仕事や学校の提出書類、または取引先とのやりとりで「WordファイルをPDFに変換してください」と言われたことはありませんか?
Wordは文書の作成には便利ですが、相手に内容を崩さず届けるにはPDFが適しています。特にレイアウトやフォントを維持したいときにPDF変換は欠かせません。
この記事では、パソコン初心者でも迷わずできる「WordからPDFへの変換方法」と、その際に気をつけたいポイントをわかりやすく解説します。
そもそもPDFって何?どうして必要?

PDF(ピーディーエフ)は「Portable Document Format(ポータブル・ドキュメント・フォーマット)」の略で、レイアウトが崩れないファイル形式です。どんな端末でも同じように表示できるため、印刷や共有に最適です。
PDFの主なメリット
- レイアウト保持:フォントや配置が相手の環境でも同じように表示
- 編集防止:簡単には内容を変更できないため、公式文書に適している
- 軽量化:画像や文字を圧縮してファイルサイズを小さくできる
- 互換性:どんなOSやデバイスでも開ける
- 印刷品質:印刷時にレイアウトが崩れない
よくある使用場面
- 履歴書や職務経歴書:見た目が崩れず安心して提出できる
- 契約書や提案書:レイアウトや内容をそのまま送れる
- プレゼンテーション資料:フォントやデザインを保持
- 学術論文やレポート:図表や参考文献の配置を維持
- 取扱説明書:画像と文字の配置を正確に伝達
WordからPDFに変換する方法
方法1:Wordの標準機能でPDFに変換する(推奨)
Wordには、最初からPDFに変換する機能が備わっています。この方法が最も確実で安全です。
Windows版Wordでの手順
- 変換したいWordファイルを開く
- 「ファイル」タブをクリック
- 「エクスポート」を選択
- 「PDF/XPS ドキュメントの作成」をクリック
- 「PDF/XPS の作成」をクリック
- 保存場所とファイル名を指定
- 「発行」ボタンをクリック
Mac版Wordでの手順
- 変換したいWordファイルを開く
- 「ファイル」メニューをクリック
- 「名前を付けて保存」を選択
- 「ファイル形式」で「PDF」を選択
- 保存場所とファイル名を指定
- 「保存」ボタンをクリック
詳細設定のオプション
Wordの標準機能では、以下の設定を調整できます:
- 最適化:印刷用または Web 用の品質選択
- ページ範囲:全ページまたは指定ページのみ
- 含める内容:コメントやプロパティの含有設定
- オプション:パスワード保護や PDFのバージョン指定
方法2:無料オンラインツールを使う
Wordが手元にない場合でも、ブラウザからPDFに変換可能です。
おすすめのオンラインツール
Smallpdf
- 使いやすいインターフェース
- 高い変換精度
- 1時間あたり2ファイルまで無料
iLovePDF
- 多機能なPDFツール
- バッチ処理に対応
- 無料プランでも十分な機能
PDF24
- 完全無料
- 広告が少ない
- オフライン版も利用可能
オンラインツールの使用手順
- 選択したサイトにアクセス
- 「ファイルを選択」または「ドラッグ&ドロップ」でWordファイルをアップロード
- 自動でPDFに変換される
- 変換完了後、「ダウンロード」ボタンをクリック
- 変換されたPDFファイルをパソコンに保存
オンラインツール使用時の注意点
- 機密情報の取り扱い:個人情報や重要な文書はアップロードしない
- インターネット接続:安定した回線が必要
- ファイルサイズ制限:無料版では容量制限がある
- 一時保存:アップロードしたファイルは一定時間後に削除される
方法3:Googleドライブを活用する
Googleアカウントがあれば、Googleドキュメントでも変換可能です。
手順
- Googleドライブにアクセス
- WordファイルをGoogleドライブにアップロード
- アップロードしたファイルを右クリック
- 「アプリで開く」→「Googleドキュメント」を選択
- 「ファイル」メニューをクリック
- 「ダウンロード」→「PDFドキュメント(.pdf)」を選択
Googleドライブのメリット
- クラウド保存:ファイルがクラウドに残るため再利用しやすい
- 共同編集:他の人と一緒に編集してからPDF化
- 自動保存:変更内容が自動的に保存される
- アクセス制御:共有設定で閲覧権限を管理
方法4:プリンター機能を使った変換
どのパソコンでも使える汎用的な方法です。
手順
- Wordファイルを開く
- 「Ctrl + P」で印刷画面を開く
- プリンターで「Microsoft Print to PDF」(Windows)または「PDFとして保存」(Mac)を選択
- 「印刷」ボタンをクリック
- 保存場所とファイル名を指定して保存
PDF変換時の詳細設定と最適化

画質とファイルサイズの調整
用途別おすすめ設定
印刷用(高画質)
- 解像度:300dpi以上
- 画像圧縮:最小限
- フォント埋め込み:すべて埋め込む
Web用(軽量)
- 解像度:150dpi程度
- 画像圧縮:中程度
- フォント埋め込み:必要最小限
メール送信用(超軽量)
- 解像度:96dpi
- 画像圧縮:最大
- 不要な要素を削除
フォントの埋め込み設定
設定方法(Word標準機能)
- PDF変換時の「オプション」をクリック
- 「PDFのオプション」で以下を確認:
- 「フォントの埋め込みが不可能な場合はテキストをビットマップに変換する」
- 「アクセシビリティ用の構造タグをエクスポート」
フォント関連のトラブル対策
- 文字化け防止:特殊なフォントは一般的なものに変更
- ファイルサイズ:不要なフォントの埋め込みを避ける
- 互換性:システムフォント(Arial、Times New Romanなど)の使用
セキュリティ設定
パスワード保護
Word標準機能でPDFにパスワードを設定できます:
- PDF変換時の「オプション」をクリック
- 「PDFをパスワードで暗号化する」にチェック
- パスワードを設定
編集制限
- 印刷制限:印刷を禁止または低解像度に制限
- コピー制限:テキストのコピーを禁止
- 編集制限:内容の変更を禁止
よくある問題と解決法
レイアウトが崩れる場合
原因と対策
表や図が崩れる
- 対策:ページ区切りを確認し、必要に応じて調整
- 対策:表の幅を固定値で設定
文字の配置がずれる
- 対策:フォントを埋め込み対応のものに変更
- 対策:行間や文字間隔を固定値で設定
画像の位置がずれる
- 対策:画像のレイアウト設定を「行内」に変更
- 対策:アンカーの設定を確認
ファイルサイズが大きすぎる場合
軽量化の方法
画像の最適化
- Word内で画像を選択
- 「図の形式」タブ →「図の圧縮」
- 「電子メール用」または「Web用」を選択
不要な要素の削除
- 非表示の文字や図形を削除
- 未使用のスタイルを整理
- メタデータを削除
変換エラーが発生する場合
トラブルシューティング
Wordが応答しない
- 対策:ファイルサイズを確認し、必要に応じて分割
- 対策:Wordを再起動してから再実行
一部のページが変換されない
- 対策:ページ区切りやセクション区切りを確認
- 対策:特殊な要素(マクロなど)を削除
文字化けが発生
- 対策:標準的なフォントに変更
- 対策:文字エンコーディングを確認
高度な活用テクニック
バッチ処理で複数ファイルを一括変換
VBAマクロを使った自動化
複数のWordファイルを一度にPDF化するマクロの活用:
Sub ConvertWordToPDF()
' 複数ファイルの一括PDF変換
End Sub
PowerShellを使った変換
Windows環境でのコマンドライン変換も可能です。
PDFの後処理と最適化
PDF専用ツールとの連携
- Adobe Acrobat:プロ仕様の編集と最適化
- PDF-XChange:コスパの良い編集ソフト
- Foxit PDF:軽量で高機能
結合・分割・編集
変換後のPDFをさらに加工:
- 複数PDFの結合
- ページの分割・抽出
- 注釈やコメントの追加
PDF変換後のチェックポイント
品質確認のチェックリスト
視覚的確認
- [ ] レイアウトが元のWordファイルと同じか
- [ ] フォントが正しく表示されているか
- [ ] 画像や図表がきれいに表示されているか
- [ ] ページ区切りが適切か
機能的確認
- [ ] リンクが正しく動作するか
- [ ] 目次や索引が機能するか
- [ ] 検索機能が使えるか
- [ ] 印刷プレビューが正常か
セキュリティ確認
- [ ] パスワード保護が正しく設定されているか
- [ ] 編集制限が適用されているか
- [ ] メタデータが適切に処理されているか
配布前の最終確認
- ファイル名:わかりやすく、日付やバージョンを含める
- ファイルサイズ:送信方法に適したサイズか確認
- 互換性:受け手の環境でも開けるか確認
- 内容:最新の情報が反映されているか確認
まとめ
WordからPDFへの変換は、目的や環境に応じて複数の方法があります。特別な知識がなくても、数クリックで完了できる時代になりました。
方法別おすすめ用途
- Word標準機能:最も確実で高品質、日常的な使用に最適
- オンラインツール:Wordがない環境での緊急時に便利
- Googleドライブ:共同作業やクラウド管理を重視する場合
- プリンター機能:どんな環境でも使える汎用的な方法
重要なポイント
- 品質確認:変換後は必ず内容とレイアウトをチェック
- セキュリティ:機密情報の取り扱いには十分注意
- 最適化:用途に応じた画質とファイルサイズの調整
- 互換性:受け手の環境を考慮した設定
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