「申請書を作ったけれど、みんなが勝手にレイアウトを変えてしまう」「アンケートで記入ミスが多くて困っている」そんな悩みを解決するのが、Wordの入力フォーム機能です。
この機能を使えば、決められた場所にだけ文字を入力できる書類を作ることができます。書式が崩れる心配もなく、誰でも簡単に正しく記入できるフォームが完成しますよ。
この記事では、入力フォームの作り方を初心者向けに分かりやすく解説します。申請書やアンケートなど、すぐに使える実例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
入力フォームとは?文書の書式を守る便利な仕組み

Wordの入力フォームとは、決められた場所だけに情報を入力できる文書を作るための機能です。
入力フォームでできること
- 氏名や住所などを入力する欄を作る
- チェックボックスで選択肢を選べるようにする
- カレンダーから日付を選択できるようにする
- 文書の見た目やレイアウトを保護する
普通の文書との違い
通常のWord文書では、どこでも自由に文字を入力したり削除したりできます。しかし入力フォームでは、あらかじめ決めた入力欄以外は変更できません。
これにより、書式が崩れることなく、必要な情報だけを正確に集めることができます。
入力フォームが活躍する場面
入力フォームは様々な場面で活用できます。具体例を見てみましょう。
社内の申請書類
- 交通費精算書
- 有給休暇申請書
- 備品購入申請書
- 会議室予約フォーム
顧客向けの書類
- アンケート調査票
- 契約書の記入欄
- 注文書や見積書
- 会員登録フォーム
教育機関での活用
- 授業アンケート
- 保護者面談申し込み書
- 学校行事参加申込書
- 進路希望調査票
入力フォームを作る前の準備
開発タブを表示する
入力フォームを作るには、まず「開発」タブを表示する必要があります。通常は表示されていないので、設定を変更しましょう。
- 「ファイル」をクリックする
- 「オプション」を選ぶ
- 左側のメニューから「リボンのユーザー設定」をクリックする
- 右側の一覧で「開発」にチェックを入れる
- 「OK」をクリックする
これで画面上部のリボンに「開発」タブが表示されます。
文書の構成を考える
フォームを作る前に、どのような項目が必要かを整理しましょう。
例:申請書の場合
- 申請者名(文字入力)
- 部署名(選択リスト)
- 申請日(日付選択)
- 申請理由(文字入力)
- 承認者確認(チェックボックス)
基本的な入力フォームの作り方
ステップ1:文書の骨組みを作る
まず、通常のWord文書として申請書やアンケートの骨組みを作ります。
例:
【交通費精算申請書】
氏名:[ここに入力欄を作る]
部署:[ここに選択リストを作る]
申請日:[ここに日付選択を作る]
ステップ2:テキスト入力欄を作る
氏名や住所などの文字を入力する欄を作ってみましょう。
- 入力欄を作りたい場所にカーソルを置く
- 「開発」タブをクリックする
- 「コントロール」グループの「テキストコンテンツコントロール」(Aa のアイコン)をクリックする
すると、グレーの枠で囲まれた入力欄が表示されます。
ステップ3:入力欄をカスタマイズする
作った入力欄は、より使いやすくカスタマイズできます。
- 作成した入力欄をクリックして選択する
- 「開発」タブの「プロパティ」をクリックする
- 設定画面で以下を調整する:
- タイトル:入力欄の名前
- プレースホルダー:入力のヒント文
- 文字数制限:入力できる文字数の上限
例:氏名欄の場合
- タイトル:氏名
- プレースホルダー:山田太郎
ステップ4:チェックボックスを作る
選択式の項目にはチェックボックスが便利です。
- チェックボックスを設置したい場所にカーソルを置く
- 「開発」タブの「チェックボックスコンテンツコントロール」をクリックする
- チェックボックスの横に説明文を入力する
例: ☑ 内容に同意します ☐ メール配信を希望します
ステップ5:選択リストを作る
複数の選択肢から1つを選ぶ形式には、ドロップダウンリストを使います。
- リストを作りたい場所にカーソルを置く
- 「開発」タブの「ドロップダウンリストコンテンツコントロール」をクリックする
- 作成されたコントロールを選択して「プロパティ」をクリックする
- 「追加」ボタンで選択肢を追加する
例:部署選択の場合
- 営業部
- 経理部
- 人事部
- 総務部
ステップ6:日付選択を作る
日付を入力する欄には、カレンダーから選択できる機能を付けましょう。
- 日付欄を作りたい場所にカーソルを置く
- 「開発」タブの「日付ピッカーコンテンツコントロール」をクリックする
- プロパティで日付の表示形式を設定する
表示形式の例:
- 2024年12月25日
- 2024/12/25
- 令和6年12月25日
フォームを保護して完成させる

入力フォームができたら、勝手に編集されないように保護しましょう。
保護の設定方法
- 「開発」タブの「編集の制限」をクリックする
- 「書式設定の制限」で「選択したスタイル以外の書式設定を制限する」にチェックを入れる
- 「編集の制限」で「フォームへの入力のみを許可」を選ぶ
- 「はい、保護を開始します」をクリックする
- パスワードを設定する(任意、推奨)
保護後の動作確認
保護を設定した後は、以下を確認しましょう:
- 入力欄だけが編集できる状態になっているか
- チェックボックスが正常に動作するか
- ドロップダウンリストから選択できるか
- 日付ピッカーでカレンダーが表示されるか
実用的な入力フォーム作成のコツ
レイアウトを整える
見やすいフォームにするためのポイント:
- 項目名は左揃えで統一する
- 入力欄の幅を揃える
- 関連する項目はグループ化する
- 十分な余白を確保する
入力しやすい工夫
ユーザーが迷わないための配慮:
- プレースホルダーで入力例を示す
- 必須項目には「※必須」などの表示を付ける
- 入力形式を明記する(例:半角数字、全角カタカナ)
- 選択肢は分かりやすい順番に並べる
エラーを防ぐ設定
記入ミスを減らすための機能:
- 文字数制限を設定する
- 入力形式を制限する(数字のみ、など)
- 必須項目を明確にする
- 確認チェックボックスを設ける
よくある質問と解決方法
入力フォームが作れない場合
Q:「開発」タブが表示されません A:Wordのオプション設定で「開発」タブを有効にする必要があります。「ファイル」→「オプション」→「リボンのユーザー設定」で設定してください。
Q:コントロールボタンがグレーアウトしています A:文書が保護されている可能性があります。「開発」タブの「編集の制限」で保護を一時解除してください。
入力フォームの修正方法
Q:フォーム作成後に項目を追加したい A:一度フォームの保護を解除してから、新しいコントロールを追加し、再度保護を設定してください。
Q:入力欄の位置がずれてしまいます A:表(テーブル)を使ってレイアウトを固定すると、位置ずれを防げます。
配布と運用について
Q:作成したフォームを他の人に配布するには? A:フォームを保護した状態で.docxファイルとして保存し、メールやファイル共有サービスで配布してください。
Q:入力された内容をまとめて管理したい A:回収したフォームの内容をExcelに転記するか、Word文書のまま専用フォルダで管理する方法があります。
トラブルシューティング
一般的な問題と解決策
フォームが正しく動作しない
- Word を再起動してみる
- 文書を .docx 形式で保存し直す
- 他のバージョンのWordでも確認する
入力内容が消えてしまう
- 定期的に保存するよう注意書きを追加
- 自動保存機能を有効にする
- 重要なフォームはバックアップを取る
印刷時にレイアウトが崩れる
- 印刷プレビューで事前確認
- 余白設定を適切に調整
- フォントサイズを統一する
まとめ
Wordの入力フォーム機能を使えば、記入ミスを防ぎながら効率的に情報を収集できる文書を作成できます。
この記事のポイント
- 開発タブの表示が最初のステップ
- テキスト入力、チェックボックス、選択リスト、日付選択が基本機能
- フォーム保護により書式を維持できる
- プレースホルダーや入力制限で使いやすさを向上
- 定期的な動作確認が重要
コメント