Word文書に複数の画像を貼り付けていると、「サイズがバラバラで見栄えが悪い」「一枚ずつ調整するのが面倒」という悩みに直面しがちです。
実はWordでは、すべての画像を**”まとめて同じサイズに変更”**する方法があります。
この記事では、手動操作からマクロ(自動化)まで、Word内の画像サイズを一括で変更する方法をわかりやすく解説します。
画像サイズがバラバラになる原因

よくある問題
Word文書で画像サイズが統一されない原因を理解しておきましょう。
元画像の解像度の違い
- デジカメ写真:高解像度(数千ピクセル)
- ウェブ画像:中解像度(数百ピクセル)
- スキャン画像:設定により様々
- スクリーンショット:画面解像度に依存
貼り付け方法の違い
- コピー&ペースト:元サイズで貼り付け
- 挿入メニュー:Wordの設定に従う
- ドラッグ&ドロップ:ファイルサイズに応じて自動調整
Wordの自動調整機能
- 画像圧縮:ファイルサイズを減らすための自動リサイズ
- レイアウト調整:ページ幅に合わせた自動調整
- 互換性設定:古いバージョンとの互換性確保
統一されていない画像の問題点
見た目の問題
- 文書の一貫性が損なわれる
- プロフェッショナルさに欠ける
- 読み手の集中が妨げられる
実用上の問題
- レイアウトが崩れやすい
- 印刷時の品質が不安定
- ファイルサイズが大きくなる
画像サイズ統一の基本知識
単位の理解
Wordで画像サイズを扱う際の単位について説明します。
単位 | 説明 | 用途 | 換算 |
---|---|---|---|
センチメートル (cm) | 実際の印刷サイズ | 印刷物作成 | 1cm = 28.35pt |
ポイント (pt) | 印刷業界標準単位 | 精密な指定 | 72pt = 1インチ |
ピクセル (px) | 画面表示の単位 | デジタル表示 | 解像度により変動 |
パーセント (%) | 元サイズとの比率 | 相対的な調整 | 100% = 元サイズ |
縦横比の重要性
縦横比とは
画像の幅と高さの比率のことです。一般的な比率には以下があります。
- 4:3:従来のテレビ、デジカメ標準
- 16:9:ワイドスクリーン、HD動画
- 3:2:35mmフィルム、DSLR標準
- 1:1:正方形、SNS投稿用
縦横比を保つメリット
- 画像の歪みを防ぐ
- 自然な見た目を保持
- 画質の劣化を最小限に
方法①:手動での一枚ずつ調整(少数向け)
基本的な手動調整
画像が少ない場合の確実で正確な方法です。
詳細な操作手順
- 対象の画像をクリックして選択
画像の周りに選択ハンドルが表示される - 「図の形式」タブをクリック
画像を選択すると自動的に表示される - 「サイズ」グループを確認
幅と高さの数値ボックスが表示される - 幅の値を入力
例:「6cm」または「170pt」 - 高さの値を入力
縦横比固定の場合は自動で調整される - Enterキーで確定
効率的な手動調整のコツ
基準となる画像の設定
- 最も重要な画像を最初に調整
- 理想的なサイズに設定
- そのサイズを他の画像にも適用
縦横比固定の活用
- 画像を右クリック
- 「図の書式設定」を選択
- 「サイズ」タブで「縦横比を固定する」にチェック
- 幅または高さの一方だけを変更
複数選択での同時調整
操作手順
- Ctrlキーを押しながら複数の画像をクリック
- すべて選択された状態で「図の形式」タブ
- 「サイズ」でまとめて調整
注意点
- 同じ縦横比の画像でないと歪む可能性
- レイアウトの種類が異なると選択できない場合あり
方法②:書式のコピー機能を活用(中程度の画像数)
書式コピーの基本操作
マクロを使わずに効率化する方法です。
詳細な操作手順
- 理想的なサイズに調整した画像を選択
- 「ホーム」タブ→「書式のコピー/貼り付け」をクリック
またはCtrl+Shift+Cでコピー - 適用したい画像をクリック
瞬時にサイズと書式が適用される - 連続適用する場合
書式のコピー/貼り付けボタンをダブルクリックして固定モード - 完了後はEscキーで終了
書式コピーで適用される要素
サイズ関連
- 幅と高さ
- 縦横比の設定
- 回転角度
装飾関連
- 枠線の色・太さ
- 影の効果
- 光彩・ぼかし
- 3D効果
レイアウト関連
- 文字列の折り返し
- 配置設定
- 余白設定
書式コピーの注意点
適用される書式の制御
不要な書式の適用を避けるため:
- 元画像の書式を最小限に
- 必要な要素のみを設定
- 適用後の微調整を前提とする
方法③:VBAマクロによる一括処理(大量の画像向け)
基本的なマクロコード
大量の画像を効率的に処理する方法です。
VBAエディタの起動
- Wordを開いた状態で「Alt + F11」
- VBAエディタが開く
- 「挿入」→「標準モジュール」
- 新しいモジュールが作成される
基本的なリサイズマクロ
Sub ResizeAllPictures()
Dim pic As InlineShape
' 文書内のすべてのインライン画像を処理
For Each pic In ActiveDocument.InlineShapes
If pic.Type = wdInlineShapePicture Then
With pic
.LockAspectRatio = msoTrue ' 縦横比を固定
.Width = CentimetersToPoints(8) ' 幅8cmに設定
' 高さは縦横比に従って自動調整される
End With
End If
Next pic
MsgBox "画像のリサイズが完了しました。"
End Sub
マクロの実行方法
- コードを貼り付け
- F5キーを押すか「実行」ボタンをクリック
- 処理完了のメッセージを確認
高度なマクロ機能
縦横別のサイズ指定
Sub ResizeWithDifferentSizes()
Dim pic As InlineShape
For Each pic In ActiveDocument.InlineShapes
If pic.Type = wdInlineShapePicture Then
With pic
.LockAspectRatio = msoFalse ' 縦横比を固定しない
.Width = CentimetersToPoints(6) ' 幅6cm
.Height = CentimetersToPoints(4) ' 高さ4cm
End With
End If
Next pic
End Sub
条件付きリサイズ
Sub ResizeByImageSize()
Dim pic As InlineShape
For Each pic In ActiveDocument.InlineShapes
If pic.Type = wdInlineShapePicture Then
With pic
.LockAspectRatio = msoTrue
' 現在のサイズに応じて処理を分岐
If .Width > CentimetersToPoints(10) Then
' 大きな画像は8cmに
.Width = CentimetersToPoints(8)
ElseIf .Width > CentimetersToPoints(5) Then
' 中程度の画像は6cmに
.Width = CentimetersToPoints(6)
Else
' 小さな画像は4cmに
.Width = CentimetersToPoints(4)
End If
End With
End If
Next pic
End Sub
フローティング画像の処理
Sub ResizeFloatingPictures()
Dim shp As Shape
' フローティング画像(テキストボックス内など)の処理
For Each shp In ActiveDocument.Shapes
If shp.Type = msoPicture Then
With shp
.LockAspectRatio = msoTrue
.Width = CentimetersToPoints(6)
End With
End If
Next shp
End Sub
マクロ使用時の注意点
セキュリティ設定
- マクロの有効化が必要
- 信頼済みドキュメントとして保存
- デジタル署名の確認
バックアップの重要性
- 処理前のファイル保存
- テスト実行での動作確認
- 段階的な処理の検討
画像の種類別対応方法

インライン画像とフローティング画像
インライン画像
- 文字と同じ行に配置
- InlineShapesコレクションで操作
- 一般的な画像貼り付けで作成される
フローティング画像
- 文字の上下に自由配置
- Shapesコレクションで操作
- レイアウトオプションで「四角形」などに設定
画像形式による考慮事項
ビットマップ画像(JPEG、PNG、BMP)
- サイズ変更による画質劣化あり
- 拡大時の注意が必要
- 圧縮設定の確認
ベクター画像(SVG、EMF、WMF)
- 拡大縮小による劣化なし
- サイズ変更に適している
- Word 2016以降でSVG対応
サイズ調整の具体的な指針
文書種別による推奨サイズ
ビジネス文書
画像の用途 | 推奨幅 | 推奨高さ | 備考 |
---|---|---|---|
図表・グラフ | 12-15cm | 8-10cm | 視認性重視 |
製品写真 | 6-8cm | 4-6cm | 詳細確認可能 |
ロゴ・アイコン | 2-4cm | 1-3cm | 控えめに配置 |
スクリーンショット | 10-12cm | 6-8cm | 操作手順用 |
学術論文
- 図表:ページ幅の50-80%
- 写真:内容に応じて調整
- 模式図:理解しやすいサイズ
プレゼンテーション資料
- メイン画像:スライドの40-60%
- 補助画像:スライドの20-30%
- 背景画像:スライド全体
解像度と品質のバランス
印刷品質の確保
- 300dpi以上:高品質印刷
- 150-300dpi:一般的な印刷
- 72-150dpi:画面表示用
ファイルサイズの最適化
- 画像圧縮の活用
- 不要な高解像度の避免
- 適切な形式の選択
トラブルシューティング
よくある問題と解決方法
マクロが実行されない
原因と対策
- マクロ無効設定:「ファイル」→「オプション」→「セキュリティセンター」で有効化
- VBA参照エラー:必要なライブラリの確認
- 構文エラー:コードの見直し
画像が選択できない
原因と対策
- 保護された文書:編集保護の解除
- グループ化された画像:グループ解除後に処理
- 異なるレイヤー:レイアウトオプションの確認
サイズ変更後に画質が劣化
原因と対策
- 過度な拡大:元画像の解像度確認
- 圧縮設定:「図の圧縮」オプションの調整
- 形式変換:適切な画像形式の選択
縦横比が崩れる
原因と対策
- 比率固定設定:「縦横比を固定」の確認
- 手動調整:片方の値のみを変更
- 元画像の確認:正しい縦横比での撮影・作成
効率化のための追加テクニック
テンプレートの活用
画像サイズ設定済みテンプレート
- 理想的なサイズ設定を完了
- 「名前を付けて保存」でテンプレート形式
- 今後の文書作成で同じ設定を使用
スタイルの活用
画像スタイルの統一
- 「図の形式」→「図のスタイル」
- 統一したスタイルを選択
- カスタムスタイルの作成・保存
ショートカットキーの活用
よく使う操作のショートカット
- F4:直前の操作を繰り返し
- Ctrl+Z:元に戻す
- Ctrl+Y:やり直し
- Ctrl+A:すべて選択
品質管理のポイント
最終確認事項
印刷前のチェック
- 印刷プレビューでの確認
- 解像度の確認
- レイアウトの確認
デジタル配布前のチェック
- ファイルサイズの確認
- 互換性の確認
- 表示品質の確認
バックアップとバージョン管理
作業フロー
- 元ファイルのバックアップ
- 段階的な編集保存
- 最終版の確定
まとめ
Word内の画像サイズを一括で変更する方法をまとめると、以下のようになります。
方法の使い分け
- 手動調整:少数画像、正確なサイズ指定が必要
- 書式コピー:中程度の画像数、デザイン統一も必要
- VBAマクロ:大量画像、完全自動化が必要
成功のポイント
- 事前の計画:文書全体のデザイン設計
- 適切な方法選択:画像数と要求精度に応じて
- 品質確認:処理後の表示・印刷確認
効率化のコツ
- テンプレート活用:同種文書での標準化
- マクロ保存:繰り返し作業の自動化
- ショートカット活用:作業速度の向上
注意点
- バックアップ:処理前の必須作業
- 画質管理:過度なサイズ変更の回避
- 互換性確認:共有時の表示確認
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