Wordで取り消し線の色を変更する方法|赤い取り消し線も可能?

word

「Wordで文書を校正していて、取り消し線を赤色にして目立たせたい…」 「削除する部分を色分けして、修正理由を明確にしたい…」 「契約書の変更箇所を視覚的にわかりやすくしたい…」

Wordで文章を校正するときに便利な「取り消し線」機能。削除候補の文字に横線を引くことで、修正箇所を明確にできる重要な機能です。しかし、多くのユーザーが「取り消し線だけの色を変えたい」という要望を持っています。

この記事では、Wordの取り消し線における色の制限と、目的を達成するための複数の解決策、さらに実務で使える応用テクニックまで、詳しく解説します。

スポンサーリンク

取り消し線の基本知識

取り消し線の仕組みと制限

まず、Wordにおける取り消し線の基本的な仕組みを理解しましょう。

取り消し線の基本仕様

標準の動作:
- 取り消し線は文字の装飾として適用される
- 線の色は常に文字色と同じになる
- 文字が黒なら線も黒、文字が赤なら線も赤

技術的な理由:
- 取り消し線は文字の属性として処理される
- 独立した図形要素ではない
- フォント装飾の一部として扱われる

他のOfficeアプリとの共通仕様

Excel:同様の制限(文字色=線色)
PowerPoint:同様の制限(文字色=線色)
Outlook:同様の制限(文字色=線色)

共通する理由:
- Microsoft Office共通のフォントエンジン
- 文字装飾の標準仕様
- 互換性維持のための制約

取り消し線の種類と特徴

Wordで使用できる取り消し線の種類を理解しましょう。

単線の取り消し線

特徴:
- 最も一般的な取り消し線
- 文字の中央を横切る1本の線
- 軽微な修正に適している

適用方法:
「ホーム」→「フォント」→「取り消し線」ボタン
ショートカット:Ctrl + Shift + X

二重取り消し線

特徴:
- 2本の平行線による取り消し線
- より強い削除の意思を示す
- 重要な変更や最終削除に適している

適用方法:
「ホーム」→「フォント」→ダイアログ起動ツール
「文字飾り」で「二重取り消し線」を選択

基本編:文字色変更による解決方法

文字色と線色の同時変更

最もシンプルで確実な方法から説明します。

基本的な手順

詳細手順:
1. 取り消し線を入れたい文字を選択
2. 「ホーム」タブの「フォントの色」をクリック
3. 目立つ色(赤、青、緑など)を選択
4. 「取り消し線」ボタンをクリック

結果:
文字と取り消し線の両方が選択した色になる

効果的な色の選択

推奨色とその効果:
赤色:削除、注意、重要な変更
青色:提案、推奨変更、情報提供
緑色:承認済み、確定変更
オレンジ:検討中、保留
紫色:特別な注意、重要度高

避けるべき色:
黄色:背景色と区別しにくい
グレー:目立たない
薄い色:印刷時に見えにくい

色分けによる校正システム

複数の色を使い分けて効率的な校正を行う方法です。

色別校正ルールの例

修正レベル別の色分け:
赤色:絶対に削除
オレンジ:削除を検討
青色:移動候補
緑色:削除確定(承認済み)

修正者別の色分け:
赤色:編集長の指示
青色:校正者の提案
緑色:ライターの修正
紫色:法務チェック

優先度別の色分け:
赤色:緊急度高
オレンジ:緊急度中
青色:緊急度低
グレー:参考程度

応用編:変更履歴機能の活用

変更履歴による自動色付け

Wordの変更履歴機能を使った高度な校正方法です。

変更履歴の基本設定

有効化手順:
1. 「校閲」タブをクリック
2. 「変更履歴の記録」をクリック(ONにする)
3. 削除したい文字を選択してDeleteキーを押す
4. 自動的に赤い取り消し線が適用される

メリット:
- 自動的に赤い取り消し線が適用
- 削除者と削除日時を記録
- 変更内容の承認・却下が可能
- 複数人での共同編集に最適

変更履歴の詳細設定

表示設定のカスタマイズ:
1. 「校閲」→「変更履歴のオプション」
2. 「詳細オプション」をクリック
3. 削除の表示方法を設定

設定項目:
- 削除:取り消し線、非表示、キャレット、#
- 挿入:下線、なし、太字、斜体
- 色:作成者別、修正項目別

推奨設定:
削除:取り消し線
挿入:下線
色:作成者別(複数人)または赤色(単独)

変更履歴のコメント機能

コメント追加の方法:
1. 削除した文字を選択
2. 「校閲」→「新しいコメント」
3. 削除理由や代替案を記入

効果的なコメント例:
「冗長な表現のため削除」
「より適切な表現に変更予定」
「法務確認により削除必要」
「読者に誤解を与える可能性」

複数人での校正管理

チーム作業における変更履歴の効果的な活用方法です。

校正ワークフローの設計

段階別校正プロセス:
第1段階:ライターが初稿作成
第2段階:編集者が内容校正(変更履歴ON)
第3段階:校正者が文字校正(変更履歴ON)
第4段階:責任者が最終確認・承認

各段階での色設定:
編集者:青色で表示
校正者:緑色で表示
責任者:赤色で表示

変更の承認と却下

承認プロセス:
1. 「校閲」→「変更の承認」
2. 個別承認:変更箇所ごとに承認・却下
3. 一括承認:「すべての変更を承認」

却下プロセス:
1. 変更箇所を選択
2. 「変更の却下」をクリック
3. 元の状態に復元される

最終確定:
1. すべての変更を確認
2. 「変更履歴の記録」をOFF
3. 最終版として保存

高度な技術:図形による取り消し線

手動での取り消し線作成

完全に自由な色設定を実現する高度な方法です。

基本的な図形線の作成

詳細手順:
1. 「挿入」→「図形」→「線」→「直線」
2. 削除したい文字の上でドラッグして線を描画
3. 線を選択して右クリック→「図形の書式設定」
4. 「線」タブで色と太さを設定

線の配置調整:
1. 線を選択
2. 「図形の書式」→「配置」
3. 「文字列の折り返し」→「前面」
4. ドラッグで正確な位置に調整

高度な線の設定

線のスタイル設定:
実線:通常の削除
点線:仮削除、検討中
破線:条件付き削除
太線:重要な削除

色の組み合わせ例:
文字:黒、線:赤(最も一般的)
文字:青、線:赤(提案と削除の区別)
文字:グレー、線:赤(非活性と削除)

効果の設定:
グロー効果:線を目立たせる
影効果:立体感を出す
透明度:薄い線で控えめに表示

複数行への対応

長文への線引き:
1. 段落全体を選択
2. 「挿入」→「図形」→「フリーフォーム」
3. 文字の流れに沿って線を描画
4. 複雑な形状でも自由に対応

テンプレート化:
1. 理想的な取り消し線を作成
2. 図形として保存
3. 「挿入」→「図形」→「マイ図形」に登録
4. 今後の使用で効率化

実務での活用事例

契約書・法務文書での活用

法的文書における取り消し線の専門的な使用方法です。

契約書の変更管理

変更パターン別の色分け:
赤色:削除確定(双方合意)
青色:削除提案(一方の提案)
緑色:削除承認済み(法務確認済み)
オレンジ:削除検討中(未決定)

文書化ルール:
1. 変更履歴機能を必ず使用
2. 削除理由をコメントで明記
3. 承認者と承認日を記録
4. 最終版は変更履歴を削除せず保管

版管理システムとの連携

ファイル名の管理:
契約書_v1.0_原案.docx
契約書_v1.1_A社修正.docx
契約書_v1.2_B社修正.docx
契約書_v2.0_最終確定.docx

履歴の保存:
1. 各版での変更内容を記録
2. 変更理由と根拠を文書化
3. 関係者の承認記録を保持
4. 監査対応のためのトレーサビリティ確保

編集・出版業界での活用

編集業務における効率的な取り消し線の使用方法です。

原稿校正での色分けシステム

校正段階別の管理:
初回校正:青色(内容確認)
二校:緑色(文字校正)
三校:オレンジ色(最終確認)
責了:赤色(印刷確定)

校正記号との連携:
削除:赤色取り消し線
移動:青色取り消し線+移動先指示
置換:緑色取り消し線+新文字
保留:オレンジ色取り消し線+?マーク

デジタル校正のワークフロー

効率的な作業手順:
1. 変更履歴ONで校正開始
2. 削除箇所に取り消し線適用
3. コメント機能で校正理由を記載
4. 校正完了後に一括承認
5. 最終版として保存・印刷

品質管理:
- 校正者による二重チェック
- 校正内容の統計取得
- 常用ミスパターンの分析
- 校正精度の継続的改善

学術論文・研究文書での活用

研究分野における取り消し線の専門的活用法です。

共同研究での版管理

研究者別の色分け:
主著者:黒色(基本執筆)
共著者A:青色(専門分野の修正)
共著者B:緑色(データ関連の修正)
査読者:赤色(査読コメント対応)

研究段階別の管理:
初稿:青色(アイデア段階)
中間稿:緑色(データ追加段階)
投稿前:オレンジ色(最終調整)
査読後:赤色(査読対応)

トラブルシューティング

よくある問題と解決方法

取り消し線使用時によく発生する問題への対処法です。

取り消し線が表示されない

原因1:文字色が背景色と同じ
解決:文字色を変更してから取り消し線を適用

原因2:フォントが対応していない
解決:標準フォント(MS明朝、MSゴシックなど)に変更

原因3:表示設定の問題
解決:「ファイル」→「オプション」→「表示」で「文字の書式設定」を確認

変更履歴が正しく動作しない

原因1:変更履歴がOFFになっている
解決:「校閲」→「変更履歴の記録」を確認してONにする

原因2:文書が保護されている
解決:「校閲」→「編集の制限」で保護を解除

原因3:互換モードの影響
解決:「ファイル」→「情報」→「変換」で最新形式に変換

図形の線がずれる

原因1:文字サイズ変更の影響
解決:図形を「文字列と一緒に移動する」設定に変更

原因2:印刷時のレイアウト崩れ
解決:「表示」→「印刷レイアウト」で作業し、印刷プレビューで確認

原因3:フォントの違いによる影響
解決:統一フォントの使用、または図形の位置を再調整

バージョン別の対応

Word のバージョンによる機能差と対応方法です。

Word 2019/2021/Microsoft 365

利用可能機能:
- 全ての取り消し線機能が利用可能
- 高度な変更履歴機能
- クラウド連携での共同編集

推奨活用:
- リアルタイム共同編集での変更履歴
- OneDriveでの版管理
- Microsoft Teamsとの連携

Word 2016以前

制限事項:
- 一部の高度な変更履歴機能が制限
- クラウド機能の制限

代替方法:
- 基本的な変更履歴機能の活用
- 手動での版管理
- メール等での変更内容共有

Word Online(Web版)

制限事項:
- 図形機能が制限される
- 一部の詳細設定が利用不可

推奨方法:
- 変更履歴機能を中心とした運用
- シンプルな色分けによる管理
- デスクトップ版での最終調整

まとめ

Wordで取り消し線の色を変更することは、標準機能では制限がありますが、複数の方法で目的を達成できます。

基本的な解決方法

  • 文字色変更:文字と線の両方を目立つ色に変更
  • 変更履歴:自動的に赤い取り消し線を適用
  • 図形活用:完全に自由な色設定が可能

用途別の推奨方法

  • 簡単な校正:文字色変更による方法
  • 本格的な校正:変更履歴機能の活用
  • 特殊な要件:図形による手動作成

実務での効果的活用

  • 色分けルールの統一
  • チーム内での標準化
  • 版管理システムとの連携

品質管理のポイント

  • 表示環境での確認
  • 印刷時の見え方チェック
  • 長期保存での互換性確保

コメント

タイトルとURLをコピーしました