「日付やページ数を自動で表示させたい」 「目次や文書プロパティをリンクしたいけどどうすれば…」
そんなときに活躍するのが、Wordのフィールドコード機能です。
見た目では「自動で変わる情報」にしか見えませんが、その裏には「フィールドコード」という仕組みが動いています。この記事では、フィールドコードの基本から、使いこなすためのテクニックまでを丁寧に解説します。
この機能を覚えると、毎回手作業で更新していた作業が自動化され、文書作成がぐっと楽になります。
フィールドコードとは何か

基本的な仕組み
フィールドコードとは、Word内で自動的に処理されるコマンドのような文字列で、日付・ページ番号・目次・ファイル名などの情報を動的に表示する機能です。
簡単に言うと、「自動で変わる情報を表示する命令文」のことです。
具体的な例で理解しよう
普通の文書では、日付を「2025年7月20日」と手で入力しますが、フィールドコードを使うと:
- 手入力の場合:「2025年7月20日」(変わらない)
- フィールドコードの場合:文書を開くたびに今日の日付に自動更新
つまり、情報が自動的に最新の状態に保たれるのです。
よく使われるフィールドコードの例
たとえば:
{ DATE }
→ 現在の日付を表示{ PAGE }
→ ページ番号を表示{ FILENAME \p }
→ ファイル名と保存パスを表示{ TOC }
→ 目次を自動生成
フィールドコードの表示・編集方法
フィールドコードを見る方法
個別のフィールドを確認
- 確認したいフィールド(日付やページ番号など)をクリック
- 右クリックして「フィールドコードの切り替え」を選択
{ DATE }
のようなコードが表示される
すべてのフィールドを一括表示
- Alt + F9 キーを押す
- 文書内のすべてのフィールドコードが表示される
- もう一度押すと元の表示に戻る
フィールドコードが表示されるとどう見える?
通常表示: 2025年7月20日 フィールドコード表示: { DATE @ “yyyy年M月d日” }
このように、裏側では命令文が動いていることがわかります。
フィールドコードの編集方法
基本的な編集手順
- フィールドコードを表示状態にする(Alt + F9)
- コード部分を直接編集
- F9キーを押して更新
- Alt + F9で通常表示に戻す
編集時の注意点
- 波括弧 { } は消さない:フィールドとして認識されなくなる
- スペースに注意:余分なスペースがあるとエラーになることがある
- 大文字小文字:基本的には大文字で記述
フィールドコードの挿入方法
メニューから挿入する基本手順
標準的な挿入方法
- フィールドを入れたい位置にカーソルを置く
- 「挿入」タブをクリック
- 「クイックパーツ」ボタンをクリック
- 「フィールド」を選択
- 一覧から目的のフィールド名を選ぶ
- 書式やオプションを設定し「OK」をクリック
フィールドダイアログの使い方
- フィールド名:左側のリストから選択
- フィールドプロパティ:詳細設定(書式など)
- プレビュー:実際の表示を確認
- フィールドコード:生成されるコードを確認
直接入力する方法
ショートカットキーを使った挿入
- Ctrl + F9 を押す
- 空の波括弧 { } が表示される
- 波括弧の中にフィールド名を入力
- F9キーで実行
直接入力時の重要な注意点
- 普通に { } を入力してもフィールドにならない
- 必ず Ctrl + F9 で作成した波括弧を使う
- フィールド名は正確に入力する
よく使われるフィールドコード一覧
日付・時刻系
現在日時のフィールド
表示内容 | フィールドコード | 実際の表示例 |
---|---|---|
今日の日付 | { DATE } | 2025年7月20日 |
作成日 | { CREATEDATE } | 2025年7月15日 |
最終保存日 | { SAVEDATE } | 2025年7月20日 |
現在時刻 | { TIME } | 午後2:30 |
日付の表示形式を変える
{ DATE \@ "yyyy/MM/dd" }
→ 2025/07/20{ DATE \@ "M月d日" }
→ 7月20日{ DATE \@ "dddd" }
→ 日曜日
ページ関連
ページ番号のフィールド
表示内容 | フィールドコード | 説明 |
---|---|---|
現在のページ | { PAGE } | そのページの番号 |
総ページ数 | { NUMPAGES } | 文書全体のページ数 |
ページ/総ページ | { PAGE } / { NUMPAGES } | 1 / 10 のような表示 |
セクション情報
{ SECTION }
→ 現在のセクション番号{ SECTIONPAGES }
→ そのセクションのページ数
ファイル情報
ファイル名・パス関連
表示内容 | フィールドコード | 例 |
---|---|---|
ファイル名のみ | { FILENAME } | 報告書.docx |
フルパス付き | { FILENAME \p } | C:\Documents\報告書.docx |
拡張子なし | { FILENAME \@ } | 報告書 |
文書プロパティ
{ TITLE }
→ 文書のタイトル{ AUTHOR }
→ 作成者名{ SUBJECT }
→ 件名
目次・参照系
自動生成される要素
機能 | フィールドコード | 説明 |
---|---|---|
目次 | { TOC } | 見出しから自動生成 |
図表番号 | { SEQ 図 } | 図1、図2のように連番 |
相互参照 | { REF } | 他の場所への参照 |
フィールドの更新方法
手動で更新する方法
個別フィールドの更新
- 更新したいフィールドをクリック
- 右クリックして「フィールドの更新」を選択
- または、フィールドを選択してF9キーを押す
全フィールドの一括更新
- Ctrl + A で文書全体を選択
- F9キーを押す
- すべてのフィールドが最新の情報に更新される
自動更新の設定
印刷時に自動更新
- 「ファイル」→「オプション」
- 「表示」を選択
- 「印刷オプション」で「印刷前にフィールドを更新する」にチェック
開いたときに自動更新
一部のフィールド(DATEなど)は文書を開いたときに自動更新されますが、目次などは手動更新が必要です。
更新時の注意点
更新が必要なフィールド
- 目次(TOC):見出しを変更したら更新必須
- 図表番号:図や表を追加・削除したら更新
- 相互参照:参照先を変更したら更新
更新されないフィールド
- CREATEDATE:作成日は固定
- 手動で値を変更したフィールド:保護されている場合
実際の活用例
ビジネス文書での活用
報告書のヘッダー・フッター
作成日:{ DATE \@ "yyyy年M月d日" }
ファイル名:{ FILENAME }
ページ:{ PAGE } / { NUMPAGES }
議事録のテンプレート
会議日:{ DATE }
出席者:{ DOCPROPERTY "出席者" }
次回会議:{ DATE \@ "yyyy/M/d" \* +7 }
教育現場での活用
配布プリントのヘッダー
{ DOCPROPERTY "科目" } - { DATE \@ "M月d日" }授業
{ FILENAME \@ } ({ PAGE } / { NUMPAGES })
レポート用テンプレート
提出日:{ DATE }
学籍番号:{ DOCPROPERTY "学籍番号" }
氏名:{ DOCPROPERTY "氏名" }
応用テクニック

条件付き表示
IF文を使った条件分岐
{ IF { PAGE } = 1 "表紙" "{ PAGE }ページ" }
1ページ目なら「表紙」、それ以外なら「○ページ」と表示
数値による条件分岐
{ IF { NUMPAGES } > 10 "長文書類" "通常書類" }
10ページを超えたら「長文書類」と表示
計算式の活用
簡単な計算
{ = { PAGE } * 2 }
現在のページ番号の2倍を表示
日付の計算
{ DATE \@ "yyyy/M/d" \* +30 }
今日から30日後の日付を表示
差し込み印刷との連携
宛名の敬称を自動変更
{ MERGEFIELD 氏名 }{ IF { MERGEFIELD 性別 } = "男性" "様" "さま" }
条件に応じた文章の切り替え
{ IF { MERGEFIELD 会員種別 } = "プレミアム" "特別価格でご提供" "通常価格" }
よくあるトラブルと解決方法
フィールドが更新されない
原因と対処法
- 保護されている:「校閲」タブで保護を解除
- フィールドがロックされている:Ctrl + Shift + F11でロック解除
- 書式エラー:フィールドコードの構文を確認
確認手順
- Alt + F9でフィールドコードを表示
- 構文に間違いがないか確認
- F9で更新を試行
- エラーメッセージを確認
フィールドコードが表示されたまま
表示を戻す方法
- Alt + F9で切り替え
- 個別のフィールドなら右クリック→「結果の切り替え」
印刷時にコードが出る場合
- 「ファイル」→「オプション」
- 「詳細設定」を選択
- 「結果の代わりにフィールドコードを印刷する」のチェックを外す
エラーメッセージが表示される
よくあるエラーと対処法
- 「エラー!ブックマークが定義されていません」
- 参照先が削除されている
- 参照先の名前を確認し修正
- 「エラー!引数が正しくありません」
- フィールドの構文が間違っている
- 正しい書式に修正
- 「更新エラー」
- ファイルが読み取り専用になっている
- ファイルの権限を確認
セキュリティとプライバシーの注意点
個人情報の取り扱い
注意すべきフィールド
- FILENAME \p:ファイルの保存パスが表示される
- AUTHOR:作成者名が表示される
- LASTPRINT:最終印刷日時が表示される
対策方法
- 文書を配布する前にフィールドを確認
- 個人情報が含まれるフィールドは削除または固定値に変更
- 「ファイル」→「情報」→「問題の確認」で個人情報をチェック
ファイル共有時の注意
フィールドの動作
- 他の人がファイルを開くと、その人の環境でフィールドが更新される
- ファイルパスや作成者名が変わってしまう可能性がある
安全な共有方法
- フィールドを固定値に変換してから共有
- PDF形式で配布する
- 重要な情報は手動で入力し直す
まとめ
Wordのフィールドコードは、文書を自動化・効率化する強力なツールです。
覚えておきたい基本操作
- フィールドの表示切り替え:Alt + F9
- フィールドの更新:F9キー
- 全フィールドの更新:Ctrl + A → F9
よく使うフィールドコード
- 日付:
{ DATE }
- ページ番号:
{ PAGE }
- 総ページ数:
{ NUMPAGES }
- ファイル名:
{ FILENAME }
活用のポイント
- 定期的に作成する文書にはテンプレート化
- 印刷前には必ずフィールドを更新
- 文書共有時は個人情報に注意
基本的なコードから応用的な設定までを理解すれば、繰り返し使う帳票やテンプレート作成がぐっと楽になります。
まずは「日付」「ページ数」「ファイル名」などの簡単なものから使ってみて、徐々に応用範囲を広げていきましょう。慣れてくると、手作業では考えられないほど効率的な文書作成ができるようになります。
フィールドコードを使いこなせるようになると、Wordの上級者として一歩進んだ文書作成ができるようになります。ぜひチャレンジしてみてください。
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