Word(ワード)で校閲やレビューを行ったあと、「コメントが表示されたままになってしまった」「印刷したら吹き出しまで出てしまった」と困ったことはありませんか?
この記事では、Wordのコメントを画面上で非表示にする方法、印刷時に隠す方法、完全に削除する方法までをわかりやすく解説します。
Wordのコメント機能と表示の仕組み

コメントが表示される理由
Wordのコメント機能: Wordでは、校閲時に追加されたコメントが「吹き出し」形式で表示されます。これは便利な機能ですが、印刷や共有前には見た目をすっきりさせたい場面もあります。
コメントの種類:
- 新しいコメント:最新の校閲で追加されたもの
- 返信コメント:既存コメントへの返答
- 解決済みコメント:確認済みとマークされたもの
- 他のユーザーのコメント:共同編集時の他者のコメント
コメントが問題となる場面
ビジネスでの課題:
- 最終版文書の体裁:クライアントへの提出時
- 印刷物の見栄え:プレゼン資料や配布物
- PDF変換時の品質:電子配布での見た目
- 機密性への配慮:内部検討コメントの非表示
教育・学術での問題:
- 論文提出:査読用と最終版の使い分け
- レポート作成:指導コメント除去
- 研究資料:内部討議内容の非表示
コメントを画面上で一時的に非表示にする方法
基本的な非表示設定
手順:
- 「校閲」タブを開く
- 「変更履歴」グループの「表示」または「簡易表示」メニューを開く
- **「変更履歴とコメントの表示」**を「なし」に設定
結果: コメントと赤字修正が非表示になります(※データ自体は残っています)。
より詳細な表示設定
表示オプションの詳細:
「表示」ドロップダウンの選択肢:
- すべてのマークアップ:全ての変更とコメントを表示
- 簡易マークアップ:変更箇所のみ赤線で表示
- 変更履歴なし:最終的な文書のみ表示
- 元の文書:変更前の状態を表示
段階的な表示制御:
- 「表示」メニューから段階的に選択
- **「オプション」**でより詳細な設定
- 特定の校閲者のコメントのみ表示・非表示
カスタム表示設定
特定要素の選択表示:
- 「校閲」タブ → 「表示」 → 「オプション」
- **「詳細オプション」**をクリック
- 表示要素を個別選択:
- コメント:オン・オフ
- 挿入と削除:個別設定
- 書式変更:表示・非表示
印刷時にコメントを表示しない設定方法
印刷設定での制御
基本手順:
- 「ファイル」 → 「印刷」
- 「設定」項目の中にある「印刷する内容」
- **「変更履歴とコメントを含める」から「ドキュメントのみを印刷」**を選択
結果: コメントなしのきれいな文書が印刷できます。
印刷オプションの詳細設定
印刷時の選択肢:
- ドキュメントのみ印刷:本文のみ(推奨)
- マークアップのリスト:変更内容の一覧
- 変更履歴とコメントを含める:すべて印刷
ページ設定での制御:
- 「ページレイアウト」タブ → 「ページ設定」
- 「その他」タブで印刷オプションを確認
- **「変更履歴とコメント」**の設定を調整
一括印刷設定の変更
既定値の変更:
- 「ファイル」 → 「オプション」 → 「表示」
- **「印刷オプション」**セクション
- **「マークアップを印刷する」**のチェックを外す
- 今後の文書に適用
コメントを完全に削除する方法
個別削除の方法
単一コメントの削除:
- 削除したいコメントをクリック
- 「校閲」タブ → 「削除」 → 「コメントの削除」
- 該当コメントが完全に削除
一括削除の方法
すべてのコメントを削除:
- 「校閲」タブを開く
- 「削除」 → 「すべてのコメントを削除」
- 確認ダイアログで「はい」
特定の校閲者のコメントのみ削除:
- 「校閲」タブ → 「表示」 → 「特定のユーザー」
- 削除したい校閲者を選択
- 「削除」 → 「表示されているコメントを削除」
削除前の確認事項
重要なチェックポイント:
- バックアップの作成:元ファイルの保存
- 内容の最終確認:重要な指摘の反映確認
- 承認プロセス:上司・関係者への確認
- バージョン管理:コメント付き版との使い分け
高度なコメント管理
解決済みコメントの処理
コメントの解決マーク:
- コメントを右クリック
- **「解決」**を選択
- グレーアウト表示になり、非アクティブ化
解決済みコメントの一括削除:
- 「校閲」タブ → 「削除」
- 「解決済みコメントを削除」
- 確認後実行
コメント履歴の管理
変更履歴との連携:
- 変更の承諾とコメント削除の連動
- 変更の拒否時のコメント処理
- 履歴の確定後のコメント整理
保護されたコメントの処理
制限設定の確認:
- 「校閲」タブ → 「制限の編集」
- 現在の保護状態を確認
- パスワード入力で制限解除
- コメント編集・削除を実行
コメントが消えない原因と詳細対策

よくある問題と解決策
状況 | 原因 | 解決方法 |
---|---|---|
コメントが印刷に出る | 印刷設定が「すべてのマークアップ」 | 「ドキュメントのみ印刷」に変更 |
コメントが再表示される | 非表示にしただけで削除していない | コメントの削除を実行 |
別のユーザーのコメントが消えない | 保護設定が有効 | 校閲制限を解除してから削除 |
一部のコメントだけ残る | フィルター設定による表示制限 | 表示設定をリセット |
複雑な状況への対処
複数校閲者での作業:
- 権限設定による削除制限
- 作成者別での選択削除
- 承認ワークフローとの連携
文書保護との関係:
- セクション保護でのコメント制限
- フォーム保護時の注意点
- 最終版保護での処理
PDF変換時のコメント制御
PDF出力でのコメント除去
基本設定:
- 「ファイル」 → 「エクスポート」 → 「PDF/XPS の作成」
- **「オプション」**をクリック
- **「マークアップ(変更履歴とコメント)を含める」**のチェックを外す
- **「OK」**で確定
高度なPDF設定:
- アクセシビリティ情報の含有設定
- メタデータの制御
- セキュリティ設定との連携
共同編集でのコメント管理
OneDrive・SharePointでの管理
クラウド環境での特殊事項:
- リアルタイム同期でのコメント表示
- バージョン履歴でのコメント管理
- 権限設定による制御
共同編集時のベストプラクティス:
- 役割分担の明確化
- コメント削除権限の設定
- 最終版確定のワークフロー
自動化とマクロ活用
VBAでのコメント一括処理
基本的な削除マクロ:
Sub DeleteAllComments()
Dim comment As comment
For Each comment In ActiveDocument.Comments
comment.Delete
Next comment
End Sub
条件付き削除マクロ:
Sub DeleteCommentsByAuthor()
Dim comment As comment
Dim authorName As String
authorName = "特定のユーザー名"
For Each comment In ActiveDocument.Comments
If comment.Author = authorName Then
comment.Delete
End If
Next comment
End Sub
ベストプラクティスと運用方針
文書管理での使い分け
バージョン管理戦略:
- 作業版:コメント付きで内部共有
- レビュー版:コメント表示で校閲依頼
- 最終版:コメント削除で完成品
ファイル命名規則:
文書名_v1.0_校閲版.docx
文書名_v1.1_修正版.docx
文書名_v2.0_最終版.docx
組織での標準化
運用ルールの策定:
- コメント削除のタイミング
- 権限管理の方針
- 品質管理のチェックポイント
- セキュリティへの配慮
まとめ
Wordのコメントは、**状況に応じて「非表示」「印刷時に除外」「完全削除」**を使い分けることが大切です。
基本的な制御方法:
- 表示設定で一時的に隠すことが可能
- **印刷時は「ドキュメントのみ」**を選ぶ
- **最終提出や共有前は「コメントの削除」**で完全に消す
効果的な活用のポイント:
- 目的に応じた適切な処理方法の選択
- バックアップとバージョン管理の徹底
- 組織内でのルール統一
- セキュリティへの配慮
実務での価値:
- プロフェッショナルな文書品質
- 機密情報の適切な管理
- 効率的な校閲ワークフロー
- クライアント満足度の向上
応用テクニック:
- マクロによる自動化
- 条件付きコメント処理
- PDF変換での品質管理
- 共同編集環境での最適化
注意すべきポイント:
- 重要なコメントの見落とし防止
- 削除前の内容確認
- 権限設定による制限
- バージョン管理での混乱回避
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