Wordで論文や報告書を作成しているとき、「図1」「表2」などの図表番号が自動で振られる機能はとても便利です。しかし、途中で図を追加・削除すると番号がズレてしまい、「更新されていない…!」と焦ることも。
この記事では、Wordで図表番号を正しく更新・修正する方法と、ミスを防ぐためのポイントを丁寧に解説します。
図表番号とは?

基本的な定義
Wordでは、図や表に「キャプション(図表番号付きの説明文)」を挿入できます。
例:
- 図1 売上推移グラフ
- 表2 アンケート結果一覧
- 図3 組織図
キャプション機能を使うと、自動的に連番が付き、あとから更新も可能になります。
図表番号の構成要素
基本的な構成
標準的な図表番号の形式:
- ラベル:「図」「表」「式」など
- 番号:1、2、3の連続番号
- 区切り文字:スペース、ピリオド、コロンなど
- 説明文:図表の内容を説明するテキスト
カスタマイズ可能な要素
番号の形式:
- アラビア数字:1, 2, 3…
- ローマ数字:I, II, III…
- アルファベット:A, B, C…
- 章番号との連動:1-1, 1-2, 2-1…
図表番号を使うメリット
自動管理の利点
効率性の向上:
- 自動連番:手動で番号を管理する必要がない
- 一括更新:追加・削除時に全体を自動調整
- 参照の正確性:本文からの参照も自動更新
- 時間短縮:大幅な編集時間の削減
文書品質の向上
プロフェッショナルな仕上がり:
- 番号の一貫性
- 見た目の整合性
- 読み手への配慮
- 学術的な体裁
図表番号が必要な文書
学術・研究分野
論文・レポート
使用例:
- 卒業論文での実験結果
- 研究報告書のデータ分析
- 学会発表資料の図表
- 査読論文の投稿原稿
要求される精度
学術文書での重要性:
- 正確な番号付け
- 一貫したフォーマット
- 引用・参照の正確性
- 国際的な標準への準拠
ビジネス文書
企業での活用
活用場面:
- 事業計画書のグラフ
- 市場調査報告書のデータ
- 技術仕様書の図面
- 品質管理書類の表
技術文書
マニュアル・手順書
実用例:
- 操作手順の画面キャプチャ
- 回路図や設計図
- フローチャートや組織図
- 比較表や仕様表
図表番号の正しい設定方法
キャプションの挿入
基本的な手順
- 図や表を選択
- 「参考資料」タブ→「図表番号の挿入」
- ラベル(図、表など)を選択
- 説明文を入力
- 「OK」をクリック
詳細な設定方法
ステップ1:図表の準備
- 図や表を文書に挿入
- 図表が適切に配置されていることを確認
- 図表を1回クリックして選択状態にする
ステップ2:キャプション挿入
- リボンの「参考資料」タブをクリック
- 「キャプション」グループの「図表番号の挿入」ボタン
- 「図表番号」ダイアログが表示される
ステップ3:設定の調整
- ラベル:「図」「表」「式」から選択または新規作成
- 位置:「選択したアイテムの下」「選択したアイテムの上」
- 番号付け:「オプション」で詳細設定
- 説明文:図表の内容を説明するテキストを入力
番号付けのオプション
形式の設定
番号付けオプション:
- 「図表番号」ダイアログで「番号付け」ボタンをクリック
- 形式:1,2,3… / A,B,C… / I,II,III…
- 章番号を含める:1-1, 1-2のような形式
- 区切り文字:ハイフン、ピリオド、スペースなど
章番号との連動
章番号入りの設定:
- 「章番号を含める」にチェック
- 「章の開始スタイル」で見出しレベルを選択
- 「区切り文字」を設定(通常はハイフン)
- 結果:「図1-1」「図1-2」「図2-1」のような番号
方法①:図表番号を一つずつ更新する

個別更新の手順
基本操作
- 更新したい図表番号を右クリック
- 「フィールドの更新」をクリック
- 自動的に番号が正しい順に修正される
詳細な操作方法
ステップ1:対象の特定
- 更新が必要な図表番号を確認
- 番号部分(数字の部分)をクリック
- 番号全体がグレーの背景で表示されることを確認
ステップ2:更新の実行
- 番号部分を右クリック
- コンテキストメニューから「フィールドの更新」を選択
- 番号が自動的に正しい値に更新される
この方法が適している場面
少数の図表への対応
効果的な使用例:
- 1〜2個の図表番号のみ更新が必要
- 特定の図表番号のみ問題がある
- 部分的な修正で十分な場合
- 更新結果を一つずつ確認したい場合
メリット・デメリット
メリット:
- 精密な制御が可能
- 更新結果をすぐに確認
- 他の部分に影響しない
- 操作がシンプル
デメリット:
- 大量の図表には非効率
- 更新漏れのリスク
- 時間がかかる
- 全体の一貫性確認が必要
方法②:図表番号を一括で更新する
一括更新の手順
基本操作(Windows/Mac共通)
- キーボードで「Ctrl + A」(全選択)
- 「F9」キーを押す(または右クリック →「フィールドの更新」)
- 必要に応じて「目次も更新するか?」と表示されるので選択
これで、すべての図表番号が最新の状態に整います。
詳細な実行手順
ステップ1:全体選択
- 文書内でCtrl+A(Mac:Cmd+A)を押す
- 文書全体が選択状態になることを確認
- ステータスバーで選択範囲を確認
ステップ2:フィールド更新
- F9キーを押す(Mac:fn+F9)
- または選択範囲を右クリック→「フィールドの更新」
- 更新ダイアログが表示される場合は適切に選択
ステップ3:結果の確認
- 図表番号が正しく更新されているか確認
- 目次や参照も同時に更新されているか確認
- レイアウトに問題がないか全体をチェック
一括更新のオプション
更新範囲の選択
選択可能な更新対象:
- 図表番号のみ:キャプションの番号部分のみ
- 目次を含む:図表目次や文書目次も同時更新
- 相互参照:本文中の図表への参照も更新
- ページ番号:ヘッダー・フッターの情報も更新
更新時の注意事項
確認すべきポイント:
- ネットワーク上のリンクされたファイル
- 外部データソースとの接続
- 大きなファイルでの処理時間
- 保存前のバックアップ
図表番号の更新がうまくいかない場合
よくある問題と原因
キャプション機能を使っていない
問題の状況:
- 手動で「図1」「表2」と入力している
- コピー&ペーストで番号を作成
- 書式のみをコピーした番号
解決方法:
- 手入力の番号を削除
- 図表を選択して正式にキャプションを挿入
- 「参考資料」→「図表番号の挿入」で設定
- 既存の説明文を新しいキャプションに移行
段落スタイルが不統一
問題の詳細:
- 異なるスタイルが混在している
- 書式が手動で変更されている
- テンプレートの設定が不適切
対策方法:
- キャプションスタイルの統一
- 「ホーム」→「スタイル」でキャプションスタイルを確認
- 必要に応じてスタイルを修正・適用
- 書式設定の一括変更
図表が「図」として認識されていない
認識されない原因:
- テキストボックス内の図
- インライン以外の配置設定
- グループ化された複合オブジェクト
- 特殊な挿入方法
修正手順:
- 図表の配置を「行内」に変更
- グループ化を解除して個別に設定
- 図表を再挿入して適切に配置
- キャプションを正しく関連付け
高度なトラブルシューティング
フィールドコードの確認
フィールドコードの表示:
- Alt+F9でフィールドコードを表示
- { SEQ 図 * ARABIC }のような形式を確認
- コードが正しく設定されているかチェック
- 必要に応じて手動でコードを修正
文書の修復
文書ファイルの問題:
- 文書を新規ファイルにコピー
- Normal.dotmテンプレートのリセット
- Wordの修復インストール
- 互換性モードの確認と解除
図表番号の活用テクニック

章番号との連動
設定方法
章番号入りの図表番号:
- 見出しスタイルで章番号を設定
- 図表番号設定で「章番号を含める」にチェック
- 「章の開始スタイル」で見出し1を選択
- 結果:「図1-1」「図1-2」「図2-1」のような番号
活用効果
構造化文書での利点:
- 章ごとの図表管理
- 長文書での見つけやすさ
- 参照の明確性
- 編集時の影響範囲の限定
図表目次の自動生成
図表目次の挿入
基本手順:
- 「参考資料」→「図表目次の挿入」
- 対象ラベル(図、表)を選択
- 書式やレベルを設定
- 「OK」で目次を生成
カスタマイズオプション
目次の詳細設定:
- 書式:クラシック、モダン、シンプルなど
- タブリーダー:点線、実線、なしなど
- ページ番号:表示・非表示、右揃えなど
- レベル表示:階層構造の反映
相互参照の活用
本文からの参照
参照の挿入方法:
- 本文中で参照したい位置にカーソル
- 「参考資料」→「相互参照」
- 「参照する項目」で「図」「表」を選択
- 対象の図表を選択して挿入
参照の種類
選択可能な参照形式:
- 番号のみ:「1」
- ラベルと番号:「図1」
- 説明文のみ:「売上推移グラフ」
- ラベル、番号、説明文:「図1 売上推移グラフ」
効率的な図表番号管理
テンプレートの活用
標準テンプレートの作成
推奨手順:
- よく使う図表番号設定を含む文書を作成
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」
- ファイルの種類で「Wordテンプレート」を選択
- 今後の文書作成時にテンプレートとして使用
組織での標準化
企業・研究機関での統一:
- 図表番号の形式統一
- キャプションスタイルの標準化
- 参照方法の統一
- 品質チェックリストの作成
大規模文書での管理
章建て文書での戦略
効果的な管理方法:
- 章ごとのファイル分割
- マスター文書機能の活用
- 定期的な番号更新
- バージョン管理の徹底
共同編集での注意点
チーム作業での配慮:
- 図表追加時の連絡
- 更新タイミングの調整
- 番号の重複チェック
- 最終統合時の全体更新
品質管理とチェック
完成前の確認項目
基本チェックリスト
必須確認事項:
- [ ] 全図表に番号が付いている
- [ ] 番号が連続している
- [ ] 本文からの参照が正確
- [ ] 図表目次が最新
- [ ] レイアウトが整っている
高度な品質確認
詳細チェック項目:
- 番号形式の一貫性
- 説明文の適切性
- 参照の正確性
- 印刷時のレイアウト
- PDFでの表示確認
自動化の導入
マクロでの効率化
自動更新マクロ:
Sub UpdateAllFields()
Dim doc As Document
Set doc = ActiveDocument
doc.Fields.Update
MsgBox "全フィールドを更新しました"
End Sub
定期チェックの習慣化
推奨スケジュール:
- 図表追加後:即座に更新
- 章完成時:章全体の確認
- 全体完成時:最終チェック
- 印刷前:最後の更新
まとめ
図表番号管理のポイント
Wordの図表番号は、しっかり設定すれば追加や削除にも柔軟に対応できます。
重要な要素:
- 「キャプション」機能を使う:手動入力ではなく正式な機能を活用
- F9キーや右クリックで一括更新可能:効率的な管理方法
- 「図表目次」機能と組み合わせればさらに便利:総合的な文書管理
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