「何度もパスワードを入力するのが面倒」「他の人にも使いやすいように、パスワードなしで保存したい」
そんなときに便利なのが、Wordファイルからパスワード保護を解除して保存し直す方法です。この記事では、パスワードを正しく知っている前提で、安全にパスワードを削除し、保護なしのファイルとして再保存する手順を、初心者にもわかりやすく解説します。
重要な前提:この記事は、正当なパスワードを知っている文書の所有者または権限を持つ人向けの内容です。他人のファイルを不正に解除することは絶対に行わないでください。
Wordのパスワード保護とは?

パスワード保護の目的
Wordファイルにパスワードを設定する主な理由は以下の通りです:
- 機密情報の保護:重要な文書への不正アクセスを防ぐ
- 編集権限の管理:特定の人だけが編集できるようにする
- 文書の完成版保護:最終版の内容を変更されないようにする
保護を解除する正当な理由
一方で、以下のような場面では保護を解除することが適切な場合があります:
- プロジェクト完了後の社内共有
- チーム内での編集作業への移行
- アーカイブ用ファイルの作成
- 利便性向上のための一時的な解除
対象となるパスワードの種類
解除して保存できるパスワードには、主に2つのタイプがあります。
読み取りパスワード(開くときのパスワード)
特徴
- ファイル全体が暗号化されている
- ファイルを開くときにパスワード入力が必要
- パスワードがないと内容を一切見ることができない
設定される場面
- 極秘文書や個人情報を含む書類
- 外部に送る前の下書き段階
- 特定の関係者のみに共有する資料
書き込みパスワード(編集制限パスワード)
特徴
- 文書の内容は見ることができる
- 編集するときにパスワードが必要
- 読み取り専用として開くことは可能
設定される場面
- 最終版として固定したい文書
- 参考資料として配布する書類
- テンプレートファイルの保護
その他の保護機能
Wordには他にも以下のような保護機能があります:
文書の構造保護
- セクションごとの編集制限
- 特定の部分だけを編集可能にする
- コメントの追加のみ許可する
書式設定の保護
- フォントやスタイルの変更を禁止
- レイアウトの崩れを防ぐ
- 一貫したデザインを維持する
読み取りパスワードを解除して保存する手順
基本的な手順
最も一般的な「開くときのパスワード」を解除する方法を詳しく説明します。
手順1:ファイルを開く
- 保護されたWordファイルをダブルクリック
- パスワード入力画面が表示される
- 正しいパスワードを入力して「OK」をクリック
パスワードを間違えると「パスワードが正しくありません」というメッセージが表示されます。正確に入力し直してください。
手順2:文書の保護設定を開く
- 「ファイル」タブをクリック
- 左メニューから「情報」を選択
- 「文書の保護」ボタンをクリック
- 「パスワードを使用して暗号化」を選択
この画面で現在の保護状態を確認できます。
手順3:パスワードを削除
- パスワード設定ダイアログボックスが表示される
- 現在のパスワードが「●●●●」で表示されている
- このパスワード欄をすべて削除して空白にする
- 「OK」ボタンをクリック
空白にすることで、パスワード保護が解除されます。
手順4:ファイルを保存
- 「名前を付けて保存」を選択(上書き保存は避ける)
- 新しいファイル名を付ける(例:「元ファイル名_パスワードなし.docx」)
- 保存場所を指定して「保存」をクリック
注意すべきポイント
元ファイルの保持
- 元のパスワード付きファイルは削除せずに保持する
- 必要に応じて再度保護をかけられるようにする
- バックアップとしての役割も果たす
ファイル名の工夫
わかりやすいファイル名を付けることで、管理がしやすくなります:
- 「企画書_2024_パスワードなし.docx」
- 「月報_3月分_共有版.docx」
- 「マニュアル_最終版_一般公開.docx」
編集制限付きファイルのパスワードを解除する手順
編集制限の確認方法
まず、現在の制限状態を確認しましょう。
制限されている場合の表示
- メッセージバーに「この文書は編集が制限されています」と表示
- 「校閲」タブに「編集の制限」ボタンが表示
- 文書の一部または全部がグレーアウトしている
解除の詳細手順
手順1:校閲タブを開く
- 「校閲」タブをクリック
- 「保護」グループを確認
- 「編集の制限」ボタンが表示されていることを確認
手順2:制限解除の操作
- 「編集の制限」ボタンをクリック
- 右側に「編集の制限」作業ウィンドウが表示される
- 「保護の中止」ボタンをクリック
手順3:パスワードの入力
- 「保護の中止」ダイアログが表示される
- パスワードを入力
- 「OK」をクリックして制限を解除
手順4:ファイルの保存
- 「名前を付けて保存」を選択
- 適切なファイル名を付けて保存
制限が解除されると、文書全体を自由に編集できるようになります。
部分的な制限がある場合
セクション別制限の解除
文書の一部だけが制限されている場合:
- 制限されているセクションを確認
- 各セクションごとに保護解除を実行
- すべてのセクションの制限が解除されたことを確認
特殊な制限への対応
- コメントのみ許可:制限解除後、すべての編集が可能
- 変更履歴のみ許可:制限解除後、変更履歴なしで編集可能
- フォーム入力のみ許可:制限解除後、文書構造の変更も可能
読み取り専用推奨の解除

読み取り専用推奨とは
「読み取り専用で開くことを推奨します」というメッセージが表示される場合があります。これは強制的な保護ではありませんが、解除方法を知っておくと便利です。
解除手順
- ファイルを開く際に「いいえ」を選択して編集モードで開く
- 「ファイル」→「情報」→「文書の保護」
- 「常に読み取り専用で開く」のチェックを外す
- ファイルを保存
この機能の活用場面
- テンプレートファイルの保護
- 参考資料としての配布
- 誤編集防止のための設定
セキュリティ上の注意点
パスワード解除前の確認事項
解除権限の確認
- 文書の所有者または管理者からの許可
- 組織のセキュリティポリシーとの適合性
- 法的な問題がないかの確認
機密レベルの再評価
パスワードを解除する前に、文書の機密性を再度確認しましょう:
- 個人情報の有無
- 企業秘密の含有
- 法的な保護が必要な情報
解除後の管理
アクセス権限の設定
- ファイル共有の範囲を明確にする
- 編集権限と閲覧権限を分ける
- 定期的なアクセス権限の見直し
バージョン管理
- パスワード付きとパスワードなしの両方を保持
- 更新履歴の記録
- 最新版の明確化
よくあるトラブルと対処法
パスワードを忘れた場合
対処方法
残念ながら、Microsoft Wordの標準機能では、忘れたパスワードを復元することはできません。以下のような対策を検討してください:
- 他のチームメンバーがパスワードを知っているか確認
- 文書作成者に連絡
- バックアップファイルの確認
予防策
- パスワード管理ツールの使用
- 複数人でのパスワード共有(適切な方法で)
- 定期的なパスワードなしバックアップの作成
解除できない場合
確認すべき点
- パスワードの大文字・小文字が正確か
- 数字や記号が正しく入力されているか
- 日本語入力モードになっていないか
- Caps Lockがオンになっていないか
他の保護機能の確認
- 文書の保護とは別の制限がかかっていないか
- ファイル自体が破損していないか
- Wordのバージョンに問題がないか
部分的に解除できない場合
セクション別保護の確認
- 文書内の各セクションで異なるパスワード
- 一部のみフォーム保護がかかっている
- 特定の範囲だけ編集制限がある
対処方法
- 「編集の制限」画面で詳細を確認
- 各セクションごとに個別に解除
- 必要に応じて文書を分割して対応
実際の活用例

ケース1:プロジェクト完了後の報告書共有
状況
プロジェクト進行中は機密保持のためパスワード保護していた報告書を、完了後に社内で広く共有したい。
対応手順
- パスワード付き報告書を開く
- 機密情報の有無を再確認
- パスワードを解除して「最終報告書_社内共有版.docx」として保存
- 適切な共有範囲でファイルを配布
効果
- 社員がいつでもアクセス可能
- パスワード管理の負担軽減
- 情報共有の促進
ケース2:テンプレートファイルの作成
状況
部署で使用している企画書のテンプレートから、パスワード保護を解除して使いやすくしたい。
対応手順
- 元のテンプレートファイルを開く
- 編集制限を解除
- 「企画書テンプレート_編集可能版.docx」として保存
- チーム内で共有し、自由に編集可能にする
効果
- テンプレートの活用促進
- 部署ごとのカスタマイズが可能
- 作業効率の向上
ケース3:外部共有用ファイルの準備
状況
社内で使用していた資料を、パートナー企業と共有するためにパスワードを解除したい。
対応手順
- 社内機密情報を削除または修正
- パスワード保護を解除
- 「提案書_パートナー向け.docx」として別名保存
- 外部共有の承認を得た後に送付
注意点
- 機密情報の完全な除去
- 外部共有の社内承認
- 適切なファイル名の設定
パスワード管理のベストプラクティス
組織レベルでの管理
ポリシーの策定
- パスワード設定の基準
- 解除の承認プロセス
- 文書の機密レベル分類
ツールの活用
- パスワード管理ソフトウェア
- 文書管理システム
- アクセス権限管理ツール
個人レベルでの管理
パスワードの記録
- 安全な場所への保存
- 複数の保存場所の確保
- 定期的なバックアップ
適切な命名規則
- ファイル名に保護状態を含める
- バージョン管理の徹底
- 用途別のフォルダ分け
法的・倫理的な考慮事項
適切な使用
守るべき原則
- 正当な権限に基づく操作
- 組織のセキュリティポリシーの遵守
- 個人情報保護法の遵守
避けるべき行為
- 他人のファイルの不正解除
- 機密情報の不適切な共有
- セキュリティポリシーの違反
責任の所在
パスワードを解除する際は、以下の責任を理解しておきましょう:
- 文書の機密性維持
- 適切な共有範囲の管理
- セキュリティインシデントの防止
まとめ
Wordファイルのパスワード保護解除は、適切に行えば作業効率の大幅な向上につながります。
重要なポイントの再確認
解除の基本手順
- 読み取りパスワード:「ファイル」→「情報」→「文書の保護」でパスワードを空白に
- 編集制限パスワード:「校閲」→「編集の制限」→「保護の中止」
- 必ず別名保存で元ファイルを保持
セキュリティの考慮
- 正当な権限での操作
- 機密情報の適切な管理
- 組織ポリシーの遵守
効率的な管理
- 適切なファイル命名
- バージョン管理の徹底
- 定期的な見直し
活用のメリット
パスワード保護の適切な解除により、以下のようなメリットが得られます:
- 作業効率の向上:毎回のパスワード入力が不要
- 共有の促進:チーム内での情報共有がスムーズ
- 管理の簡素化:パスワード管理の負担軽減
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