Wordで文書を作成していると、「途中のページだけ横向き(横置き)にしたい」と思うことがありますよね。
たとえば、表や図、グラフなどが横長で、縦向きのページでは収まらないときなどです。
このようなときに使えるのが「セクション区切り」です。Wordではページごとに印刷の向きを変更するには、ページを分ける特別な区切りを挿入する必要があります。
この記事では、Wordで途中のページだけ横向き(横置き)にする方法を、初心者でもわかりやすくステップごとに解説します。
セクション区切りをマスターして、プロフェッショナルな文書レイアウトを作成しましょう。
「横向き」の意味について

用紙の向きを変えること
ここでいう「横向き」とは、用紙の向きを横(横置き/横長)にすることを指します。
文字が横書きになるという意味ではありません。
用紙の向きの種類
縦向き(ポートレート)
- 通常の文書で使用
- A4用紙を縦に置いた状態
- 幅210mm × 高さ297mm
横向き(ランドスケープ)
- 表やグラフに適している
- A4用紙を横に置いた状態
- 幅297mm × 高さ210mm
どんなときに使う?
横向きが便利な場面
- 幅の広い表を作成するとき
- 横長のグラフや図を挿入するとき
- 年表やスケジュール表を作るとき
- プレゼン資料の一部として使うとき
ページ途中から横向きにする基本手順
セクション区切りが必要な理由
Wordでは、ページの向きは「セクション」という単位で管理されています。
セクションとは 文書内で異なる書式設定を適用できる区間のことです。
なぜセクション区切りが必要か 普通の改ページでは、全体の向きが変わってしまうからです。
カーソルを正しい位置に置く
重要なポイント
横向きにしたいページの直前にカーソルを置くことが重要です。
具体例
3ページ目だけ横向きにしたい場合 2ページ目の最後にカーソルを置きます。
5ページ目から7ページ目まで横向きにしたい場合 4ページ目の最後にカーソルを置きます。
正確な位置の確認方法
- 該当ページの一番最後の文字の後ろをクリック
- 「Enter」キーは押さない
- 画面下部のページ番号を確認
セクション区切りを挿入する
詳しい操作手順
- 上部の「レイアウト」タブをクリック
- 「区切り」ボタンをクリック
- 「セクション区切り」の中から「次のページから開始」を選択
区切りの種類について
改ページ 単純にページを分けるだけ(書式は変わらない)
セクション区切り(次のページから開始) 新しいページで、異なる書式設定が可能
セクション区切り(現在の位置から開始) 同じページ内で異なる書式設定が可能
設定後の確認
セクション区切りを挿入すると、文書が「セクション1」「セクション2」に分かれます。
印刷の向きを横に変更する
操作手順
- 横向きにしたいページにカーソルを置く
- 「レイアウト」タブをクリック
- 「印刷の向き」をクリック
- 「横」を選択
結果の確認
そのセクション(該当ページ)だけが横向きになります。
元の縦向きに戻す(必要な場合)
いつ必要か
横向きページの後ろも、再び縦向きにしたい場合に実行します。
操作手順
- 横向きページの最後にカーソルを置く
- 再度「セクション区切り(次のページから開始)」を挿入
- 新しいセクションで「印刷の向き」を「縦」に設定
実際の設定例
例1:3ページ目だけ横向きにする
設定前の構成
- 1〜2ページ:縦向き
- 3ページ:縦向き(これを横向きにしたい)
- 4ページ以降:縦向き
設定手順
- 2ページ目の最後にカーソルを置く
- セクション区切りを挿入
- 3ページ目で印刷の向きを「横」に変更
- 3ページ目の最後にカーソルを置く
- 再度セクション区切りを挿入
- 4ページ目で印刷の向きを「縦」に変更
設定後の構成
- セクション1(1〜2ページ):縦向き
- セクション2(3ページ):横向き
- セクション3(4ページ以降):縦向き
例2:複数ページを横向きにする
設定前の構成
- 1〜4ページ:縦向き
- 5〜7ページ:縦向き(これらを横向きにしたい)
- 8ページ以降:縦向き
設定手順
- 4ページ目の最後にセクション区切りを挿入
- 5ページ目で印刷の向きを「横」に変更
- 7ページ目の最後にセクション区切りを挿入
- 8ページ目で印刷の向きを「縦」に変更
よくあるトラブルと対処法

すべてのページが横向きになってしまう
原因
セクション区切りではなく「改ページ」だけを挿入している
対処法
- 正しく「セクション区切り」を使用する
- 既存の改ページを削除
- 改めてセクション区切りを挿入
確認方法
「レイアウト」タブの「区切り」で、「セクション区切り」の項目を選んでいることを確認してください。
文字の向きまで変わってしまう
原因
テキストボックスや表の向き設定と混同している
対処法
ページの「印刷の向き」のみを変更し、テキストボックスや表の設定は触らないようにしてください。
予防策
設定変更時は、「印刷の向き」以外の設定は変更しないよう注意しましょう。
ページ番号がずれたり重複したりする
原因
セクションごとにページ番号がリセットされている
対処法
- 「挿入」タブ→「ページ番号」→「ページ番号の書式設定」をクリック
- 「前のセクションから継続」を選択
- 必要に応じて開始番号を調整
詳しい設定方法
各セクションでページ番号の設定を確認し、連続性を保つよう調整してください。
セクション区切りが見えない
確認方法
- 「ホーム」タブをクリック
- 「編集記号の表示/非表示」ボタン(¶マーク)をクリック
- セクション区切りが表示される
セクション区切りの表示
「==== セクション区切り(次のページ) ====」のような表示が現れます。
応用的な活用例
複雑な文書構成の作成
論文やレポートでの活用
表紙ページ 縦向きで会社ロゴと題名
データ分析ページ 横向きで大きな表やグラフ
本文ページ 縦向きで通常の文章
プレゼン資料での活用
カバーページ 縦向きでタイトルと目次
詳細データページ 横向きで詳細な分析結果
まとめページ 縦向きで結論と今後の方針
業務文書での実用例
会議資料
議事録本文 縦向きで通常の文章形式
添付資料 横向きで大きな表やスケジュール
報告書
概要 縦向きで文章中心
データ集 横向きで詳細な数値データ
結論 縦向きで要点整理
より効率的に作業するコツ
設計段階での計画
事前の構成検討
- どのページを横向きにするかを決める
- セクション区切りの位置を計画
- ページ番号の連続性を確認
テンプレート化
よく使う構成は、テンプレートとして保存しておくと便利です。
作業中の注意点
セクション確認の習慣
設定変更前に、現在どのセクションにいるかを確認する習慣をつけましょう。
バックアップの重要性
複雑なレイアウト変更前には、ファイルをコピーしてバックアップを取りましょう。
セクション機能のその他の活用
異なるヘッダー・フッター
セクションごとに異なるヘッダーやフッターを設定できます。
異なる余白設定
セクションごとに異なる余白を設定することも可能です。
異なる段組み設定
本文は1段組み、資料部分は2段組みなど、柔軟な設定ができます。
よくある質問

セクション区切りを削除するとどうなりますか?
セクション区切りを削除すると、前後のセクションが統合され、後ろのセクションの書式設定が適用されます。
横向きページでも縦書きはできますか?
はい、可能です。印刷の向きとは別に、文字の方向は個別に設定できます。
一つのセクション内で向きを変えることはできますか?
基本的にはできません。向きを変えるには新しいセクションが必要です。
セクション区切りが多すぎるとファイルサイズが大きくなりますか?
セクション区切り自体はファイルサイズにほとんど影響しません。
まとめ
Wordで文書の一部だけを横向きにしたいときは、「セクション区切り」と「印刷の向きの設定」を正しく使うことがポイントです。
成功のカギ
- 正確な位置にセクション区切りを挿入
- 各セクションで適切な印刷の向きを設定
- ページ番号の連続性を確認
- 設定前の計画と設定後の確認
活用シーン
- プレゼン資料
- 会議用レジュメ
- 論文やレポート
- 業務報告書
- データ分析資料
コメント