Wordで文書を共同編集しているとき、「誰がどこを直したか知りたい」「変更内容を記録したい」と思ったことはありませんか?
そんなときに便利なのが**「変更履歴」機能**です。この機能を使えば、誰が・いつ・どこを・どう変更したかが一目でわかります。
この記事では、変更履歴の基本操作から活用法、印刷や非表示の設定まで、初心者でもわかりやすく解説します。
変更履歴とは何か

変更履歴機能の概要
Wordの**「変更履歴(Track Changes)」**は、文書に加えた変更を記録して、元の文章と比較できる機能です。
修正箇所が赤字や取り消し線などで表示され、確認・承認・却下などの操作が可能になります。
変更履歴が役立つ場面
変更履歴機能は、以下のような場面でとても便利です。
- 複数人での文書作成:チームで資料を作るとき
- 上司との文書チェック:報告書や企画書の確認作業
- 校正作業:文章の見直しや修正作業
- バージョン管理:どの部分を変更したかの記録
変更履歴で表示される内容
変更履歴がオンになっていると、以下の情報が記録されます。
- 追加された文字:赤字で表示
- 削除された文字:取り消し線付きで表示
- 変更した人の名前:ユーザー名が表示
- 変更した日時:修正された時刻が記録
- コメント:修正理由などの説明
変更履歴を有効にする方法
基本的な設定手順
変更履歴を記録するための設定方法を説明します。
Windows版 Wordの場合
- 「校閲」タブをクリック
画面上部のリボンから「校閲」タブを選択します - 「変更履歴の記録」をクリック
ボタンをクリックしてオンにします - 記録開始の確認
ボタンが濃く表示されれば記録中です - 以降の修正がすべて記録される
この状態で文書を編集すると、すべての変更が記録されます
Mac版 Wordの場合
Mac版でも基本的な手順は同じです。
- 「校閲」タブを選択
- 「変更の履歴」をクリック
- 「変更履歴の記録」をオンにする
ユーザー名の設定
複数人で編集する場合、誰が修正したかわかるように、ユーザー名を設定しておきましょう。
ユーザー名の確認・変更方法
- 「ファイル」→「オプション」をクリック
- 「全般」タブを選択
- 「Microsoft Officeのユーザー設定」で名前を確認・変更
- 「OK」をクリックして設定を保存
これで、変更履歴に正しい名前が表示されるようになります。
変更の表示形式を切り替える
表示オプションの種類
Wordでは変更内容の見せ方を以下のように選べます。
表示オプション | 説明 | 使用場面 |
---|---|---|
シンプルな変更の表示 | 修正後の文章のみを表示、左に縦線で変更箇所を示す | 全体の仕上がりを確認したいとき |
すべての変更を表示 | 削除や挿入箇所を赤字や取り消し線で表示 | 詳細な修正内容を確認したいとき |
元の文書 | 修正前の内容を表示 | 元の文章を確認したいとき |
最終版 | 修正を反映後の見た目だけを表示 | 完成版の確認や印刷前の確認 |
表示形式の切り替え方法
- 「校閲」タブをクリック
- 「変更履歴の表示」をクリック
- 好きな表示形式を選択
各表示形式の詳細
シンプルな変更の表示
- 読みやすさを重視した表示
- 変更箇所は左端の縦線で確認
- 文書全体の流れを把握しやすい
すべての変更を表示
- 最も詳細な表示方式
- 追加:赤字で表示
- 削除:取り消し線付きで表示
- 修正内容が一目でわかる
元の文書・最終版
- 変更前後の比較に便利
- プレゼンテーション時は「最終版」を使用
- 印刷時にも「最終版」がおすすめ
変更を承認・却下する方法
個別の変更を処理する
文書の編集を最終決定するには、変更履歴を**「承認」または「却下」**する必要があります。
操作手順
- 修正箇所をクリック
処理したい変更箇所を選択します - 「校閲」タブを開く
画面上部の「校閲」タブをクリックします - 「承諾」または「却下」を選択
- 承諾:変更を採用する
- 却下:変更を取り消して元に戻す
- 次の変更に移動
「次へ」ボタンで次の変更箇所に移動できます
まとめて処理する方法
多くの変更がある場合は、まとめて処理すると効率的です。
すべて承諾する場合
- 「校閲」タブ→「承諾」の▼をクリック
- 「すべての変更を承諾」を選択
- すべての変更が一度に採用される
すべて却下する場合
- 「校閲」タブ→「却下」の▼をクリック
- 「すべての変更を却下」を選択
- すべての変更が取り消される
承認・却下の注意点
- 承認した変更は元に戻せません(アンドゥ機能は除く)
- 重要な文書は必ずバックアップを作成してから処理する
- 部分的に承認・却下することも可能です
コメント機能の活用

コメントの追加方法
変更履歴と一緒に、コメント機能も活用しましょう。
- コメントしたい箇所を選択
- 「校閲」タブ→「新しいコメント」をクリック
- 右側にコメント欄が表示される
- 修正理由や提案を入力
コメントの管理
- コメントの返信:他の人のコメントに返事できます
- コメントの削除:不要になったコメントは削除可能
- コメントの解決:対応完了したコメントは「解決済み」にできます
変更履歴を非表示・印刷しないようにする方法
表示を非表示にする方法
文書の提出や印刷時に、変更履歴を非表示にしたい場合の設定です。
一時的に非表示にする
- 「校閲」タブをクリック
- 「変更履歴の表示」をクリック
- 「最終版」を選択
これで変更履歴が見えなくなり、完成版だけが表示されます。
完全に削除する
変更履歴を完全に削除したい場合は、すべての変更を承認または却下します。
- 「校閲」タブ→「承諾」の▼をクリック
- 「すべての変更を承諾」を選択
- 変更履歴が完全に削除される
印刷時に履歴を表示しない方法
印刷するときに変更履歴を含めたくない場合の設定です。
印刷設定の変更
- 「ファイル」→「印刷」をクリック
- 「設定」の中の「ドキュメントの校閲マークを印刷」のチェックを外す
- 「印刷」をクリック
これで変更履歴なしで印刷できます。
PDF保存時の注意
PDF形式で保存する場合も、変更履歴の表示に注意しましょう。
- 「ファイル」→「エクスポート」→「PDF/XPSの作成」
- 「オプション」をクリック
- 「校閲マークを含める」のチェックを外す
- 「OK」→「発行」
変更履歴の便利な機能
比較機能
2つの文書を比較して、違いを自動で検出する機能です。
文書の比較方法
- 「校閲」タブ→「比較」をクリック
- 「比較」を選択
- 「元の文書」と「変更された文書」を選択
- 「OK」をクリック
比較結果が新しい文書として表示され、違いが変更履歴として表示されます。
結合機能
複数の人が同じ文書を編集した場合、変更を結合できます。
文書の結合方法
- 「校閲」タブ→「比較」をクリック
- 「結合」を選択
- 元の文書と結合したい文書を選択
- 「OK」をクリック
変更履歴のトラブル対処法
よくある問題と解決策
変更履歴が表示されない
原因と対策
- 変更履歴の記録がオフになっている → 「校閲」タブで「変更履歴の記録」をオンにする
- 表示設定が「最終版」になっている → 「すべての変更を表示」に変更する
変更履歴が消えない
原因と対策
- 変更が承認・却下されていない → 「すべて承諾」または「すべて却下」を実行
- 保護された文書の場合 → 文書の保護を解除してから処理
ユーザー名が正しく表示されない
原因と対策
- Officeのユーザー設定が間違っている → 「ファイル」→「オプション」→「全般」でユーザー名を確認・修正
パフォーマンスの改善
大きな文書で変更履歴を使うと、動作が重くなることがあります。
動作を軽くする方法
- 不要な変更履歴を定期的に承認・却下
- コメントを整理
- 文書を分割して作業
- 最新版のWordを使用
セキュリティとプライバシーの注意点
変更履歴に含まれる情報
変更履歴には以下の個人情報が含まれる可能性があります。
- ユーザー名
- コンピュータ名
- 編集日時
- 削除した文章の内容
外部提出時の注意
文書を外部に提出する前に、必ず以下を確認しましょう。
文書検査の実行
- 「ファイル」→「情報」をクリック
- 「問題のチェック」→「文書検査」を選択
- 「検査」をクリック
- 問題があれば「すべて削除」をクリック
これで個人情報や変更履歴を安全に削除できます。
変更履歴の活用事例

ビジネスでの活用
契約書の確認
- 法務部門での条項チェック
- 修正箇所の明確化
- 承認プロセスの記録
企画書の作成
- チームメンバーからの提案受付
- 上司からのフィードバック反映
- バージョン管理
教育現場での活用
論文指導
- 指導教員からの添削
- 学生の修正過程の記録
- 段階的な改善の可視化
共同研究
- 複数の研究者による文書作成
- 各専門分野からの意見集約
- 最終版への合意形成
よくある質問Q&A
基本操作について
Q:変更履歴を記録したくない時はどうする?
A:「校閲」タブの「変更履歴の記録」をオフにすれば、以降の変更は記録されません。一時的にオフにして、必要な時だけオンにすることも可能です。
Q:変更履歴が消えないのはなぜ?
A:変更を「承認」「却下」しない限り、履歴として残ります。必ず「すべて承諾」や「すべて却下」で最終化しましょう。
Q:他の人の変更履歴を見ることはできる?
A:はい。文書に記録されているすべての変更履歴を確認できます。ただし、編集権限がある場合に限ります。
トラブルシューティング
Q:変更履歴が正しく表示されない
A:以下を確認してください。
- 変更履歴の記録がオンになっているか
- 表示設定が適切か
- Wordのバージョンが最新か
Q:印刷時に変更履歴が含まれてしまう
A:印刷設定で「ドキュメントの校閲マークを印刷」のチェックを外すか、表示を「最終版」に変更してから印刷してください。
Q:変更履歴付きの文書が重い
A:不要な変更履歴を承認・却下して削除するか、文書を分割することをおすすめします。
セキュリティについて
Q:変更履歴は完全に削除できる?
A:はい。「すべて承諾」または「すべて却下」を実行すれば、変更履歴は完全に削除されます。また、文書検査機能でも削除可能です。
Q:削除した文章が他の人に見られる心配は?
A:変更履歴がオンの間は、削除した文章も履歴として残ります。機密性の高い文書では、変更履歴をオフにするか、最終版のみを共有しましょう。
まとめ
Wordの変更履歴機能は、複数人での文書作成や校正作業にとても便利な機能です。
基本操作のポイント
- 「校閲」タブ→「変更履歴の記録」でオン・オフを切り替え
- 表示形式を目的に応じて変更
- 「承諾」「却下」で最終調整
- 提出前には履歴の削除・非表示設定を確認
活用のメリット
- 修正箇所が明確になる
- 複数人での作業効率が向上
- 変更の経緯を記録できる
- トラブル時の原因特定が容易
注意すべきポイント
- 個人情報やプライバシーの保護
- 文書のファイルサイズ管理
- 最終版の確実な作成
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