「ここだけ行間を狭くしたい」
「本文全体は読みやすくしたいけど、一部は詰めて使いたい」
「表の説明文だけコンパクトにまとめたい」
Word(ワード)で文章を整えるとき、このように感じたことはありませんか?実は、Wordでは特定の段落や範囲だけ行間を詰めることが可能です。
レポートや資料作成では、全体の読みやすさを保ちながら、必要な箇所だけ行間を調整して情報を効率的に配置することが重要になります。
この記事でわかること
- Wordの行間設定の基本的な仕組み
- 一部分だけ行間を詰める具体的な手順
- 行間の種類と効果的な使い分け方法
- よくある失敗パターンとその対処法
- 見た目を整えるための実践的なコツ
初心者の方でも迷わず設定できるよう、画面操作の手順まで詳しく解説します。
Wordの行間とは?

行間の基本概念
行間の定義
行間=行と行の間の余白
Wordでは、行と行の間の余白のことを「行間」と呼びます。この設定により、文書の読みやすさや見た目の印象が大きく変わります。
初期設定の行間
Wordの標準設定
- Word 2016以降:1.08行間隔
- Word 2013以前:1.15行間隔
- 段落前後:自動的にスペースが追加
なぜゆったりした設定なのか
- 読みやすさを重視した設定
- 長文読書に適した間隔
- 印刷時の見栄えを考慮
行間設定の種類と特徴
主な行間オプション
倍数設定
- 1.0行:最小限の行間(文字サイズと同じ高さ)
- 1.15行:標準的な設定(やや余裕がある)
- 1.5行:ゆとりのある読みやすい設定
- 2.0行:ダブルスペース(学術論文でよく使用)
固定値設定
- 12pt、14ptなど:ポイント単位で具体的に指定
- 文字サイズに関係なく一定の行間
- 精密なレイアウト調整に最適
行間設定の比較表
設定方法 | 特徴 | 適用場面 | 調整しやすさ |
---|---|---|---|
1.0行 | 最小限の間隔 | 注釈、キャプション | 簡単 |
1.15行 | 標準的な読みやすさ | 通常の本文 | 簡単 |
1.5行 | ゆとりのある間隔 | 長文、レポート | 簡単 |
固定値 | 精密な指定可能 | 表、図の説明、レイアウト調整 | やや複雑 |
一部だけ行間を詰める基本手順
段落単位での行間調整
手順1:調整範囲を選択
単一段落の場合
- 調整したい段落内の任意の場所にカーソルを置く
- 段落全体が対象となる(選択の必要なし)
複数段落の場合
- 最初の段落の先頭から最後の段落の末尾まで選択
- Shiftキーを押しながらクリックでも選択可能
連続する複数行の場合
- 最初の行の先頭にカーソルを置く
- Shiftキーを押しながら最後の行の末尾をクリック
手順2:段落ダイアログを開く
方法1:リボンから
- 「ホーム」タブをクリック
- 「段落」グループ右下の小さな矢印マーク(ダイアログボックス起動アイコン)をクリック
方法2:右クリックメニューから
- 選択範囲を右クリック
- 「段落」を選択
方法3:キーボードショートカット
- Alt + H + P + G を順番に押す
手順3:行間を設定
固定値での設定(推奨)
- 「段落」ダイアログボックスで「インデントと行間隔」タブを選択
- 「行間」ドロップダウンから「固定値」を選択
- 「間隔」欄に具体的な数値を入力
- 11pt:かなり詰まった印象
- 12pt:やや詰まった印象
- 14pt:標準的な印象
倍数での設定
- 「行間」から「倍数」を選択
- 「間隔」に「0.9」「0.8」など1.0未満の数値を入力
手順4:設定を適用
- プレビューで結果を確認
- 「OK」ボタンをクリックして適用
- 文書全体のバランスを確認
クイック設定による方法
リボンの行間ボタンを使用
簡単な調整方法
- 調整したい範囲を選択
- 「ホーム」タブの「段落」グループにある行間ボタン(線が重なったアイコン)をクリック
- 表示される選択肢から希望の行間を選択
利用可能な選択肢
- 1.0
- 1.15
- 1.5
- 2.0
- 2.5
- 3.0
効果的な行間調整の実例
使用場面別の設定例
表のキャプション・説明文
設定例
- 行間:固定値 10pt〜11pt
- フォントサイズ:9pt〜10pt
- 効果:表とのバランスが良く、情報が整理される
具体的な手順
- 表の上下の説明文を選択
- 段落ダイアログで「固定値 10pt」に設定
- 必要に応じてフォントサイズも調整
箇条書きのコンパクト化
設定例
- 行間:固定値 12pt
- 段落前後の間隔:0pt
- 効果:情報が密に配置され、一覧性が向上
設定手順
- 箇条書き全体を選択
- 行間を「固定値 12pt」に設定
- 「段落前の間隔」「段落後の間隔」を0ptに設定
注釈・補足説明
設定例
- 行間:固定値 11pt
- フォントサイズ:8pt〜9pt
- 効果:本文と明確に区別され、補足的な印象
引用文・参考文献
設定例
- 行間:0.9行
- インデント:左右1cm
- 効果:引用であることが明確で、読みやすい
レイアウト別の調整テクニック
2段組み文書での調整
課題
- 段組み内での行間が広すぎる
- 情報密度を高めたい
解決方法
- 段組み部分全体を選択
- 行間を「固定値 11pt」に設定
- 段落間隔も調整してバランスを取る
図表が多い文書での調整
課題
- 図表の説明文が散漫に見える
- ページ数を削減したい
解決方法
- 図表のキャプション部分の行間を詰める
- 本文は標準設定を維持
- メリハリのあるレイアウトを作成
行間調整の詳細設定

段落間隔との組み合わせ
段落前後の間隔
設定項目
- 段落前の間隔:段落の上に追加される余白
- 段落後の間隔:段落の下に追加される余白
効果的な使い方
- 行間を詰めた場合は段落間隔で調整
- 見出しと本文の区別を明確化
- 全体のリズム感を作る
具体的な調整例
密な情報表示の場合
- 行間:固定値 11pt
- 段落前:0pt
- 段落後:3pt
適度な余裕を保つ場合
- 行間:固定値 13pt
- 段落前:0pt
- 段落後:6pt
インデントとの組み合わせ
左右インデントでの強調
設定方法
- 特別な段落を選択
- 左インデント:1cm、右インデント:1cm
- 行間:固定値 12pt
- 段落前後:3pt
効果
- 重要な情報が際立つ
- 読者の注意を引く
- 文書構造が明確化
よくある問題と対処法
文字が重なってしまう場合
原因
主な要因
- 行間の数値が小さすぎる
- フォントサイズに対して行間が不足
- 上付き文字や下付き文字の影響
解決方法
段階的な調整
- 行間を1ptずつ大きくして確認
- フォントサイズとのバランスを見る
- 最低でもフォントサイズ+2pt以上を確保
推奨設定
- 10ptフォント:12pt以上の行間
- 11ptフォント:13pt以上の行間
- 12ptフォント:14pt以上の行間
印刷時のずれ問題
よくある現象
問題例
- 画面では正常だが印刷でずれる
- プリンターによって結果が異なる
- PDFと印刷結果が違う
対処法
事前確認
- 印刷プレビューで必ず確認
- 異なるプリンターでテスト印刷
- PDF変換して確認
安全な設定
- 固定値は整数値を使用(11pt、12ptなど)
- 極端に小さい値は避ける
- 0.5pt刻みでの調整を心がける
段落によって設定が異なってしまう
原因
よくあるパターン
- コピー&ペーストで異なる設定が混入
- テンプレートからの設定継承
- 手動調整の積み重ね
統一する方法
全体の設定確認
- Ctrl + A で文書全体を選択
- 段落ダイアログで現在の設定を確認
- 必要に応じて統一設定を適用
スタイル機能の活用
- 「ホーム」タブ→「スタイル」
- カスタムスタイルを作成
- 一括適用で統一感を確保
応用テクニック
スタイル機能での効率化
カスタムスタイルの作成
手順
- 理想的な行間設定を持つ段落を選択
- 「ホーム」タブ→「スタイル」グループ
- 「新しいスタイル」を作成
- わかりやすい名前を設定(例:「詰め行間」)
メリット
- 一度の設定で繰り返し利用可能
- 文書全体の統一感が保てる
- 後からの一括変更が簡単
見出しとの組み合わせ
階層的なスタイル設定
- 見出し1:行間 18pt、段落後 12pt
- 見出し2:行間 15pt、段落後 9pt
- 本文:行間 14pt、段落後 6pt
- 詰め本文:行間 11pt、段落後 3pt
ショートカットキーの活用
よく使う行間設定のショートカット
標準的なショートカット
- Ctrl + 1:1.0行間隔
- Ctrl + 2:2.0行間隔
- Ctrl + 5:1.5行間隔
カスタムショートカットの設定
- 「ファイル」→「オプション」→「リボンのユーザー設定」
- 「ショートカットキー:ユーザー設定」をクリック
- よく使う行間設定にキーを割り当て
文書種類別の推奨設定

学術論文・レポート
基本方針
読みやすさを重視
- 本文:1.5行または固定値16pt
- 引用文:固定値14pt、左右インデント
- 脚注:固定値10pt
具体的な設定例
本文
- フォント:12pt
- 行間:1.5行
- 段落後:6pt
引用文
- フォント:11pt
- 行間:固定値13pt
- 左右インデント:1cm
ビジネス文書
効率性と見やすさのバランス
情報密度を高めつつ読みやすく
- 本文:固定値15pt
- 箇条書き:固定値13pt
- 表キャプション:固定値11pt
プレゼン資料
インパクトと情報量の両立
視認性を重視
- 見出し:固定値28pt以上
- 本文:固定値18pt以上
- 注釈:固定値14pt
まとめ
Wordで一部だけ行間を詰めるには、段落単位で「行間の設定」を行うことが基本です。
重要なポイント
- 「固定値」でピンポイントに間隔を指定
- 文書全体のバランスを意識して使い分け
- 図や箇条書きの補足などにも効果的
- フォントサイズとの適切な比率を保つ
効果的な活用方法
- 表のキャプションや注釈で情報を整理
- 箇条書きをコンパクトにまとめる
- 引用文や参考文献で差別化を図る
- レイアウト全体のメリハリを作る
今すぐできること
- 現在の文書で一部の段落の行間を調整してみる
- 固定値での設定方法を練習する
- よく使う設定をスタイルとして保存
- 印刷プレビューで結果を確認する習慣をつける
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