Word(ワード)で作成した文書を、PDFに変換したり、他の形式で共有したりしたいときに登場するのが「エクスポート」という機能です。
でも、「エクスポートって保存と何が違うの?」「どう使えばいいの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
この記事では、Wordの「エクスポート」とは何か、どんなときに使うべきかをわかりやすく解説します。
エクスポート機能を使いこなせば、文書の共有や提出がとても楽になります。
「エクスポート」とは
基本的な定義
文書を他の形式に変換して出力する機能
エクスポート(export)とは、現在開いているWord文書を別のファイル形式に変換して保存する操作のことです。
元のWordファイルはそのままで、新しい形式のファイルが別に作られます。
エクスポートの語源
「エクスポート」は英語で「輸出」を意味し、データを他の環境でも使えるように通用するという意味があります。
Wordでは、Word圏内の文書を外部でも使える形式に変換するという考えで使われています。
エクスポートの特徴
元ファイルはそのまま
- Wordファイル自体は変更されない
- 変換結果が別のファイルとして保存
- 何度でも違う形式にエクスポート可能
形式変換がメイン
- データ構造や内容を保ちながら形式変更
- 各ファイル形式の特性に合わせて最適化
- 表示環境での見え方を確保
「エクスポート」と「保存」の違い
それぞれの目的と役割
比較表
操作 | 内容 | 主な用途 | ファイル形式 |
---|---|---|---|
保存 | 編集中のファイルを更新 | 途中保存、上書き | .docx(そのまま) |
名前を付けて保存 | 新しい名前や形式で保存 | バージョン違いの保存など | .docx他(選択可能) |
エクスポート | 他形式への変換出力 | PDF変換、XPS作成、共有前の整形など | .pdf, .xps他 |
使い分けのコツ
通常の保存
- 作業途中での内容保存
- 同じWord形式での保管
- 続きから編集したい場合
エクスポート
- 他の人との共有
- 形式固定が必要な場合
- 配布や提出用のファイル作成
どちらを選ぶべきか
エクスポートが必要な状況
- 相手がWordを持っていない
- レイアウトを完全に固定したい
- 印刷用・公式提出用
- 安全性を高めたい(編集されない)
通常の保存で十分な状況
- チーム内での協同編集
- 今後も内容を変更する予定
- Word環境での作業継続
Wordで使えるエクスポートの種類
代表的なエクスポート先
PDF形式(.pdf)
形式を崩さずに他人と共有したいときに便利です。どのOSやソフトでも同様に表示され、印刷結果と画面表示がほぼ同じになります。
PDFのメリット
- ユニバーサルな形式
- レイアウト保存が完全
- パスワード保護や編集制限が可能
- ファイルサイズの調整が可能
PDFの注意点
- 編集が困難
- 元のWordファイルとは別管理
- フォント埋め込みに注意が必要
XPSドキュメント(.xps)
Windows専用の固定レイアウト形式です。使用頻度は低めですが、マイクロソフトの独自形式として提供されています。
XPSの特徴
- Windows環境での高い再現性
- ベクター形式でのきれいな表示
- 印刷品質の向上
XPSの制限
- Windows以外での対応が限定
- 共通性が低い
- PDFのほうが一般的
画像形式やテキスト形式への変換
一部拡張機能が必要ですが、特定の目的に応じてWordの標準機能以外でも対応できます。
新しいエクスポートオプション
Microsoft 365での機能拡張
- クラウドサービスとの連携
- リアルタイム変換機能
- オンラインでの共有と編集
サードパーティーツールとの連携
- より多くのファイル形式に対応
- 高度な変換オプション
- バッチ処理や自動化
PDFへエクスポートする方法【一番よく使われる】
基本的なエクスポート手順
詳しい操作ステップ
- 「ファイル」をクリック
- 「エクスポート」を選ぶ
- 「PDF/XPSドキュメントの作成」を選択
- 「PDF/XPSの作成」ボタンをクリック
- 保存先・ファイル名を決めて「発行」
エクスポート設定のカスタマイズ
品質とサイズのバランス
「最適化」で目的を選ぶ
- 「オンライン公開・印刷」:高品質
- 「最小サイズ」:ファイルサイズ優先
- 「カスタム」:詳細設定
ページ範囲の指定
- 「すべて」:文書全体
- 「現在のページ」:表示中のページのみ
- 「ページ指定」:特定のページ番号
オプション設定
- 「標準」:一般的な品質
- 「最小サイズ」:メール添付用など
- 「高品質印刷」:高解像度用など
エクスポート結果の確認
PDFの内容チェック
- レイアウトが崩れていないか
- フォントが正しく表示されているか
- 画像や表の品質
- ページ番号やヘッダー・フッター
ファイルサイズと品質のバランス
- 目的に合ったサイズになっているか
- 印刷品質が保たれているか
- メール送信に適したサイズか
エクスポートを使うと便利なシーン
協同作業での活用
提出用資料をPDFで保存したいとき
- 会社や学校への提出
- 公式な書類としての保管
- 形式を崩さずに長期保存
レイアウト崩れを防いで他人と共有したいとき
- 異なるWordバージョン間での共有
- フォント環境の違いを解消
- 印刷結果の統一
ビジネスシーンでの活用
Wordを持っていない相手に送るとき
- クライアントやパートナーへの提供
- 公的機関や顧客先への配布
- だれでも開けるファイルでの送信
印刷前の最終チェックにPDFで見直したいとき
- 実際の印刷結果との違いが少ない
- 印刷業者へのデータ提供
- 色合いやレイアウトの最終確認
学術・教育シーンでの活用
論文やレポートの提出
- 学会や雑誌への投稿
- 大学での課題提出
- 指導教官との共有
教材や資料の配布
- 授業資料の提供
- オンライン学習での使用
- 印刷版とデジタル版の統一
エクスポート前に確認すべきこと
フォントと文字の処理
フォントが埋め込まれているか(PDFでは特に重要)
- 相手のパソコンにないフォントを使用
- エクスポート時にフォント埋め込みを選択
- 代替フォントの使用確認
文字化けの防止
- 特殊文字や記号の確認
- 異なる言語環境での確認
- フォントの対応範囲チェック
隠れた情報の管理
非表示テキストが出力されていないか
- コメントや注釈の扱い
- 隠れたテキストや情報
- メタデータの情報量
個人情報や機密データ
- 文書のプロパティ情報
- 変更履歴や意見
- 埋め込まれたオブジェクト内のデータ
レイアウトとページ構成
セクション区切りや余白が崩れていないか
- ページ設定の維持
- 余白サイズの対応
- 表や画像の配置確認
ページ番号とヘッダー・フッター
- ページ番号の連続性
- ヘッダー・フッターの再現性
- セクション違いでの連続性
より高度なエクスポートテクニック
設定のカスタマイズ
PDF/A形式での長期保存
- 公文書館や企業での使用
- ISO基準準拠
- 長期間でのファイル安定性
アクセシビリティ対応
- スクリーンリーダー対応
- 視覚障害者への配慮
- 画像代替テキストの設定
バッチ処理と自動化
複数ファイルの一括エクスポート
- 同じ設定で複数のWordファイルを処理
- 時間短縮と操作性向上
- 統一した出力結果の確保
マクロを使った自動化
- 繰り返し作業の自動化
- 同一時間でのエクスポート処理
- エラー処理や例外対応
よくある質問
エクスポートと保存の使い分けがわからない
継続して編集する場合は保存、他の人に渡す場合はエクスポートと覚えておきましょう。
PDFにしたら文字が変わってしまった
フォントの埋め込み設定を確認してください。相手の環境にないフォントは代替フォントで表示されます。
エクスポートしたファイルが重すぎる
品質設定を「最小サイズ」に変更するか、画像の解像度を下げることで軽くできます。
どの形式でエクスポートすればよいかわからない
迷ったらPDF形式をおすすめします。最も汎用性が高く、どの環境でも開けます。
まとめ
Wordの「エクスポート」は、文書を別の形式に変換して活用するための機能です。
主なポイント
- 保存とは異なり、「別形式への出力」が目的
- 特にPDFエクスポートが実用的
- レイアウト維持や共有の際に大活躍
- 元のWordファイルはそのまま、新しいファイルを別作成
適切な使用場面
- 公式資料の提出
- 異なるソフト環境での共有
- 印刷用・配布用ファイルの作成
- 長期保存やアーカイブ
エクスポート前の大切な確認
- フォント埋め込みと文字化け防止
- 隠れた情報や機密データの管理
- レイアウト崩れやページ構成のチェック
- 目的に合った品質とサイズ設定
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