレートを使用した新しい文書」にチェックを入れる
- これにより、今後作成する文書すべてに適用される
ステップ7: 設定を保存
- **「OK」**をクリックして段落設定を確定
- 再び**「OK」**をクリックしてスタイル変更を確定
設定が適用されるタイミング
新しい文書:
- この設定後に作成する文書は、自動的に新しい行間が適用される
既存の文書:
- 既に作成済みの文書は、個別に変更する必要がある
方法3: 文書テンプレートを作成する
よく使う行間設定を「テンプレート」として保存しておけば、いつでも同じ設定で文書を開始できます。
テンプレートの作成手順
ステップ1: 理想的な設定の文書を作成
- 新しい文書で希望の行間に設定
- フォント、フォントサイズなども合わせて調整
ステップ2: テンプレートとして保存
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」
- **「ファイルの種類」で「Wordテンプレート(*.dotx)」**を選択
- わかりやすい名前を付けて保存(例:「レポート用テンプレート」)
ステップ3: テンプレートの使用
- 「ファイル」→「新規」
- **「個人用」**タブで保存したテンプレートを選択
- 設定済みの文書が開く
用途別のおすすめ行間設定
レポート・論文用
設定内容:
- 行間:1.5行または2.0行
- 段落後:6pt
- 段落前:0pt
理由:
- 読みやすく、添削しやすい
- 多くの大学や企業で推奨される設定
ビジネス文書用
設定内容:
- 行間:1.15行
- 段落後:6pt
- 段落前:0pt
理由:
- 情報量とreadabilityのバランスが良い
- プロフェッショナルな印象
プレゼンテーション資料用
設定内容:
- 行間:1.0行
- 段落後:12pt
- 段落前:0pt
理由:
- コンパクトで見やすい
- スライドに適した間隔
個人的なメモ・下書き用
設定内容:
- 行間:1.0行
- 段落後:3pt
- 段落前:0pt
理由:
- 情報を効率的に詰め込める
- 画面上で多くの内容を確認できる
行間設定のトラブルシューティング
問題1: 設定を変更したのに反映されない
原因:一部の文字だけが選択されている
解決法:
Ctrl + A
で文書全体を選択- 改めて行間設定を実行
- または、段落マークも含めて選択し直す
問題2: 行間が部分的に異なってしまう
原因:異なるスタイルが混在している
解決法:
- 問題の部分を選択
- 「ホーム」タブ→**「標準」**スタイルを適用
- 必要に応じて書式をクリア(「ホーム」→「書式のクリア」)
問題3: 新しい文書で設定が反映されない
原因:テンプレートの変更が保存されていない
解決法:
- スタイルの変更時に「このテンプレートを使用した新しい文書」にチェックが入っているか確認
- 管理者権限でWordを実行する
- テンプレートファイルの保存場所を確認
問題4: 印刷すると行間が変わって見える
原因:画面表示と印刷の違い
解決法:
- 「表示」→**「印刷レイアウト」**で確認
- 印刷プレビューで最終確認
- 必要に応じて微調整
読みやすい文書にするためのコツ

フォントサイズとの組み合わせ
12ptフォントの場合:
- 1.0行間:少し詰まった印象
- 1.15行間:標準的な読みやすさ
- 1.5行間:ゆったりとした読みやすさ
10.5ptフォントの場合:
- 1.15行間:最低限の読みやすさ
- 1.3行間:バランスの良い設定
- 1.5行間:余裕のある設定
段落間隔の調整
段落後スペースの目安:
- 0pt:段落の区切りがわかりにくい
- 3-6pt:適度な区切り
- 12pt:はっきりとした区切り
- 18pt以上:区切りが大きすぎる
文書全体のバランス
考慮事項:
- 文書の長さ:長い文書ほど読みやすさが重要
- 読み手:年配の方には行間を広めに
- 用途:印刷物か画面表示かで調整
- 時間:長時間読む文書は疲れにくい設定に
Word バージョン別の違い
Word 2019/Microsoft 365
初期設定:
- 行間:1.08倍
- 段落後:8pt
- フォント:游明朝 Light(日本語)、Calibri(英語)
Word 2016
初期設定:
- 行間:1.08倍
- 段落後:8pt
- フォント:游明朝(日本語)、Calibri(英語)
Word 2013以前
初期設定:
- 行間:1.0倍
- 段落後:0pt
- フォント:MS明朝(日本語)、Century(英語)
バージョン間の互換性
注意点:
- 古いバージョンで作成した文書を新しいWordで開くと、行間が変わることがある
- 共有する相手のWordバージョンも考慮する
- 重要な文書は複数バージョンで確認することを推奨
まとめ
Wordの行間設定をマスターすることで、読みやすく美しい文書を作成できるようになります。
覚えておきたいポイント
操作 | 手順 | 効果 |
---|---|---|
現在の文書の行間変更 | ホーム→行と段落の間隔 | その文書のみ変更 |
初期設定の変更 | 標準スタイル右クリック→変更 | 今後の文書すべてに適用 |
詳細な調整 | 段落ダイアログボックス | 細かい数値設定が可能 |
用途別おすすめ設定
- 学術論文:1.5行間、段落後6pt
- ビジネス文書:1.15行間、段落後6pt
- プレゼン資料:1.0行間、段落後12pt
- 読み物:1.3行間、段落後8pt
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