長文の報告書や論文を作成する際、目次は文書の構造を分かりやすく伝える重要な要素です。
Wordには「見出し」や「アウトライン」を使って、自動的に目次を生成・更新できる機能があります。
この記事では、その設定手順とコツを初心者でも安心して使えるように詳しく解説します。
手動で目次を作る手間を省き、文書の構造変更にも自動で対応できる便利な機能を身につけましょう。
ステップ1:見出しスタイルの設定とアウトライン作成

見出しスタイルの基本概念
Wordの目次機能は、「見出しスタイル」を基準に動作します。
まず、文書内の各見出しに適切なスタイルを適用する必要があります。
見出しレベルの階層構造:
見出し1:章レベル(例:第1章 概要)
├─見出し2:節レベル(例:1.1 目的)
│ ├─見出し3:項レベル(例:1.1.1 背景)
│ └─見出し3:項レベル(例:1.1.2 意義)
└─見出し2:節レベル(例:1.2 方法)
見出しスタイルを適用する方法
基本的な適用手順:
- 見出しにしたい文字列を選択
- 「ホーム」タブをクリック
- 「スタイル」グループから適切な見出しスタイルを選択
- 見出し1:最上位の章や大項目
- 見出し2:中項目や節
- 見出し3:小項目や詳細項目
効率的な適用テクニック:
ショートカットキー:
Ctrl + Alt + 1 → 見出し1を適用
Ctrl + Alt + 2 → 見出し2を適用
Ctrl + Alt + 3 → 見出し3を適用
見出しスタイルのカスタマイズ
見出しの外観を調整:
- 「ホーム」タブの「スタイル」グループで見出しスタイルを右クリック
- 「変更」を選択
- 以下の項目を調整:
- フォント:游ゴシック Bold、MS ゴシック など
- 文字サイズ:見出し1(16pt)、見出し2(14pt)、見出し3(12pt)
- 文字色:ダークブルー、ダークグリーンなど
- 段落間隔:前18pt、後12pt
推奨される見出し設定:
見出し1:
- フォント:游ゴシック Bold 16pt
- 色:ダークブルー
- 段落前:18pt、段落後:12pt
見出し2:
- フォント:游ゴシック Bold 14pt
- 色:ダークグレー
- 段落前:12pt、段落後:6pt
見出し3:
- フォント:游ゴシック Bold 12pt
- 色:ブラック
- 段落前:6pt、段落後:3pt
アウトライン表示での構造確認
アウトライン表示の活用:
- 「表示」タブ→「アウトライン*をクリック
- 文書がアウトライン形式で表示される
- 各見出しのレベルと階層構造を確認
- 必要に応じてレベルの調整や順序の変更
アウトライン表示での操作:
- レベル昇格:見出しを上位レベルに変更
- レベル降格:見出しを下位レベルに変更
- 上下移動:見出しの順序を変更
- 本文表示/非表示:見出しのみ、または本文も含めて表示
ナビゲーションウィンドウの活用
ナビゲーションウィンドウの表示:
- 「表示」タブ→**「ナビゲーションウィンドウ」**にチェック
- 画面左側に文書構造が表示される
- 見出しをクリックするとその箇所にジャンプ
- ドラッグ&ドロップで見出しの順序変更も可能
これで、文書の構造が明確になり、後の目次作成がスムーズになります。次に、実際の目次作成手順を見ていきましょう。
ステップ2:自動目次の作成と挿入

目次挿入の基本手順
見出しスタイルの設定が完了したら、いよいよ目次を作成します。
自動目次作成の手順:
- 目次を挿入したい位置にカーソルを置く(通常は文書の先頭)
- 「参考資料」タブをクリック
- 「目次」グループの「目次」をクリック
- 表示されるギャラリーから**「自動作成の目次2」などを選択
- 見出し1〜3が自動で収集され、ページ番号付きで目次が生成される
目次のスタイル選択
利用可能な目次スタイル:
スタイル名 | 特徴 | 適用場面 |
---|---|---|
自動作成の目次1 | シンプルなデザイン | 学術論文、技術文書 |
自動作成の目次2 | 「目次」タイトル付き | 報告書、提案書 |
手動作成の目次 | 完全に手動で作成 | 特殊な構成の文書 |
目次の配置と前後の調整
目次ページの設定:
- 目次の前後に改ページを挿入
- 目次ページにはページ番号を入れない、またはローマ数字を使用
- 本文ページは1ページから開始するよう設定
ページ番号の設定例:
目次ページ:ⅰ、ⅱ、ⅲ(ローマ数字)
本文ページ:1、2、3、…(アラビア数字)
設定手順:
- 「挿入」タブ→「ページ番号」
- 「ページ番号の書式設定」
- 「番号書式」でローマ数字小文字を選択
- 本文開始ページで再度ページ番号設定し、**「連続番号にしない」**を選択
目次の表示レベル設定
表示する見出しレベルの調整:
- 「参考資料」タブ→「目次」→「ユーザー設定の目次」
- 「目次」ダイアログで以下を設定:
- 「アウトラインレベル」:表示したい見出しレベル数(通常は3)
- 「タブリーダー」:ページ番号までの線の種類
- 「ページ番号を右揃えにする」:チェック推奨
おすすめ設定:
アウトラインレベル:3(見出し1〜3まで表示)
タブリーダー:……(点線)
右揃えページ番号:チェック
Webレイアウト用ハイパーリンク:チェック
自動目次の基本作成ができたら、次は更新とカスタマイズの方法を学びましょう。
ステップ3:目次の更新とカスタマイズ

目次の更新方法
文書を編集すると、見出しの追加・削除・変更やページ番号の変化が発生します。
これらの変更を目次に反映させる必要があります。
更新の基本手順:
- 目次内の任意の場所を右クリック
- ¥「フィールドの更新」を選択
- 更新オプションを選択:
- 「ページ番号のみ」:ページ番号のみを更新
- 「目次をすべて更新する」:見出しテキストとページ番号の両方を更新
更新が必要なタイミング:
- 見出しの文言を変更した時
- 見出しを追加・削除した時
- 文書の構成を大幅に変更した時
- 最終版を作成する前
目次のカスタマイズ
詳細なカスタマイズオプション:
- 「参考資料」タブ→「目次」→「ユーザー設定の目次」
- 「目次」ダイアログで以下の項目を調整:
見た目の調整:
タブリーダーの種類:
- なし:………………第1章 概要 1
- 点線:………………第1章 概要……………1
- 破線:………………第1章 概要----------1
- 下線:………………第1章 概要__________1
書式スタイルの変更:
- 「目次」ダイアログで**「変更」**ボタンをクリック
- 「目次1」「目次2」「目次3」の各スタイルを個別に設定
- フォント、サイズ、色、インデントなどを調整
推奨スタイル設定:
目次1(見出し1用):
- フォント:游ゴシック Bold 12pt
- インデント:0mm
- 段落前:6pt、段落後:3pt
目次2(見出し2用):
- フォント:游ゴシック 11pt
- インデント:10mm
- 段落前:0pt、段落後:0pt
目次3(見出し3用):
- フォント:游ゴシック 10pt
- インデント:20mm
- 段落前:0pt、段落後:0pt
特殊な目次の作成
図表目次の作成:
- 図や表にキャプションを挿入
- 「参考資料」タブ→「図表目次の挿入」
- 図の目次と表の目次を別々に作成可能
カスタム目次の作成:
特定のスタイルのみを含む目次:
1. 「ユーザー設定の目次」ダイアログ
2. 「オプション」ボタンをクリック
3. 「スタイル」を選択
4. 目次に含めたいスタイルを指定
ステップ4:ナビゲーション機能とハイパーリンク

ハイパーリンク付き目次の活用
自動作成された目次には、デフォルトでハイパーリンク機能が付いています。
ハイパーリンクの使用方法:
- Ctrl + クリック:該当する見出しページにジャンプ
- 電子文書での活用:PDFやWebページでも機能
- プレゼンテーション時:素早く特定の章に移動
ハイパーリンクの設定確認:
- 目次作成時に「Webレイアウト用ハイパーリンク」がチェックされているか確認
- 「ファイル」→「オプション」→「詳細設定」で「Ctrlキーを押しながらクリックしてハイパーリンクを開く」が有効か確認
ナビゲーションウィンドウの高度な活用
ナビゲーションウィンドウの機能:
- 見出し一覧表示:文書構造を常に表示
- クイックジャンプ:見出しクリックで即座に移動
- 検索機能:特定の見出しを素早く検索
- 構造の並び替え:ドラッグ&ドロップで章の順序変更
効率的な編集テクニック:
見出しレベルの一括変更:
1. ナビゲーションウィンドウで見出しを選択
2. 右クリック→「レベル上げ」「レベル下げ」
章全体の移動:
1. ナビゲーションウィンドウで見出しをドラッグ
2. 他の見出しの上下にドロップして位置変更
PDFでの目次機能
Word文書をPDFに変換する際の注意点:
- 「ファイル」→「エクスポート」→「PDF/XPSの作成」
- 「オプション」をクリック
- 「ブックマークを作成する」にチェック
- 見出しがPDFのブックマーク機能として保持される
応用テクニックとトラブルシューティング

複数の目次を作成する方法
章別目次の作成:
- 各章の先頭に個別の目次を挿入
- 「ユーザー設定の目次」で「スタイル」オプションを使用
- 特定の見出しレベルのみを含む目次を作成
図表目次の併用:
文書構成例:
1. 総目次(全章の見出し)
2. 図目次(すべての図のリスト)
3. 表目次(すべての表のリスト)
4. 各章内の詳細目次
よくある問題と解決策
問題1:目次が自動更新されない
原因:フィールドコードが無効になっている
解決策:
1. 目次全体を選択
2. F9キーを押してフィールドを更新
3. または右クリック→「フィールドの更新」
問題2:不要な項目が目次に表示される
原因:誤って見出しスタイルが適用されている
解決策:
1. 該当箇所のスタイルを「標準」に変更
2. 目次を更新して反映を確認
問題3:ページ番号がずれている
原因:改ページや書式設定の問題
解決策:
1. 「表示」→「下書き」でページ区切りを確認
2. 不適切な改ページを削除
3. 目次を「すべて更新」
問題4:目次の書式が崩れる
原因:目次スタイルの設定問題
解決策:
1. 「参考資料」→「目次」→「ユーザー設定の目次」
2. 「変更」ボタンでスタイルを再設定
3. 「OK」をクリックして適用
効率的な作業フロー
推奨作業手順:
- 文書構造の設計:章立てを明確にする
- 見出しスタイルの統一:一貫したスタイルを適用
- 仮目次の作成:早い段階で目次を挿入
- 定期的な更新:編集中も定期的に目次を更新
- 最終チェック:完成前に目次とページ番号を最終確認
まとめ
習得レベル別のチェックリスト
初級レベル:基本操作の習得
- [ ] 見出しスタイルの適用ができる
- [ ] 自動目次の作成ができる
- [ ] 目次の更新ができる
- [ ] ナビゲーションウィンドウを活用できる
中級レベル:カスタマイズと応用
- [ ] 目次の書式をカスタマイズできる
- [ ] 表示レベルを調整できる
- [ ] ハイパーリンク機能を活用できる
- [ ] 図表目次を作成できる
上級レベル:高度な活用
- [ ] 複数種類の目次を組み合わせできる
- [ ] トラブルシューティングができる
- [ ] 効率的な作業フローを構築できる
- [ ] チーム作業での目次管理ができる
作業効率化のポイント
段階 | 作業内容 | 効率化のコツ |
---|---|---|
準備段階 | 文書構造の設計 | アウトライン機能で事前に構造を整理 |
作成段階 | 見出しスタイルの適用 | ショートカットキーで効率的に適用 |
目次作成 | 自動目次の挿入 | 早い段階で仮目次を作成 |
編集段階 | 定期的な更新 | 大きな変更後は必ず目次を更新 |
最終確認 | 全体のチェック | 印刷プレビューで最終確認 |
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