Word文書を作成していて、「あれ?文字が縦に並んでしまった」「横書きに戻したいのに、どこで設定すればいいの?」と困った経験はありませんか?
日本語のビジネス文書やレポート、プレゼンテーション資料など、現代の多くの文書では横書きが標準的に使われています。でも、テンプレートを使ったり、設定を変更したりしているうちに、いつの間にか縦書きになってしまうことがあります。
また、「一部だけ横書きにしたい」「表の中だけ文字の向きを変えたい」といった、より細かい調整が必要になることもあるでしょう。
この記事では、Wordで横書き設定を行う方法を、基本操作から応用テクニックまで、初心者の方でもわかるように詳しく解説します。文字の向きをマスターして、読みやすく美しい文書を作成しましょう。
横書きと縦書きの基本知識

横書きと縦書きの特徴
横書きの特徴
- 読み進める方向:左から右へ、上から下へ
- 適用場面:ビジネス文書、レポート、プレゼンテーション、Webサイト
- メリット:数字や英語との組み合わせが自然、現代的で読みやすい
縦書きの特徴
- 読み進める方向:上から下へ、右から左へ
- 適用場面:小説、詩歌、伝統的な文書、招待状
- メリット:日本語の美しさを表現、格式高い印象
用途別の使い分け
横書きが適している文書
- ビジネス関連:企画書、報告書、議事録、メール
- 学術関連:論文、レポート、研究資料
- 教育関連:教材、プレゼンテーション、配布資料
- 一般文書:チラシ、パンフレット、マニュアル
縦書きが適している文書
- 文芸関連:小説、エッセイ、詩集
- 伝統的文書:賞状、招待状、挨拶状
- 特別な用途:書道作品、看板、のれん
Wordで文書全体を横書きにする基本方法
新規文書での横書き設定
デフォルト設定の確認
通常、Wordの新規文書は横書きで作成されますが、テンプレートによっては縦書きになっている場合があります。
基本的な設定手順
ステップ1:レイアウトタブを開く
- Wordの画面上部にある「レイアウト」タブをクリックします
- 古いバージョンのWordでは「ページレイアウト」という名前の場合があります
ステップ2:文字列の方向を選択
- 「ページ設定」グループの中にある「文字列の方向」ボタンを見つけます
- このボタンをクリックすると、選択肢が表示されます
ステップ3:横書きを選択
- 表示されるメニューから「横書き」を選択します
- 即座に文書全体が横書きに切り替わります
既存文書の横書き変更
縦書き文書を横書きに変更する場合
注意すべき点
- 文字の配置が大きく変わる可能性があります
- 図形や表の位置調整が必要になる場合があります
- ページレイアウト全体の確認が必要です
変更後の確認作業
- 文字の配置:改行位置や段落の区切りを確認
- 図表の位置:図形や表が適切な位置にあるかチェック
- 余白設定:横書きに適した余白になっているか確認
- フォント設定:縦書き用フォントから横書き用フォントへの変更を検討
部分的な横書き設定の方法
テキストボックス内の文字を横書きにする
テキストボックスとは
テキストボックスは、文書内の任意の位置に文字を配置できる機能です。独立した文字領域として、個別に文字方向を設定できます。
設定手順
ステップ1:テキストボックスを選択
- 文字方向を変更したいテキストボックスをクリックして選択します
- 枠線が表示され、選択状態になったことを確認します
ステップ2:文字方向の変更
- 選択したテキストボックスを右クリックします
- 表示されるコンテキストメニューから「文字の方向」を選択します
- 「横書き」オプションを選択して適用します
図形内の文字の方向変更
図形(四角形、円形など)の中に入力された文字も、同様の方法で方向を変更できます。
操作手順
- 文字が入力されている図形を選択します
- 右クリックして「文字の方向」を選択します
- 「横書き」を選択して変更します
表内の文字を横書きにする
表全体の文字方向変更
表全体を選択する方法
- 表の左上角に表示される四方向矢印アイコンをクリックします
- または、表内をクリックして「レイアウト」タブから「表の選択」を選択します
文字方向の変更
- 表全体が選択された状態で右クリックします
- 「文字の方向」を選択します
- 「横書き」を適用します
特定のセルの文字方向変更
セル単位での設定
- 文字方向を変更したいセルを選択します
- 複数セルの場合は、ドラッグして範囲選択します
- 右クリックして「文字の方向」から「横書き」を選択します
より詳細な設定
- セルを右クリックして「セルの書式設定」を選択します
- 「配置」タブで文字の方向を詳細に設定できます
- 角度を数値で指定することも可能です
よくある問題と解決方法
文字方向が変更できない場合の対処法
問題1:設定が反映されない
原因と解決方法
原因:文書の一部が選択されている状態で設定を変更している
解決方法:
- Ctrl + Aで文書全体を選択するか、何も選択しない状態にします
- その状態で「文字列の方向」を変更します
問題2:テンプレートの影響
原因と解決方法
原因:使用しているテンプレートが縦書き仕様になっている
解決方法:
- 「デザイン」タブから別のテンプレートを選択します
- または、「標準」テンプレートに変更してから文字方向を設定します
問題3:段落書式の影響
原因と解決方法
原因:特定の段落に縦書き書式が設定されている
解決方法:
- 問題のある段落を選択します
- 「ホーム」タブの「段落」グループで書式をクリアします
- その後、文字方向を再設定します
レイアウトが崩れる場合の対処
図形や画像の位置調整
自動調整の活用
- 「レイアウト」タブの「配置」機能を使用します
- 「文字列の折り返し」を適切に設定します
- アンカーを固定して位置を安定させます
手動調整
- 図形や画像を一つずつ選択して位置を調整します
- 必要に応じて、サイズも調整します
表のレイアウト調整
列幅の調整
縦書きから横書きに変更すると、表の列幅が不適切になる場合があります:
- 表を選択して「レイアウト」タブを開きます
- 「列幅の自動調整」を使用します
- または、手動で各列の幅を調整します
応用テクニックと活用例
横書きと縦書きの混在レイアウト
セクション区切りを使った部分的変更
セクション区切りを使用することで、同一文書内で横書きと縦書きを混在させることができます。
設定手順
- 文字方向を変更したい位置にカーソルを置きます
- 「レイアウト」タブの「区切り」から「セクション区切り」を挿入します
- 新しいセクションで文字列の方向を変更します
実用例:表紙と本文の組み合わせ
- 表紙:縦書きで格式高い印象
- 本文:横書きで読みやすさを重視
テキストボックスを活用した自由レイアウト
見出しデザインの工夫
縦書き見出しと横書き本文の組み合わせ
- 見出し用のテキストボックスを作成し、縦書きに設定
- 本文は横書きのまま配置
- 視覚的にメリハリのあるレイアウトを作成
装飾的な要素の追加
サイドバーや注釈の作成
- テキストボックスを使用してサイドバーを作成
- 本文とは異なる文字方向で特別感を演出
- 注意書きや補足情報を効果的に配置
ビジネス文書での活用
企画書での効果的な使い分け
構成例
- 表紙:会社名やタイトルは縦書きで格調高く
- 目次:横書きで一覧性を重視
- 本文:横書きで読みやすさを優先
- まとめ:重要ポイントは縦書きで強調
プレゼンテーション資料での工夫
視覚的インパクトの活用
- スライドタイトルを縦書きにして注目度アップ
- 数字や統計データは横書きで見やすく
- キャッチフレーズは縦書きで印象的に
バージョン別の操作方法

Word 2019/2021/Microsoft 365
標準的な操作
前述の「レイアウト」タブからの操作が基本となります。
新機能の活用
- 「デザイナー」機能で自動レイアウト提案
- 「アイデア」機能で文字方向を含むデザイン案の提示
Word 2016/2013
操作の違い
基本的な操作は同じですが、一部のメニュー名や配置が異なる場合があります。
「ページレイアウト」タブ
古いバージョンでは「レイアウト」ではなく「ページレイアウト」タブになっています。
Word 2010以前
操作方法の違い
- 「ページレイアウト」タブをクリック
- 「ページ設定」グループの「文字列の方向」を選択
- 基本的な機能は同じですが、インターフェースが異なります
印刷とPDF出力時の注意点
印刷設定の確認
用紙の向きとの関係
横書き文書では、通常「縦向き」の用紙設定が適しています:
- 「ファイル」→「印刷」で印刷設定を開きます
- 「用紙の向き」が「縦」になっているか確認します
- 必要に応じて「横」に変更します
余白設定の調整
横書きに最適な余白設定:
- 上下余白:2.5cm程度
- 左右余白:2.5〜3cm程度
PDF出力時の考慮事項
文字方向の保持
Word文書をPDFに変換する際、文字方向は正しく保持されます。
フォントの埋め込み
特殊なフォントを使用している場合:
- PDF出力時に「フォントの埋め込み」を有効にします
- 環境に依存しない表示を確保します
トラブルシューティング
よくあるエラーと対処法
「文字列の方向」ボタンが見つからない場合
確認すべき点
- 正しいタブ:「レイアウト」タブを開いているか
- 画面サイズ:ウィンドウが小さい場合、ボタンが隠れている可能性
- バージョン:古いバージョンでは「ページレイアウト」タブ
解決方法
- Wordのウィンドウを最大化してみる
- 「ページ設定」の詳細設定から変更を試す
一部の文字だけが横書きにならない場合
原因
- テキストボックスや図形内の文字
- 表のセル内の文字
- 特殊な書式が適用されている文字
解決方法
- 該当箇所を個別に選択して設定を変更
- 書式のクリアを実行してから再設定
まとめ
Wordでの横書き設定は、基本的な操作を理解すれば決して難しいものではありません。文書全体の設定から部分的な調整まで、様々な方法を使い分けることで、読みやすく美しい文書を作成できます。
重要なポイントの振り返り
基本操作
- 文書全体:「レイアウト」タブ→「文字列の方向」→「横書き」
- テキストボックス:右クリック→「文字の方向」→「横書き」
- 表のセル:右クリック→「文字の方向」→「横書き」
効果的な活用
- 用途別の使い分け:ビジネス文書は横書き、格式文書は縦書き
- 混在レイアウト:セクション区切りで部分的な変更
- デザイン性:文字方向で視覚的メリハリを作成
トラブル対処
- 設定の反映:文書全体を選択してから操作
- レイアウト調整:文字方向変更後の位置確認
- バージョン対応:使用しているWordに応じた操作方法
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