「章ごとに分けて作った文書を1つにまとめたい」「複数人で作成したレポートを結合したい」このような場面で役立つのが、Wordのファイル結合機能です。
実は、コピー&ペースト以外にも効率的な結合方法がいくつか用意されています。書式を保ったまま結合したり、大量のファイルを一度にまとめたりすることも可能です。
この記事では、目的に応じた3つの結合方法を分かりやすく解説します。どの方法が自分の作業に最適かがすぐに分かりますよ。
Wordファイル結合が必要になる場面

まず、どのような場面でファイル結合が活用されるかを見てみましょう。
よくある活用場面
- 卒論や研究レポートを章ごとに作成した後の統合
- 複数人で分担して作成した企画書の結合
- 月次レポートを年次レポートにまとめる作業
- 会議資料を1つの文書にまとめる作業
- マニュアルの各章を統合して完成版を作る
結合時に考慮すべき要素
ファイルを結合する前に、以下の点を確認しておきましょう:
- ページ設定(余白、用紙サイズ)は統一するか
- 見出しスタイルは統一されているか
- ページ番号は通し番号にするか
- ヘッダー・フッターはどう扱うか
方法1:挿入機能を使った基本的な結合
最も簡単で確実な方法です。初心者におすすめします。
操作手順
- メインとなるWordファイルを開く 結合後のファイルのベースとなる文書を開きます
- 挿入位置を決める 他のファイルの内容を挿入したい場所にカーソルを置きます
- ファイルを挿入する
- 「挿入」タブをクリック
- 「テキスト」グループの「オブジェクト」をクリック
- 「ファイルからテキスト」を選択
- 結合したいファイルを選ぶ ファイル選択ダイアログで結合したいWordファイルを選んで「挿入」をクリック
この方法のメリット
- 操作が簡単で確実
- 特別な設定や知識が不要
- すぐに結果を確認できる
この方法のデメリット
- 1つずつファイルを挿入する必要がある
- 元のファイルの書式が一部変更される場合がある
- 大量のファイルを扱う場合は時間がかかる
挿入後の確認ポイント
結合が完了したら、以下を確認しましょう:
- 文字化けや表示の乱れがないか
- 図表が正しく表示されているか
- ページレイアウトが崩れていないか
方法2:セクション区切りを使った高度な結合
異なるページ設定やヘッダー・フッターを維持したい場合に使います。
セクション区切りとは
セクション区切りは、文書内で異なる書式設定を適用できる機能です。これを使うことで、各ファイルの個性を保ったまま結合できます。
操作手順
- メインファイルでセクション区切りを挿入
- 他のファイルを挿入したい位置にカーソルを置く
- 「レイアウト」タブの「区切り」をクリック
- 「次のページから開始(セクション区切り)」を選択
- 新しいセクションでファイルを挿入
- セクション区切り後の位置にカーソルを置く
- 方法1と同じ手順でファイルを挿入
- ヘッダー・フッターの設定を調整
- 挿入したセクションのヘッダー・フッターをダブルクリック
- 「前と同じヘッダー/フッター」のリンクを解除
- 必要に応じて内容を変更
この方法が適している場面
- 章ごとに異なるヘッダーを設定したい
- ページ番号を章ごとにリセットしたい
- 異なる余白設定を維持したい
- 縦向きと横向きのページが混在している
セクション設定のコツ
ページ番号の調整
- 「挿入」タブの「ページ番号」をクリック
- 「ページ番号の書式設定」を選択
- 「連続番号」または「開始番号」を設定
余白の個別設定
- 該当セクションにカーソルを置く
- 「レイアウト」タブの「余白」をクリック
- 「ユーザー設定の余白」で個別に設定
方法3:マクロを使った一括結合(上級者向け)
大量のファイルを効率的に結合したい場合に便利です。
マクロとは
マクロは、Wordの操作を自動化するプログラム機能です。一度設定すれば、複雑な作業を瞬時に実行できます。
基本的なマクロの作成手順
- 開発タブを表示する
- 「ファイル」→「オプション」→「リボンのユーザー設定」
- 「開発」にチェックを入れて「OK」
- マクロエディタを開く
- 「開発」タブの「Visual Basic」をクリック
- マクロコードを入力する
- 「挿入」→「標準モジュール」でコード入力画面を開く
安全なマクロの使い方
マクロを使用する際は、セキュリティに注意が必要です:
- 信頼できるソースからのマクロのみを実行
- マクロ実行前にファイルをバックアップ
- ウイルススキャンを定期的に実行
簡単な一括結合の手順
プログラミングが苦手な方には、以下の手動一括結合をおすすめします:
- 結合したいファイルを1つのフォルダにまとめる
- ファイル名を結合したい順番に変更(01_chapter1.docx、02_chapter2.docxなど)
- 方法1の手順を繰り返し実行
結合時のトラブル対処法

よくある問題と解決策
文字化けが発生する場合
- ファイルの文字エンコードを統一する
- 異なるWordバージョンで作成された場合は互換性を確認
- フォントが統一されているかチェック
書式が崩れる場合
- スタイル設定を事前に統一する
- 段落設定やインデントを確認
- 表や図の配置設定をチェック
ファイルサイズが大きくなりすぎる場合
- 不要な画像や図表を削除
- 画像の解像度を最適化
- 使用していないスタイルを削除
ページ番号がうまく続かない場合
- セクション区切りの設定を確認
- ページ番号の書式設定をチェック
- ヘッダー・フッターのリンク設定を見直し
結合前の準備チェックリスト
結合作業をスムーズに進めるため、事前に以下を確認しましょう:
- [ ] すべてのファイルが同じWordバージョンで作成されている
- [ ] ファイルに保護がかかっていない
- [ ] スタイル設定が統一されている
- [ ] 画像や図表のリンクが正しく設定されている
- [ ] ファイル名が整理されている
結合後の仕上げ作業
全体の統一感を確保する
スタイルの統一
- 「ホーム」タブの「スタイル」で見出しレベルを確認
- 不統一な箇所があれば手動で修正
- フォントサイズや行間を統一
目次の作成・更新
- 文書の先頭に目次を挿入
- 「参考資料」タブの「目次」から自動作成
- 内容変更後は目次を更新
ページ設定の最終確認
- 用紙サイズと向きの統一
- 余白設定の確認
- ヘッダー・フッターの統一
品質チェックのポイント
結合完了後は、以下の観点で品質をチェックしましょう:
- 文章の流れに不自然な箇所はないか
- 図表番号や参照番号は正しく更新されているか
- ページレイアウトに崩れがないか
- 印刷プレビューで最終確認
よくある質問と回答
技術的な質問
Q:PDFファイルも一緒に結合できますか? A:Wordでは直接PDFを結合できません。PDFをWordに変換してから結合するか、専用のPDF結合ツールを使用してください。
Q:Excel表が含まれるファイルの結合で注意点はありますか? A:Excel表は画像として貼り付けられている場合と、Excelオブジェクトとして埋め込まれている場合があります。結合後にレイアウトや編集可能性を確認してください。
作業効率に関する質問
Q:同じ作業を定期的に行う場合の効率化方法は? A:テンプレートファイルを作成し、マクロで自動化するか、ファイル名の命名規則を統一して手順を標準化することをおすすめします。
Q:大容量ファイルの結合で動作が重くなります A:作業前にWordの不要な機能を無効化し、他のアプリケーションを終了してメモリを確保してください。また、段階的に結合することも効果的です。
まとめ
Wordでファイルを結合する方法は、目的に応じて使い分けることが重要です。
この記事のポイント
- 基本的な結合には「挿入機能」が最適
- 書式を保持したい場合は「セクション区切り」を活用
- 大量ファイルの処理には「マクロ」が効率的
- 結合前の準備と結合後の確認が品質向上の鍵
どの方法を選ぶべきか
- 簡単な結合:方法1(挿入機能)
- 書式保持が必要:方法2(セクション区切り)
- 大量ファイル処理:方法3(マクロ)または手動一括処理
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